出動!ちびっこ自警団 (1)

Last-modified: 2021-09-08 (水) 18:37:51
910 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:18:51 [ LaCVn4Ks ]
かなり緊張な本スレ初投稿です。練習スレ出身の新米ですが、どうぞよろしく。

<はじめに>

この作品にはモナーやモララーの子供が出てきますが、それらのキャラは便宜上「ちびモナ」「ちびモラ」と表記します。
公式にそういったキャラが存在するかはわかりませんが、この作品オリジナルの設定という事でどうかご了承下さい。
それではいってみます。


【出動!ちびっこ自警団】


ここはとある町の、『AA平和記念公園』。
昔、AAの人権がほぼ平等になると法律で定められた際、それを記念して創られた公園である。
豊富な遊具や備え付けられたベンチに水道、そして結構広い広場など、なかなか充実している。
その広場の少し隅の方で、数人の少年少女がなにやら騒いでいる模様。さて、何をしているのやら・・・?

「だ~か~らぁ!今日は鬼ごっこで遊ぶのがいいって何度言ったらわかるデチか!」

「いいや、かくれんぼの方がいいに決まってるんだからな!」

「それよりサッカーの方が面白いモナ!」

そこにはちびギコ、ちびモナ、ちびモラ、ちびしぃがいた。
どうやら、何をして遊ぶのかで意見が分かれているらしい。
見たところ、ちびギコは鬼ごっこ、ちびモラはかくれんぼ、ちびモナはサッカーが良いと言って譲らないようだ。
そんな3人の様子を、ちびしぃはおろおろしながら見ている。

「みんな落ち着いて・・・喧嘩は駄目だよ、ね?」

小さな声で皆を説得しにかかる。すると3人はちびしぃの方を向き、

「こうなったらちびしぃちゃんに決めてもらうんだからな!」

「それなら平等デチ!」

「それがいいモナ。恨みっこは無しモナ!」

「え、えぇぇ・・・?」

いきなり話を振られてちびしぃは戸惑ってる模様。そして3人は同時に詰め寄った。

         鬼ごっこ        デチ
「ちびしぃちゃん、かくれんぼ の方が、良いに決まってる よね!!?」
         サッカー        モナ

「ふぇぇ・・・」

3人のあまりに凄い剣幕に、ちびしぃは今にも泣きそうだ。
さて、何故こんな事になったのかと言うと・・・まあ、あえて説明するまでも無いかとは思うが。
時は3月中旬。春休み直前で学校が午前中に終わった為、仲良しのこの4人組は公園で遊ぶ約束をした。
集合した後、早速「何して遊ぶ?」という話になった。
皆は口々に「缶蹴り!」「縄跳び!」等と案を出していった。
最初はただ浮かんでは消えていくだけだったのだが、子供というのは気まぐれな生き物だ。
何の前触れも無く唐突に、それぞれ鬼ごっこやらかくれんぼやらがやりたくて堪らなくなったのだろう。
そして互いに譲るに譲れず、現在に至るわけだ。

911 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:19:36 [ LaCVn4Ks ]
「こうなったら勝負して決めるからな!」

ちびモラの突然の提案に、2人は聞き返した。

「勝負って・・・」

「何モナ?」

ちびモラは2人に説明をしてみせた。

「だから、今から勝負をして、勝った人が何で遊ぶかを決める。どう?」

これなら確かに平等だ、と2人は賛同した。

「じゃあそれに決定デチ!」

「モナも良いと思うモナ。でも、勝負って・・・?」

よくぞ聞いてくれた、と言わんばかりにちびモラは言い放った。

「ふふふ・・・それは、かくれんぼで勝負だからな!最後まで見つからなかった人が勝ち!」

「その勝負、受けて立つデチ!」

ちびギコは即座に乗ってきたが、ちびモナは少しの間思案をした後、ハッとした。

「・・・ってちょっと待つモナ!それじゃ結局かくれんぼをする事になるモナ!」

ちびモナの指摘に、ちびモラはばつの悪そうな顔をして、「バレちゃった・・・」と呟く。
ちびギコもようやく気づいたようだ。

「あっ!・・・ちびモラ、策士デチね・・・」

その様子をちびしぃは微笑みながら見ている。
何だかんだで仲の良い4人組。とても微笑ましい光景ではないか。
だが、次の瞬間――

「ハニャーン!」

微笑ましい雰囲気を根底からぶち壊す、悪しき者の声が公園に木霊する・・・。

912 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:20:28 [ LaCVn4Ks ]
「アフォしぃデチ・・・」

ちびギコが舌打ち交じりに呟いた。
説明するまでも無いとは思うが、アフォしぃとはしぃ族の中で思考回路やら精神構造やらがどこか欠如しているしぃの事を指す。
総じて異常なほどの自己中心的な思考、言動、行動を特徴とし、その為かなり忌み嫌われている存在である。
アフォしぃによる被害(窃盗・傷害etc・・・)がかなり増えている為、アフォしぃに関しては駆除――所謂「虐殺」が認められている。
冒頭で人権がほぼ平等になった、と述べたが、そこに『ほぼ』がつくのにはここに理由がある。
―――説明はこの辺でいいだろうか?では本編に戻ろう。
たった今、公園のマターリとした雰囲気をぶち壊したのは2匹のしぃ族と1匹のベビしぃだ。ベビは恐らくどちらかの子供だろう。
もうお分かりとは思うが、この2匹はアフォしぃだ。見た目は通常のしぃと変わらないが、雰囲気や言動で簡単に見分けがつくとか。

「遊びに来た・・・わけじゃなさそうモナね」

「そもそもアフォしぃが、仲良くするなんて精神を持ち合わせているとは思えないからな・・・」

ちびモナとちびモラがこんな会話を交わしている間に、3匹は『侵略』を開始していた。

「ジャマヨ、 コノクソチビドモ!シィチャンノ タメニ ソコヲ ドキナサイ!」

「アンタタチミタイナ ゴミニ コウエンデ マターリスル シカクハ ナイノヨ!」

「サッサト ドクデチュ!コノテイノウ!」

そんな暴言を吐きながら、3匹は砂場で遊んでいた幼い子供達を、半ば暴力沙汰で追い出していった。
いくら虐殺対象とされるほど弱いアフォしぃでも子供では勝てない。
可哀想な子供達は、半ベソをかきながら公園から走り去っていった。
次に3匹は、遊具で遊んでいた子供達を追い出しにかかった。

「アンタタチハ イエデ ヒキコモッテリャ イイノヨ! コノ ゴミクズ!」

先程と同じような事を喚きつつ、やはり子供達をたたき出してゆく。
ちびギコ達はその中に、見知った顔を見つけた。

「あっ、あいつ!丸モナデチ!」

そこにいたのは同じクラスの丸耳モナー(もちろんちび)だった。隣にいる幼い少女は彼の妹のようだ。
丸耳モナは勇敢にも、アフォしぃ達に食って掛かっていた。

「お前ら!公園は皆で使うものだろ!こんな事していいと思ってるのかよ!」

丸耳モナが叫んだ。しかし、次の瞬間・・・

ドムッ!

アフォしぃが地面に叩きつけた棍棒の音に竦み、口を閉ざしてしまった。

「ナニカナ? ゴミチビサン?」

アフォしぃはニヤニヤとした笑みを浮かべている。見てるだけで気分が悪くなる、嫌な笑みだった。
アフォしぃに常識は無い。その気になれば女、子供、赤ん坊、何であろうと平気で殺す。
彼はそれを知っていた。妹思いな丸耳モナは妹に危害が加わる事を恐れたのか、それ以上何も言えずに妹の手を引いて踵を返した。

「もう帰っちゃうの?まだ遊びたいよぉ」

丸耳ガナーの妹がつまらなさそうに呟く。
彼女は幼さ故、今の状況を理解していないようだった。
丸耳モナは妹の頭を撫でながら、

「ごめんな。帰ったら兄ちゃんがいっぱい遊んでやるからさ・・・」

そう宥めつつ、公園を去っていった。
彼は去り際に、ただ一言

「―――ちくしょう・・・」

心の底から悔しそうに呟いた。

「ハニャーン!クズノ ブンザイデ コノ カワイクテ ツヨk(ry)ナ シィチャンニ サカラウンジャ ナイワヨ!」

「マ、ゴミクズナンテ ショセン コンナモンヨネ」

「チィチィ!バカスギデチュ、ミテラレナイ デチュ!」

アフォしぃ達の罵倒。3匹は妹思いの立派な少年に、暫く暴言を浴びせ続けた。
それを聞いたちびギコは、どうにもし難い憎悪をアフォしぃに対して覚えた。我知らず、ぎりぎりと歯軋りが漏れる。
それは残りの3人も同じだった。だが、どうすればいいのか?
その時―――不意に、ちびギコの携帯電話が鳴った。

913 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:21:23 [ LaCVn4Ks ]
「もしもしデチ」

ちびギコが電話に出ると、電話口から大人の男性の声が聞こえてきた。

「やあ、ちびギコ君かい?突然ごめんよ」

「あ、モララーおじさんデチか」

電話の相手は彼らが『モララーおじさん』と呼んで慕うモララーだった。因みに、ちびモラの父親でもある。

「君達、今4人で遊んでいるんだろう?ちょっと依頼が入ったんだけど、今大丈夫かい?」

ここでモララーの口から出た『依頼』という言葉。これは何を意味するのだろうか?
まあ、これについては後ほど説明することになるので、今は話を先に進めよう。

「モララーおじさん。その依頼内容ってもしかして・・・」

ちびギコはちら、と後ろを見た。
3匹のアフォしぃ(内1匹ベビ)が、誰もいなくなった砂場でくつろいでいる。
まさに『我が物顔』といった体だった。
ちびギコは視線を戻し、話を続けた。

「・・・『AA平和記念公園』のアフォしぃの事デチか?」

すると、モララーは少々驚いた声色で、

「おや、どうしてわかったんだい」

と言う。
ちびギコが返した。

「だって、僕達もそこで遊んでたデチから」

モララーは、なるほど、と呟いてから、

「なら話は早いよ。受けてもらえるかな、この依頼。今、私達はちょっと手が離せなくてね。
 もちろん、ギャラははずむよ?」

そう続けた。
ちびギコは3人の方を向いた。すると、まるでそれをわかっていたかの様に、3人が同時に頷いた。
ちびギコは自分も頷きつつ、

「わかったデチ。僕達にお任せデチ!」

元気良く告げた。

「ありがとう、助かるよ。あ、既におにぎり君がそっちへ行ったからね」

モララーが言い終わらない内に、

ブロロロロロロ・・・

バイクの音が近づいてきた。

914 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:22:14 [ LaCVn4Ks ]
バイクは4人の子供達の前で止まった。アフォしぃ達は気付かない。
ヘルメットを脱ぐと、おにぎりの顔が現れる。こちらも大人。

「ちびちゃん達、こんにちわっしょい」

「こんにちは~!」

おにぎりの挨拶に、4人が揃って元気に返す。
ちびギコは再び電話に戻る。するとモララーの声が聞こえてきた。

「じゃあ、後はおにぎり君に聞いておくれ。私はお客さんが来ちゃったから、これで」

「は~い。モララーおじさん、ありがとうデチ」

ちびギコが言うと、モララーは「じゃあ、よろしくね」と残し、電話を切った。
ちびギコはおにぎりに向き直る。
おにぎりはそれを待っていたらしく、話を始めた。

「ええと、今回の依頼は、あのアフォしぃ達の駆除、または撃退わしょーい」

言いながら親指で背後のアフォ3匹を指差す。頷くちび達。

「ギャラは、駆除なら500円分、撃退なら300円分だわっしょい。あ、ベビはどっちでも200円だよ。
 そうそう、武器はこの中にあるわっしょい」

そう言いながらバイクの荷台から降ろしたのは木製の大きめの箱。

「いつも言ってるけど、くれぐれも気をつけて欲しいわっしょい。
 危なくなったら逃げるんだよ?」

おにぎりの心配を含んだ声に、4人は再び一斉に「は~い!」と返事した。

「それじゃあ、僕はもう行かなきゃ。僕もまだ仕事が残ってるからね。
 それじゃあちびちゃん達、頑張るわっしょい!」

言いながら、おにぎりはヘルメットを被り、バイクに跨った。
なお、おにぎりとモララーはこの町の引越し業者で働いている。
春は引越しのシーズンなので、なかなか繁盛しているようだ。
ちび達が手を振ると、おにぎりも手を振り返す。
ひとしきりそうしてから、おにぎりはバイクをブオン!と唸らせ、そのまま出口へと走り去って行くのだった。

915 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:23:05 [ LaCVn4Ks ]
さて、ここまで読んでいただけたなら、ちび達の『任務』がどのようなものか、お分かり頂けただろう。
この4人のちび達は、普段は普通の小学生だ。
しかし、こうしてたまにアルバイトとして、アフォしぃ等の害獣駆除を請け負ったりするのだ。
もちろん、あまりに危険な任務―――相手が武装している等―――の場合は請け負わない。
彼らがこなす任務は、あまり危険でなく、なおかつ大人が行けない場合に限る。
まあ、それでも結構依頼は多かったりするのだが。

「おお~!ちゃんとリクエスト通りに入ってるデチ!」

武器の入った箱を開けたちびギコが歓喜の声を上げた。
どうやら事前に武器をリクエストしていたらしい。

「ということは、この中身は・・・」

ちびモラが箱の中にあった何かを掴み上げる。
ちゃぽん、と音がした。どうやら液体が入っているようだ。

「そ。例の『アレ』に違いないモナ!」

ニヤリと笑ってちびモナが言った。一体何が入っているのかは―――まあ、後にわかるだろう。

「ねえ、それよりもさ・・・」

ちびしぃの声に、3人が一斉に振り返った。

「ちびしぃちゃん。どうしたモナ?」

ちびモナの問い掛けに、ちびしぃは砂場の方を指差して言った。

「早くやっつけないと・・・公園が汚れちゃうよぉ」

指差した方向を見た3人は、絶句。
そこに広がっていた光景は、見れば常人なら誰だって胸が悪くなるだろうと思うほどの物だった。
アフォしぃ達は、早くも砂場の周り一体を糞尿で汚しまくっていた。
一体全体、その体のどこにそんなに溜め込んでいたのか、と思わず小一時間問い詰めたくなる程の汚物の量。そして常識を逸脱した悪臭。
四字熟語で表すなら『阿鼻叫喚』或いは『地獄絵図』と言った所か。
そして今まさに、ベビが汚物をさらに生産している所だった。それも砂場のド真ん中。

「ハニャーン!コレデ ギャクサツチュウノ コウエンモ スコシハ ミバエガ ヨクナッタワネ!」

「マッタク、セッカク カワイイ シィチャンタチガ キテアゲタ ダケジャナク コウエンヲ コンナニ ウツクシク シテルノニ!
カンシャノ ダッコノ ヒトツモ ナイノ?」

「チィ!ギャクサツチュウノ スナバモ チィノ ウンチサンデ キレイニ ナッタデチュ!」

好き勝手ほざくアフォしぃ達を前に、4人の怒りは沸点を超えようとしていた。

「ぬおぉぉぉ~!も、もう許さんデチ!」

既に怒りが飽和しかけたちびギコが怒りを露わにする。

「・・・同感モナ。奴らには、それなりの報いを受けてもらうモナ」

ちびモナも、静かに怒りを滾らせているようだった。

「――じゃあ、『あの方法』を実行しようか。あれなら、相当な苦しみを味わわせられるはずだからなっ!」

ちびモラの提案。彼の言葉は、後半部分が憤怒の余りに上擦りかけていたが、誰も気にしなかった。

「賛成よ、ちびモラ君」

ちびしぃも賛同した。彼女は表情自体にはあまり変化は無かったが、

「・・・もうあいつら、生かしてなんておけない。絶対に許さないんだから・・・」

心の底ではマグマの如く、怒りが煮え滾っていた。
誰よりもこの公園を愛していたちびしぃ。その分、それを汚された怒りは並大抵のものではなかった。

「それじゃあ―――」

4人は一斉に、大切な公園を汚し、住民や友を傷つけた憎き敵を睨み付けた。そして、箱に腕を突っ込む。

「―――逝くデチっ!」

ちびギコの号令と共にちびしぃを除いた3人が、一斉にそれぞれの『武器』を箱から取り出した。





『ちびっこ自警団』 出動―――!

916 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:23:56 [ LaCVn4Ks ]
「マッタク!ナンデ コンナニ カワイイ シィチャンガ イイコト シテルノニ ダレモ ダッコ シナイノヨッ!ショセンハ ギャクサツコウエンネ!」

「ツイデニ アマクテ ヤ(ry)ナ タベモノモ モッテキナサイヨ!」

「ナッコ!コウピ!ナッ(ry」

相変わらず好き勝手喚き散らすアフォ3匹。
そいつらにある程度近づいた後、ちびギコがわざと聞こえるように言った。

「何をほざいてるデチかねぇ。人がいないのは自分達が追い出したからのくせに・・・」

するとここでようやくしぃ達は4人に気が付いた。

「チョット!ソコノ クソチビドモ!シィチャンタチガ コウエンヲ キレイニ シテヤッタンダカラ ダッコシナサイ!」

「オナカモ スイテルンダカラ アマ(ry)ナ タベモノモ モッテキナサイ!ノウナシドモ!」

「ナッコー!コウピー!」

突きつけられる自分勝手な要求と暴言の嵐。まるでガトリング砲の如し。
その大音声に顔をしかめながら、ちびモナが言う。

「それが人に物を頼む態度モナか・・・」

「まあ、丁寧にお願いされたって聞く気なんか毛頭ないけどな~」

ちびモラも同調して言った。
するとアフォしぃ達からの音量が3倍になった。

「シィィィィィィィ!ナニヨ コノ ゴミクズガ!アンタタチノ ギャクサツコウエンヲ マターリナ コウエンニ シテヤッタノハ ダレダト オモッテンノヨ!」

「ソウヨ!ホントウナラ ヒャクオクマンエン モラッタッテ ツリアワナイノニ トクベツニ ダッコト タベモノト フクジュウデ ユルシテヤッテルノヨ!」

「ナッコナッコナッコナッ」

「黙れぇっ!!!」

その瞬間、ついに怒りを爆発させたちびギコが吼えた。
その剣幕や威圧感は幼くてもまさにギコそのもの。これにはビクリとしてしぃ達も口を閉ざした。

「何がダッコだ、何が感謝だっ!こっちこそ、お前らを百億万回地獄に叩き落したって気が収まらないのに、
 特別に1死だけにしてやる所なんデチ!お前らのせいで、お前らのせいでっ・・・」

「ちびギコ、落ち着くモナ」

なおも怒りにまかせて怨嗟の叫びを放ち続けようとするちびギコを、ちびモナが宥める。

「ここで怒りにまかせてヌッ頃しちゃったら、例の『作戦』が台無しモナ。
 ここは堪えるモナ・・・」

ちびモナの耳打ちに、ようやくちびギコも落ち着きを取り戻した。
ぜぃぜぃと肩で息をしながら呟くように言う。

「ごめんデチ。つい熱くなったデチ・・・」

「まあ、それもわかるモナ」

うん、と相槌を打ってちびモラも言う。

「僕だって、出来るのなら今すぐに3匹ともズタズタにしてやりたい所だからな」

ちびしぃもコクコクと頷いている。
さて、ちび達がひそひそと話し合っている間に、あちらも立ち直ったようだ。

「シィィィィィ!コノ シィチャンヲ オコラセタワネ!ゴミクズノ ブンザイデ!」

「アンタタチハ モウ シケーイ ケテーイヨ!クズニ フサワシイヨウニ コロシテヤルンダカラ!」

「チィィィィ!コウピコウピコウピコ(ry)」

どうやら殺る気まんまんのようである。ベビは同じ事をずっと喚いているが。

917 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:24:37 [ LaCVn4Ks ]
「戦闘開始デチね・・・」

呟き、ちびギコは武器を取り出した。
それは、黒光りする拳銃―――

では無く、エアーガンだった。
当たればそれなりに痛いだろうが、殺傷能力はとても期待できそうに無い代物だ。
アフォ3匹もしばしポカーンとした後、

「( ´,_ゝ`)プッ ソンナノデ シィチャンタチヲ タオスキ ナノ?ヴァカイガイノ ナニモノデモ ナイワネ!」

「ヤッパリ タダノ クソチビネ。アタマガ イカレテルニ チガイナイワ!」

「ヤーイ コノ ノウナシ!サッサト ナッコカ コウピ シナチャイ!」

お得意の罵倒&嘲笑を浴びせてくる。
しかしちびギコはこれっぽっちも動じない。まるで、それでシナリオ通りだとでも言う様に。

「マ、コレイジョウ コノヴァカドモニ イキハジヲ カカセルノモ カワイソウネ。サッサト アボーンスルワヨ!ウーン、シィチャンッテ ナンテ ヤサシイノ!」

そんな事を言いつつ、右側にいたアフォしぃが接近してくるのを確認したちびギコは、突然

「まぁまぁ。そんな事言わずに、ちょっと上を見てみるデチ」

そんな事を言い出した。

「ハニャ、ウエ?」

アフォしぃは言われた通りに上を見上げる。どうやら完全に油断しているようだ。

「ソラシカ ナイジャナイ!」

「そうデチ。雲一つ無い、綺麗な綺麗な青空デチ」

そんな会話を交わす。

「ナニヨ!ソラナンカ ミタッテ ナンニモ ナンナイワヨ!」

アフォしぃが喚く。そりゃそうだろう。残りのアフォ2匹、さらにはちび3人も訳がわからない様子だ。

「まったく・・・何を言ってるデチか。これは僕からの、最後の温情だったのに」

ちびギコが言う。それと同時に、エアーガンをゆっくり前方に構えたが、相手は上を見ている為気付かない。
ちびギコの意味深な発言に、アフォしぃが反応した。

「ナニヨ、ソレ・・・ドウイウイミヨ?」

その言葉に、ちびギコはゆっくりと答えた。

「だって、お前はもう・・・」

一度言葉を切り、そのまま一気に続けた。

「この綺麗な青空を、楽しむ事が出来なくなるんデチから」

「ハニャ、ソレッテ ドウイウコ」

言いながら顔を戻した刹那、


バシュッ!バシュッ!


圧縮した空気を吐き出す音が1回、2回。
そして続けざまに、


グチャッ!グチュッ!


何か水分を多量に含んだ柔らかい物を潰した、そんな音がこれまた1回、2回。
そして・・・

「ハギャァァァァァアアアア!!シィチャンノ カワイイ オメメガァァァァァ!!」

鼓膜も破れんばかりの大絶叫が、公園に轟いた。
それは、ちび達の反撃開始の合図のサイレンでもあった。

918 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:25:07 [ LaCVn4Ks ]
「ハニャァァァァァ!?ナニガ オコッタノォ!?」

「チィィィィィ!ナッコナッコナッコー!」

アフォ2匹も叫ぶ叫ぶ。五月蝿いことこの上なかった。
一方ちび達は。

「す、すごいモナ・・・」

ちびモナの呟きに、ちびギコがくるりと振り向きざまに答える。

「う~ん、さすがモララーおじさんデチ。いい仕事してるデチねぇ」

「じゃあ、父さんに報告しておくからなっ!」

ちびモラも嬉々として言った。
見た目ではわからないが、ちびギコが持つエアーガン、実は特殊改造がなされており、威力がかなり高まっているのだ。
発射するのはBB弾なので毛皮に覆われた皮膚を破ることは出来ないが、しぃの眼球くらいなら容易に破壊することが可能だった。
ちびギコの放ったエアーガンは正確にアフォしぃの眼球を貫いた。なかなか見事な腕前だ。

「オメメ イタイヨォォォォ!ナニモ ミエナイヨゥ!ハニャーーン!ハニャァァァァァン!!!」

眼球を撃ち抜かれたしぃは泣き叫ぶ。見れば、目があった所から鮮血と何やら緑がかったドロリとした液体が流れている。
スプラッタ映画にノーメイクで出演できるほどにグロテスクな光景であったが、ちび達は動じない。慣れているらしい。

「シィィィィ!シィチャンニ コンナコトシテ ユルサレルト オモッテルノォ!?モウユルサナイワ!」

「チィタチノ マエニ ヒレフシナチャイ!コノ ギャクサツチュー!」

残り2匹が喚きつつ、向かってくる。

「オメメー!オメメー!ハニャハニャハニャァァァァァン!!!」

眼球を撃ち抜かれた方はさっきからずっと泣き叫んでおり、耳が痛い。
我慢できなくなったのか、ちびモラがそのしぃに近づいていき、胸倉を掴み上げる。

「さっきから五月蝿いからな。少し黙っててもらうからな・・・」

「オメメ カエシナサイ!コノ ギャクサツチ」

ズン!

言い終わらない内に、ちびモラはその拳をしぃの鳩尾に沈めていた。
しかし、子供の力では気絶させるには至らなかったらしく、しぃは

「オェェェェ!ゲホッ、ゲフッ・・・」

かなり苦しそうだ。咳き込み、嗚咽を漏らしながらのた打ち回る。
経験がお有りの方もいるだろう。中途半端に鳩尾に攻撃を食らうと、しばらく息が出来なくなるアレである。
まあ、これでしばらくは静かになるだろう。

「シニナサイ、コノ ゴミクズドモ!」

「チィィィィ!ツイデニ コウピモ シナチャイ!」

残り2匹が近づいて来る。
ス、と一歩前に出たのはちびモナだ。

「今度はモナがやるモナ!」

そう言って取り出したのは、2本の木刀だった。
2本とも割と短めだ。恐らく30cm前後だろうか。しかし、子供にはピッタリの長さと言える。

「ソンナ モノデ コノ ウツクシキ マターリノショ(ry)デアル シィチャンヲ タオスキナノ!?ハニャーン!ヤッパリ ヴァカネ!」

しぃが言いながら走ってくるのを見て、ちびモナが動いた。

「隙ありモナっ!」

ドガッ!

「ハギャッ!」

素早く体当たりを食らわせ、転倒させる。
そしてすぐに双木刀を構えると、

「おりゃあぁぁぁぁぁ!!」

雄叫びと共に、倒れて動けないしぃに向かって右手の木刀を思いっきり右足目掛けて振り下ろした!

919 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:25:45 [ LaCVn4Ks ]
バキィッ!


振り下ろした木刀は、見事にしぃの向こう脛にヒットした。

「ハギャァァァァ!イタイヨウゥ!」

脛を思いっきり殴られりゃそりゃ痛い。しかも、硬い木刀なら尚更だ。
ちびモナは間髪入れずに、左右の木刀を連続して、右足に滅茶苦茶に叩き付けまくった。

バキィッ!バキョッ!ドギャッ!

「ハギャッ!ハギィィッ!シィィィィ!イタイヨゥ!ヤメテェェェ!」

ドガッ!ガッ!ゴシャッ!

「イタイイタイ!シィィィィィ!アンヨガ ツブレチャウヨゥ!ハギャァァァァ!」

大人の力ならアフォしぃの骨など一撃で砕く事も可能だろう。
だが、子供の力ではどうだろうか。アフォしぃとはいえ大人。子供にとってはそれなりに硬い。
だが、それが逆にしぃの苦しみを増大させる結果となっていた。
質で駄目なら量。一撃で駄目なら何度でも。
ちびモナの連続攻撃は、じわじわと嬲るようにしぃを痛めつけていった。
いつしか右足は異様な形に変形し、ちびモナは左足に取り掛かっていた。

グシャッ!ドシャッ!ゴシャッ!

「ジィィィ・・・イタイヨゥ・・・シィノ、シィノ、アンヨォォォゥ・・・」

激痛のあまりか、半ば逝きかけた虚ろな目をしたしぃが、微かな悲鳴を漏らす。
左足もぐしゃぐしゃに変形し、なんだかびろーんと伸びている。まるでのしイカのようだ。
そういえば途中から音が変になってたっけ、と思ったちびモナは、殴るのを止めて、思いっきり木刀の先で左足を刺すように押してみる。
じゃりっ、というなにか細かい硬い物が擦れる音。どうやら完全に足は砕けてしまったようだ。
それと同時にしぃはビクン、と一瞬体を震わせた後、

「ハギャァァァァァァァァン!!イタイヨゥゥゥゥ!!」

耳を劈く悲鳴をあげた。やっぱり痛いか、とちびモナはにやにやした。

「これでお前はもう動けないモナ~♪」

歌うように告げると、アフォしぃはちびモナをキッと睨み、

「シィチャンノ アンヨヲ カエシナサイヨ!コノ ギャクサツチュウノ クソチビガッ!」

と喚いた。足を砕かれてもこんな発言が出来るのは流石と言って良いのだろうか。

「五月蝿いモナ、お前も静かにするモナ」

しぃの声を耳障りに感じたちびモナは、右手の木刀でしぃの顔を思いっきり殴打した。

バキョッ!

「ハギャゥッ!」

どさりと倒れ、ぴくぴくと体を痙攣させるしぃ。実に静かになった。

「チィィィィ!マァマニ ナニヲ スルデチュカ!ユルサナイデチュヨ!」

今度はベビだ。どうやら、ちびモナが足を砕いたしぃのベビらしい。
地面を這うようにして向かってくるベビに、立ち塞がる影。

「お前の相手は僕だからなっ!」

ちびモラが、小さな布袋を持って立っていた。

920 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:26:15 [ LaCVn4Ks ]
「ヴァカナ クチョモララーニ コノ カワイイ チィガ マケルワケ ナイデチュ!ワカッタラ サッサト コウピ シナチャイ!コウピコウピコウピ!」

そんな事をほざくベビを前に、ちび達はひそひそと話し合い。
因みに、先程までベビは「ナッコ」も要求していたが、いつの間にか「コウピ」一本に絞ったらしい。

「コウピって・・・何?」

「多分、『交尾』の事だと思うモナ」

「交尾ってあれでしょ?虫とかが卵生む前にするやつ」

「えぇ!?じゃあ、アフォしぃとの子供生むって事デチか!?」

「げげぇ~~っ!そんなの死んでも嫌だからなっ!」

この辺の教育がなされていないのは小学生だからという事でご勘弁して頂くとして。
露骨に嫌な顔をしたちびモラが吐き捨てた。

「誰がっ!死んでもお断りだからな!」

するとベビは暴れながら大声で、

「チィィィィィ!!コウピシナチャイヨー!コウピコウピコウピィィィ!チィノ(これ以降は卑猥な単語の羅列となった為自主規制)!!!」

とても表に出せないような放送禁止用語を連発し出した。
純粋な少年少女には到底理解出来ず、ちび達は『?』顔。
しかし、もしこの場に学校関係者が居たら、アフォしぃ達はちび達が手を下すまでも無く、PTAに抹殺されていただろう。

「何だかよくわからないけど・・・容赦しないからな!」

ちびモラはベビに走り寄った。
ベビはちびモラがコウピしてくれると勘違いしたらしく、半ば恍惚の表情で

「ハナーン♪ハヤク コウピ シナチャイ!コウピ コウピィー♪」

そんな事を言っている。
まあ、当然ちびモラにそんな気は無いわけで。
ちびモラは片手でベビの首根っこを掴んでひょい、と持ち上げると、腰から下げた布袋をもう片手で探った。
そしてお目当の物を探り当てると、ッパ、と取り出した。

「まずはこれだからな!」

そう言いながらちびモラが取り出したのは・・・ペンチだった。
言わずもがな、工具の中に含まれるあのペンチだ。
ベビはちびモラに背を向けるように掴まれている為やはり気付かない。
来るはずの無いコウピを今か今かと待っているようだ。

「じゃあ、逝くからな!」

ちびモラは皆に合図をすると、ペンチでベビの頬を軽く挟んだ。

「ハナ?」

ベビは今から自分に降りかかる災厄にまったく気付かない。
そして―――

「そりゃあっ!」

掛け声と共にちびモラは、ペンチを握る手に思いっきり力を込めた。

ギュウウウウ~・・・

ベビは瞬間、目をカッと見開き、そして

「ギヂィィィィィィ!!!」

親に負けない大音声で叫んだ。

921 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:26:47 [ LaCVn4Ks ]
ギリ、ギリ、ギリ・・・

どんどん締め付けが強くなるペンチに頬を挟まれたベビはさらに悲鳴を上げた。

「ヂィィィィ!イチャーヨ、イチャーヨォ!マァマーー!!」

「今度は捻りを加えてぇ~・・・」

ちびモラは宣言通り、万力のように思いっきり頬を挟むペンチを、これまた思いっきり捻り上げた。

ギリギリ・・・ミチ、ミチッ・・・

「ヂィィ、ヂ、ヂギャァァァァァァ!!?イヂャァァァァァ!!」

これは相当な苦痛だろう。ただでさえペンチに挟まれ痛いのに、それを捻り上げられたのなら悲鳴が上がって当然だ。
餅のように伸びるベビの頬。それに引っ張られるように口が開き、歯茎まで見える。
と、その瞬間。

「ベビチャン!」

母であるアフォしぃ(足を砕かれた方)が目を覚ましたようだ。そして、懸命に動かない足の代わりに手をパタパタと振る。

「ベビチャンヲ ハナシナサイ!コノ ギャクサツチュウ!」

そしてお決まりの台詞。それが聞こえたらしく、ベビも反応した。

「マ゙ァマ゙ーーー!ナッゴ、ナゴナゴーー!ヂュィィィィィィ!!」

この期に及んでナッコか、とちびモラは苦笑しながら、親に向かって言い放つ。

「今離してやるからな」

「エ?」

親しぃが怪訝な顔をするかしないかの内に、ちびモラは皮膚も千切れよと言わんばかりに、ペンチを思いっきり引いた。

バッチィィィィン!!

瞬間、ペンチはベビの皮膚から外れた。
だが、だいたい想像がつくだろう・・・無理矢理引き離す瞬間が一番痛いという事は。

「イヂャァァァァァァァァァァァァ!!?」

ベビの凄まじい悲鳴。最早騒音公害レベルだ。
親しぃもこれまた苦情が来そうな程の大声で叫んだ。

「シィィィィィィィィィ!!!ベビチャンガー!ヤメナサイ、ギャクサツチュウ!!」

「離せって言われたから離したのに、その言い草は酷いからな!」

ちびモラはそう返しながら、今度は布袋からニッパーを取り出す。
模型工作などをしない人には分かり辛いかもしれないので念の為補足。
ニッパーとは、要するにペンチの先の部分を刃に変えたような物である。
ペンチは「潰す」のに対し、ニッパーは「切り裂く」目的で使用する。
プラモデルの部品をランナーから綺麗に切り離すのによく使われている代物だ。

「ヂィィィ・・・イチャーヨゥ・・・」

ベビは当然まだ生きている。その頬は真っ赤に腫れ上がって裂傷が出来ており、血が流れ出ていた。
その首根っこを、再びちびモラが掴み上げる。

「イチャイノ ヤーヨゥ・・・ナコ、チテヨゥ・・・」

そんな言葉が聞こえるが、無視!
ちびモラはニッパーで今度はベビの耳を挟む。
小さくて薄いベビの耳なら、刃の小さいニッパーでも挟む事が可能だ。

「ヤメテェェェェェ!!」

親しぃの叫びもどこ吹く風、ちびモラはニッパーを握る右手に軽く力を込め、そして息を短く吸って・・・


チョキッ!


―――握った。

922 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:27:24 [ LaCVn4Ks ]
響いたのはハサミで紙を切ったような短い音、一瞬の静寂が発する聞こえない音、そして―――

「ヂィッ!」

ベビの短い悲鳴。
先ほどのペンチに比べれば遥かに小さな悲鳴だった。
それもその筈、ペンチの痛みは強大かつ断続的だったが、今度は耳の先をちょっと切られただけ、痛みも一瞬だ。
しかし、本当の苦痛はここからであった。

「これで終わると思ったかい?そんな訳無いからな!」

ちびモラは言いながらにやにやと笑う。
ベビはその笑顔に、言い知れぬ恐怖を覚えた。
すると・・・

チョキッ!

「ヂィィ!」

再びニッパーによる斬撃。今度は先程切られた所より少し右。血が僅かに零れ落ちる。

チョキッ!

「ヂィィィ!」

また切られた。

ヂョキッ!

「イヂャィッ!」

・・・また。

チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ・・・

それからちびモラは、耳の周りをぐるりと一周するようにニッパーで切りまくった。
既に耳は短冊のようにザクザクのズタズタ、血がボタボタと滴り、大地を紅く染める。

「ギヂィィィィィ!イチャーヨゥ!ヤメテヨゥ!」

ベビの悲鳴も例によってスルーし、反対の耳に取り掛かる。

チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ・・・

「イチャーヨォォォォォ!モウ ヤァァァァァァァ!!ヂィィィィィィ!!」

やがてちびモラはニッパーの血を拭って布袋にしまった。
ベビの耳は既に輪郭が原型を留めていない。でぃの耳の方が100倍綺麗に見えるほど酷い有様だった。

「ヤーヨゥ・・・オミミ イチャーヨゥ・・・ナコ・・・ナコ・・・」

ベビは既に虚ろな目をしている。
耳に対する攻撃なら、巷では『耳もぎ』が非常に有名だが、もいでしまえばそれで終わりである。
しかし、このようにズタズタに切り刻めば長い間苦痛を味あわせる事が出来る、というわけだ。
しかもニッパーの刃が1cm程度と小さいのも幸いして、切断してしまう心配も無い。
前述したようにベビの目が虚ろなのは断続的に耳を襲う激痛の為であろう。

「シィィィィィィィ!ベビチャンノ カワイイ オミミガァァァァァ!!」

親しぃはというとその場から動かずに絶叫。正しくは動けない訳だが。

「じゃあ、そろそろアレを・・・」

ちびモラは呟くと、ベビの右耳に手を伸ばした。
そして、右の耳を両手で掴む。

「ナコ・・・ナコチテ・・・」

ベビはうわ言の様に呟くだけで、反応しない。

「ベビチャァァァン!ニゲテェェェェェェ!」

親しぃの声も届いていないらしい。
ちびモラはというと、右耳に刻まれた少し大きめの傷を見つけると、その傷を挟んで両サイドの皮膚を両手でそれぞれ摘んだ。
ちびモラのニヤリとした笑み。そして彼は、まるでポテトチップの袋を開けるかのように―――



バリバリビリビリッ!!!

923 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:28:50 [ LaCVn4Ks ]
「ギヂャァァァァァァァァァァァァァァ!!!??」

今日一番の絶叫を発したベビ。傍観していたちびギコは思わず耳を塞いだ。
お分かりだとは思うが、ちびモラは傷口を切り口にして、ベビの耳を縦に思いっきり裂いたのだった。
これはもう即気絶モノの激痛だろうが、ベビが意識を保っているのは耳に幾多も刻まれた傷が痛むからだろうか。
ちびモラは、叫び終わって既に朦朧としているベビを軽く蹴っ飛ばした。
ベビは放物線を描き、親しぃの5mほど前に不時着、というか墜落した。

「ベビチャン!ママハ ココヨ!」

親しぃの必死の呼びかけが通じたのか、ベビは顔を上げ、親しぃの方を見た。

「マ、マァマ・・・?」

「ソウヨ!ママハ ココニイルワ!ハヤク イラッシャイ!」

親しぃがさらに呼びかけると、ベビはよろよろとした足取りでしぃの元へ這って行く。

「マ、マ・・・ナコ・・・ナッ、コ・・・」

狭まっていく親子の距離。もう3mも無い。
傷だらけの親子の感動の再開。
もう少しでママの元へ帰れる。もう少しで暖かいナッコが待っている。
ベビはさらに進む。あと2m、1.5m、そして1m。
親ももう少しで我が子に触れられる。2匹の距離はもう1mも無い。手を伸ばせば、あと少しで―――

「マァマ、ナッ―――」


―――しかし、その背後には小さな死神の姿が―――


「そうは・・・」

いつの間にかベビの背後に回ったちびモラが、両手で持った『何か』を振り上げる。
そして―――

「・・・いかんざきっ!!」

ゴシャッ!!!

「ギヂョォォォォェェェェァァァッ!!?」

ベビの胴体に叩きつけられた物―――マンホールの蓋。
この大きくて重い鉄板に胴体を丸々挟まれたベビは、その重さと衝撃によって異常な叫びを発した。
マンホールの蓋から頭だけを出した状態のベビが、ガクガクと震えだした。
重さに体が耐えられないのだろう。

「ベビチャン!ベビチャァァァン!ナンテコトスンノヨ、ギャクサツチュウ!!」

親しぃの悲鳴に近い叫び。しかしちびモラはそれを軽くスルーし、ちびモナに声を掛けた。

「一緒に決めるからなっ!」

「OK!これでトドメモナッ!」

二人は高くジャンプした。親しぃの声にならない悲鳴。震えるベビ。

「ナ゙ゴ・・・ナ゙ッ」

『せいやぁっ!!』




―――グチュッ

924 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:29:26 [ LaCVn4Ks ]
ちびモラとちびモナが同時にマンホールの蓋に思いっきり乗っかった瞬間、蓋はガクン!と下がった。
ベビの胴体がものの見事に潰れたのは火を見るより明らかだった。
胴体をぺっちゃんこに潰され、頭部だけになったベビは口をひたすらパクパクさせている。
まるで酸素が足りなくてもがいている魚のように。

「・・・!・・・ッ!!・・・、・・・」

「ベビチャァァァァァン!オナガイ、オヘンジ シテェェェェェ!!」

親しぃがいくら叫んだ所で答えられる筈も無く。
しばらくベビは口パクパクを続けていたが、ついに・・・

「・・・!・・・・・・・ケフッ」

何かを口から吐き出し、それっきり動かなくなった。

「ベビチャン!!?イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!ベビチャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!」

親しぃの凄まじい叫びは、木々の鳥達を驚かせ、飛び去らせてしまう程の物であった。

「うえ~、耳がキンキンするモナ」

「でも、これでまず1匹!駆除完了だからなっ!」

ちびモラ・モナは、イエ~イ!とハイタッチ。
パチン!という乾いた音が―――響いた筈なのだが。

「ベビチャァァァァァァン!オナガイ、ナッコッテ イッテェェェェェェェェェェ!!ベビチャンベビチャンベビチャァァァァァァン!!!」

親しぃの騒音に掻き消されて聞こえなかった。
それにムカついたらしいちびモナは親しぃに向かって言い放った。

「生ゴミが1つ無くなったくらいでガタガタ騒ぎ過ぎモナ」

すると親しぃはちびモナは睨み、

「ベビチャンヲ カエシテヨゥ!コノ ギャクサツチュウ!クソチビ!ゴミクズ!テイノウ!」

既に聞き慣れた感すらある罵倒。

「そんなに返して欲しけりゃ・・・」

だが、少々ちびモナはカチンと来たらしく、残されたベビの頭部の元までつかつかと歩いて行くと、

「・・・返してやるモナッ!!」

そう怒鳴ると同時に、ベビの頭部を思いっきり親しぃ目掛けて蹴り込んだ。

グチョッ!

「ハギャブッ!」

1m程度の至近距離でベビの生首直撃を顔面に食らったしぃは、片耳が吹き飛び、顔中を脳の欠片やら肉片やらでぐちゃぐちゃにした。

「ハニャァァァァァ!?イヤイヤイヤァァァァァァ!!」

我が子の破片と血液で顔を汚し、片耳まで失ったしぃは半ばパニック状態のようだ。

「返したら返したで・・・やっぱり五月蝿いモナ」

ちびモナはひとりごちると、3人を呼んだ。

「・・・あいつももう片付けるモナ!」

「了解っ!」

3人は揃って答えた。

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