坂木司 『切れない糸』 創元クライム・クラブ
別にね、殺人事件なんて起きなくてもいーんですよ。
"「死ねば事件だ」のような話だけは書きたくなかった"というのは作者の言。
「非日常」ってのは、そこだけ切り取っちゃうから「日常」と別みたいにされちゃうけど、ちゃんとつながってる部分はあるもんです。
なのに、「日常」書かなきゃそれだけになっちゃう。もっとひどけりゃ、ペラっとしちまうんですな。
デカいことを大上段にかまえてやるのも悪かぁないけど、そればっかりでもねぇ……とかって、思いません?
これは、商店街のクリーニング屋さんのお話。
クリーニング屋さんですよ。知ってるけど、よくわからんよね。
いや、確かにスーツだしたりコートだしたりするけど……それだけだし。
ましてや中で何してるかなんて。さらに、クリーニング屋さんにはたくさんの人の色々な服がやってくるのです。
それについて、「おお、なるほど!」と思っちゃってみたりなんかしちゃったりして。
さらに、この仕事を始めたばっかの若者の話だったりするんだよなぁ。
お約束だけど、誰にでも、そういうわかりやすいポイントってのは、あるもんでしょ?
全部ひっくるめて、楽しめるだけ楽しまないとね。
でも、ぼかぁ「糸」は切れたりつながったりするから、いいと思うんだけどねぇ。
担当者 - 竹田隆