スカイ・クロラ
中公文庫
著者―森博嗣

森博嗣はミステリーの方面で人気ある作家だが、この作品にはミステリー要素はない。永遠の平和が訪れた世界で大人になることのない主人公たちがそれぞれの思いを持ちながら戦いに赴いていくという内容。全体として登場人物は皆鬱々としていて、斜に構えた感じのする会話が多い。戦闘場面は事実描写が多く感情表現が少ない。こういう背景の小説としては珍しく、興奮する描写がすくないが、無力感、虚無感といった消極的な負の感情が巧く表現されていると思う。ちなみにこの「スカイ・クロラ」には以降四巻の続編と一巻の短編集があるが時系列的にはこの作品が最後のものとなる。2008年に押井守監督の手で映画化。ただし映画の結末は原作とは異なる。