私家版 日本語文法
新潮文庫
著者―井上ひさし

しばらく見ないうちに後輩(中3)の身長が自分と数センチ差に肉薄していた。にやついた顔が気に入らなかったので縮め縮めと念じながらつむじを押しておいた。
久しぶりに井上ひさし氏。以前の「ブンとフン」とは違い小説ではありません。ではなんなのかと言うと、読んで字のごとく文法書なのです。
「げ、ここのアホの管理人ついに理解もできない癖に難しげな本を読んでインテリぶってるな」と思った皆様、余計なお世話です。しかしながらこのムツかしそうな書名とは裏腹にとても読みやすく愉快な内容です。この「読みやすい」というのはしばしばレポートのために新書本を手にしながら背表紙の解説に書いてある「読みやすい」などとは比較にならないレベルです。文法という勉強する上で我々に降りかかる火の粉も、井上ひさし氏の巧みな筆遣いと卓抜したアイデアにかかれば「ええじゃないか」で降る御札の如く滑稽なものとなります。
この本、翻訳の授業で我々の日本語の使い方に頭を抱えた教授が「このくらいなら君たちでも読めるでしょ」と言って紹介してくれた本だったりします。ええ、読めましたよ先生。ちなみに読後に私の翻訳を見た先生は「君は日本語の使い方は向上したけどポーランド語文法はまだまだだなあ」と言われました。