淋しいおさかな
PHP文庫
著者―別役実

同時に泣きたい衝動と笑いたい衝動に駆られるんです。いっそ分裂して一緒に出来たら楽なんじゃないかしらん。今回はまたサイト担当者の乱文です。
別役実氏による童話集。彼の童話集はこの本と「黒い郵便船」の二冊を読んで、正直小さい頃には読みたくない話もちらほらありました。内容はすごくいいです。が、例えば「白いロケットがおりた街」などは小学生の頃に読んだら泣いてしまったと思います。どの話も、不思議な寂寥感に包まれた童話集です。
NHKで昔アニメ化するために書いた物語群だそうですが、著者本人もあとがきに書いていたように童話にしてはかなり特異なものでしょう。大学生の今読んでみて、ようやく感情が理解できた作品も多々ありました。童話は大きくなってから読み返すと新たな発見がありますね。難しくて厚い本もためになりますし面白いですが、短くて平易な文を使って子供という一番素直に読む者を相手に書いてあるこうした本は本を読むことの深さを改めて教えてくれる気がします。
10月30日午後9時ちょっと前、追記:丁度読んでいた恩田陸さんの「三月は深き紅の淵を」の中に児童文学についてのモノローグがありました。「子供に話をしてやるというのは、なかなかいい手段だ。敵の注意をそらさずに引っ張り続けるには、相当面白いストーリーであることを要求されるだろう」……児童文学というのは「面白くなければ読まれない。易しくなれなければ読まれる資格がない」のですね。むつかしい。
先週以前の数冊
- アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
- ブンとフン
- ねじの回転
- かもめ食堂
- りっぱな犬になる方法
- スローターハウス5
- 八月の博物館
- 太陽の塔
- プラナリア
- スカイ・クロラ
- ロシアより笑いをこめて
- 新版 大統領に知らせますか?
- 船乗りクプクプの冒険
- 農協 月へ行く
- 神を見た犬
- サクリファイス
- 時計じかけのオレンジ
- パイロットフィッシュ
- バカとテストと召喚獣
- エンド・ゲーム
- ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。
- 告白
- サマーウォーズ
- クローズド・ノート
- デカルトの密室
- 会長の切り札
- 当世・商売往来
- 未来いそっぷ
- 早春賦
- シュレック
- 落差
- 私家版 日本語文法
- T.R.Y.
- ぼくのメシャースプーン