竜騎士の誓い

魔物

モウスグ王子ガ来ル。
オマエ……手を抜クナヨ。
分カッテイルッダロウナ？

？？？

分かっている。
お前たちに従う。

魔物

ゲギャギャギャッ！
頼ンダゼ。竜騎士サマ。

？？？

……。

兵士

報告！　敵影を確認！
竜に乗った騎士が
こちらに向ってきます！

アンナ

竜に乗った騎士！
新しいタイプの敵ですね……。
王子、十分に注意して迎撃を！

？？？

（あれが王子……。
戦闘後に接触する必要がある。
ここは手を抜いておいたほうがいいか……）

アンナ

王子、魔物たちの撤退を
確認しました。

？？？

あなたが王子か。

アンナ

あなたは……！
王子、敵襲です！

？？？

ま、待って！
敵意はないんだ！
武器を下ろしてくれ。

アンナ

敵意はない……？
どういうことですか？

ルシル

私の名はルシル。
今は訳あって魔物に従っている身だ。
先の戦いでは失礼した……。

敵の身でありながらここに来たのは
王子に一つ、頼みがあるからなんだ。

……魔物に奪われた真竜の卵を、
取り戻して欲しい。

アンナ

真竜……。確か、１００年に一度
生まれるという、高い知力を持った
ドラゴンのことですね。

ルシル

その通り。
真竜の保護は竜騎士の勤め……。
魔物の手に落ちることは許されない。

卵の在り処は分かったのだが……。
調査の途中で魔物の襲撃に合い、
私は囚われてしまった。

そのとき魔物が出した条件が、
この国の王子を倒せば、真竜の卵を返す。
ただし、裏切ると卵を破壊すると……。

アンナ

それで、私たちに戦いを挑んできた訳ですね。
しかし、魔物たちが約束を守るとは……。

ルシル

卵を壊させる訳にはいかない……。
それに絶対に取り返すと誓った。
真竜の母に……。

アンナ

事情はわかりました。
私たちにも協力させてください。

ルシル

本当か！　ありがとう……。
相談できてよかった。

私は魔物の監視下におかれ、
身動きがとれない……。

卵が保管されている場所は教える。
王子はそちらに向ってほしい。

アンナ

場所さえ分かればこっちの物ですね。
王子、早速ですが向かいましょう。

あ、ルシルさんは敵にバレないよう、
魔物の命令通りに動いてくださいね。

ルシル

わかった。敵にバレないように
全力であなたたちと戦わせてもらう……！

アンナ

え……えぇ。
お手柔らかに……。

魔物

オイ、オマエ。
ドコニ行ッテイタ。

ソレニ、ソノ竜。
炎ヲ吐イテナイ！
卵、壊サレタイノカ！！

ルシル

（くっ……。
魔物たちに悟られれば終わりだ。
王子には悪いが手は抜けない……！）

ルシル

王子！！　覚悟することだな！
私を倒すことができるかな！？

アンナ

ルシルさん……。
ちょっと無理があるのでは……。

魔物

ゲギャッ！
バクダン、バクダン。
人間マトメテ、ズガーン！！

オイッ爆弾部隊ハ、マダカ！？
モウ戦イハ始マルゾッ！！

ルシル

（爆弾！？　いけない、
王子に知らせないと……）

魔物

オイッ！　オマエ！
ドコ行ク！

ルシル

（やはり動けない……か。
王子、爆弾を持った魔物には
気をつけてくれ……！）

魔物

バクダン！　バクダン！
人間マトメテ、ドガーーン！！

アンナ

王子、爆弾を持った魔物が出現しました。
あんなにたくさんの爆弾を抱えて……。

衝撃を与えると誘爆してしまうでしょう。
距離をとって戦うことをおすすめします。

アンナ

この匂いは火薬の匂い……。

王子、先の戦いで現れた爆弾を持った
魔物がくると予想されます。
現れ次第、早期迎撃を心がけてください！

アンナ

真竜の卵が保管されているという
洞窟はここですね。

ここの魔物を一掃できれば、
真竜の卵を奪還できるはずです。
一気に攻め込みたい所ですが……。

爆弾を持った魔物たちが
卵の周りに陣取っているため、
近づけそうにないですね。

王子、爆弾による集中攻撃を受けると危険です。
まずは魔物の動きを探り、攻勢に移りましょう。

ルシル

（この混乱に乗じて卵を……。）

魔物

ゲギャァア、オイ！
オマエ！　怪シイ動キヲスルナ！

サッサト王子ヲ倒セ！
裏切ッテモ卵ヲコワス！
少シデモ手ヲ抜イタラコワス！

ルシル

（ここで見破られる訳には……。
王子を信じて、全力でぶつかるしかない！）

アンナ

王子、魔物の撤退を確認。
この洞窟内の魔物は一掃されました。

魔物

オマエタチ！　コノ卵ヲ取リ返シニ
来タンダロッ！

アンナ

まだ魔物がいたというのですか……！

魔物

コウナッタラ仕方ガナイ！
モッタイナイガ、卵ヲ割ッテヤル！

？？？

待て！

魔物

オマエは……！

ルシル

この瞬間を待っていた。
真竜の卵は絶対に取り返す。

くらえッ！

魔物

グギャアアアア……！

ルシル

卵は……！　よかった……。
無事だな。

アンナ

ルシルさん！　やりましたね！
しかし、なぜ魔物は真竜の卵を？
壊そうと思えばいつでも壊せたはずでは……。

ルシル

真竜は力と知性を併せ持った
強大な存在へと成長する。

恐らく魔物は真竜の卵を魔界へ送り、
悪に染まった真竜を作ることが
目的だったのではないかと……。

アンナ

なるほど……。
ともあれ、未然に防げてよかったですね。

ルシル

あぁ……。おかげで卵の母親との誓いも
守ることができた。
本当にありがとう……。

そういえば、卵を盗んだ真犯人の情報を
魔物から聞き出すことができたんだ。
私は、真犯人を追うことにする。

今回は戦うことになってしまったが、
今度は王子の元で戦わせてくれ。
いつか……声をかけてほしい。

次に会うその時まで、
楽しみにしている。

アンナ

新竜の卵を盗んだ犯人の本拠地は
ここらしいですが……。
肝心のルシルさんは何処でしょう？

上忍

貴様らがあの騎士の仲間か！
あやつは既に我らの術にかかって
動けなくなっておるわ！

アンナ

人間……！
あなたたちは魔物の手助けをしたと
言うのですか！？

上忍

我らはこの忍びの腕を
高く買ってくれる者に従うだけよ。

貴様らの抹殺命令もでているのでな。
丁度良い。覚悟をしてもらおう！

アンナ

王子、ここは戦うしかないようですね。

上忍

秘技……隠形の術……。
姿を消した我らに
遠距離攻撃は通じぬぞ……。

上忍

ぬぅっっ……！
なかなかやりおる。
このままではラチがあかん！

者ども、行くぞ！
派手に暴れろ！

アンナ

派手に暴れる……！
もはや忍ぶ気はないみたいですね……。
王子、ご注意を！