【ミルザとアルドラの語り】

Last-modified: 2018-05-05 (土) 15:32:00

MS

銀の戦士ミルザには多くの仲間がおりましたが、その一人にアルドラという娘がおりました。
アルドラは育ちが悪く、誰からも相手にされませんでしたが、ミルザだけは親しく接したのでした。
アルドラはミルザの助けになりたいと、努力をしました。
やがて、彼女には恐ろしいほどの魔術の天分があることが分かってきました。
しかし、悲しいかな、魔術の訓練をするには、彼女は大人になりすぎていました。
自分の力をうまく使いこなせない彼女は、いつも足手まといでした。
それでもミルザだけは、彼女に優しかったのです。
ミルザがサルーインとの戦いにおもむく前夜、オイゲン公とアルドラには残るように言いました。
オイゲン公はアルドラと一緒の扱いをされたことに激怒しました。
アルドラも必死で頼みましたが、ミルザ以外の仲間に言われたのです。「足手まといだ。」
オイゲン公はミルザに言われたとおりにしましたが、アルドラは違いました。
ミルザ達の後をついて行ったのです。
ミルザは気づいて、何度も帰るように言いました。
アルドラはその度に離れたのですが、またすぐ近づいて後を追いました。
前からも後ろからも敵が現れ、ミルザ達の旅路は苦しいものでした。
仲間の一人が言いました。「ここでアルドラに後ろからの敵を防いでもらおう。」
ミルザは反対しました。アルドラの運命が分かっていたからです。
仲間は言いました。「サルーインを倒すのが君の使命だ。」
ミルザも承知しなくてはなりませんでした。
アルドラはミルザの役に立てることを素直に喜びました。
ミルザはアルドラに最後の贈物をし、別れました。
永遠の別れでした。
ミルザのために、ミルザがサルーインを倒すまでと、アルドラは懸命に戦いました。
しかし、アルドラの命の炎は長くは持ちませんでした。
ミルザの運命を知ることなく、アルドラの命は燃え尽きてしまったのです。

詩人の一言

戦いに犠牲は付き物ですが、悲しい運命です。

プレイヤーノート

  • 長文の為、2つに分割して掲載されている

ミルザとアルドラの語り・1

銀の戦士ミルザの多くの仲間の中に、アルドラという娘がいた。
しかし彼女は育ちが悪く、ミルザ以外誰からも相手にされなかった。
ミルザがサルーインとの戦いにおもむく前夜、オイゲン公とアルドラにはこの地に残るよう言った。
オイゲン公はアルドラと同じ扱いに対して激怒したが、従った。
しかしアルドラは、勝手にミルザの後をついていったのだった。
ミルザは何度も帰るように説得したが、仲間の一人が言った。
「我々の後方から来る敵を防いでもらおう。」

ミルザとアルドラの語り・2

ミルザは反対した。アルドラの運命が分かっていたからである。
だが仲間は言った。「サルーインを倒すのがミルザ、君の使命だ。」
そう言われてはミルザも承知しなくてはならなかった。
ミルザの役に立てることを素直に喜ぶアルドラに
彼は最後の贈物をして、別れを告げた。
ミルザのために、サルーインを倒すまでと、彼女は独り懸命に戦った。
しかし、アルドラの命の炎は長くは持たなかった。
ミルザの運命を知ることなく、アルドラの命は燃え尽きたのである。