誕生日プレゼント バラに思いを込めて

Last-modified: 2008-12-30 (火) 10:56:22

―某所花屋―
トウマ「おっ?修羅のあんたがこんな所に来るなんて珍しいな」
フェルナンド「悪いか?」
トウマ「別に悪くはないさ、それで何かご要望はあるかい?」
フェルナンド「アイビスの誕生日に花を贈りたい、何かあるか?」
トウマ「わかった誕生日用の花だな、ところで予算はどの程度あるんだ?」
フェルナンド「実は…ゴニョゴニョ…」
トウマ「…それはちょっと厳しいな」
フェルナンド「そうか、すまん邪魔したな」
トウマ「お、おい、待てよ!不可能とは言ってないぜ、任せときな、お客の要望に答えるのが俺の義務だ」
フェルナンド「本当か!ならば頼む!!」
トウマ「あんたの現在の予算では、あまり量は買えない、そこはわかるな?」
フェルナンド「ああ」
トウマ「そこでだ!逆に考えるんだ…量がないなら一輪で勝負するんだと」
フェルナンド「おおっ、なんという発想!貴様が神か!?」
トウマ「いや…神ではないな…次は花を決めたいんだけど、あんたにとって彼女はどういう人間だ?」
フェルナンド「いい奴だ」
トウマ「もっと具体的に頼む…」
フェルナンド「あいつは、俺にとって大切な人間だ」
トウマ「なるほど…そうか…うん、ならたぶんこれだな!」
つバラ(赤)
フェルナンド「すまん…礼を言う、………ありがとう」ポツリ
トウマ「いや、いいって、それじゃあ包むけど、サービスでメッセージも付けられるがどうする?」
フェルナンド「そうだな…こんな時、この世界ではなんと言う?それで頼む」
トウマ「わかった、”誕生日おめでとう”にしておくよ」

 

トウマ「よし出来たぜ、おまたせ」
フェルナンド「いくらだ?」
統夜「(企業秘密)円になります」
トウマ「ところであんた?こっから彼女のいる所までかなりあるがどうするつもりなんだ?」
フェルナンド「移動手段には途中まではビレフォールを使う」
トウマ「お、おい、花は鮮度が命なんだぜ?ビレフォールの中で花がしおれちまわないか?」
フェルナンド「…試したことはない」
トウマ「はあ…わかったよ…俺が送り届ける」
統夜「ちょ、ちょっと!!トウマさん!!」
トウマ「なあに…これも配達の一種だ!」
統夜「ええっ!?そんな強引な!!」
フェルナンド「いや…出来るなら俺の手で届けたい」
トウマ「花だけじゃない、あんたもだ!!」
フェルナンド「な、なにっ!?」
トウマ「と、言うわけで後は任せたぜ!バイト2」
統夜「…わかりましたよ…気をつけて行ってくださいね」
トウマ「さて、善は急げだ。さあ乗れ!フェルナンド!!」
フェルナンド「わかった、任せるぞトウマ!」

 

―某所、深夜―
トウマ「ふう、やっと着いた、だいぶ遅くなっちまったな…」
フェルナンド「…アイビス…」
トウマ「まだ諦めるな、今日はまだ終わっちゃいない!」
フェルナンド「…!あれは…!!」
トウマ「どうしたフェルナンド?」
フェルナンド「アイビスだ。あそこの建物●階、窓の近くにいる」
トウマ「見えるのか?」
フェルナンド「影だけだがな、だが見間違いではない」
トウマ「そうか、じゃあ近くに止めるぞ」
―塀の外―
トウマ「どうする?ここから呼べば気がついてくれるかもしれないけど」
フェルナンド「乗り込む」バッ
トウマ「えっ!?ちょっと、おい!!…って、行っちゃった」
―●階、アイビスの部屋―
アイビス「ふう…誕生日も後、数時間で終わりか…」
今年の誕生日も非常に楽しいものだった。ツグミやスレイは言うまでもなく、イルイやゼンガー少佐やアラドにカズマ達…
果ては、謎の人物までもが自分を祝ってくれた
アイビス「けど…来ると思ったんだけどな…」
ツグミのケーキに釣られてくるはずだった人物、Mr噛ませ犬
アイビス「やっぱり修羅にはなじみの薄いイベントだったのかな?」
そんな時、アイビスの目の前に姿を現した一輪の花
アイビス「へっ?」
目を丸くするアイビス。そして、次に目の前に姿を現すのは…
アイビス「フェ、フェルナンド!えっ!?ここって●階だよね?」
フェルナンド「登ってきた」
さらりと無茶なことを言う修羅一名、呆然とするアイビスに不自然な状況のまま、さらに言葉を告げる。
フェルナンド「遅くなったが、誕生日を祝いに来た。受け取ってくれ」
アイビス「あ、ありがとう…」
渡されるままにプレゼントを受け取るアイビス、そしてフェルナンドは
フェルナンド「それじゃあな、さらばだ!」バッ
アイビス「ええっ!?だからここ●階だよ!!」
あまりのことに窓から身を乗り出す。暗くて彼の姿を探すことは出来ない。
アイビス「フェルナンドーーー!!!」
フェルナンドの身を心配して彼の名前を叫ぶアイビス。一瞬の沈黙の後
フェルナンド「なんだー?」
と、いたって平然とした返事が返ってくる。
アイビスは安堵しながらも半ば呆れながら、ふと思い出したことを彼に告げる
アイビス「フェルナンドー?今日ツグミが作ってくれた誕生日ケーキ、チーズケーキだったんだ」
フェルナンド「そうか、よかったなー」
アイビス「でもフェルナンドは食べられなかったでしょー?だからね、今度いつか一緒に食べようねー?」
フェルナンド「わかったー、楽しみにしているー」
アイビス「そうだフェルナンドー、プレゼントありがとねー、とっても嬉しいよー」
フェルナンド「喜んでもらえて俺も嬉しいー、あっ、それから、アイビスー?」
アイビス「なあにー?」
フェルナンド「”誕生日おめでとう”、じゃあなー」
アイビスは目を凝らしたが、やはりフェルナンドの姿を発見することは出来ない。
アイビス「ふふっ…ありがと」
ガチャッ
イルイ「どうしたのアイビス?」
アイビス「あっ、見てイルイ、フェルナンドがね?お花を持ってきてくれたんだ」
イルイ「そっか、よかったねアイビス」ニコッ
アイビス「あっ、そうだ。このままにしとくとしおれちゃうね。花瓶を探さないと」
イルイ「私も手伝うね」
アイビス「ありがとう、イルイ。ツグミー?花瓶ってどこにおいてあったっけ?」
その時、バラの包みから一枚のカードがこぼれ落ちた。そのカードにはこう記してあった
”誕生日おめでとう”私の大切な人

 

翌日、周囲の人々がこの深夜に大声でのお喋りの話題で持ちきりだったのは言うまでもない