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ユゴーの伝記
- アンドレ・モロワ André Maurois,辻 昶・横山 正二 訳『ヴィクトール・ユゴー―詩と愛と革命』,上下巻,新潮社,1961年
やや古いが,現在も最もよく参照されるユゴーの伝記。膨大な資料を読み込んだ上でそれを一つの物語としてまとめてあり,読み物としても資料としても一級品。翻訳は現在非常に入手困難なので,図書館等で読んでください。復刊を心から待ち望む一冊。
- 辻 昶・丸岡 高弘『ヴィクトル・ユゴー』「センチュリーブックス 人と思想 68」,清水書院,2000年
現在手に入りやすいユゴーについての伝記では唯一のもの。専門家二人が書いていらっしゃるだけあって,短い中にもユゴーの生涯から作品にいたるまでしっかりとまとめてある。
- 辻 昶『ヴィクトル・ユゴーの生涯』潮出版社,1979年
故辻昶先生による伝記。やや古いが,ユゴーについて研究を始めるにはちょうどよい一冊。巻末の「主要研究書解題」は70年代までの必読文献の要点を簡単に説明してあって,役に立つことこの上ない。既に絶版にはなっていますが,古本屋さんでごく安く売られているのをたまに見かけます。
作品研究
- 稲垣 直樹『レ・ミゼラブルを読みなおす』白水社,1998年(新装版 2007年)
レ・ミゼラブルの名場面を原典と訳を並べて引用し,それぞれに丁寧な解説を付した良書。挿絵もたくさん。注意すべきは,あくまで「読みなおす」ための本なので,一度は全文を翻訳でも良いので読んでおかないと,ストーリーの全体像はちっとも解らない点。 - 稲垣 直樹『ヴィクトル・ユゴーと降霊術』水声社,1993年
19世紀ヨーロッパで大流行し,ユゴーも亡命中に没頭した降霊術についての研究。実際の「降霊」の手順やその記録についての説明や,それがいかにして「科学」と結合して流行したのか,そしてそれが作品創作にいかなる影響を及ぼしたのかまでを論じている。霊や超能力を「非科学」「オカルト」と切り捨てるのは容易だし,また正当でもあるのだけれど,それがいかにして「真理」と見なされるに至るのか,あるいは人間の想像力を刺激することができるのかを知ることは,現在の私たちにとっても充分に有用なテーマであり得る。
一般的な研究
- 稲垣 直樹『フランス〈心霊科学〉考―宗教と科学のフロンティア』人文書院,2007年
- 工藤庸子『ヨーロッパ文明批判序説―植民地・共和国・オリエンタリズム』東京大学出版会,2003年
- フィリップ・ヴァン・チーゲム,辻 昶 訳『フランス・ロマン主義』「文庫クセジュ」白水社,新版 1990年(第1版 1954年)