硝子のハンマー

Last-modified: 2009-10-13 (火) 23:44:41
 

貴志祐介 『硝子のハンマー』 角川書店

 

エレベーターに暗証番号、廊下に監視カメラ、隣室に役員。
厳戒なセキュリティ網を破り、社長は撲殺された。凶器は? 殺害方法は?

 

作品自体は密室トリックを社長殺害容疑で逮捕された専務の弁護人青砥純子と防犯コンサルトル榎本が解いていく……。

 

話としては青砥と榎本が密室トリックの謎を解いていくというオーソドックスなものだが、
榎本の職業・防犯コンサルタントや彼の経歴とそこから培われた知識が特異で面白みを増してくれている。

 

いくつもの仮説が出ては消えていく工程には多少やきもきもするが、防犯コンサルタントと弁護士。
どちらも探偵は本職ではないのでそれは仕方ないのかもしれない。
そして、事実を知るとそれにすら人間味を感じてしまう。

 

トリックは著者の細部にまでのこだわりが見え隠れし、そして驚かされた。

 

トリック他にも防犯知識や介護ザル、介護ロボットなど情報に溢れており読んでいて、驚き、ためになる事(?)も多い。
特に榎本の言葉・行動に思わず、セキュリティなんて……。と投げやりな気分になる事必至である。

 

担当者 - 泉流