2人は松明を1スタック(999本)ずつ持ち、足場をくぐった。
目的すらわかっていないのに。
でも淳は、何か憶えていた。
いつか、どこかで、こんなことを…
惇は必死に思い出そうとした。
なのに、何度試みても記憶は何かに引っかかる。
何か手掛かりでもあれば…
禮「惇?どうした?何してる?」
禮は進んでいた。
その時。
奥底深い闇の中から音が聞こえた。
聞こえたのは確かなのに、その音は一瞬にして記憶から消えてなくなる。
惇の頭の中に電流が駆け巡った気がして、咄嗟に叫んだ。
惇「禮!逃げろ!」
そんなこと言う気はなかった。
なのに、頭が反応した。
あのいつか憶えた記憶は、あと数mm先にまで近づいていた。
惇は訳が分からなくなった。
記憶を一瞬整理した、その時だった。
禮「ぎゃああああぁぁぁぁぁ!!!」
劈(つんざ)く悲鳴と地鳴りが聞こえた。
惇は振り返る。
そこには何かに押しつぶされている禮の死骸があった。
その上には返り血を浴びて赤に染まった頭蓋骨。
頭蓋骨は、僅かに見て取れる微笑みに満ちていた。
その表情を見た惇は、一瞬で背筋が凍った。
逃げなきゃ。
でも、恐怖で足が竦(すく)んで動けない。
惇は、表情を保ったままの頭蓋骨に潰された。
最後に見えたのは、生暖かい鮮血と、薄暗く続く廊下。
そして、同じようにつぶされて原形をとどめていない、禮の死体だった。
ツゞク
- お疲れ やはりカラダ探しはヤバい(一巻思い出しながら) -- アイズ 2019-09-08 (日) 11:33:26
- 訂正:「つ筒」⇒「続く」,「ツゞク」の追加 -- fire 2019-09-12 (木) 20:23:41