メーデー語録一覧/50音順

Last-modified: 2024-04-27 (土) 20:09:31
目次

穴/ANA

アメリカン航空96便貨物ドア破損事故において、機体の損傷を報告した機長と客室乗務員のやり取り
フライトアテンダント「機長!機体の後方に大きなANAが!!」
マコーミック機長「ANA!?」

このコメントがされると、「ANA(全日本空輸)への熱い風評被害」という突っ込みがされるのが恒例パターンとなっている。

アラン・ブイヤール

フランス語表記はAlain Bouillard。建物がしょぼいBEA(フランス航空事故調査局)の元調査官。

エールフランス447便墜落事故(→ボナン)やコンコルド墜落事故などを担当しており、
「メーデー!」にてBEAが調査を担う回では登場回数が最も多い人物となっている。

メーデー民からはもっぱら「アランVR」と呼ばれるほか、
取材中は瞬きを行わないことに定評があり、登場した際はそれに関するコメントがされるのが恒例。

アルフレッド・C・ヘインズ

1931年8月31日にテキサス州で生誕した元民間航空機パイロット。ユナイテッド航空232便不時着事故の際の機長として知られる。

1989年7月19日、デンバーからシカゴに向けて飛行中のユナイテッド航空232便のDC-10の第2エンジンが突如爆発。
油圧系統を全喪失し、操縦翼面を操作できなくなった。

乗客の中に偶然にもDC-10の訓練教官が乗っていることを知った機長は、「天の助け」だと考え、彼の手を借りることを決めた。
4人のパイロット達は互いに協力し合い、空港に着陸するため奮闘し続けた。

結果としては、着陸寸前に機体は横転して大破してしまい、112人もの尊い命が失われる大惨事となってしまった。
だが、機長たちの懸命な努力が、全員絶望でもおかしくない状況から全搭乗者の60%以上にあたる184人もの人々を救うことに繋がった。
調査を行ったNTSBもパイロット達の行動や判断は「高く賞賛に値し、合理的に期待できる範囲を遥かに超える」と評価している。
事故後、機長は「英雄」と呼ばれたが、彼自身は自分が「英雄」であることを拒んだという。

その後、機長は1991年までパイロットの仕事を続けた。

プライベートでは、1997年に長男をオートバイの事故で失い、1999年には妻を感染症で亡くすという不幸に見舞われた。

2019年8月25日、88歳の誕生日を迎える前に死去。
訃報を受けて、彼のかつて所属していたユナイテッド航空は「UA232便での並外れた努力」に対し彼に感謝する声明を発表している。

彼は、野球のリトルリーグのボランティア審査員を33年以上、高校サッカーのスタジアムアナウンサーを25年以上勤めた経歴も持っていた。
英語版Wikipediaに個別記事も存在する。

アンチアイス、オフ

エア・フロリダ90便事故において、パイロットの問題操作の中でも調査員を驚愕させたもの。

1982年1月にワシントンナショナル空港からの離陸直後に起こったこの事故は、
記録的寒波の中で発生した、気象が一因のものである。
しかし事故原因を探ると、それ以上に機長と副操縦士の状況判断、
操作の誤りが積み重なった人災の側面が強いことが判明した。

特に機長がエンジン防氷装置(アンチアイス)をこの異常低温の中でも「オフ」にし、
それに対して副操縦士が何ら異を唱えた様子がなかったことが問題視された。
この結果、エンジン圧力比(EPR)を測定するための圧縮機入り口センサー開口部が塞がり、
離陸時に正しい表示がされず、クルーが判断を誤り出力不足のまま離陸して墜落するに至ったのである。

この事故は「衝撃の瞬間」と「メーデー!」の双方で取り上げられたが、
いずれにおいても機長の経歴に厳しく批判が入れられており、
とくに後者では事故機の生存者から「恥知らず」と罵られている。

悪天候、特に降雪時の離陸シーンではこの「アンチアイス、オフ」に関連付けたコメントがされる傾向がある。

アンドレアス・プロドロモウ

綴りはAndreas Prodromou。ヘリオス航空522便墜落事故で事故機に搭乗していた客室乗務員。

この事故では、フライト前の与圧漏れチェック時に整備士が与圧システムの設定を「手動」のままにしていたのをパイロットが
離陸前の機材チェックで見落としたことにより、離陸後に与圧システムが正常に作動せず、パイロット・乗客共に低酸素症で意識を失い、
機体は燃料が尽きるまで自動操縦で飛び続けるだけの幽霊飛行機になってしまった。

しかしその状況の中、一人だけ意識を保っていたのが、キプロス共和国の特殊部隊に居た事もある客室乗務員のプロドロモウだった。
彼は客室に酸素マスクが下りたのに機体が降下しない事からコックピットの異変を察知、
予備の酸素マスクと非常用の酸素ボトルを使ってコックピットまで移動し、操縦室ドアの暗証番号を知らされてなかったため総当たりで解除。
パイロットの蘇生を試みたが既に手遅れであった。

その後、彼はメーデーを発信しようとしたが、
無線の周波数は出発地点のラルナカ空港に合わせてあったため、その声は何処にも届くことはなかった。
パイロット志望だった彼は、事業用操縦士資格も持っていたが、B737の操縦技術は持ち合わせておらず、低酸素症で意識を失いかける中、
追尾してきたギリシャ空軍のF-16に気付いて手を振る事しかできず、やがて機体は燃料が尽き、アテネ郊外に墜落。
プロドロモウを含めた乗員乗客121名全員が死亡した(この事故は2022年現在、ギリシャ史上最悪の事故である)。
同機には、彼の恋人も同じく客室乗務員として乗務していた。

飛行中の機内で自分以外の乗員乗客(恋人含む)は全員意識不明、刻々と酸素が失われていくというあまりにも絶望的な状況で、
必死に機体を救おうと努力したにもかかわらず報われることのなかった彼の孤独な奮闘は多くのメーデー民の心に刺さり、この事故を扱った回はメーデー屈指の鬱回として知られている。
そのため、他の回でも与圧システムの不具合や低酸素症の話題が登場すると、ヘリオス航空の事故を連想して悲しみがぶり返すメーデー民が良く見られる。

アンドレアス・ルビッツ

格安航空会社ジャーマンウイングスに所属していた副操縦士で、
2015年3月24日にジャーマンウイングス9525便を意図的に墜落させた事件の犯人。

彼はうつ病と視力低下に悩まされ、医者からは病気休暇を取ることを勧められていたが、
ルビッツはパイロットとしての将来が閉ざされることを悲観してか、乗員乗客を道連れにしての自殺という最悪の選択肢を選んだ。

彼はトイレに向かった機長をコックピットから締め出し、
機体を高速で降下させた。管制官や機長の再三の呼びかけも無視し続け、
機体はそのままアルプスの山中に突っ込み、彼自身を含む搭乗者150名全員が死亡。

ヘリオス航空522便墜落事故の悲しき英雄、アンドレアス・プロドロモウと同じ名前でありながら、
やったことが正反対というのは何とも皮肉である。

NTSB

アメリカの国家運輸安全委員会のこと。
アメリカの輸送(運輸)に関する事故原因を調査し、再発防止策を研究する独立組織。

日本においては、主に航空事故の調査を行う組織としても知られているが、
実際にはその他にも、鉄道や船舶、更には高速道路やパイプラインの事故の調査も行っており、活動範囲は幅広い。
これら輸送機関の職員に対する裁判組織も下部に置いている。

アメリカ国内で発生した事故のみならず、アメリカ製の輸送機で国外において事故が発生した場合にも、
事故発生国の調査組織に協力するという形で捜査に加わることがある。

元々は運輸省の下部組織であったが、1975年に独立安全委員会法に基づき完全に独立した組織となった。
この前年にアメリカ連邦航空局(FAA)とマクドネル・ダグラス社の癒着が原因で、
過去にDC-10で発生した事故の教訓を生かせずパリで墜落事故が起きてしまうという事態が発生しており、その反省としての意味合いが存在している。

FAA

アメリカ連邦航空局(Federal Aviation Administration, FAA)は
アメリカ運輸省の下部組織であり、アメリカ国内における航空機全般の安全維持を担当している。

グランドキャニオン空中衝突事故を教訓として発足したこの組織は、
ある型の航空機の設計が安全性などの基準を満たしていることを証明する「型式証明」や、
車検の航空機版ともいえる「耐空証明」を発行するほか、
問題が新たに見つかった場合は、改善命令や勧告を出すこともある。

職務の性格上「安全性」と「利便性」「効率性」の板挟みになりやすく、
利便性や効率性を求める様々な航空機メーカーや航空会社からの圧力やロビー活動を受けることもある。
そのため、改善命令や勧告といった安全性確保の為に必要な対応が
後手後手に回ったり甘かったりすることが多々あり、メーデー民からは「無能」という烙印を押されがちである
(DC-10の貨物ドア不具合放置やバリュージェット航空、ボーイング737MAXに対する措置の遅れなど)。

しかし、我々が日常で享受している「航空機は安全な乗り物である」という
「当たり前」の裏には、彼らを含む大勢の人々の多大な努力の積み重ねがあることを忘れてはいけない。

解説兄貴

動画内の航空機などを詳細に解説するコメント、およびそれを行うベテランメーデー民のこと。
その多くはこのように緑色で画面下部にコメントされる。
解説の対象は動画内で取り上げられた機種や機体、航空会社、別の航空事故などであるが、
調査官や豪華客船、テロリスト、メーデー民用語に至るまで、あらゆる解説をすることもある。

カエル漁/カエル猟/カエル漁のおっさん

イースタン航空401便墜落事故において、生存者を救出した地元住民の男性。
マイアミの沼地でカエル漁をしていた所に飛行機が落ちてきたため、生存者を勇敢かつ迅速に救助した。

なお墜落地点のエバーグレーズ湿地にはのちにバリュージェット592便も墜落しており、その事故と混同されることもあるが、別件である。

格安航空会社/LCC

事故フラグの一つ。

格安航空会社(Low-Cost Carrier, LCC)は従来航空会社と比較してサービスなどの費用を削る代わりに、
安い航空運賃を提供するのが特徴であるが、その中には機材メンテナンスや従業員教育など
安全運行に関わる要素をおざなりにしていたり、クルーに過度な勤務を強いている会社も存在する。

そのような体質が一因となってバリュージェット航空592便、アダム航空574便のように
墜落事故を起こした事例も存在するため、「メーデー!」視聴者には「格安≒事故フラグ」という印象が定着することとなった。

その中にはマンクス2 7100便墜落事故のように、日本のツアーバス(2013年8月に都市間高速バスとしては廃止)を思い起こさせる、
当時の航空に関する国の体制そのものに批判を入れざるを得ないような事故事例も存在する。

なおサウスウェスト航空のように、LCCであっても乗客の死亡事故を40年以上発生させておらず
(オーバーランにより地上の死亡者を発生させた事例はある、また2018年には乗客1人が死亡する事故が起きている)、
2012年にスイスから「世界で最も安全な航空会社10社」に選定された会社もあるため、すべてのLCCが危険だとは一概には言えない。

カルロス・ダルダーノ

タカ航空110便緊急着陸事故の際の機長。メーデー公認有能パイロットの一人でもある。

もともとパイロット一家の3代目であり、過去に出身国でパイロットをしていた。
内戦のさなかの飛行中に十字砲火を受けたが、乗客をしっかり守りきり、
その際の怪我で片目の視力を失ったにもかかわらず障害を乗り越えて旅客機パイロットの資格を取り、
わずか29歳で国際線の機長を務めるという「事実は小説よりも奇なり」を地で行くような人物。

タカ航空110便の事故の際も、ハンデで片側が見えにくいにもかかわらず
副操縦士の的確なサポートもあって両エンジン停止状態から見事にミシュー組立工場への不時着を成功させ、一躍英雄と持て囃された。
前述の経歴とその活躍ぶりからかメーデー民の間でも「片目のヒーロー」「隻眼の英雄」と称えられている。

その後旅客機からは降りたものの、小型複葉機でアクロバット飛行を行うなど老いてなお筋金入りのパイロットであり続けた。
ちなみに彼の息子と娘もパイロットになっている。

2023年9月1日、49年間のキャリアを終えて引退した。

彼のInstagramアカウント

キャプテンやめて下さい!/逆噴射

1982年2月9日、羽田空港に着陸しようとしていた日本航空350便の機長が、
突如として機首を下げ、更に空中で逆噴射装置(逆推力装置)を作動させる
という前代未聞の操作をした結果、同機は羽田沖に墜落してしまった。
これが、乗客166人中24人の死者を出すこととなった日本航空350便墜落事故である。

運輸省事故調査委員会の記者関係において、
異常な操作をする機長に副操縦士が「キャプテンやめて下さい!」と叫ぶ様子が
コックピットボイスレコーダーに録音されていたと明らかにされ、
「逆噴射」という当時はまだ耳慣れなかった単語と共に、
お茶の間に強烈なインパクトを刻み付けることとなった。
実際、「キャプテンやめて下さい!」と「逆噴射」は当時の流行語と伴っている。

このことから、飛行中に機長が(故意にせよ過失にせよ)まともな訓練を受けた操縦士ならありえないような操作をしたり、
日本航空350便の機長のように心神喪失状態であったりする場合、このコメントが打たれることがある。

「機長やめて下さい!」と表記されることも。

また操作ミスでなく機材の故障などが原因であっても、
飛行中に逆噴射装置(プロペラ機であれば逆ピッチ)が作動する異常事態に陥り大事故に至ったケースでは、
この事故に関連付けたコメントがされる傾向がある。

機影が消えーた

ただのダジャレである。航空機がレーダーから消失した際に打たれるお約束のコメント。
これに対して「メーデー!」視聴者が事故フラグに関連付けた厳しいツッコミのコメントをするまでが様式美と化している。

機長/キャプテン

航空機乗員の内の最高責任者・管理者。

貴重な機長

これもまた、寒いダジャレである。
機長は高度な訓練と長い経験が要求される専門職中の専門職であり、実際貴重な存在である。

逆推力装置(スラストリバーサー)/逆噴射装置

ジェットエンジンの排気等を前方に噴出させることで、機体に後ろ向きの力を発生させる装置のこと。

エンジン後方にフタのようなものを展開し、排気を前方に跳ね返すもの
(クラムシェル方式・ターゲット方式・バケット方式など)や、
エンジンの途中で空気流を前方へ偏向させるもの(カスケード方式)などがある。

本来の用途は、着陸の際に滑走路上で作動させることで
ブレーキのように機体を減速させるための装置である。

しかし例外的な用途として、駐機場などで機体をバックさせるため使う(パワーバック)こともある。
機体をバックさせるには「トーイングカー」と呼ばれる専用の車両を呼び、前輪を押してもらう(プッシュバック)のが正しい手順であるが、
これは面倒なので逆推力装置を使ってパワーバックしてしまうパイロットが多かった。

しかしパワーバックは騒音の原因になったり他の機体に迷惑がかかったりするほか、
滑走路上のホコリやゴミ、冬季であれば雪や氷などを前方に巻きあげ、
エンジンに吸い込んだり翼の上に積もってしまうことがあり、エア・フロリダ90便のように墜落事故の一因となったこともある。
そのため、現在では禁止している航空会社や空港がほとんどである。

また、飛行中や離陸滑走中にこの装置が作動してしまうと、対気速度が大幅に低下し、墜落事故の原因となってしまうことがある。
ラウダ航空004便やTAM航空402便のように、この装置が不具合によって意図せず作動してしまい墜落に至ったケースがあるほか、
日本航空350便のように、精神錯乱に陥った機長が空中で作動させ、墜落に至ったケースもある。

ちなみにターボプロップ機やレシプロ機などプロペラ機の場合は、
プロペラの角度(ピッチ角)を変えることで推進力を後ろ向きから前向きに変える手法にて同様の効果を生み出している。

急成長/事業拡大

航空会社が急速に規模を拡大した場合、当然ながら人員や機材が多く必要になり、監督体制もそれに対応させなければならなくなる。

だがLCC(格安航空会社)の事例などではそれが満足にできず、人員不足を補うため適正に問題がある乗務員を起用したり、
社内に余裕がなく整備や教育がおざなりになることもしばしばある。
結果として初歩的な整備・操縦ミスによる重大事故を引き起こすことがある。
それが原因で会社そのものが倒産、廃業、事業譲渡に追い込まれた事例も存在する。

事例が枚挙に暇がないほどあるため、調査パートで「事業拡大」や「急成長」というワードが出てきた場合、
「いつもの」というコメントがされるのが慣例化している。「ブラック企業」という指摘がされることも多い。

救命胴衣

機内で膨らませちゃダメなもの。

航空機に搭載されている救命胴衣は、普段は収納の都合からコンパクトになっているが、
紐を引くなどすると空気が入り、瞬時に膨張する仕組みになっている。

これは旅客機に乗ったことがある方なら、離陸前に客室乗務員などから説明を受けたことがあるだろう
(ないという方は次からきちんと説明を聞こう)。

これは、万が一航空機が海に着水した場合に、機外に脱出した後にふくらませるものであるが、
実際の事故では乗客がパニックから救命胴衣を狭い機内で膨らませ、
身動きが取れなくなったり脱出できなくなったりすることがあるから。
エチオピア航空961便の事故では、これが原因で犠牲者が多くなってしまった。

最近の機内放送ではそういった実際の事故の影響からか、
必ず機外に出てから膨らませることを呼び掛けている会社もある。

勤続疲労

操縦士や整備士など航空機の運用に直接携わるスタッフらが、
休暇がない、給与の支払いが滞納気味、そもそも給与があまりにも安いと言った過酷な労働環境に置かれており、
それが事故の一因となった、あるいはそれが疑われる航空事故においてコメントされる用語。
機械的故障が原因の航空事故でしばしばあげられる金属疲労のもじり。

破格の運賃を実現したり(格安航空会社)、あるいは厳しい経営状態から、
必要な数のスタッフを雇用せず、少人数で業務を回していると当然ながら一人当たりの労働負担は増大する。

極度の疲労や睡眠不足は集中力や判断力を低下させるので、整備士が点検ミスをしたり、
パイロットが普通なら起こさないようなミスを犯したり、咄嗟の緊急事態に対応できなくなったりする。

例としては、レバノン料理を良くも悪くも一躍有名にしたエチオピア航空409便墜落事故や
コンチネンタル航空3407便墜落事故など(どちらも全員死亡の事例)。
うう

高速スタッフロール

大抵のドラマと同様、「メーデー!」でも番組のラストにスタッフロールが流れる。
しかしながら初期の「メーデー!」ではこのスタッフロールのスクロールが異常なまでに早く、
殆ど肉眼で視認できないレベルであるため、しばしばネタにされる。
「スタッフロールが急減圧」「スタッフロールが油圧喪失」など事故の内容にひっかけたコメントがされることも多い。

国際BEA原器

フランス共和国エコロジー・持続可能開発・エネルギー省に属する
航空機事故調査局(BEA)の本部建物を基準単位とする、
主に航空事故調査委員会の本部建物の評価に用いる基準として設けられた原器。

2018年には本部建物の横に格納庫が新設され、1BEAの定義が改定された。

NTSB(アメリカの国家運輸安全委員会)が1000BEA程度だと言われているが、
国土交通省の外局で合同庁舎に他の局と一緒に入っている
JTSB(日本の運輸安全委員会)は何BEAとすべきか議論の的となることがある。

……要するに、後述の「建物がしょぼいBEA」の派生ネタである。

コンゴーニャス

ブラジルのサンパウロにあるコンゴーニャス空港のこと。

2000メートル未満という短い滑走路が2本しかないにもかかわらず、
ハブ空港として利用されているために「南半球で最も混雑した空港」の異名をとる。
また、「市街地のど真ん中にあり、すぐそばを幹線道路が通っている」
「丘の上に建設されており、片側は崖に面している」など、
空港としては立地が良くないこともあり、危険極まりない空港とされている。
なお、ブラジル国内の長距離路線や、国際線は郊外にあるグアルーリョス空港(GRU)を発着。
ちなみにサッカーの三浦知良(キング・カズ)選手が初めてブラジルを訪れた時はこのコンゴーニャス空港に降り立った。

またの名を「メーデー民が最も利用したくない空港」。35L...35L...

コンビニ行ってくる

部品が脱落して深刻な事態に陥った航空事故で、しばしばされるコメント。
天井やプロペラ、窓やDC-10の貨物室ドアなどがコンビニ(≒遥か彼方)に行ってしまうことが多い。

日本におけるネット掲示板で頻繁にみられる書き込み「ちょっとコンビニ行ってくる」に対し、
何故か戦闘機がネタアスキーアートとして付けられ、飛行機に関連する一種のネタとして定着したことが起源とみられる。

最新のCG

「衝撃の瞬間」シリーズの俗称。
「メーデー!」シリーズとは別に、当該シリーズにおいてもしばしば航空事故は題材として取り上げられることがあるが、
その冒頭で「最新のコンピューターシミュレーションを駆使して」と注釈が入ることからこう呼ばれるようになった。
なおOPでは、「メーデー!」におけるテンプレコメントをもじり、
「メーデーじゃないのかよ!騙された!」とコメントされるのが恒例となっている。

CFIT

シーフィット。Controlled Flight Into Terrainの略称で、
機材や計器などに問題はなく通常通りの飛行が可能なのにもかかわらず、
地上や山岳など障害物に衝突してしまうパターンの航空事故を示す用語。

パイロットの状況判断・操縦ミスが原因となる場合が多く、
機材や計器の改良が進んだ現在では相対的に航空事故において占める割合が増加している。

CRM

"Crew Resource Managment"あるいは"Cockpit Resource Manegment"の略称。
元々は後者の略称とされていたが、現在ではコクピットの外にいる客室乗務員を含めた
クルー全体の訓練手法と位置づけられるようになったため、前者の略称とされるのが一般的である。

航空機という『空飛ぶ密室』の中において、機長や副操縦士といったクルーの人的や時間的な資源(リソース)は限られており、
特に緊急時においてはその限られた資源をどう管理(マネジメント)し、活用していくかが問題になる。これがCRMの概念である。

CRMが上手く機能するためには、クルー間でのコミュニケーションと役割分担が円滑に行われている必要がある。
その為厳格な上下関係は阻害要素とみなされ、相互の合意による意思決定が重んじられている。

例えば、「機長が役割分担を怠ったために、全員が電球の交換に集中し、
高度が下がっていることに誰も気づかず、結果として地面に衝突してしまった(イースタン航空401便)」り、
「副操縦士は発生した問題に気づいていたが、機長が普段からあまりにも高圧的に接していたため萎縮してしまい、
自分の意見を言い出せず、結果として墜落に至った(大韓航空8509便)」などというのは、CRMの失敗が引き起こした事故の典型例である。

逆に、「2つのエンジンが両方とも停止するとすぐに機長が副操縦士から操縦を交代し、
副操縦士には緊急時用マニュアルの読み上げと実行を指示し、着水直前になっても
機長は副操縦士に『他に出来ることはあるか?』と問いかけ、
それに対して副操縦士は『いえ、ありません』と答える(USエアウェイズ1549便、ハドソン川の奇跡)」
といったものなどは、危機的状況化においてクルー間での役割分担とコミュニケーションがうまく機能し、乗員乗客を救った典型例である
(これ以外にも乗員乗客の多くが生存した事故においては、CRMが上手く機能していることが少なくない)。
CRMの普及に当たっては、その国の伝統や航空会社の組織体質が阻害となることも多い。

姿勢指示器

機体と水平線を表示して、どちらかを傾けることによって機体の傾きを表示する計器。
飛行機の場合、常に地平線が確認できるわけではなく、夜間に至っては真っ暗なので
空間識失調を防ぐ意味でも極めて重要な計器の一つである。

姿勢指示器には西側諸国で使われる西欧式(ボーイング、エアバス)、
ロシア圏で使われる東欧式(アントノフ、ツポレフ)の二種類があり、
西側では地面を傾け、東側では機体を傾けるといった違いがある。

このため、東側出身のパイロットが西側のエアラインに就職する、
もしくはロシアで西側製機体を操縦した際、緊急事態になった時に、
指示器の表示を誤解してしまって墜落というケースが起きている。
なお、東側の機体を使うケースは稀になっているので逆はない。

自動操縦/オートパイロット

文字通り、パイロットたちに代わって航空機を自動で操縦してくれる装置。

長時間操縦しなければならないパイロットたちの精神的肉体的疲労は計り知れない。
しかし、一度離陸してしまえば(何か問題が発生しない限りは)、
着陸する滑走路に近づくまでは、決められた高度と進路に従って飛ぶだけの単純作業であることも事実である。
それを機械に任せてしまおうと発明されたのが自動操縦装置である。

近年では、コンピュータテクノロジの発達もあり、
空港側の設備さえ整っていれば着陸も人間よりうまくやってのけるなど、自動操縦技術は格段に進化している。
その為離陸を除くほぼすべての操縦を機械が行うこともごく当たり前になっている
(離陸の自動化も技術上は可能だが、安全上の理由から人間の手で行うことになっている)。

その一方で、自動操縦が一因となって発生してしまう事故が多いのも事実である。
パターンとしては自動操縦が何らかの理由で使えなくなったとたんに
自分で操縦できずに墜落してしまうので、結果としてパイロットの存在意義が問われることとなってしまう。

ちなみに、2大航空機メーカーであるボーイングとエアバスには、自動操縦に対する哲学に根本的な違いがあり、
ボーイングは機械よりも人間を信頼し、エアバスは人間よりも機械を信頼する傾向にあると言われている。

児童操縦

「自動操縦(オートパイロット)」の誤変換ではない。

1994年に起きたアエロフロート航空593便墜落事故(※乗員乗客全員死亡)の事故のきっかけが、
「機長が自分の息子(16歳)をコックピットに入れ、操縦席に座らせ、操縦桿を握らせた」ことという、
非常に衝撃的なものであったことから、自動操縦をもじってそう呼ばれるようになった。

当の機長たちは、自動操縦が有効であれば、子供が操縦桿を操作しても飛行に影響はないと考えていた。
しかし、この息子がたまたま自動操縦を解除する「隠しコマンド」的な操作をしてしまったために
(このコマンドの存在は当該機の機長たちも知らなかった)、
自動操縦が解除されてしまい、結果として墜落に至ってしまったのである。

モラル欠如など、クルーの行動に問題があった航空事故でしばしば代表例として挙げられることが多い。

余談だが、アメリカでも1996年に史上最年少のパイロットになろうとした7歳の少女が悪天候の中の小型機墜落で死亡している(参照)。

「メーデー!」の事故調査パートでは、事故の真相に行きつくまで他の仮説について検証し、
逐一除外していくという構成になっていることが多い。
その為調査パートの初期で上がった仮説が事故原因であったケースは少なくなる傾向がある。
また、ベテランのメーデー民ともなれば、再現映像の段階で事故原因が推測できてしまうケースがある。

これをもとに、メーデー民は動画の尺や残り時間から
「これは今回の原因じゃないな」などと推測を働かせたコメントを書き込む傾向がある。
「メタ推理やめ」などそれに対してツッコミが寄せられることもしばしば。

ステファン・G・ラスムッセン

「ローテート」を「回転」と誤訳されたことで有名なスカンジナビア航空751便不時着事故の当該機の機長。

元デンマーク空軍のパイロットでアメリカのウィリアムズ空軍基地で訓練を受けた経験を持ち、
回想で登場する米軍機と映っている写真はこの時のもの。
その後スカンジナビア航空に入社、事故までに約12000時間飛んだが事故を機に引退、
母国で数年議員を務めた後講師兼作家として活動している。

乗員乗客全員が生還、現場の判断にも非の打ち所がない、パイロットとして完璧な対応を行ったにも関わらず、
「機械が勝手に動かし事故を起こした」という理由で不信を発症したのが要因でパイロット引退を決意した。
メーデー出演で身体的理由以外でパイロットをやめた理由が判明するというかなり珍しい例となった人物。

しかし、犠牲者を出すことなく適切な対応をしたことは評価されており、
事故の翌年には民間航空最高の栄誉であるポラリス賞やIAPA優秀サービス賞等様々な賞を贈られている。

彼自身は航空機と空を愛した人だったのだが、自分の意志でその道を閉ざした救われなさは、悲劇的と言えるかもしれない。
英語版Wikipediaに個別記事が存在。

ステライル・コックピット

直訳すると「無菌の操縦室」。
操縦室内での操作や確認事項が増える時間帯での安全を保つために定められたルール。
「クリティカル・イレブンミニッツ」(魔の11分)という表現もある通り、
飛行機の離陸前の3分間と着陸前の8分間は天候や鳥など自然環境の急激な変化が起きやすく、
更に煩雑な操作や確認作業が続き人間のミスも生じやすいことから、事故の発生しやすい時間帯とされている。
このうち、後者の人間のミスによる事故を抑えるため定められたのがステライル・コックピットというルールである。

日本の主要な航空会社であるJALの場合、「飛行機が離陸し高度10000フィート(3000m)に達するまで」と
「降下し10000フィートを割ってから着陸し駐機場に停止するまで」がこの時間と定められている。
この時間内は、コックピット内では操縦士は運行に不必要な言動(雑談など)を行ってはならず、
また客室乗務員や地上係員も運航の安全にかかわること以外の連絡を操縦室と行ってはならない。

このルールができた背景には、クルーらが雑談などを行い業務に集中しなかったことにより、
確認や操作を忘れてしまい、重大事故に至った例が続出したことがあげられる。

1988年のデルタ航空1141便、1999年のLAPA航空3142便などがその代表例である
(いずれも離陸前チェックリストを読み飛ばしフラップを展開していなかった)。

スペック厨

エチオピア航空961便ハイジャック墜落事件の犯人の(多分)蔑称。

ハイジャック犯たちは機長にオーストラリアへ行くことを要求したが、機長が「燃料が足りないから無理だ」と説得したにもかかわらず、
「この機の最大航続距離ならオーストラリアまで飛べるはずだ」と言い張り、オーストラリア行きを強行させた。

「最大航続距離」とは文字通り、その機体の燃料が満タンの時に最も効率のいい飛び方で飛んだ場合に飛べる理論上の距離のことを言う。
しかし旅客機は普通、少しでも重量を軽くするために、必要な分の燃料しか搭載しない。
もちろんこの事故の機体も例外ではなかったため、結局コモロ諸島付近まで飛行したあたりで燃料切れを起こし、海に着水したが、
その際に機体がわずかに左に傾いていたために、着水と同時に機体がバラバラになり、多くの犠牲者を出した。

この最大航続距離という理論上の性能(スペック)にばかり固執し
「旅客機はいつも燃料満タンで飛んでいるわけではない」という当たり前の現実を無視した「愚行」に驚愕したメーデー民により、
961便をハイジャックした犯人たちは「スペック厨」と呼ばれることとなった。

着水する際の映像が観光客によって撮影されていたため、
「メーデー!」では着水の話題になると頻繁にこの映像が流され、
『あのスペック厨の事件か』といったコメントがされるほか、
ハイジャックの話題などの際にも思い出したようにこのコメントがされることがある。

スラムダンク進入

着陸進入のテクニックの一つで、段階的に速度と高度を落とすのではなく、崖から飛び降りるようにして一気に高度と速度を落としていく方法。
着氷の危険性が高い雲を一気に抜けられるので、小型機が着氷のリスクを避けるために行うが、
勢いがついているので、速度と高度の把握を綿密に行わないと簡単に墜落してしまう大変リスクの高い着陸方法である。

重要なのは、操縦者(機長)に高いスキルが求められるのは当然のことであるが、
機体状況をモニターする相棒(副操縦士)にも高い能力が要求されるという点である。
相棒が未熟であったり新米であったり、あるいはコックピット内の空気が最悪であったりすると、
たちどころに地獄へ直行ということになってしまう。

生存者

乗員乗客全員死亡のケースが多い航空事故においては貴重な存在。

生存者は乗客であることが多いが、インタビューなどに登場すると安堵の声が上がる。
インタビューに応じた人物が乗務員(パイロットなど)であった場合は、
乗員乗客が全員生還した航空事故のこともあるため、視聴者の間にはさらに安心感が生まれる
(なんやかんや言いつつメーデー民は全員生存回が好きなのである)。

逆に事故機の搭乗者がインタビューに登場せず、その親族や知人のみが登場する場合は、
確実に乗員乗客が全員死亡した事故であるため、メーデー民の間では
「あっ…(察し)」「本人が登場しない…」という悟ったようなコメントがされることもある。

タイトル回収

「メーデー!」では各話サブタイトルがつけられているが、
ニコニコにアップされた際には大抵それとは別のタイトルを投稿者がつけている
(恐らく削除対策も兼ねているのだと思われる)。

そのタイトルは事故の原因や内容を表す言葉であったり、
ストーリーの登場人物やナレーションのセリフに由来するものであったりと色々。

動画の内容がそのようなタイトルの由来となった言葉やセリフに差し掛かった時、メーデー民が発するのがこのコメントである。
同様に、サムネとして使われた場面が登場すると「サムネ回収」も用いられる。

冒頭でいきなりタイトル回収されることもあれば、終盤になってようやく出てくることもある。

第4エンジンに愛着はないな?

1989年にアメリカ海洋大気庁の観測機NOAA42が、
ハリケーン・ヒューゴの中でエンジン1基を失い操縦困難となるトラブルが発生。
対応に苦慮している中、新たなトラブルとして第4エンジン前縁にプロペラのための除氷ブーツが外れて付着、
ターボプロップエンジンの空気取り入れ口に吸い込まれてさらにもう一つのエンジンが停止、操縦不能となる危機に見舞われた
(その後、クルーの努力や偵察機の協力などの甲斐もあり、乗組員は全員生還している)。

それを発見したクルーが発した、危機の中でのジョーク交じりの発言がこれである。
他の航空事故でエンジン関係のトラブルが生じた場合、思い出したようにこのコメントがされることがある。

余談だが、3発機以上の飛行機のエンジンは、左翼の外側から順に番号が振られている。
エンジンが4発なら、左翼の外側が1番エンジン、内側が2番、右翼内側が3番、そして右翼外側のエンジンが4番となる。
双発機なら右舷エンジン・左舷エンジンと呼ぶ。
3発機の場合は、左舷エンジンを1番、垂直尾翼のエンジンを2番、右舷エンジンを3番エンジンと呼称する。

建物がしょぼいBEA

フランス事故調査局の本部建物を見た人の大変失礼極まりないコメント。略して建ショボなどとも呼ばれる。

航空事故調査では、国内線も国際線も発着する便数が多く、
それに加えてボーイングやマクドネル・ダグラスの製造国という事から、
アメリカの国家運輸安全委員会(NTSB)がしばしば登場する。
しかし、エールフランスなどフランスの航空事故ではBEAの担当となるケースが多い。

そして高層構造のNTSB本部ビル(しばしば「建物が立派な」と形容される)や、
英国交通事故調査局(AAIB)の低層ながら洒落ていて広大な本部建物に対し、
BEAの本部建物は2・3階建てとまるで地方の役場か小学校の校舎を連想するような
低層かつこぢんまりとした建物であったため、このような辛辣なコメントがされるようになってしまった。
その玄関に架かっている手書きの「BEA」の看板が建物と合わさり、
「芸術の国」とされるフランスらしからぬ風情を醸し出していることも、
このような評価がなされる一因と考えられる。

しかし、当然ながら建物の大きさと実際の事故調査能力は一切関係なく、
コンコルド墜落事故やエールフランス447便墜落事故などで素晴らしい調査能力を発揮している。

そんなBEAはル・ブルジェ空港の一角、航空博物館の向かいに存在し、
二度に渡って用地が拡張されている。90年代と比べると用地面積は5倍となっている。

2017年11月~2018年3月にかけて本部建物の正面から見て右側に
"hangar technique"(技術格納庫)という名称と思われる倉庫が建設された。
倉庫の場所はかつて駐車スペースとして用いられていた模様。
隣には倉庫一つ程度の空き地があるため更なる拡張が可能と思われる。

2019年4月には、とある日本人が150分の1サイズの精巧なBEAのダンボール模型を作製し、
BEAの中の人がその製作動画を発掘したという珍事件(?)も起きていたりする。
段ボールBEAはその出来栄えに感動したBEAの中の人の要望もあり、
日本からフランスへと無事空輸され、本家BEAへと展示されることとなった。

単位/ヤード・ポンド法

航空機はその歴史的経緯などから、メートルやグラムなどの我々が普段使っている単位
(国際単位系、SI)とは異なる単位(ヤード・ポンド法などの非SI単位系)を用いることが多々ある。

例えば高度を表すのはメートル(m)ではなくフィート(ft)、
速度を表すのはキロメートル毎時(km/h)ではなく(kt)が一般的に用いられる。

所謂ギムリーグライダーで知られるエアカナダ143便滑空事故は、
当時エアカナダがヤード・ポンド法から国際単位系への移行を進めていた時期であったために、
給油担当の係員がキログラムとポンドを間違えて計算してしまったことが原因であった。

蛇足ではあるが、1m ≒ 3.28ftであり、1km/h ≒ 0.54ktであるため、かなりアバウトではあるものの
「フィート→メートルは3で割ってちょっと減らす」「ノット→キロメートル毎時は2を掛けてちょっと減らす」と覚えておくと、
メーデー!でこれらの単位が出てきた時に直感的に理解しやすくなるであろう。

チェズレイ・サレンバーガー3世

アメリカ合衆国の元パイロットで、恐らく世界でもトップクラスに有名なパイロット。
USエアウェイズ1549便事故の際の機長で、メーデー公認有能パイロットの一人。愛称は「サリー(Sully)」。

1951年1月23日、テキサス州にて歯科医の父(元米軍歯科軍医、退役時は中佐)と専業主婦の母(後に小学校教師)の間に生まれる。

実家の近くに空軍基地があったことから幼い頃から飛行機に憧れ、17歳で自家用操縦士免許を取得。高校卒業後は空軍士官学校に進み、
卒業時には最優秀飛行技量士官候補生(要するに主席)に選ばれ、大学では産業心理学と行政学の修士号を取得した優秀な人物。
アメリカ空軍ではF-4のパイロットとなる。実戦で出撃する機会はなく、1980年に29歳で退役。退役時の階級は大尉だった。

退役後、パシフィック・サウスウエスト(PSA)にパイロットとして入社。航空機関士を3年半、副操縦士を4年半務め、1988年にPSAの機長となる。
その後、PSAがUSエアーやピートモンド航空と合併し「USエアウェイズ」となったため、そのままUSエアウェイズの機長となった。
機長として飛び続ける傍ら、定期航空操縦士協会(ALPA)の安全委員会メンバーとして、
1987年のPSA1771便墜落事故や1991年のロサンゼルス国際空港地上衝突事故の事故調査に参加している。

そして、2009年1月15日、サレンバーガーはニューヨークのラガーディア空港から
シャーロットを経由してシアトルUSエアウェイズ1549便に機長として乗務。
離陸直後にバードストライクで両エンジンが停止し滑空状態になった機体を、
ジェフリー・スカイルズ副操縦士との巧みな連携と迅速な判断、
的確な操縦でハドソン川に無事に不時着水させることに成功し、乗員乗客155人を全員生還させた。
離陸から着水まではわずか5分間しかなかったにもかかわらず、全員の命を救えたことは
「ハドソン川の奇跡」として世界中に報道され、一躍時の人となる。

155人を救った英雄として讃えられたが、本人は自分が自分が「英雄」と呼ばれることに対しては否定的で、
曰く、「英雄とは命がけで燃え盛るビルに飛び込んでいくような人物のことだ。
1549便はそうではなく、あくまで私とクルーに向こうの方から降りかかってきた出来事だ。
私たちは全力を尽くし、訓練の成果を発揮し、正しい判断を下し、決して諦めず、
搭乗者全員の命を尊重し、そして結果は悪くなかった。これが”英雄的”に該当するとは思わない(『機長、究極の決断』より」とのこと。

また機長の自分だけでなく、副操縦士や3人の客室乗務員の事も同様に讃えて欲しいといい、
バラク・オバマ大統領の就任式に招待された際にも大統領に直接そう訴えて、事故機のクルーとその家族全員を招待してもらったとか
(機長自身は「ハドソン川の奇跡」が「自分一人の力だけではない」と考えてるそうな)。

なお、これだけの活躍をしたにもかかわらず、何故かポラリス賞は受賞していない。

事故後はPTSDに悩まされたものの、同年10月にパイロットに復帰、
復帰フライトでは事故と同じ路線でスカイルズ副操縦士とともに今度は飛行を完遂した。
その後、2010年3月にパイロットを引退。
2007年に副業として航空安全コンサルタント会社を設立しており、
引退後は講演活動やテレビの航空関連のコメンテーターなどをしているほか、
自身のホームページやTwitterなどで情報や意見の発信を行っている。

私生活では妻と2人の娘がいる。妻は元PSAの営業スタッフで、
1986年に航空管制50周年記念式典で出会い、1989年に結婚した。
2人の娘はともに養子だが、サリーは彼女たちの事を深く愛している様子。       
彼は私生活でも非常に几帳面なようで、妻曰く「サリー、人生はチェックリストじゃないのよ」。

1995年に父親を拳銃自殺で亡くしており、以来、サリーは自殺予防活動家となっている。
また、公職に立候補するつもりはないとのこと。

彼の活躍は2016年にトム・ハンクス主演で映画化されている。

着氷

文字通り、機体のどこかに氷が付くこと。
降雪や高高度での機体の冷却などにより主翼に着氷すると空気の流れが不安定になり、墜落の原因になる。

水面に張った氷の上に不時着することを着氷と言うのかどうかは分からない。

チェックリスト

正確にはプリフライト・チェックリスト。日本語では離陸前始業点検と翻訳される。
飛行前に計器が正確に作動するか確認する、飛行機を離陸モードに設定するなど、
離陸に必要なことを決められた手順に基づいてチェックすることで、
これを正確にこなさない限り、飛行機を離陸させることはできない。
……にもかかわらず、忙しさのあまりに手順をすっ飛ばした、
あるいは行ったつもりで実は行ってなかったという結果、
正常な離陸が出来ずに墜落するという事態がたびたび起きている。

原因としては主にパイロット側のミスでもあるが、チェック項目が煩雑で、
しかも、無線交信などで中断するたびに最初からやり直さなくてはならず、
チェックリストをどこまで進めたのか分からずに離陸してしまったというケースもある。

TCAS

空中衝突防止装置(英語:Traffic alert and Collision Avoidance System)のこと。
「ティーキャス」と発音する。

航空機に搭載する装置で、レーダーよろしく電波を周囲に発信し、
他機の接近を検知するとパイロットに警告を発して知らせる。

初期のものはそれこそ接近を警報するだけであったが、
最新のものでは、TCASを搭載している機体同士でコンピュータが"協議"し、
最適な回避方法をパイロットに指示することも可能。
例えば、AとBの飛行機が接近しつつある場合、
A機のTCASは上昇を、B機のTCASは降下を、それぞれ自機パイロットに音声案内する。

空中衝突を扱う回では、視聴者たちから「TCASついてなかったのか?」
「TCASがあれば助かったかも…」としばしばコメントされるほか、
建物に激突して地上の犠牲者を出した事故(コンコルド墜落事故など)においても
「ホテルにTCASがついてれば……」のようにコメントされる。

なおユーバーリンゲン空中衝突事故のように、TCASがあったにもかかわらずその運用規定に問題があったため、
空中衝突を避けることが出来なかった事例も存在する。

電球切れ

イースタン航空401便墜落事故の原因。

着陸前、コックピットにある計器の電球切れに対処しようと
クルー全員がそちらに集中した結果、自動操縦装置をうっかり触って
解除してしまったことに誰も気づかず、地上に激突した。

この事故はワイドボディ機初の墜落事故である。

CRMの失敗が起こした事故の典型例でもあるため、
テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故などともに語られることが多い。

デンバーはだめです

ドキュメンタリー「もしも地球の自転が止まったら」において使われたナレーターのセリフ。
当該番組内では「もしその状態に陥ったらデンバーは人類が住める場所ではなくなる」という意味で用いられている。
しかし「メーデー!」含めてニコニコ動画内でネタ的に広まるセリフとなった。

航空事故番組では、飛行機の発着・経由地などでデンバーという地名が取り上げられると
ネタとしてこのセリフが書き込まれるのが定着しつつある。

天文台ルート

サンタバーバラ航空518便墜落事故において、
公式ルートではない飛行経路として使われていたことが判明したアルベルト・カルネバリ空港からの離陸ルートのこと。

この非公式であるコースからも逸脱した事故機は山脈に激突し、乗員乗客全員が死亡した。

毒舌ナレーター

「メーデー!」シリーズでは日本のドキュメンタリー番組では考えられないほど、時折辛辣なツッコミを番組ナレーターが入れることがある。
特にその事故原因がパイロットエラーであり、厳しく批判を入れたくなるようなものであるときに見られる傾向がある。
代表例はサンタバーバラ航空518便とクロスエア3597便。

NASA

アメリカの国立航空宇宙局。
飛行機事故を扱う「メーデー!」には一見関係なさそうだが、
その職務上、気象観測から人間の行動心理学に至るまで、様々な最新鋭の技術・知識を有しているため、
それらを生かして航空事故調査や、事故後の安全対策のシステム作りに協力することは多い。
事故の大掛かりな再現実験を命がけで実施するなど、メーデー民からも良い意味で正気を疑われたりする。

事故調査への協力以外では、エンジン故障に陥ったタカ航空110便が
着陸に成功した堤防がたまたまNASAの敷地だったなんてこともある。

バックミラーを付けてくれたら1000ドルやるぞ

2002年10月9日、アラスカ付近を航行中のノースウェスト航空85便(B747)が方向舵のトラブルに見舞われる。

事故機は機体の構造上、機内から方向舵を見ることが出来ず、機長らクルーは状況把握も困難な状況下で何とか姿勢を維持していた。
そんな中で、機長のジョン・ハンソンが発したジョークがこれである。
クルーたちははその後、犠牲者および負傷者を出すことなくアンカレッジ国際空港への緊急着陸に成功させた。

状況を把握できていたら墜落が避けることが出来たのではないかと推測される航空事故の過程動画で、
このコメントが思い出したように寄せられることがある。

パッションフルーツ

いわゆるルッツで知られるクロスエア3597便墜落事故において
事故機に搭乗していたドイツのダンスポップユニット。

この事故でメンバー3人のうち2人が事故の犠牲になったが、機内で騒いでいた彼女達の騒音を避けて
後部座席に移動した2人の乗客の命を結果的に救うことになり、
助かった当人は「メーデー!」の取材において「パッションフルーツは命の恩人ですよ」と(皮肉交じりに)語っている
(ちなみに、当該機の乗員乗客33名のうち生存したのはわずか9名)。

そのため他の事故においても、何らかの理由で後部座席に移動したことで助かった生存者や、
機内で騒いでいる団体が登場すると、パッションフルーツの名前がコメントされることがある。

ちなみにここでいうパッションは情熱ではなく、キリストが受けた受難と言う意味。
また、犠牲になったメンバーの一人の年齢が当時27歳だったため、
アーティストは27歳で死ぬというジンクスである「27クラブ」に加えられている。

ハドソン川の奇跡

アメリカで発生したUSエアウェイズ1549便不時着水事故において起こされた奇跡のこと。
事の顛末を評価したニューヨーク州知事の言葉「Miracle on the Hudson」に由来する。

2009年1月15日、発進直後にバードストライク(飛行中の鳥が激突する事故)で
両エンジンが停止し、飛行不能に陥ったUSエアウェイズ1549便は、
直ちに不時着を試みようとするが、不時着するための滑走路まで飛行することすら不可能であった。

このため、機長であるチェズレイ・サレンバーガー3世以下乗組員は、近くにあったハドソン川への不時着水を決断。
「ハドソン川に降りる!」という唐突な交信内容に管制官がクエスチョンマークを付け、
レーダーからも機影が消えて絶望する中で、機長らは見ごとに着水を成功させた
(離陸直後で高度、速度共に低かったこと、広い川幅などが着水の成功に大きく寄与しているとされる。
無論航空機自体も、万が一に備え、着水できるような構造はしている)。

その後、乗客乗員は飛行機の翼の上で救助を待ち、
近くにいたハドソン川のフェリーや追って駆け付けた湾岸警備隊などに全員無事救助された。
真冬のハドソン川は氷が張るほどの極寒であり、10分水の中にいたら凍死してしまうほど寒かったらしく、
周辺船舶によって迅速な救助が行われたことも幸運であった。

航空機事故で着水して全員無事だったというのは歴史的にはあるにはあるが極めてまれな話で
(着水すること自体が非常に難しく、成功しても死者が出てしまうことの方が多いため)、
これを成功させたサレンバーガー機長らは一躍時の人となり、アメリカの英雄と称賛された。

ちなみにサレンバーガー機長は米空軍に7年所属し、F-4戦闘機を乗り回していた元空軍大尉(退役時)かつ
民間に転職してからも合わせればパイロット歴40年、飛行時間は2万時間に迫る超ベテランパイロットであり、
様々な賛辞にも「訓練したことをやっただけ」と至極謙虚な回答をしている。

なお事故機はその後川から引き上げられ、現在ではカロライナス航空博物館に展示されている。

ピトー管

航空機の対気速度を測るための装置。

機体洗浄の際にピトー管に貼ったマステを剥がし忘れた(アエロペルー603便墜落事故)、
ハチと思われる昆虫が入り込んだ(バーシェン航空301便墜落事故)、凍結した(エールフランス447便墜落事故)など、
ピトー管の機能が様々な理由で失われ対気速度が解らなくなると、
上記に上げた全員死亡の墜落事故の様な重大な事態に発展してしまうことが多い。

墜落原因のネタにされることが多いが、レバノン料理が詰まったりはしないし、
ましてやボナンが詰まったりするなどは絶対にありえない。

ヒャッハー!

新鮮な航空事故動画(主にメーデー!)を発見したメーデー民の叫び。
由来は漫画「北斗の拳」のザコキャラの叫び声。

兵庫県警

日本の兵庫県のみならず、航空事故調査では世界にも進出する万能捜査組織。

1985年6月23日発生のインド航空182便爆破事件では、
日本の千葉県成田市にある新東京国際空港(現在は成田国際空港)で
同じ日に手荷物爆破事件が発生しており、同一犯のテロ行為が疑われた。

その日本における捜査の再現シーンにおいて、上述の通り
成田空港の所在地は千葉県であるのに「兵庫県警 立入禁止」の
現場保全用テープが貼られており(おまけに上下が逆さま)、
これを見た日本のメーデー民から「成田空港は兵庫県だった…?」
「兵庫県警最強伝説」「千葉県警仕事しろ」などと言うコメントが多数寄せられた。

以後、現場保全用のテープが航空事故・事件の調査で貼られているシーンが登場すると、
たとえそれが日本国外どこのものであっても「兵庫県警」と言うコメントがされるようになった。

このように初期の「メーデー!」では舞台となる国のステレオタイプなイメージが
強調されることが多かったが、最近のシーズンでは改善されている。

フィクションじゃないのかよ!騙された!

「メーデー!:航空機事故の真実と真相」シリーズのOPで流れるテンプレコメント。
長く打つのが面倒くさいのか、フ騙、フィク騙、FND、FDなど略すのも定着している。

大半の場合、 航空事故というあまりにも現実離れした内容、または目を背けたくなる内容故か
「どうせフィクションなんだろ?」「また作り話か」といったコメントが投下され、
その後注意書きとして"This is a true story. It is based on official reports and eyewitness accounts."
およびそれを和訳したナレーションの「これは実話であり、公式記録、専門家の分析、関係者の証言を元に構成しています。(~シーズン17)」
もしくは「公式記録、専門家や関係者の証言を元にした実話です。(シーズン18~)」の部分で驚愕(?)したメーデー民達が発する言葉。

余りにも多いこの弾幕に呆れ果てた人が、「このコメントのどこが楽しいの?」「お前らいつも騙されてるな」までがほぼテンプレ化している。

フィクションでないことが分かった後は、真剣に見るのがお約束。

フィクションであって欲しかった

上記「フィクションじゃないのかよ!騙された!」の派生形。
「メーデー!」や「衝撃の瞬間」などで取り上げられる前から題材となった事故に対して認知が既にあり、
またその内容が目を背けたくなるようなものである場合、「フィクションであって欲しかった…」と言うコメントがされる傾向にある。

特に、単独機では世界最悪の事故であり、
その過程と悲惨さが日本人にはよく知られている日本航空123便墜落事故を題材とした回の冒頭では、
「フィクションじゃないのかよ!騙された!」に代わりこのコメントがしばしばされている。

VK・ドゥッタ

ニューデリー空中衝突事故において、事故当時、サウディア航空763便と
カザフスタン航空1907便の誘導を担当していたインディラ・ガンジー国際空港の航空管制官。
彼が両機を(もちろんこの2機だけでなく他に何機も同時並行で)誘導していたところ、
空中で衝突し、乗員乗客349人全員死亡という大惨事が発生した。

この航空事故は2015年現在、テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故、
日本航空123便墜落事故に次いで死亡者数で言えば世界ワースト3である。

事故調査では当初、原因として彼が誘導ミスしたのではないかという嫌疑がかけられ、
マスメディアからバッシングを受けた。しかしながら両機との交信記録から
適切な指示を与えていたことが判明した。原因は他にあったのである。

このことから、管制官のミスが事故を誘発したと疑われる場合、
「(実は管制官はミスしてなかったという意味で)VKパターンか?」、
また、実際に一因が管制官にあった時には「VKさんを見習え」などとコメントされることがある。

ただ、いかにヒューマンエラーが事故の原因であっても、無能や戦犯といったレッテルを貼り、
個人攻撃をするコメントをすることは「生産的でない」として、常連のメーデー民からは忌避される傾向にある
(事故調査ではミスを犯したということのみならず、ミスを犯した原因、
今後同じ人為的ミスを起こさないために必要な対策、
あるいは過失を犯してしまったとしても安全を担保できるフェイルセーフの構築といったふうに、
システムや組織の問題にまで踏み込んで再発防止策に活かすことが多いため)。

なお事故発生国のインドは仏教の発祥国であるため、
悟りを開いた人である仏陀とドゥッタを掛けて「ブッタ」、更には「V系ブッタ」などと表記されることも多い。

V1/ローテート(回転)/V2

飛行機が安全に離陸するためには、重量やエンジン推力などの諸条件から、
離陸に必要な速力と加速度を設定しておかなければならない。

滑走開始から離陸までは3つのフェイズに分けて速度が管理されている。

V1:離陸決定速度(take-off decision speed)。

静止出発点から加速して、機体に問題が無ければ「よし、離陸するぞ」と決定を下す速度。
速度がV1を超える前に何か異常が発生した場合はブレーキと逆噴射で減速し、
安全な場所にタキシング(飛行機の地上走行のこと)をさせることが出来る。
逆に、V1を超えたなら、エンジンが鳥を吸い込んで火を噴こうが、
滑走路上にDC-10が落とした部品を踏んで燃料タンクが爆発しようが、
とりあえず離陸しなければならない。後戻りのできなくなる速度である。

ローテート(回転):ローテーション速度(rotation speed)あるいはVR。

操縦桿を引いて機首を上げ始める速度。
スカンジナビア航空751便墜落事故では、日本語版翻訳者が「ローテート」という用語の
意味を理解していなかったため、「V1……回転」という誤訳(直訳)が起こった。
これがメーデー民のハートにストライクしたらしく、以後パイロットが「ローテート」と発するシーンでは、
ほぼ必ず「回転」「回転はもう許してやれよ」というコメントが書き込まれるようになった。

V2:安全離陸速度(take-off safety speed)。

機体が地面から離れ始める速度。V1後にエンジンが一発不調になったとしても
滑走距離末端より手前で到達しておくべき速度で、かつ、失速速度を余裕をもって上回るように設定しておかねばならない。
「メーデー!」の再現VTRでは、演出上の理由からか「V1……ローテート」で離陸、
そのまま巡航高度に上昇し始める場合が多く、視聴者から「あれ?V2は?」「いまV2コールしたか」と戸惑いの声が上がることも。
「ちゃんとコールしない→パイロットがちゃんと訓練を受けていないのが墜落原因か?」と深読みするメーデー民もいるとか。

副操縦士/コーパイ/FO

航空機乗員の内、機長の補佐や機長業務の代行などを行う乗員のこと。
基本的にまだ機長の資格を持っていないパイロットが務めることが多いが、
機長資格を保有するパイロットが務める場合もあったりする
(この場合、副機長と呼ばれる。また、この体制をダブルキャプテンとも呼ぶ)。

フゴイド運動

固定翼機において発生する上下振動。発音は「ヒューゴイド」の方が近い。

飛行している航空機は速度が落ちて揚力を失うと、機首が下がって降下し始める。
重力にひかれて降下すると速度が上がって揚力が発生し、機首が上がって上昇する。
やがて揚力を失い再び機首が下がって降下し…というサイクルを繰り返すことで、
機体が上下に揺れる現象である。身近な所では、紙飛行機で簡単に確認することが可能。

通常ならば航空機は一定の高度を保つように昇降舵によって制御されているのだが、
油圧系統を喪失するなどして昇降舵を操縦不能になった航空機はこの状態に陥ることになる。
エンジン出力を調整することで揺れを抑える事は可能だが、
操縦不能であることは変わらないのでこの状況から無事に着陸させることは至難の業となる。

それゆえメーデー民にとっては『油圧喪失』という四文字は絶望あるいは死と同義だったりする。

富士着

「不時着」と「富士山」をかけたもの。
1966年3月5日に、ボーイング707型機が富士山近くを飛行していた際に
山岳波と呼ばれる特殊な乱気流に巻き込まれたことが原因で空中分解し、
乗員乗客全員死亡という大惨事となってしまった英国海外航空911便の事故が由来。

富士山付近を飛行した理由は時間短縮のためという説、
海外観光客向けに富士山を見せたかったためという説など、諸説ある。

山岳波など乱気流が事故の要因になったケース、
また原因に関わらず山岳地帯への墜落となったケースでこのコメントが寄せられることがある。

フラグ

メーデー民の間では、「ベテランと新人の組み合わせ」や「パイロットが元軍人」などが事故のフラグとされている。

実際の所は、ベテランは飛行時間が長いために航空事故に遭遇してしまう確率も高く、
また、新人は経験が浅いためにベテランと組ませることが多いだけであり、
民間航空会社では元軍人のパイロットは決して珍しいわけではない。

また超過勤務や遅延、格安航空会社や悪天候などを思わせる要素が
事故前のシーンで登場した場合も、「フラグ」と言うコメントがされることが多い。

特に遅延時は、離陸や着陸を急ごうとするあまり、クルーが必要なチェックや操作を怠ったり、
判断・操作ミスをしたりすることが多いため、パイロットエラーの事故が起こりやすい傾向がある。

尚、カンタス航空は会社そのものが生存フラグと言える存在。

俗語以外の用法として、フラッグ・キャリアと言うと「一国を代表する航空会社」を指す。

ブラックボックス

航空事故調査でよく登場する2つのレコーダーの総称。FDR(フライトデータレコーダー)は飛行機の状況を、
CVR(コックピットボイスレコーダー)は事故直前のコックピット内のクルーの会話をそれぞれ記録する。
搭乗者全員死亡という事態になることも多い航空事故の調査では、これら2つのレコーダーが最重要証拠となり、基礎資料となるため、
「メーデー!」ではたいていの場合、調査パートはまずブラックボックスの捜索から始まる。

ブラックボックスが登場すると、(海上に墜落しようとしていまいと)
「真水に漬けろ」と言うコメントが大量に飛び交うのがお約束となっている。
またブラックと言う名前に反してオレンジ色をしていること(黎明期は本当にブラックだった)、
墜落後の火災などで焼け焦げて本当にブラックに近い色になってしまった事へのツッコミがしばしば入る。

ブラックボックスは海への墜落で水没した場合に備え、発見用の超音波信号を発信するロケータービーコンを備えているが、
ビーコンのバッテリーは30日間しか持たないため、それ以降は発見が非常に困難になる(それでも執念で見つけた例も存在したりはするが…)。
「メーデー!」では海への墜落でブラックボックスが水没した際にはナレーションが大抵そのことに触れるため、
ビーコンのバッテリーの話が出ると「メーデー民の基礎知識」と言ったコメントが飛び交う。

なお墜落後に盗難されたり、供給電力が何らかの理由で切れていた、更には記録装置そのものが故障していたなどの理由により、
どちらかないし両方が調査に役立たなかった事例や、小型機ではそもそも搭載そのものがされてなかった事例もある
(それでも執念で事故原因を解明してみせた調査員には本当に頭が上がらないのである)。

フラップ

高揚力装置とも。主に、主翼において大きく広がったり稼働したりする部分のこと。
この装置によって、翼面積を大きくすることが出来るため離着陸時には不可欠な装置であるが、巡行時には空気抵抗になるため格納される。
近年の飛行機はフラップが働かないと安定した離着陸ができないので、離着陸時には展開させるのが常識なのだが、
何故か忘れ去られて大惨事になる事故がよく起きてしまっている。

「メーデー!」では、フラップの出し忘れによる事故においては再現映像のCGでもちゃんとフラップが格納されている状態になっているため、
知識と注意力があれば再現映像だけで事故原因を特定できてしまったりする。
着氷や重量オーバーなどフラップ以外の原因による離陸失敗事故では、
再現映像で「ちゃんとフラップは出てたな…」とまずフラップを確認して除外するメーデー民もちらほら。

なお、BA38便のように、墜落の寸前に機長が咄嗟の判断でフラップを引き上げた事により、
地上の被害を防いだだけでなく、乗員乗客全員が生還したという奇跡も存在する。

フランス号(SSノルウェー)

1960年に進水、1961年に就航した客船のこと。総トン数は70000トン(後に改装で76000トン)。
フランスの威信をかけてフランス~ニューヨークの北大西洋航路に就航した、
いわばタイタニック号の後継と言うべき豪華客船であり、設備やサービスなどが伝説になるほどだったが、
この時代にはすでに交通の主役は船から飛行機に移っており、赤字を垂れ流しながらの運航になっていた。
このため、1974年に運航が休止され、しばらくの間は係船が続いた。

幸いなことに、クルーズ客船への需要があったので1977年にノルウェージャン・クルーズライン(NCL)によって買収され、
ノルウェーと改名、クルーズ客船としての改装を受け(このため、サービスレベルが大衆船クラスに低下)、
1980年からカリブ海クルーズで第2の船生を送ることとなった。
それから長い間クルーズ客船として働いていたが、2003年5月25日、
老朽化と整備不良が原因で機関室のボイラーが爆発、死傷者25人と言う大惨事を起こしてしまい、
ボイラー修復不能と判断が下されたため、2008年に重機の餌になるという最期を遂げた。

1998年のプロテウス航空の空中衝突事故では、
フランス西部ブルターニュ(モンサンミシェルがある付近)のキブロン湾に停泊しており、
本来、プロテウス航空の旅客機はフランス号の真上を飛ぶルートには無かったのだが、
当日、フランス号がキブロン湾に停泊すると知っていた乗客が
観覧のためのルート変更を要求して(悪魔の囁き)、機長がこれを聞き入れた事が事故の原因となった。
ちなみに「メーデー!」内では「フランス号」と紹介されているが、この当時は青と白の「ノルウェー」仕様となっている。

プレッシャー

事故調査チームにかかるもの。

航空事故調査は、ただ事故の犯人探しをするためのモノではない。
事故が起きた原因を突き止め、同様の事故が二度と起こらない様に対策するためのモノである。
事故調査官の調査にはこれから飛行機で飛ぶ何万人、何億人もの人の安全が掛かっているため、その肩にかかる責任は大きい。
また、事故の犠牲者遺族からは早急な原因解明が求められ、テロや撃墜が疑われる事故や要人が犠牲になった事故では
最悪の場合戦争の引き金にもなりかねないため、国の上層部から早急な解明を要求されることもある。

そのため、事故調査チームは常にプレッシャーにさらされている。
そのことを取り上げ、「メーデー!」ではナレーションが「調査チームにプレッシャーがかかります」という表現を多用するため、
メーデー民からは「こいつらいつもプレッシャーかかってんな」とツッコミが入るのがお約束になっている。
機内の与圧とかけて「また与圧されてる」「いつもの与圧」などとも。

また、乗客が国家の要人だった、教官を乗せての訓練飛行だった等の理由で
パイロットがプレッシャーにさらされたことが事故の一因である場合もある(いわゆる儀典長パターンなど)。

ベテラン

最も定番の事故フラグ。事故機のパイロットがベテランであると紹介されると、
「ベテランはフラグ」と言うコメントが半ばお約束となっている。

無論、パイロットがベテランであることが即事故の原因になるわけではない。
事故機のパイロットがベテランであったというのは、「犯罪者の99%はパンを食べている」みたいな話である。

ベテラン故の慢心や、経験不足の副操縦士へのいら立ちや不信が
事故原因である場合は多いが、それらを防ぐための取り組みも行われているので、
それらの原因は「ベテランであること」ではなく、基本的には
パイロット個人の人格・技倆に起因するものと言った方が良いだろう
(航空会社の企業体質やその国の風習などが遠因の場合もあるので一概には言えないが)。

しかし、時には経験豊富で優秀なベテランであること自体が事故の引き金となってしまうこともある。
特にベテランが最新鋭機に乗り換えて日が浅い場合、また、ボーイングからエアバス機へのように
設計思想の異なる機体へと乗り換えた場合などでは、咄嗟に以前の機体で身に沁み込んだ操作をしてしまい、
機体がパイロットの思惑通りに動かず墜落に至ってしまうケースがしばしばある。
そのため冒頭で機体が最新鋭機と紹介されると、「ベテランと最新鋭機の組み合わせはフラグ」と
察しのいいコメントをするメーデー民もいる。

ボーイング737

ボーイング社で製造・開発された小型ジェット機のこと。
経済性や使い勝手の良さからシリーズ累計で10000機以上も生産され、
バージョンアップしながら、これからも生産され続けるという驚異のベストセラー機種である。
生産機数も多い分、事故数も多く、111機もが全損し、3037人もの死者を出しているので、
22オスプレイの飛行差し止めを主張するなら、まずB737を飛行差し止めにすべきという意見もある。
事故率の高さの原因としては、生産機数の他に、
中小の航空会社が経年機を使用しているからという見方もあるが、
その一方でβテストをユーザーに任せているのではないかという見方も存在している。
特に最新型B737MAXは2機が立て続けに墜落して飛行中止、ボーイングの屋台骨を揺るがす事態になっている。

ボーイング747

ボーイング社で製造開発された、世界初となるワイドボディな4発大型機。
所謂「ジャンボ」とはコイツの事で、恐らく日本では一番知名度の高いジェット旅客機だと思われる。
就航当時は収容力の高さが過剰に見られたが、空席を埋めるために料金を大幅に下げた事によって一般大衆に普及した。
この機の登場によって海外旅行の価格が大幅に下落したので、世界に革命を起こした画期的な飛行機であると言える。
収容力の高さで日本や世界の空を席巻していたB747であるが、近年では双発機でもB747並の収容力を発揮できることから、
経済性でB777に置き換えられるケースが目立っている。

メーデー民的に言えば、収容力が高い分、ひとたび墜落事故を起こせば大量の死者が出るので、より印象の深いケースが多い(日本航空123便など)。

ポーテート―!

ミサイルのこと。

チャイナエアライン611便空中分解事故では、発生地点が台湾海峡ということもあり、
当初は両岸問題で対立していた中国によるミサイルでの撃墜が原因として疑われた。

その参考映像でミサイルを発射するときの兵士の掛け声が
「ポーテート―」と空耳で聞こえたため、中国語圏におけるミサイルの別称として定着することとなった。

誤射による撃墜が疑われた航空事故で時折思い出したかのようにこのコメントがされることがある。

補助動力装置(APU)・ラムエア・タービン(RAT)

航空機は油圧や計器類、コンピュータなど、様々な場所で電気を使用している。
この電気は通常の飛行中はエンジンが発電しているが、
万が一発電しているエンジンが停止してしまうと、飛行に必要な多くの機能が失われてしまう。
それを防ぐのが補助動力装置(Auxiliary Power Unit=APU)であり、
ラムエア・タービンはその補助動力装置の一種である。

狭義のAPUは小型のエンジンで、本来は主エンジンを起動させたり駐機中に機内に電力を供給するためのモノである。
しかし飛行中に主エンジンが停止してしまった場合、
無線や油圧系統、計器類などを機能させるためのピンチヒッターとして用いることもある。

ただしAPUはエンジンでもあるので、主エンジン停止の原因がガス欠であった場合は頼ることが出来ない。

そのような事態にも対応できるのがラムエア・タービン(Ram-air turbine=RAT)である。
これは緊急時に小さなプロペラを胴体下部などに展開し、
風車のように風で回転させることで発電させるもので、必要最小限度ながら電力を確保することが出来る。
航空機が空に浮かんでいるという事は翼に風を受けているという事であり、風車も回転することが出来るのでガス欠でも使用可能。

エア・カナダ143便の回で「アーミーナイフのように最後の刃を隠し持っている」と表現されたように、
ラムエア・タービンは飛行機にとっては最後の命綱ともいえる装置である。
ラムエア・タービンが登場した回では生還できるケースが多いことから、登場シーンではコメントが大いに盛り上がる傾向にある。

また、ラムエア・タービンの起動に言及がない場合、それを確認するコメントも多く散見されるが、
ボーイング737型シリーズ(737MAXも含む)など事故機がRAT非搭載機種であることも珍しくない。

ラムエア・タービンは「うる星やつら」のヒロイン名にかけて「ラムちゃん」や「ラムたん」などと呼ばれることも多い。

真水

ブラックボックスを漬けるものにして、メーデー民が聖水として崇め奉る水。

航空機が海面に墜落した場合、ブラックボックスは海水に浸かっている。
そのまま空気に晒すと海水の塩分で電子部品が錆びてしまうため、
回収後は箱一杯に満たした真水に漬けて塩抜きした状態で輸送される。

そのため当然ながら、墜落地点が海や塩湖でない場合はその必要はないのだが、
海への墜落事例で真水に漬けるシーンを繰り返し放映したこともあり、
メーデー民にはブラックボックスの回収後の措置としてネタ的に定着することとなった。

そのため河川や陸地への墜落事故であっても、ブラックボックス回収シーンになると
「真水に漬けろ!」「いや、真水に漬ける為に海水に漬けろ!」などといったコメントが飛び交うのがお約束となっている。
また、墜落地点やその近辺の河川や湖沼の名称が明らかな場合は
そこに漬けろというコメントや、ロシアの事故では「ウォッカに漬けろ」などその地域の品にちなんだコメも見受けられる。
事故で生還したパイロットに事情聴取する際などに、テーブルの上に水の入ったコップが置かれたりすると、
「パイロットを真水に漬けるのか」みたいなコメも出て来たり。

更に、トム・ハウターが失脚しかけたアトランティック・サウスイースト2311便墜落事故のように
事故機がブラックボックス未搭載機の場合には、真水に漬けることが出来ない悲しみに明け暮れるか、
「じゃあ代わりにエンジンを真水に漬けろ」などと異常言動まで起こすメーデー民も確認されている。

メーデー

航空機や船舶などが差し迫った緊急の事態に見舞われ、早急に他社の救助や支援が必要な場合に発信される遭難信号。

フランス語で「助けに来て」を意味する「ヴネ・メデ」が語源であり、
モールス信号で発信する「SOS」を口頭で連絡できるように発案されたもの。
5月1日に開かれる労働者の祭典とは何の関係もない。発信は基本的に口頭による英語の音声無線で行う。

無線周波数は121.5MHzが民間機用周波数として国際的に定められているため、
可能であればその周波数に合わせて発信するのが望ましいとされている。

推奨される発信手順としては、

メーデーを3回→コールサインを3回→メーデーを1回→コールサインを1回
→現在位置・状況・要救助者の数→メーデーを1回→コールサインを1回

という手順を踏むことが望ましい。

無論、緊急事態にこんな長々と無線交信していられるとも限らないので、
現実にメーデーが発信される際は大抵「メーデーを3回→コールサインを1回→状況」など
最低限の情報のみを発信し、それ以外は省略されることが多い。

メーデーが発信されるとその周波数では救援のための無線交信以外は一切禁止となるほか、
救助隊や消防隊にも出動待機が命じられる。全てがメーデー発信者の救援に最優先となるため、
マジで死ぬ、今すぐ死ぬという場合でのみ発信が許される。

それ故に、あまり軽々しく発信することはできないし、いたずらで発信すれば罪に問われる可能性もある。

航空機を識別するためのトランスポンダに設定する「スコーク」という4桁の数字を「7700」にすることや
単に「緊急事態が発生した」と発言することでも緊急事態を宣言できる。

余談だが、所謂5月1日の方のメーデーはこちらとは由来が大きく違う。

なお、メーデーを宣言する程焦眉の急ではないが、4発機のエンジンが1発停止したなどの「ちょっとまずい」事態が起きた時は、
メーデーと同じ発信手順で「パン・パン」とコールする。こちらも語源はフランス語で、「故障」を意味する「パヌ」が由来。

メーデー民

「メーデー!」の視聴回数が多い人のこと。

また事故の生存者で、墜落などの衝撃が来る前に身を守るため適切と思われる行為を最大限していた人や
事故の予兆を感じ取っていた人のことを指して「プロのメーデー民」と呼ぶことも多い。

ただし、これらは所謂内輪ネタであるため、他の動画で話題に出すことは控えられるべきである。

真水は彼らにとっての聖水である。

目力さん

近年のメーデー!に解説者としてちょくちょく出演している
航空安全アナリスト、トッド・カーティス氏のこと。

1983年にアメリカ空軍入隊。退役後はボーイング社や
ユニバーサル・アビオニクス社で試験飛行の機器チェックや
データ解析を担当するフライテスト・エンジニアを務め、
TWA800便などの事故調査やボーイング777の開発などに携わった。
その傍らで1996年にAirSafe.comという航空安全財団を設立し、CEOを務めている。
現在は世界各地のメディアに、航空安全についての解説者として出演するのが主な仕事。

ぎょろ目でまばたきが少ないことが特徴故に、「目力さん」などと呼ばれている。

もう助からないゾ♡

1983年7月23日にエアカナダ143便を担当していたロン・ヒューイット管制官(1932~2017)の鬼畜発言。

この日、事故機となるボーイング767は、高度12000mで飛行していた最中に燃料切れを起こすという絶体絶命の状況の陥ってしまう。

しかし、機長ボブ・ピアソンの操縦により、機体はギムリー空軍基地に滑空状態で不時着し、乗員乗客69人は全員生還。
当該機は後に「ギムリー・グライダー」として知られるようになった。

この事故を取り扱ったメーデー!の回にて、ヒューイット管制官がインタビューの中で語った言葉がことの発端である。

「エンジンが両方とも停止したと聞いて、私は確かこう言ったと思います。『なんて事だ、もう助からないぞ』」

これに対して「もう助からないゾ♡」というコメントを誰かが打ったことがきっかけとなり、メーデー民に広く知れ渡ることになった。

なお、英語版のもともとのセリフは"I'm talking to a dead man"(俺は死人と通信してる)と、こちらもこちらで結構鬼畜。
死にゆくパイロットに最後の言葉を投げかける役目を背負わされたとなればそうも言いたくなるだろう。

インパクトがあまりにも強すぎたからか、他の航空事故で、乗客やパイロット、目撃者などがインタビューされた時、
「なんて事だ」といった後に「もう助からないぞ」とコメを付けられてしまうほど、有名な言葉となってしまった。
死者が少なかったり全員生還となった事故の回で使われやすい傾向にある。

なおヒューイット管制官はこの事故において、電気系統停止により使えなくなった二次レーダーに代わり、
当時既に埃を被っていた一次レーダーを運用し、機影を捕捉しつつ指示を出し続けて基地に誘導している。
管制官としての仕事を最大限遂行したことは、彼の名誉のために注釈されるべきであろう。

目撃者

信用してはいけない。というか信用できない。

幾つかの航空事故において、目撃者となった一般人の証言が
直近の事件の影響や思い込み、知識不足などから
事実と異なる脚色がされてしまっていたことがあった。
それ故証言をそのまま受け取ることは真相究明の阻害となりうるため、
目撃者の証言は疑ってみるべきもの、という印象が広まった。

逆に写真や映像ならばそう言った脚色や誤解に基づかない
真実の情報を得られる可能性が高いため、
一般人がたまたま撮影した写真やビデオなどが真相究明に役立つことも多い。

現在では航空事故で目撃者が登場すると、
ここで取り上げられたようなネタコメントが書き込まれるのがお約束と化している。

夜勤学者

所謂誤変換の一種で、正しくは「冶金学者」。
金属の性質などを研究している学者で、金属疲労が疑われる場合などにお呼びがかかる。
冶金は「やきん」と読むのだが、あまり聞きなれない言葉である上に
同じ読みでより一般的な「夜勤」を連想しがちであるため
メーデー民は大概「夜勤学者」「夜勤さん」などと呼んでいる。

夜中に呼び出されるなど、たまに本当に夜勤させられている夜勤学者も。

LAPA航空3142便離陸失敗事故

機長と副操縦士、そして客室乗務員らの無駄話や喫煙など
ステライルコックピットを全く守らない言動のせいで離陸に必要なフラップを出し忘れたうえ、
爆音で鳴り響く警報を30秒もガン無視しながら強硬離陸を行い失敗する
というトンデモ操縦でメーデー民の度肝を抜く衝撃的な事故となった。

ちなみにこの便の機長の名はグスタポ・ウェイゲルというが、
彼の知名度は無能パイロットとして有名なボナンやルッツなどには遠く及ばない。
なぜなら、彼らはあくまで個人のミスや慢心によって事故を引き起こしてしまっているが、
当事故では機長・副操縦士・客室乗務員の全員が等しく無能というべき、クルー全体の致命的な規律の欠如が原因だからである。
加えて事故内容があまりにも酷すぎてネタにもできないという側面もある。
そのため、この事故を表す際は大体航空会社名の方で呼ばれることが多い。

なお、LAPA航空は事故から数年後に倒産した。

レーダー

辺境レベルのド田舎でもない限り、航空機の離着陸を目視で誘導・管制などできない。よって管制にはレーダーを用いる。

一次レーダー

管制塔のアンテナから電波を発信し、
反射してきたものを受信してスコープに投影する、いわゆる普通のレーダーである。
ゲームでよく見るレーダー同様、自身を中心に俯瞰した画像が得られ、
これを以て管制官は航空機の存在を知り、位置を把握して誘導する。

弱点は目標物の高度が分からないという点である。
つまり一次レーダーの画像は円形の画面に航空機がただの光点として浮かんでいるものにすぎない。
というわけで、一次レーダーのみを用いている空港では、着陸をリクエストしている航空機に管制官が航空機の便名と
現在高度を無線で聞く必要がある。尋ねられた機のパイロットが応えると
管制官はその情報をストリップと呼ばれる記録用紙に書き込み管理する。

問題は音声無線でやり取りする関係上、混線して聞き間違えるとか、
そもそもパイロットが高度計を読み間違えるといったトラブルがないとも限らない事である。

二次レーダー

航空機に搭載したトランスポンダという機器が、管制塔のシステムから送信されてきた質問波に自動的に返答することで
管制官のレーダー画面にそれらの情報を一括で表示するというもの。
つまりレーダー画面に航空機を示す点だけでなく、その機の機種とコールサインと現在高度も一緒に表示されるということ。
これならレーダー画面を見ただけで誘導に必要なデータが得られるので円滑な管制が可能となる。

弱点としては、完全に搭載機のトランスポンダ頼みという点である。
トランスポンダが故障したとか、故意か過失かによらずスイッチを切ってしまったとか、
要するにトランスポンダによる送信が不可能な状況では、管制塔はその機体の存在そのものを感知できなくなってしまう。

余談だが、二次レーダーが普及した現代でも、ストリップは公文書の一種なので、お役御免とはなっていない。

レバノン料理

西アジア・中東に位置するレバノン共和国の料理。
野菜を活用した料理があるのが数多くあるのが特徴で、ヨーロッパではベジタリアン食、ダイエット食としての人気も高い。

メーデー民界隈では主に墜落原因ネタとして使われることが多い。発端はエチオピア航空409便墜落事故を取り扱ったエピソード。

当該便のクルーは過酷な連続勤務の影響が大きかったためか、機長・副操縦士共に体調が思わしくなく、単純な回復操作にも失敗する程
判断力・思考力が低下していた事によって生じたものであるが、その一員として事故直前の食事が疑われた。

クルー達が食事をした場所がレバノンの首都ベイルートのレストランであったことや
再現映像での食事シーン及びBGMが「それっぽい」ものであったことなどからメーデー民の間にそれがレバノン料理という風評が広まった。

なお番組内では「重めのランチ」程度にしか触れられておらず、それがレバノン料理であったかどうかはあくまで不明である。
しかしそれ以来、「墜落原因はレバノン料理」ネタが定着している。

要するに風評被害である。そして爆発したりもしない。

ロッキーおろし

「ロッキー山脈からの颪風」と
阪神タイガースの球団歌「六甲おろし」をかけたもの。

コンチネンタル航空1404便離陸失敗事故では、
出発地であるデンバー国際空港の西に位置するロッキー山脈からの強力な颪風が機体を直撃したことが原因とされた。

空港にはドップラーレーダーや風速計が配備されていたが、計測値が1秒間の平均だったことや、空港敷地がそもそも広大だったこともあり、
局地的な突風を検知できなかったため、事故の回避は不可能に近かった。

私の機です

機長「君の機だ」
副操縦士「私の機です」

スパンエアー5022便離陸失敗事故の回で発生した珍訳。「You have」「I have」の宣言を訳したもの。

パイロットが操縦を交代する際には、誰が操縦するのかを明確化するため、
操縦を引き渡す側が「You have control」(単に「You have」とも)、
操縦を引き継ぐ側が「I have control」(単に「I have」とも)と宣言した上で行うことが義務化されているのだが、
自然な日本語に訳すのが難しいのか、「メーデー!」では回によって違う訳され方をしている。

数字

35L

「南半球で最も混雑した空港」の異名を持つコンゴーニャス空港に存在する35L滑走路のこと。

TAM航空3054便オーバーラン事故(乗員乗客全員死亡+地上の12人も死亡)を扱った回において、
機長が(着陸の難しい)35L滑走路に着陸することに気を取られ、エンジン操作を誤ったことが事故の一因として挙げられた。

その再現映像においてエコーのかかった「サンゴーエル……サンゴーエル……」という印象的な声が繰り返されたため、
滑走路の数字に35、数字の後にLが付くと大体こんなコメントがつくようになった。コンゴーニャスの亡霊はお帰りください。

ちなみに、滑走路につく英数字は、滑走路を識別するためのモノであり、
基本的には「その滑走路が伸びている方角の磁方位角を10で割って四捨五入したもの」である。
複数の滑走路が並行している場合、2本であれば左から「L・R」、3本であれば「L・C・R」とつける。
同じ滑走路でも反対側から見た場合には別の名称が付く。

つまり「35L」は「北からやや西寄りの方角に向かって伸びている複数の平行した滑走路のうち、一番左のモノ」という意味。