自分でできる取引先の信用調査
ホームページを開設。するとある日、見知らぬ会社から仕事の依頼が飛び込んできたとする。 “この会社、取引しても大丈夫なのか?”と不安にかられたことがある場合もあるだろう。
事実、「提案したら返事がなく、アイディアだけ使われてしまった。」とか、「納品後、いくら請求しても支払ってもらえない。しかたなく泣き寝入り。」とか…。トラブルの話を、よく耳にする。
それだけに、新規取引の際には、取引相手のことを出来るだけ調べ慎重に判断することが大切だ。しかし、実際のところ、フリーや個人企業では、調査機関などを使って信用調査に多額の費用をかけることは難しい。
自分で出来る最低限の信用調査の方法と手順をあげてみよう。
取引先のチェックポイント
【実在性】架空ではなくちゃんと実在する企業であること
- 住所表記の場所に「事務所」が存在すること。
- 法人企業の場合は、「会社登記」されていること。
【健全性】法規制に触れるような業務実態がないこと
- 業務内容に違法性がないこと。
- 広告表現の中に違法性がないこと。
【安全性】経営不振、倒産の予兆などの心配がないこと
- 支払条件が極端に悪くないか。(資金繰りの悪化)
- 発注書や契約書により取引内容の書面化をしてもらえるか。
- (新規取引先の)取引先に危険企業はないか。(連鎖倒産の危険)
企業情報の収集方法
取引相手企業の情報収集には、インターネットを活用してみる。ホームページを開設している企業であれば、 必ずネット上に公開している会社データをチェックする。
■ホームページに掲載されている会社概要
会社概要のページには、通常次のような情報が掲載されてる。
- 会社名、本社所在地、設立
- 代表者名、役員名
- 会社規模(資本金、従業員数、売上高)
- 業務内容、業務実績
- 会社の沿革
- 主な取引先
- 株主、メインバンク
上記の項目が、必要に応じてキチンとデスクローズされていれば、信用度チェックの第一関門はクリアだ。しかし、ネットはバーチャルな世界。ホームページの情報が正しいという確証は、残念ながら一方的な情報からは得られません。
では、その裏付けを取りたい時、また、ホームページを開設していない企業の場合はどうしたらよいか?
企業データベースで情報検索する
ホームページに公開されている企業情報の裏付けを取りたい場合、また、ホームページを開設していない 企業の情報を収集したい場合は、「帝国データバンク」や「商工リサーチ」などの企業データベースを利用 して調べることができる。オンラインでスピーディに検索できる上、利用料も安価だ。
調べたい企業名が「企業データベース」に登録されていないために検索できなかった場合は、会社の「登記謄本」を取り寄せるという方法がある。謄本を入手する方法は、管轄の法務局へ出向き申請手続をする。
以上の方法で、基本的な会社情報を収集すれば、取引相手がちゃんと「実在」する会社であること、主たる業務内容、事業規模(売上、従業員数)などを確認することができる。
詳しくはhttp://allabout.co.jp/career/freelance/closeup/CU20031031A/
安全性は自分の目で確かめよう
仕事の代金をちゃんと支払ってもらえるかどうか、安全性のチェックは重要。しかし、上場企業でない限り、財務情報を公開していないため、企業の経営状態を知ることはまず不可能だ。安全性は自分の目で確かめよう。
■安全な会社の見分け方
- 会社に電話した時のスタッフの対応
メールでやり取りせず、会社へ電話する。電話を取ったスタッフの態度、言葉遣いが悪い場合は要注意。
- 会社の雰囲気
仕事の打合せは、相手先の会社へ訪問して行う。百分は一見にしかず、自分の目で会社を確かめる。来客に挨拶をしないスタッフ、会社の雰囲気が暗い、社内にモノが少ないなど、違和感を感じた場合は要注意。
- 担当者は信頼できる人?
仕事の発注依頼が、社内で予算を含めて確定しているものなのか、担当者レベルのアイディア(社内へ提案する段階)による打診なのかの見極めが必要。料金や支払い条件などに触れず、“◯◯したら、◯◯なれば”と仮定の上で大きな話ばかりする人、誠意を感じられない人、小さな約束を守らない人は要注意。
仕事をもらう立場という考えが全面に立つと、どうしても相手方へ歩み寄りたくなる。しかし、仕事の依頼や相談を受けて、こちらが検討している段階は、相手方に対して優位な立場をとれる。不必要にへりくだらずに、自信を持った態度で取引条件の交渉をするようにしよう。
新規取引先にもかかわらず、納品するまで支払条件を聞けないという人も多い。最悪のパターンは、不安を持ちながらも口に出さず、口約束だけで仕事を受注してしまうことだ。「業務委託書」のフォーマットを作成し、新規取引をする際には必ず取り決めた条件を書面化するのもよい方法だ。そして、こういった書面の取り交わしをお願いした時に、相手方がどのような反応を示すか、安全性をチェックする上での大きな判断材料にもなる。