RTAでよく聞く「状況再現」や「乱数調整」と言った言葉。チャートを作成する人ならともかく、慣れたプレイヤーでも細かい部分を把握している人は少ないだろう。やり込んでいない人なら尚更。
そんなロマサガ2の状況再現について解説していく。
ロマサガ2の乱数システム
説明するのは難しいが、これをある程度理解しないと状況再現は理解出来ない。
攻撃が当たるか外れるか、技を閃くか、ダメージ幅のブレの内どの値を取るか、これらを決めるのが乱数である。
ロマサガ2の場合、戦闘関連は1つの乱数テーブルのみで殆どの内容が決まっており、乱数がフレーム式で動く(アンサガのリールのようにボタンを押したタイミングで数値が決まる)のが戦闘開始時の最初にどれかのボタンを押すまでの間だけ。
戦闘開始や退却などでの乱数の消費はあるもののフィールドの間ですら戦闘用の乱数は一切動かないようになっている。
乱数のリセットには電源を切ってから数秒を待つ必要があり、待ち時間もハード及び気温等の外的要因に依存する。気温が高い方が初期化に掛かる時間が短くなるので再現ありRTAは夏に行おう。
戦闘用乱数が決める内容はこんな所。
○戦闘開始時・入力時
・メイン/お供モンスター決定
・敵味方のSP決定(2回行動モンスターは除く。死亡や行動不能になったキャラも乱数を消費)
・混乱・魅了状態、自動戦闘状態のキャラの行動決定(キャンセルしてやり直しても行動は確定済)
・敵の行動範囲最大、AB種、行動、優先目標判定、対象設定
・隠れ状態のキャラを狙った場合は再抽選
・ターン終了後の睡眠、麻痺、精神系異常の回復判定
・行動順が固定の状態でない時に対象を選ぶ際にBでキャンセルすると乱数を1消費
○各行動の乱数消費
・物理攻撃
閃き判定、カウンター判定、バリア術(金剛盾)判定、命中判定、盾判定、ダメージ誤差、追加効果防御判定
・術
ダメージ誤差、地相変化判定、命中判定、追加効果防御判定
○戦闘終了後
・HP上昇判定、通常ドロップ判定、レアドロップ判定
戦闘の乱数が絡む行動は全てこの乱数が担っている。逆に村人や敵の移動、継承候補、加入キャラの初期習得術と言った戦闘時以外の要素は別の乱数が用いられている模様。こちらの乱数は電源投入からフレーム乱数で動く上に、ロマサガ2ではロードを選ぶ際にボタン押しっぱなしでは反応しない為、人力で調整するのは不可能に近い。
状況再現ってどうやるの?
上の説明の通り、ロマサガ2では戦闘用の乱数はフレームが影響しない。
この為戦闘に入る際の条件を全く同じにすれば行動を含め同じ結果が得られる。単純に再現を作りたい場合は条件が決まった段階から作成を開始する事が多い(と思われる)ので、状況再現作成に必要なのは乱数の初期化を正確に行う事と、戦闘開始時にキー押しっぱなしにしてフレーム時の乱数を固定する事。
これで条件が再現されるので、後は行動を変えたり対象選択後にキャンセルする回数を変えて有利な展開になるまで繰り返すだけ。状況再現をするだけなら乱数の知識が無くても一応は可能。
一歩踏み込んで乱数調整しようとすると大変。レアドロップが欲しいだけなら全員隠れにして敵の行動をループさせ、ループ状態から消費乱数を合わせてとどめを刺す、と言う方法が有名。
これならパターンだけ把握していれば比較的に簡単にドロップが狙えるが対象が非常に絞られているし総戦闘回数が最大限伸びている事が前提となっている。
更に敵の行動パターンまで意図的に操作しようとした場合、乱数の消費項目、消費順、消費量と言った内容を全て把握していなければならない。特に閃き関連は1つ道場入りしている技が違うだけで全然違う結果になる事が多々あるので注意は必要。それを一口で説明するのは絶望的なので、今回は割愛させて頂く。どうしても知りたい人は詳しそうな人に教えて貰おう。
理解するのは大変だしまだまだ未解明な部分が多いが。しかし極めればほぼ思い通りに戦局を動かせるようになり、七英雄をも手玉に取る事が出来る。
状況再現の限界
そんな圧倒的な力を誇る状況再現だが、何でも出来る訳ではない。
当然術やブレス等乱数を無視して必中する攻撃は避けようが無いし、FF1のように耐性を持っている敵に即死を決めたりは出来ない。
又、一部の敵は1ターン目の行動が確定している。特にスービエ(海の主吸収前)のメイルシュトロームやダンターグ1,2の踏み付けは縛りの内容によってはどんなに調整しても敗北を避けられない、という事態になりかねない。行動順調整にしても、SP値算出の関係で素早さが相手の半分以上ないと先制出来ない(他の敵味方の行動によって差が出てくるが)。
更に、乱数が255しかない為、調整し切れない部分が出てくることもある。味方の行動順の調整はBキャンセルを誰で何回行うかを帰れば調整可能だが、敵の行動決定,SP値算出,戦闘内容の決定はBキャンセルを挟めないので調整が非常に難しくなる。そして乱数解析が完全になされている訳ではない事も胸に刻んでおかねばならない。
なんでロマサガ2ばっかり状況再現や乱数調整が多いの?
上記のシステムを理解すれば自ずと答えは見えてくる。ロマサガ2は他のゲームと比べて圧倒的に乱数が制御しやすいのだ。
先ずフレーム方式で動くのが戦闘開始時の一瞬だけである点。これもボタンを押しっぱなしで戦闘に突入すれば回避出来る。つまり他のゲームの再現のように目押しでキー操作をする必要が一切ないのだ。落ち着いて入力して良いので初心者にもオススメ。
次に大きいのがBキャンセルで意図的に乱数を動かせる事。
本来なら行動の種類を変える事で乱数の消費量を変更させるものだが、これにより手軽に好きな乱数に持ってくる事が出来る。乱数そのものが少ないのも大きい。1ループに付きロマサガ1で1920×2、ロマサガ3で1024もの乱数があるが、ロマサガ2の場合たったの256しかない。更に戦闘が始まると座標00の乱数が飛ばされるので255になり、手作業でも十分乱数テーブルを一周させられる範囲になっている。
そして偉大な先人達の手により、乱数理論の大半が解析されている事。敵の行動パターン決定やエンカウント法則等、かなりコアな部分の調査が進んでいるお陰で人力で行動予測を行う事が可能になっている。
又、集気法による乱数座標特定も古くから発見されており、戦闘途中段階からの乱数調整が可能になっている。ロマサガ3でも戦闘開始直後なら初期乱数座標が60パターンしか無い為全てを調べ上げて強引に乱数調整する方法が存在するが、一度戦闘が始まるとパターンは一気に1024分岐になる為戦闘途中からの乱数調整は絶望的になっている。
FF6等でも味方のバトルゲージの溜まり具合から場合分けして状況再現する方法が存在するが、場合分けを作成する作業が非常に煩雑であまり現実的ではないのが実情。乱数調整の点では、フレームの影響を受けないお陰で歩数調整によるエンカウントや戦闘内容の調整の方が研究が進んでいる。
以上により、電源投入が必要な事や、乱数初期値がハードにより異なる等のデメリットがありつつもロマサガ2の状況再現は大きく進んでいる、と言える。