【よろしい しぬまえに かみのちから とくと めに やきつけておけ!!】

Last-modified: 2025-11-26 (水) 19:58:04

サガ1

荒れ果てた世界を抜け出して楽園を目指そうとした冒険者が、旅路の果てに辿り着いた衝撃のどんでん返し。
 
ひたすら【塔】を上り、そのためにいくつもの【クリスタル】集め、ついに【アシュラ】を倒したのもつかの間、まさかの仕掛けにハマって1Fまで落とされる。
再び塔を登ると、そこは真のゴールを目指す道である【真の塔】になっていた。
そしてとうとう【楽園】に辿りついたのだが、そこに待ち受けていたのはこれまでアドバイスをしてきた【シルクハットの男】だった。


かみ
「やっときましたね。おめでとう!
 このゲームを かちぬいたのは きみたちが はじめてです。」
 
1人目
「ゲーム?」
 
かみ
「わたしが つくった そうだいな ストーリーの ゲームです!」
 
2人目
「どういうことだ?」
 
かみ
「わたしは へいわなせかいに あきあきしていました。
 そこで アシュラを よびだしたのです。」
 
4人目
「なに かんがえてんだ!」
 
かみ
「アシュラは せかいをみだし おもしろくしてくれました。
 だが それもつかのまのこと かれにも たいくつしてきました。」
 
3人目
「そこで ゲーム・・か?」
 
かみ
「そう!そのとおり!!
 わたしは あくまを うちたおす ヒーローが ほしかったのです!」
 
1人目
「なにもかも あんたが かいた すじがきだったわけだ」
 
かみ
「なかなか りかいが はやい。
 おおくの モノたちが ヒーローになれずに きえていきました。
 しすべき うんめいをせおった ちっぽけなそんざいが
 ひっしに いきていく すがたは
 わたしさえも かんどうさせるものが ありました。
 わたしは このかんどうをあたえてくれた きみたちに おれいがしたい!
 どんなのぞみでも かなえて あげましょう。」
 
2人目
「おまえのために ここまで きたんじゃねえ!
 よくも おれたちを みんなを おもちゃにしてくれたな!」
 
かみ
「それが どうかしましたか?
 すべては わたしが つくった モノなのです。」
 
1人目
「おれたちは モノじゃない!」
 
かみ
「かみに ケンカをうるとは・・・・どこまでも たのしい ひとたちだ!
 どうしても やる つもりですね
 これも いきもののサガか‥‥
 よろしい しぬまえに かみのちから とくと めに やきつけておけ!!」


その正体はこの世界すべてを作った【かみ】だった。
主人公がその所業を許すはずもなかった。
 
こうして、見事主人公は創造主をも打ち倒す。


主人公が受けた困惑や神とのすれ違いがいかなるものかは上記のセリフがすべて物語っているわけだが、そのうえでこのやりとりは「両者が共感する場面」がない。

  • 主人公からすれば人々をことごとく弄んだという認識だが、かみのセリフから悪意があるかと言われれば疑問。
    • 最初にかみが主人公にかけた言葉は「労いと賛辞」なのだから。
  • 「なにかんがえてんだ」というセリフも主人公サイドからすれば理解できない感想だが、かみからすれば「自分の考えを教えてくれという質問」に聞こえた可能性が高い。
    • 実際、その後のやり取りで、かみは自分の「考え」を明かしている。
  • 「なにもかも あんたが~」「~りかいが はやい」というやり取りも、主人公サイドにとっての呆れであり、かみにとっての感心であった。
  • 「みんなをおもちゃにする」という行動に至っては完全に平行線。主人公サイドの言い分は言うまでもないとして、かみにとっては「創造主として当たり前の権利を行使した」に過ぎない。
    • 神が被創造物の上位存在であるならばそれは「身勝手」だが、悪意の描写に大きな疑問符がつく以上、もはや神とは「被創造物にとっての異物」と言う方が近いのだろう。
  • 両者の会話のドッジボールはとうとう戦いの寸前にいたるまで繰り広げられ、モノじゃないという怒りvs自分の予想を超えて楽しませる人たちを相手取る愉しみ、という構図。

また、呼び出したアシュラが世界をモンスターで覆いつくして荒廃させるという「世界の大変革」をもたらしたにも関わらず、かみにとっては「束の間の暇つぶし」にしかなっていない辺り、時間の尺度も一切異なる存在だった可能性が高い。
そして、このような性質の創造者が「心から感動してお礼を言う」「どんな願いも叶えようと心を動かす」ということ自体、そのやりとりからおそらく初めての体験であったことが予想される(何しろこのゲームを勝ち抜いた相手がこれまでいなかった)。
同時に、主人公が夢見た「遥かな楽園」による恵みが、なにもかも交わることのない両者のすれ違いの中で授けられようとしたのは皮肉極まりない。
 
かみは「被創造物相手に共感しない存在」、すなわち「被創造物と()()()()()()()()()()()()()存在」だったことがここで初めて明かされる。
尺度が違いすぎて交わることがない存在との邂逅、という描写は後の作品にもしばしば登場する場面。
 
もっとも、それら一連のやりとりさえオチの前フリになりうるのが本作なのだが。

余談

WSC版のプロモーションでは当時、かみのセリフの一部が「これ いきもののサガか‥‥」と誤植されており、セリフが改変されている不安が一部で騒がれたとかいないとか。
 
また、サガ2/サガ2DSの【やっと来ましたね。オーディンを倒せるかどうか、ちょっと心配していましたよ】が、これのセリフオマージュではないかという意見もある。