サマーウォーズ
角川文庫
著者― 岩井恭平

あっついですね。溶けてしまいそうな暑さです。
夜中だというのに蝉達は必死に鳴いているのでなんとなく夏っぽいものを選ぼうと棚を見ていたらお誂え向きのがありました。
未だに高い人気を誇るアニメ映画ですので観たという方も多いかと思います。監督の細田守氏は「時をかける少女」でも有名ですね。
映画のノベライズということで気軽に読めるものに仕上がっていました。前回の「告白」とは正反対に終始明るいです。ある意味ハッピーエンドの約束されたタイプの作品なのでストーリーを追っていく上で大きく動揺することはないかもしれません。ですが登場人物たちのユニークな性格は文面においても健在で、人と人とのやりとり、多様な人物間の関係が魅力的です。読んでいてほほの筋肉が緩んでしまう場面も多々あります。ただ、その多様な登場人物の顔が見られるのは表紙のみなので、読み進めていく上で誰が誰だかわからなくなってしまいやすいです。人物ひとりひとりをさほど深く掘り下げないので曖昧でも大丈夫なのですが、やっぱり覚えられないというのは少しさみしいですよね。そこが映画→小説の難しさなのでしょう。
個人的にはこのような映画から小説、あるいは小説から映画というものの中では良く出来ているものではないかと思います。全体の流れを崩すことなくノベライズすることが出来たという点は評価に値すると思います(←うまく表現できずエラソーな物言いになりました)しばしば起こる小説化による内容の欠落、あるいは付け足しによる混乱といったトラブルを招くことなく良い意味で妥当な作品に完成したと思います。