私の名前は弓猫 美来(ゆね みら)。ホームレスだ。まるで私を狙ったような暴風でも空きカン拾いを続け、生活をしのいでいる。つい3時間前のことだ。いつもの空きカン拾いをしていると、明らかにデスゲームだと思われるチラシを発見した。私にはもう両親もいない。賞金は30億だそうだ。
「もう失うものはない、いっちょ賭けてみるか。」
そう思いチラシにかかれた指定された会場に集まった。
何人いるだろう。少なくとも1000人はいる。
このゲームの指導者と思われる人物に、一人一人各自白い個別の部屋に案内された。
部屋には拘束具のついた椅子と鉄の扉のみ。
拘束具のついた椅子に座らされ、待つよう指示された。
約一分後、アナウンスが流れた。
「第一ゲームは、食べ物ゲームです。同じ食べ物が二つ出てきます。ひとつは毒いりです。毒入りでないほうを選び、クリアしましょう。」
アナウンスが終わった瞬間、サイレンとともにカレーパンが二つ出てきた。
どちらも完璧に同じに見える。
美来は極度の空腹だったこともあり適当に右のカレーパンを口にいれた。ひとつかんでみると、どうやらそれは毒入りでないほうだったようだ。
目から涙が滝のようにながれた。
しかし、この涙は毒入りでないほうを選んだからではなかった。
「かっ‥噛めたっ…」
そう、美来はホームレスによる虫歯で、奥歯が完全になかったのだ。服もしっかりしたものに着替えさせられ、体臭も臭わない。そんなことが美来には大きな幸せだったのだ。
「神よ…ここがあなたの言う天国ですか?」
「‥このゲームで優勝したとしても…この幸せの場所へ行こう…」
美来はそう決心した。
