500年後からの来訪者After Future2-2(163-39)

Last-modified: 2016-06-06 (月) 19:57:47

概要

作品名作者
500年後からの来訪者After Future2-2163-39氏

作品

俺たちの地元代表を決める決勝戦、この一戦の立役者となったのは、なんと古泉。「自信がない」などと言っておきながら、「無性に暴れたくなった」というセリフが飛び出た。俺たちと知り合う前からエージェント達と一緒に神人と戦い続け、幾度もの戦争を通して宇宙人たちと対等かそれ以上に渡り合ってきた古泉が、ピッチャーの投球を見切れないわけがない。ファールを連発しながら相手投手を丸裸にすると、「甘い」と判断した球を打ち返してツーランホームラン。古泉のプレーで火がついたメンバーが次々とヒットを放ち、コールド勝ちで決勝戦を終えることができた。一方、ハリウッド映画の最後の撮影の連絡が届き、新川流料理を目当てに集合時間前に全員揃ってしまうという異例の事態。たった5日間で撮影を終えてしまったため、あまり料理にありつけなかったと残念そうにしていたが、クランクアップを祝してアメリカ支部の最上階でフルコースを作る約束をして撮影スタッフたちと別れた。しかし、今日もまた過密スケジュールだったな。いくら疲れを取り払っても「疲れた」としか言葉が出てこない。ハルヒの言う通り、俺も週に1回は食事の支度を任せることにしよう。いつにするかは古泉や青ハルヒと相談することにして、有希とジョン、そしてスペシャルゲストのハリウッド女優を含めた四人で本社へとテレポート。ここはドレスコード指定だと言わんばかりに、パーティ参加者がそれぞれに合ったドレスやスーツに身を包んでいた。

 

「えっと…『こんばんは』でいいのかしら?さっきキョンに日本語を習ったばかりだから、あまり自信がないんだけれど…」
「ええ、それでかまいませんよ。来て頂いたのはこれで二度目になりますね。SOS Creative社へようこそ」
こいず…もとい、今泉のセリフを受けてOGを含めた全員からの拍手がヒロインへと送られた。その間に有希がヒロインのドレスを情報結合。ついでに俺とジョンの分までマネキンに着せられた状態で現れた。有希本人は既に自分のドレスに着替えている。有希の情報結合の一部始終を見ていたようだ。有希に対してヒロインが声をかける。
「あなたも、キョンと同じパフォーマンスができるの?」
「ここにいるメンバーは俺のパフォーマンスのタネを知っているんです。修錬は必要ですが、やろうと思えば誰にでも可能です。まぁ、その話はパーティが始まってからでもできますし、ドレスチェンジをしてしまいましょう」
「ドレスチェンジ?」
「おや?俺とハルヒが初めてパーティに招待された年にお見せした早着替えをお忘れですか?もっとも、それ以上のものを毎年やっていましたから無理もありません。マネキンに着せられたドレスを一瞬にして着替えてご覧にいれましょう3…2…1…」
パチンと指で音を鳴らしてドレスチェンジ。ヒロインだけでなく、俺とジョンも含めて三人まとめて早着替えしたのは言うまでもない。青俺やW古泉も含めて同じスーツでもそれぞれ微妙に違いがあり、青俺はインフォーマル、青古泉はフロックコート、古泉が燕尾服で俺はタキシード、ジョンにはスマートカジュアルのものが用意されていた。女性陣もそれぞれに合った色やデザインのドレスに身を包み、黄チームは催眠のかかった状態でもそれぞれにあったドレスになっているのだろう。朝比奈さんのツインテールがそのままになっていないかどうか気になったが、心配するだけ無駄に終わるだろう。四月号のウェディング特集とは別で特集が組めそうだ。OGたちもモデルとして冊子に掲載するのも悪くない。毎晩バレーに励んでいるんだ。自分のスリーサイズを明かしても他のモデルと似たようなもんだろう。席に着いたところで青ハルヒが音頭をとった。
「それじゃあ、あたしたちの全国大会進出と、キョンのハリウッド映画完成を祝して…」
『かんぱ~い!』
案の定、朝比奈さんと古泉にはソフトドリンク。ジョンの世界に来て俺がいない事を不思議に思わないといいんだが……酔い潰れて意識してなかったで済むか。子供たちのジュースではないが、二人には毎日酒を適量ずつ飲ませるのも悪くない。未来古泉もハルヒの記憶を消し去ろうと毎日酒を飲んでいただろうからな。でなければ、未だにこれほど酒に弱いなんてことにはならないはずだ。明日にでも提案してみよう。仕事に影響しない範囲でな。

 

 座席の配置は俺の右隣にヒロイン、さらに隣に青ハルヒがいて、カーチェイスのときの話をしているようだ。監督もさっき話していたが、道路の長さを倍にしたのは俺の左隣にいるジョン。俺が料理を振る舞っている間にジョンが反対側で道路工事をしていたことを打ち明けると、ようやく納得の顔つきをしていた。
「そういえば、ハルヒさんも野球の大会に出場していたの?」
「ええ、予選はずっとハルヒがピッチャーを務めていました。いくらハルヒでも決勝戦の相手となると、さすがに手強くて失点してしまいましたけどね。それが納得いかなくて全国大会で同じようなことにならないための特訓中です」
「それにしても、これだけ女性が多いチームでよく勝てたわね。それに、あなたやジョンは決勝には出ていなかったんでしょう?」
「俺とジョンが投げた球に慣れて、それを打ち返す練習をしていただけです。有希に球速を測ってもらったら100マイル(160km/h)以上の速さだったようなので。それに比べれば予選の相手くらい簡単に打ち返すことができる。それだけです」
「100マイル以上!?あれだけのバトルができるんだから、あなたたちなら多分本当のことなんでしょうけど、全米がそれを知ったら、二人ともメジャーリーグから勧誘されてもおかしくないわよ!?」
「俺たちの仕事の本分はファッション会社として服を売ることですからね。これ以降、映画の依頼がきても俺もジョンも断るつもりですし、メジャーリーグから勧誘されたとしても承諾するつもりはありません。俺の方はすでにバレーの日本代表として大会のみ参加していますからね。これ以上は本来の仕事に差し支えます」
「そういえば、『クレイジー野郎の魔球になす術なし』なんて見出しの記事を見た覚えがあるわね。あれ、あなたのパフォーマンスでも何でもないんでしょう?元代表が詳しく説明していたようだけど…」
「ええ、物理的に誰にでも撃つことはできますが、修得難易度はSSSクラス。初めは、ハルヒ以外にこんなサーブは撃てないだろうなんてみんなで話していたんですが、白帯にわざとひっかけてネット付近に落とすというハルヒのサーブを基に俺がアレンジを加えたものがあのサーブです。他国も超高速回転に慣れるための練習をしていますが、ここにいる仲間に対処法を打ち明けている以外は一度も破られたことはありません」
何でもありなのは既に承知の上だが、それでも野球だけでなく、バレーでも男女ともに諸国を圧倒していることに驚きを隠せないでいるようだ。

 

それから、SOS団結成の話だったり、本社設立に至るまでの話だったりと、ゲストとして招いておいて俺たちの話ばかりするのもどうかと思ったが、宇宙人だの異世界人だの、隠すところはちゃんと隠してパーティを楽しんでいた。ヒロインが日本語での会話に慣れることと料理を堪能することが目的だったようなもんだ。ヒロインの話は各国を回っている間にいくらでも聞けるからな。聞いておいて欲しいことをリストにまとめておいてもらおう。その方が俺も話を振りやすい。バレーの話をしている最中に一つ閃いたこともあるしな。料理も満ち足りたところで、本社100階からの景色を見せた後ヒロインを送ってSPに預けた。ヒロインの疲れを取り、負担がかかっている箇所を回復、SPの疲れと眠気をとったところで別れを告げた。俺が81階に戻る頃にはドレスコードは解除。ジョンも俺の中へと戻っていた。別人を装う必要がなくなったハルヒが二度目の音頭をとる。
「それじゃあ、みくるちゃんたちもお酒に変わったことだし、もう一回乾杯するわよ!野球のトーナメント優勝を祝して…」
『かんぱ~い!』
再びグラスで音を鳴らした直後、今までほとんど喋ってなかったメンバーが話し始めた。
「ハリウッド女優と一緒にパーティを楽しむことができて感激です!キョン先輩、ありがとうございます!」
『それで、披露試写会はいつやるっさ!?』
『くっくっ、僕もさっきからそれが気になって仕方がなかったんだ。早く教えてくれたまえ』
W佐々木とW鶴屋さんが揃って同じセリフを口にした。そんなに気になるもんなのか?アクションものだし、鶴屋さんには笑える内容が多少混じっているかいないかってところで、「鈴木四郎」のように笑えるような要素なんてどこにもないんだが…まぁ、いいか。
「ヒロインと監督の話を合わせると、撮影はとりあえず終了。だが、近日中にセリフとは別に音声だけ収録をしに行く必要があるらしい。それが終わってようやく映画の完成だ。試写会の日時は俺もまだ聞いてないが、ヒロインの話だと九月から世界各国を回って、日本には一月頃に宣伝に来ることになる…だとさ。前に古泉が言っていたことが現実になってしまったな。『「ヒロインと一緒に世界各国を回ってくる」なんて言うのはやめてくださいよ?』だったか?」
「どうやら、そのようですね。テレポートで各国回るわけにはいきませんし、時差の関係上ジョンの世界で会えるかどうかもわかりません。その予定だと半年近くの間、あなたが不在にということになりそうですね。双子が寂しがって泣き出しかねません」
「各国のTV局を回っている間は不可能だが、飛行機に乗っている間はヒロインと二人で戻ってくることが可能だ。寝た振りをしている催眠をかけておけばCAも無理に起こそうとはしないだろう。着陸の直前に戻ればいいだけの話だ。日程が合えば、ヒロインに野球の試合をベンチから見せたってかまわんだろうし、予め回りたい場所を決めておいてもらって日本各地を案内しようと思ってる。お土産に買ってきて欲しいものがあればそれまでにまとめておいてくれ。無理のない範囲で買ってくる」
「何よそれ!夫婦の時間が全っ然ないじゃない!それに、オーケストラはどうするのよ!あんたが企画したんでしょうが!」
「俺は企画しただけで、あとは指揮者のハルヒとコンマスの有希に任せる。まずはオーディションでメンバーを集めて、青俺やジョンが大学の旧校舎を団員の宿舎に建築し直せばいい。各部屋に防音設備を整えれば夜でも練習ができるだろ。確かあの校舎、地下四階が体育館になっていたはずだ。本社のPV撮影室を楽団の練習フロアにするつもりだが、そこでも何人か集まって練習できるようにしておいてくれ。広報については古泉が一人でやってのけるだろ。それと、日本時間で今頃飛行機に乗ることになるようなら、ヒロインは本社のスイートルームで仮眠をとり、俺たちはジョンの世界に行くまでだ」
「そんな都合のいい時間、本当にあるんでしょうね!?」
「ハルヒさん、定期的にというわけにはいかないでしょうが、各国を回っていれば間違いなく機会がめぐってくるでしょう。そこまで心配する必要もありませんよ」
「そう言えば、ヒロインにSPはついてくるの?通訳はその国に来たときについてくると思うけど、黄キョン君が居ればSPなんて必要ない」
「それもそうね。彼女にわたし達と同じ移動式の閉鎖空間をつければ拳銃もナイフも効かないんじゃないかしら?」
「でも、黄キョン君たちに集まってくる報道陣やファンはどうするんですか?」
「朝倉の提案と同じですよ。黄俺を中心とした報道陣やファンは入れない条件をつけた移動式閉鎖空間を張るだけです。ついでに逆遮音膜を張っておけば、何を言っても二人には聞こえない」
「くっくっ、キョンが説明して納得させる必要がありそうだけれど、そこまで対処がなされていればSPなんて必要なくなるだろうね。ホテルの個室で寝ているときもキミの閉鎖空間で呼び鈴すら鳴らせない。違うかい?」
「俺の理想はそれかな。青佐々木が言うようにSPに絶対に安全だと説明したとしても断られる可能性はあるが、たとえついてきてもヒロインから行動を制限されることになるだろう。『着陸するわけでもないのに機内で起こさないで』とかな。食事についても、『キョンが横にいて機内食を食べるなんてありえない』って言いだしそうだ」
「じゃあ、八月中にはキョン君の映画が見られるってことですね!わたしも楽しみです!」
「でも、彼一人の権限だけでこれだけの人数を試写会に呼ぶなんてできるのかしら?」
「問題ない。ステルスモードで張った閉鎖空間の中に劇場と同じ椅子を人数分情報結合する。他の客がわたし達を認知することは不可能」
「面白いじゃない!一番いい席で見られるってことね!黄あたしやジョンの名前が載ってるかどうかエンドロールで確認しなくちゃ!」
「弁当もろくに食べずに練習に行った奴が、たった半日で随分と明るくなったもんだ。何かヒントでも掴んだのか?」
「まぁね。でも、まだ内緒。練習し始めたばっかりだし、全国大会で通用するかどうかあたしにもわからないしね。完成するまではあたしはベンチで見てることにするわ!」
青ハルヒにしてはどこか自信なさ気な気もするが、その発言に困った顔をした奴が一人。当然、青古泉だ。だが、今回は青ハルヒの勇士が見られないからではなく監督としてすでに采配をしているからだろう。今週は練習できる日が一日たりとも無いからな。もう確定していてもおかしくない。
「困りましたね……。涼宮さんにはセンターのポジションについてもらいたかったんですが…」
「はぁ!?ちょっと待ちなさいよ!ピッチャーやセカンドならまだいいけど、あたしがセンターってどういうことか説明しなさいよ!?」
「何だおまえ、折角古泉が機会を作ってくれたのにやり返さないのか?」
「やり返すって、どういうことよ!?」
「この前の試合で、ホームランになるところだった球をセンターポジションにいた奴のファインプレーでアウトにさせられただろうが。ハルヒがピッチャーでなくなるのなら、てっきりセンターポジションを要求するものだとばかり思っていたぞ。おまえの性格上、やられたらやり返さないと気がすまんだろう?」
「彼の言う通りです。涼宮さんなら、あのときの屈辱をそのままにしておくわけがありませんからね。加えて、チームのキャプテンをずっとベンチに居させるわけにはいきません。先発は彼に出てもらいますが、涼宮さんには途中交代で抑えに入っていただきます。もちろん、あなたが今練習している球でね」
「ここまで団長のことを熟知している団員が二人もいるなんて羨ましい関係っさ!どんな練習をしているの分からないにょろが、皆の期待に応えてみたらどうっさ?」
「青チームの団長は涼宮さんで間違いないわよ」
「そう。朝倉さんやキョンの意見にわたしも賛成。出て」
「青ハルヒが練習に行った後、明日以降の予定を皆に話していたんだが、『青ハルヒだけは野球の練習をしてもいいものとする』と伝えても誰も反論してくることはなかった。ジョンの世界ではバレーに集中してもらうが、皆おまえのことを思ってくれている。復興支援のことは俺たちに任せて好きなだけ練習してこい」
最初は青古泉の次のポジション決めに苛立っていたが、周りからここまで言われては青ハルヒも赤面せざるをえないようだ。これで堂々と練習に集中していられるだろ。

 

「………四郎君」
『ブッ!』
赤面した青ハルヒに全員の視線が集まっていたかと思いきや、突拍子もなく俺の偽名が朝比奈さんの口から飛び出た。披露試写会の話を聞いて満足していたようで、二次会から酒を飲み始めたのにもう酔ってらっしゃる。これまでの話の流れを一切無視した発言でおよそ半数のメンバーが口を押さえた。
「み、みくる、それだけは勘弁してくれっさ。……プッ、くくくく……あははははは」
「朝比奈さん、それはパーティが終わってからにと先ほど…」
「こいるみ君、パーティなら終わったじゃないれすかぁ。四郎君がヒロインさんを送り届けれくれましら。ムフフ………四郎君……四郎君…四郎君………四郎君……」
「あははははは…ダメっさ!堪えきれないにょろ!誰かみくるを止めてくれっさ!……あっははははははははは…」
Wハルヒも緊張の糸がとけたというか、イライラがおさまったというか…どっちにしろ、W鶴屋さんと同じく報復絶倒で笑っていることは間違いない。W古泉、W佐々木も似たようなもんだ。朝比奈さんの追撃が8人を襲う。
「…四郎君……四郎君………四郎君………四郎君……」
『あっははははははははははは………』
W俺、W有希、W朝倉、青朝比奈さんは至って冷静そのもの。これが止まない以上、野球大会で勝ち進むことができないからな。しかし、ジョンが笑わないのも意外だな。
『自分が偽名を名乗るならどんな名前になるか、おおよその見当がついていたからな。キョンも俺と同じだと思っていたが、違ったか?』
どうやら、500年もかけ離れていながら俺とジョンの本名が同じだったことが要因らしい。藤原のバカと似たようなものか。そう言えば、アイツの本名もサイコメトリーで流れてきたんだった。これも削除リストに加えておこう。あとで削除して欲しい記憶を伝えるから、以前と同様に削除してくれるか?
『わかった』

 

「あーくるじぃ……。みんなの書き初めを見たときの鶴ちゃんの気分がよく分かったわよ」
「大いに賛成したいですね。ですが、ようやく克服できそうですよ」
「僕もここまで笑ったのは久しぶりだよ。キョンの偽名ってだけで、どうしてこうも可笑しく聞こえるものなんだろうね」
「おまえら……折角黄有希が作ってくれた黄俺の偽名と戸籍なんだ。これ以上は黄有希でも怒るぞ」
「そう。わたしが彼のために考えた名前を侮辱する行為。次は藤原と名乗る男に彼がやったものと同じような催眠にかける」
「あのバカと同じ催眠ってことは……そうだな。まずは、朝比奈さんの声で今と同じように24時間俺の偽名を連呼されるってところか。現実世界では一瞬で終わるから大したことはない」
「たとえ現実世界では一瞬だとしても、体感時間でそれだけ聞いたら誰だって飽きるんじゃないかい?」
「ムフフ…らっらら、みんらが飽きるまれ四郎君のらまえを呼び続けましゅ。四郎君……四郎君…四郎君……」
「やれやれ…酔いが回ってもここまでしてくれる黄朝比奈さんに申し訳なくなってきたぞ。おまえらいい加減慣れろ!」
「ごめんごめん。キミもそんなに怒らないでくれたまえ。そうだね、確かに僕たちが悪かった。もうしばらくかかりそうだけど、次の試合までには名前が出ても笑わないようにする。それで勘弁してくれないかい?」
「佐々木さんのセリフを復唱することになりますが、僕にももうしばらく時間をください。これまでの無礼をお許しください」
「みくるには申し訳なかったにょろ。キョン君の偽名に慣れるまでは、欠場ってことにして欲しいっさ!」
『あたしも笑い疲れたから、もう笑うことはないわよ』
こいつら…面白そうなものを見つけたのはいいが、それに慣れて興味が失せたって顔をしてやがる。言葉通り、笑い疲れたと解釈して間違いなさそうだ。あとはW鶴屋さんだが、青古泉の采配に入っていないのか、もしくは入っていても青ハルヒと違ってそこまで困るようなことでは無いかのどちらかのようだ。「慣れるまで欠場」と言いだしたのはこちらの鶴屋さんだが、青鶴屋さんもそれに同意しているらしい。W鶴屋さんがでない分、W佐々木や青有希、青朝倉が経験を積むことが可能だ。何にせよ、これでようやく解決しそうだな。

 

「ところでキョン、酔いが回らないうちにキミにやってもらいたいことがあるんだけどね。付き合ってもらえないかい?」
時間は既に0時を過ぎているが、ヒロインが来ていたこともあり、朝比奈さんですらダウンしていない状態。W佐々木からすればパーティ後の時間がどんどん削られていく一方で焦りも出てきたのか?だが、「酔いがまわらないうちに」と言うからには、何かしら正確性を問われるものがあるんだろう。
「とりあえず、その『やってもらいたいこと』ってのを聞いてからだな。俺に一体何をさせる気だ?」
「半日前のハルヒさんじゃないけど、僕もちょっとキミのことを驚かせたくなったんだ。テレポートした先の光景を見ればすぐにでも分かるはずだ。僕はね、キョン。自分の言ったことに責任を持ちたいだけなんだよ。ハルヒさんには申し訳ないけど、今回はキョンと僕の二人でやらせて欲しい。周りで見られていると恥ずかしいというのもあるんだ。何をしたかは明日の朝になれば分かるよ」
「朝比奈さんや僕の場合は、この後もお酒を飲んでいれば自然と眠ってしまうでしょうが、佐々木さんにそのような発言をされると気になって仕方がないなんてメンバーもいるはずです。彼に一体何をさせる気なのか、ヒントだけでも教えていただけませんか?」
「ヒントかい?一言でも喋ってしまうとすぐにバレそうだから、あまり言いたくないんだけどね……そうだな『撮影のため』とだけ言っておくよ」
そこまで言いきると立ち上がって俺の近くまで来るとそのまま二人でテレポート。やろうと思えば、さっきまで佐々木が座っていた椅子を古泉あたりがサイコメトリーすればすぐにでも分かるだろう。本人の言葉通りテレポートを終えて目の前の光景を見ると、何をするのかははっきりと分かった。ヒントが『撮影のため』だということも、なるほど、そう考えれば事前に実験しておく必要があったってことか。有希や朝倉ならたとえ失敗してもすぐにでも元に戻せるだろうが、思っていた通り、二人っきりの時間も欲しかったらしい。テレポートしてきた先は佐々木のラボ。映画で使った本物とまるで変わらないセットと同様、美容院内の光景が俺の目の前に現れた。コイツ、自分で提案しておいて客の立場になるつもりらしい。まぁ、髪を切るということであれば、催眠をかけた状態で切るわけにはいかないし、失敗は許されない。いくらドラマのセカンドシーズンで青古泉がトップスタイリストの職業についているとはいえ、いきなり俺の母親の髪を切るわけにはいかない。自分自身を実験台にするってことらしい。
「キミに唆されてからは、私の行きつけの美容院にはほとんど行けなくて、有希さんに頼んだことも何度かあったけど、私も大分伸びてしまったからね。ドラマの件も兼ねて高校時代の頃の髪型にカットして欲しい。キミならサイコメトリーしなくても、ちょっと思い出すだけで分かるはずだ。出来ればシャンプーとマッサージもお願いしたいんだけど、いいかい?」
何が唆されただよ、まったく。一度は断るクセに、終わる頃には「やってみると意外と面白いもんだね」とか言いながら掌を返しやがる。だが、パーティがどういう形になれどもここには必ず来る予定だったようだな。でなければ、あらかじめ美容院のセットを情報結合したりすることはない。「異世界に行けばいいだろう」とも思ったが、それでは青佐々木も似たような時期に通うことになるか…しかしまぁ、ちょっと不思議ってくらいで十分済まされる。

 

 道具と佐々木本人をサイコメトリーしてカットし始めた。コイツの言う通り、髪型が変われば見ただけですぐに分かる。他にも切って欲しいなんて言い出す奴も出るかもしれん。セカンドシーズンの撮影が始まるまで待ってもらうことになりそうだけどな。俺の母親に加えて、他に何人かカットしたり髪を染めたりシャンプー後のブロー&マッサージをしていたりするエキストラも必要になってくるだろう。髪型はそのままで顔は別人なんて催眠が可能なら、死体役を演じて、既に殺されているはずのOGでも出演することができる。
『それなら十分可能だ。キョンの考えている通り、ENOZも全員出演できる。どうせなら美容院のスタッフ役にでもしたらどうだ?』
それは本人たちに聞いてみて…だな。だが、朗報だ。これで催眠だけであとは募集をかけなくても済みそうだ。こんどは現実世界で有希に偽名を…って、芸名ってことで名前を変えられるか。普段は本名でTVに映っているからな。そういえば、パーティは結局どうなってるか分かるか?
『二次会の時点で、料理もほとんどなかったから、二人が抜けてからしばらくもしないうちに解散している。片付けは青チームの佐々木さんが担当している。朝比奈みくるも酔っ払ってはいるが、自室に戻っている』
子どもたちは朝比奈さんに強引に眠らされたからジョンの世界には行っていないが、このあと続々と集まりそうだ。眠気を取って佐々木と話しているといってもハルヒには効かんだろうな。
『二人だけで喋っているなんて水臭いじゃないか。私も入れて欲しいところだけど、ジョンと喋っていてカットを失敗したなんてことはやめてよ?』
「っと、すまん。実際撮影することになったらエキストラをどうしようかと考えていただけだ。しかし、佐々木の場合は俺と話していれば雑誌は必要ないだろうが、俺の母親のときはどうするつもりだ?」
「簡単だよ。料理の雑誌をセレクトして入れておけばいい。私たちの会社の雑誌も男女とも目立つように棚に並べるつもりでいる。表紙が彼にならない様に、朝倉さんに伝えておく必要がありそうだね。私も今気付いたよ」
「となると、美容院のシーンは全て最後に撮影することになりそうだな。朝倉に伝えておくのは俺も賛成だ。ドラマに小道具として使うことになるといえば社員の士気もあがるだろ。半分は振袖だし、もう半分のページを見せる必要がありそうだ。おまえも研究の前に自分が設定した脚本のためにしばらくの間はデザインの方を優先したらどうだ?」
「そうだね、その辺は青私と相談することになるかな。まったく、キミもおかしいとは思わないかい?SOS団を抜けようとしてまで私の存在意義を満たそうとしていたのに、違う研究をしたくなったり、研究よりも野球やバレーの練習に夢中になったりしてる。キミがどう思っているのか聞かせて欲しい」
「どう思うも何も、今はそういう時期だってだけで、終わったら研究に没頭すればいい。未来の有希から聞いた話だが、他の時間平面上のおまえは既に大学教授になっていて、ここと同じ場所にこれと同じ建物を建築家に依頼して建てたそうだ。それが朝比奈さんたちの時間平面上では各時間平面上の未来を安定させるための組織の総本部になっているなんて有希が言うもんだから俺も吃驚したぞ。今のところ、他の時間平面上のおまえのほうがリードしているらしいが、俺と青佐々木がいればすぐに追いついてさらに発展させてしまうことが可能だそうだ。よし、カット終わったぞ。ったく、あらかじめ聞かされていたとはいえ、この髪型を見るのも懐かしいもんだ。ファンクラブイベントじゃないが、制服を着せてみたくなったぞ」
バックミラーを取り出して後頭部の様子をみせた。研究のことも含めて、満足気な顔をしている。勝手にドレスチェンジしたらコイツでも怒るか?
『俺も気になる。翌朝にでも提案してみたらどうだ?』
急進派の親玉と同じ扱いにはされたくはないが、そうさせてもらうことにしよう。青俺も見てみたいと思うだろ。
「それではお流しさせていただきますので、こちらへどうぞ」

 

「力加減はよろしいでしょうか?」
「流石だよ。いくらサイコメトリー能力が備わっていたとしても、大して変わらないだろうと考えていたけど、ここまで気持ちのいい時間を堪能できるものだとは私も思わなかった。こんな至福の一時を味わえるのなら、顧客も間違いなくキミを指名するだろう。私個人としてもキミを指名したいんだけど、どうだい?」
「数か月に一度程度のペースなら何の問題もない。ところで、ジョンもさっきから気にしてるんだが、明日の朝は高校の制服を着て降りてきてくれないか?青俺もおまえの髪型を見たら同じことを言うはずだ」
「くっくっ、そんなに私の制服姿が見たいのならキミが着替えさせてくれればいい。青私から聞いたよ。冗談半分のつもりだったのにキミが本当に脱がせてきたってね」
「なら、髪を乾かしたあとは部屋にテレポートするでいいな?戻ったら全身マッサージしてやるよ」
「私もそれがいい。そのあとはこれまでのようにさせて欲しい。キミのぬくもりを感じさせて」
「お安い御用だ」
結局、昨日の朝から丸一日起きていたことになるのか。やれやれ、丁度月曜日だし、少しは休ませてもらいたいもんだが、先週は野球の練習に時間を割いた分一人でも人手が多い方がいい。今週を乗り切ればあとは現地に引っ越した人たちに任せるだけだ。わざわざ惣菜をハルヒ味にする必要はない。朝食の支度をしながらそんなことを考えていると俺の横から赤面した顔を隠せないまま手伝いをしていた奴が口火を切った。
「昨夜は『自分の言葉に責任を持ちたいだけ』なんて全員の前で話してたけど、こんなに恥ずかしい思いをさせられるなんて思わなかったよ。下着から制服まですべてキミに着せられるなんてね。青私と情報を共有できそうにないじゃないか」
「着替えさせられると分かっていて『着替えさせて』と言ってきたのはおまえだろうが。だが、制服に着替えさせて正解だったようだ。青俺が降りてきたら何て言うだろうな。俺は二人で塾に通っていた頃が懐かしくなってしまったよ。土手を二人で歩きながら色々話していたあの時間が、あの頃の俺のリラクゼーションタイムだったからな」
佐々木を制服に着替えさせて身支度を整えている間に青ハルヒが降りてきたのだが、「閃いたものを忘れないうちにさっさと練習してこい」と告げるとSOSスーパーアリーナにテレポートしていった。これなら、しばらく青ハルヒに朝練をさせておくことが可能だ。それまではW佐々木に交代で手伝って欲しいと伝えることにしよう。
「キミにそう言ってもらえると私も嬉しいよ。私のリラクゼーションタイムでもあったからね。短時間ではあるけれど、キミと二人でこうして話をする時間が持てて本当に心地いい。時間跳躍の研究より時を止める研究をしたくなってしまったよ。ジョンの超能力でこのフロア以外の時間を止めることは出来ないのかい?」
「有希ですら、あの部屋の寝室だけしか時間凍結しかできなかったんだ。その逆はジョンや有希でも難しいだろう」
『そうでもない』
ボンッ!と目の前で煙があがるとジョンが現れた。ってことは、全員起きたってことで間違いなさそうだな。テレパシーでは周りに気付くことができないとふんで、どうやら出てきてくれたらしい。
「ジョンが『そうでもない』というからには何か方法があるということかい?私の望みが叶うのなら是非教えて欲しい」
『時間凍結は無理だが、催眠で代用することが可能だ』
『催眠で!?』
『昨日だって「朝比奈みくるがキョンの偽名を24時間連呼する」という催眠をかけようとしていただろ?キョンには「佐々木さんと24時間話し続ける」、佐々木さんには「24時間キョンと話し続ける」と別々に催眠をかける。現実世界では一瞬の出来事だからな。そのあと、話した内容をお互い同期すればいい。もはや宇宙人二人が持っている能力とほとんど変わらないからな。同期と言っても過言ではないはずだ』
言われてみれば、アホの谷口や藤原のバカに催眠をかけていたのをすっかり忘れていた。それでジョンが外に出てきたのかもしれん。やろうと思えば今すぐにでも可能だからな。だが、24時間話し続ける程話のネタがあるかどうかだな。隣を見てみると、どうやら俺と同じ考えのようだ。ネタに困っているらしい。
「なるほど、どうやら私は時間を止めるという固定観念に飲まれていたようだ。研究も試みずに解決してしまうとは思わなかったよ。でも、24時間となると話す内容に困りそうだね。キミも同じようだけど」
「時間なら条件を変えるだけでいい。2、3時間でやってみて物足りないと感じたら増やせばいいだけの話だ。しかし、催眠だと分かっている以上、本人と話している気分になれそうにないな。急進派が作った木偶人形と同じだよ。変態オタク野郎共が佐々木の口調で喋っていたのを思い出しただけで気色悪くて仕方がない」
ジョンの話を聞いて一度は明るくなった奴が残念そうにしていた。これについても考えは同じらしい。
「そうだね、キミの言う通りだ。私も催眠ではキョン本人と話している気分に浸れそうにないよ」
青古泉なら催眠でも満足しそうだけどな。本人には話さないでおこう。女湯を透視しようとしたときと変わらん。

 

 エレベーターが動き始め、身支度を整えたメンバーが続々と降りてくる。だが、普段とは違う光景に頭を悩ませているらしい。降りてくる奴一人一人に事情を話していると色々と面倒だ。「わけは全員揃ってから説明する」と伝えたものの、制服姿の佐々木に対する違和感を拭えないようだ。家族三人で降りてきた青俺がキッチンにいる俺たちを確認すると考えていたことがそのまま口から出てきた。
「黄ささ…き?黄俺、これは一体どういうことだ!?黄佐々木はテレポートすることはできても時間跳躍はできないはずだ。それとも、過去に行って高校生時代の佐々木を連れてきたのか?」
「くっくっ、今の僕は高校生の頃とそんなに変わらないのかい?朝比奈さんのように僕も大人びてきていると思っていたんだけどね。まさかキミにまで過去の僕を連れてきたと言われるとは思わなかったよ」
「なるほど、ようやく事情が分かりましたよ。昨日のヒントはそういうことでしたか。それなら、涼宮さんがどこにいるのかおおよその見当がつきます」
「古泉も事情が分かったのなら説明しろ!一体これはどういうことだ!?」
まぁ、メンバーも揃いつつあるし、青俺がどんな反応するかも確認できた。そろそろ話してもいいだろう。
「青俺、佐々木に制服を着て欲しいと強請ったのは俺の方だ。青俺がどんな反応をするのか見たいっていうのもあったんだけどな。昨日の佐々木の発言通り、テレポートした先で一体何をさせられるのか光景を目にしただけで分かったよ。佐々木のラボに美容院のセットが情報結合されていたんだからな」
『美容院のセット!?』
「例のセカンドシーズンのドラマの件だよ。ファーストシーズンの経験を経て、青古泉がサイコメトリー能力を駆使してトップスタイリストの職につく。そのための実験台として佐々木自ら名乗り出たんだよ。俺にカット&シャンプーをして欲しいってな。髪型が高校生の頃のものになったのは本人の希望だ。実験は見事に成功。佐々木も『至福の一時だった』と告げた。俺も髪を切り終えた佐々木を見て制服を着せてみたくなったんだよ」
「くっくっ、そういうことだったとはね。ようやく僕にも納得することができた。しかし、キョン。黄僕に『至福の一時』とまで言わせたカット&シャンプーを僕も体験してみたいんだが、どうだい?」
「キョン先輩、わたしも切って欲しいです!」
「どうやら僕たちの予想通りのようだね。事情を話せば、そうやってキョンに『髪を切ってくれ』と言いだすと思っていた。けどね、すまないがもうしばらくは我慢して欲しい。セカンドシーズンの撮影に入ったらエキストラとして髪を切ってもらう客が何人も必要なんだ。そのときにキョンに切ってもらえばいい。ジョンが言うには、髪型はそのままで、あとは別人に見えるようにすることも可能らしい。それなら、ファーストシーズンで殺されたはずのOGやENOZもセカンドシーズン以降の撮影に加わることができる。セカンドシーズンは一月から放送開始だから、美容院に置く雑誌についてはこの会社の雑誌の一月号を男女両方と、他社のファッション誌、あとは料理本をキョンのご母堂に読んでもらおうと思ってる。彼を表紙にすることは出来なくなってしまうけれど、一月号が完成すればすぐにでも撮影を始めたい。エキストラにもこの会社の冊子を読んでてもらおうと思うんだけどね、どうだい?」
「心配いりませんよ。たとえ女性でも1、2ヶ月周期で美容院に通っている人間であれば、今カットしても撮影する頃には十分間に合います。それまでに青僕の職業だけでなく第一話の内容をより深めていくのもいいでしょう」
「一月号なら振袖の特集があるから十一月中には出来上がるわ。それから撮影を始めても遅くはないんじゃないかしら?」
「問題ない。長さが足りないときは任せて」
「どうやら、佐々木が考えていたほど切羽詰まっているわけでもなさそうだ。髪を切るのもいいが、まずは福島の復興支援が先だ。そろそろ青ハルヒも呼び戻さないとな」
「伊織パパ、織姫は?」
「そう言えば、ハルヒさんたちだけ来てません」
「僕もそろそろ着替えさせてもらうよ。もう、制服でなくてもいいだろう?…くっくっ」
次の瞬間、佐々木が自分でドレスチェンジ。青俺も、青佐々木もおそらく俺も眼を丸くしているに違いない。朝比奈さんが頭をコツン!と叩いてドレスチェンジしたのを見て、自分なりのドレスチェンジ法を考えていたようだ。コイツらしいと言えばコイツらしいんだが…まさか、笑ってドレスチェンジする奴がいるとは誰も思うまい。ようやくエレベーターが到着した音が鳴り、ハルヒと双子が出てきた。
『キョンパパ!』
俺を見つけてすぐに双子が飛び込んでくる。そういえば、朝比奈さんに眠らされた後に俺が帰ってきたから会ってないんだった。ついでに強引に眠らされてジョンの世界にも行けず仕舞い。大音量のテレパシーが来なかっただけ良しとしよう。青古泉が青ハルヒにテレパシーしたらしい。ユニフォーム姿にドレスチェンジした青ハルヒが帰ってきた。青古泉以外のメンバーも、格好を見れば青ハルヒがどこで何をしていたのか一目瞭然。
「ちょっと、キョン!あんた、妻と子供をほったらかしにして佐々木さんと二人でどこへ何しに行ってたのか説明しなさい!事と次第によっては許さないわよ!?」
やれやれ、もう一回最初から説明しなきゃならんのか?俺は……

 
 

…To be continued