229 名前: ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:21:37 ID:mf3G/9um [1/21]
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│■│ 第六回物語AA選手権 参加作品 │■│
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│■│ 『A国とB国』 │■│
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230 名前:2/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:22:10 ID:mf3G/9um [2/21]
ここに二つの国があります。
∧_∧ ∧∧
( ´∀`) (゚Д゚,,)
( ) | ∪
| | | | |
(__)_) し´J
↑
農業が盛んで、農作物を他国に売ることで
自国を繁栄させてきたA国。貧乏。
↑
工業が盛んで、工業品を他国に売ることで
自国を繁栄させてきたB国。金持ち。
231 名前:3/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:22:57 ID:mf3G/9um [3/21]
このA国とB国は
お互い良好な関係を築いていました。
∧_∧ ∧∧
( *´∀) (Д^,,)
と つと |
| | | , | |
(__)_) し´J
A国が育てた農作物をB国が買い、
A国はそのお金でB国が作った
農作業用の機械を買う。
持ちつ持たれつの関係が続いていました。
232 名前:4/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:23:37 ID:mf3G/9um [4/21]
ある日、A国に天災が起こり、
A国は史上まれに見る大飢饉に陥りました。
i! i! i! ii!!i! i!i!i!
i! i! i! i! ∧_∧ i! i!i! ∧∧
i! i! ii!! i! i!∩ ´Д`))i!i! (Д゚; )
i!i! i! i!i!i! ヽ 丿i!.ii!.! | ∪
i! i! i! | | | i! i! | |
(__)_)i! i!i! し´J
A国は自分の国にある少ない備蓄を
少しずつ消費して国民を養いました。
当然、B国を始めとする他の国へ作物を
売りに行く余裕はありません。
233 名前:5/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:24:08 ID:mf3G/9um [5/21]
しかし、その状況を見てB国は
i! i! i! ii!!i! i!i!i!
i! i! i! i! ∧_∧ i! i!i! ∧∧
i! i! ii!! i! i!∩ ´Д`))i!i! (^(Д゚#)
i!i! i! i!i!i! ヽ 丿i!.ii!.! ヽ| ∪
i! i! i! | | | i! i! | |
(__)_)i! i!i! し´J
「自分たちばかり養っていないでこちらにも食べ物をよこせ」
と言ってきました。
B国は工業は盛んでしたが、食物の自給率が
著しく低く、自分たちの農業だけでは
国民を養えなくなっていたのです。
234 名前:6/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:24:48 ID:mf3G/9um [6/21]
A国は、自分たちの一年間の備蓄から削って、
渡せるだけの食物を全てB国に分けました。
i! i! i! ii!!i! i!i!i!
i! i! i! i! ∧_∧ i! i!i! ∧∧
i! i! ii!! i! i!∩ ´Д`)i!i! (^ (Д゚#)
i!i! i! i!i!i! ヽ つ◆i!.ii! ヽ| ∪
i! i! i! | | | i! i! | |
(__)_)i! i!i! し´J
しかし、B国は国民の数も多いため、
「これだけじゃ足りない。ありったけよこせ。金は出す」
と、脅迫じみた要求を突きつけました。
実際、A国からもらった食料だけでは全然足りませんでした。
235 名前:7/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:25:19 ID:mf3G/9um [7/21]
しかし、A国も必死でした。これ以上備蓄が
他国に渡ると、自分たちの国民を養いきれないのです。
やむなく、A国はB国の要求には応えない事を決めました。
i! i! i! ii!!i! i!i!i!
i! i! i! i! ∧_∧ i! i!i! ∧∧
i! i! ii!! i! i!(Д` )彡i!i! (^ (Д゚#)
i!i! i! i!i!i! ( )i!ii! ヽ| ∪
i! i! i! | | | i! i! | |
(__)_)i! i!i! し´J
しかし、B国は執拗に要求を続けます。
そうしなければ、自分たちも飢え死にしてしまうのです。
そして、こう着状態のまま二ヶ月が経過しました。
236 名前:8/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:25:50 ID:mf3G/9um [8/21]
B国の国民はやせ衰えて、餓死者も出るほどになりました。
一方、A国は何とか自分たちで養えている為、餓死はありませんでしたが、
何とかB国に食料を送ろうと実るのが早い作物を優先的に
育てていました。
∧_∧ ∧∧
(Д` ) (Д゚┌)
と ) |┐∪
| | | |ヨ |
( _(__) し´J
しかし、そのA国の状況を見たB国は
「自分たちの腹ばかり満たしている。俺達を全員餓死させる気だ」
と、勘違いをしてしまいました。
自分たちが極限状態にあるため、冷静な判断が出来ないのです。
237 名前:9/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:26:22 ID:mf3G/9um [9/21]
やがて、B国は食料のあるA国に最後通牒を突きつけました。
∧_∧ ∧∧
( ;´Д`) (Д゚┌)
( つつ と┐ ∪
) ) ) |ヨ |
(__)_) し´J
「これ以上この状況が続くのであれば、
我々はA国に攻め込まなければいけない。」
A国は困惑しました。
「後一月も待てば食料が出来る。それまで待ってくれないか。」
しかし、それはB国にとっては
単なる時間稼ぎにしか見えませんでした。
238 名前:10/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:26:54 ID:mf3G/9um [10/21]
ついに、B国はA国に攻め込むことを決意します。
_
∧_∧ /★ヽ
( ´Д`) (Д゚#)
と つ とと ヽ
丿 人 ヽ ヽ つ
(__)(__) し´
B国はその工業の力で兵器を生産し、
飢餓寸前の兵隊を数多く引き連れて
A国へ戦争を仕掛けました。
239 名前:11/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:27:33 ID:mf3G/9um [11/21]
A国も、やられたらやり返すしかありません。
_
∧_∧ /★ヽ
( #`Д)つ (Д゚#)
( ノ ∩ |
/| | ヽ ヽ
(__)_) し´ヽ)
B国がいくら兵器で攻めてこようとも、
地形の理でA国は持久戦に持ち込めます。
持久戦ならB国に勝機はありません。
食料を持っているのはA国なのです。
240 名前:12/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:28:05 ID:mf3G/9um [12/21]
やがて、痺れを切らせたB国は最後の手段に出ました。
_
∧_∧ /★ヽ
(ヽ( ´Д`)/) (Д゚#)∩
//⌒ヘ⌒ヾ\ |⊃ /
( 《( ) 》 ヽ⊂)
( ( ノ ノ ∪
B国は、A国に対して爆弾による焦土作戦を行ったのです。
いくら地形の理があろうとも、焦土作戦による
じゅうたん爆撃にはどうしようもありません。
B国は、A国に対して勝利を収めました。
241 名前:13/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:28:36 ID:mf3G/9um [13/21]
しかし、B国が勝利しても、
国民のお腹が満たされることはありませんでした。
∧∧
(Д゚; )
つと ヽ
(__つ
B国のじゅうたん爆撃のお陰で
もうすぐ実るはずだった作物はおろか、
A国の数少ない備蓄の食糧でさえ
灰と化してしまったのですから。
242 名前:14/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:29:07 ID:mf3G/9um [14/21]
B国の不幸はそれだけではありませんでした。
∧_∧
(´<_` )彡 ∧∧
( ) (Д゚; )/)
| | | と ヽ
(__)_) (__つ
B国は他の近隣諸国に助けを求めましたが、
「A国を滅ぼした危険な国」というレッテルを貼られ
全く相手にされなくなったのです。
243 名前:15/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:29:41 ID:mf3G/9um [15/21]
B国は他の国にも攻め入る準備をしました。
しかし、A国との戦闘で消耗したのもありましたが、
なによりも国民にもうそれほどの余力がなく、
その準備は無駄に終わりました。
γ'⌒ヽ∧ ∧
し'ゝつ( ;゙Д)つ
B国は、A国との戦争からわずか一ヶ月で滅びました。
244 名前:16/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:30:13 ID:mf3G/9um [16/21]
A国とB国、どちらが正義で、どちらが悪なのでしょうか。
─┬─ /
│├─ /
┴┴─ /
/
/ ┬┬
/ [|二|]
/ /ヽ_゙_
答えは「どちらも正義であり、どちらも悪である」だと思います。
245 名前:17/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:30:44 ID:mf3G/9um [17/21]
B国は、A国の事情や言い分を全く聞かず、攻撃を加えました。
しかし、それは自分たちや国民の状況を考えての決断でした。
_
/★ヽ
(Д゚#)∩
|⊃ /
ヽ⊂)
∪
∧_∧
(´Д`; )
( つと
) ) )
(__)_)
A国は、B国のために作物を作っていましたが、
早く実る作物があるにも関わらず、
自分たちの保身ばかり考えて、B国の内情を良くは知らないままでした。
246 名前:18/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:31:26 ID:mf3G/9um [18/21]
合理的な解決方法としてみれば
「A国がB国と食料を分け合い、早くなる作物をAB国民総出で育てる」
というのがもっとも円満に解決する方法ではなかったのか、と思います。
∧_∧ ∧∧
( ´∀`) (゚Д゚,,)
( つと ∪
| | | | |
(__)_) .し´J
しかし、これは客観的、冷静に見ての方法であって、
当の本人達の状況を考えれば
B国がA国に戦闘を仕掛けても仕方の無い状況だったのです。
しかし、この状況は一つの条件が加われば回避できました。
247 名前:19/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:31:57 ID:mf3G/9um [19/21]
それは、「他人を理解し、受け止める」と言うこと。
∧_∧ ∧∧
( ´∀`) (゚Д゚,,)
( ) | ∪
| | | | |
(__)_) し´J
A国の状況を理解できなかったB国は戦闘を仕掛け、
B国の過酷な状況を理解出来なかったA国は
自分の国の保身ばかり考えてしまった。
248 名前:20/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:33:13 ID:mf3G/9um [20/21]
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(,^д^)┝・∀・┥ヽ(´ー`)ノ(*゚∀゚) / (*゚ー゚)/)(,,゚Д゚)∧_∧ (・∀・ )∧∧ <丶`∀´> λ_λ ┏━━┓ ⊂)( ゚∀゚ )( ,_ノ` )
(| |)⊂ ⊃(__ ⊂ /| ̄∪∪ ⊂ ⊃´∀` )(つ ⊂ヽ(=゚ω゚)ノ⊂ ⊃( `ー´), ┃━┏┃ | 円_円('A`)
| | |〓 | 〓||2ch(-_| │ .| しぃ..~| |( つ⊂) │ |~( O x.) | | | / つ ┃ ┛ ┃__)¥・∀・¥(-_-)
し`J (__)__)◎ ̄ (∩ U~U (・∀・)(゚Д゚) し`J(__)_) (_(__)∪ヽ(`Д´)ノ、__フ(人_つ_つ┗━━┛(・∀・∀・)つ⑩(∩∩)
他人を理解し、それを受け止めること、それこそが正義なのでしょう。
相手の文化、風習、状況を良く受け止め、相手の立場に立って物事を考える。
人々は解り合えます。皆さんが他人と分かり合うことが出来れば、
世界は恐らくずっといい方向へと向かっていくでしょう。
249 名前:21/21 ◆qZV5QkEEK. [sage] 投稿日:2005/08/09(火) 00:33:45 ID:mf3G/9um [21/21]
│■└─────────────────┘■│
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│■│ │■│
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│■│ END │■│
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