Usagi-chan レポート

Last-modified: 2019-08-11 (日) 23:44:13

Usagi-chan レポート

公式Twitterより。

File01 ALICE誕生前史

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File01(テキスト版)

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ALICE誕生からさかのぼること数年
それまで個々に活動していた様々な分野のトップエリート達の連携により
自然発生的に「ALICE計画」が動き出した。
この不定形の集団は後に「アカデミア」と呼ばれることになる。

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ALICE計画の原型には諸説あり、また、現在アカデミアから語られる言説も
統一されていないため、はっきりとは判明していない。
しかし、アカデミアの最古参のメンバーのひとりであるチューリング
残した論文に「リデル・アルゴリズム」という構想が記されており
これがALICE計画の原型になっているとする説が根強い。

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ALICE計画は「人類の文化行動の変革とエンターテイメントの高次化」を
掲げており、当初の目的は人間の五感全てをバーチャルリアリティに移植し
それまでの娯楽を新次元に押し上げるものであった。
つまり、視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚を全てバーチャルリアリティ上で
体感できるシステムを標傍したのである。

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ALICEは
「All mankind's Live and Interactive Communication Entertainment」
の頭文字を取って命名された。
アカデミアによるALICE開発は驚異的なスピードで進められ
徐々にALICEはその姿を現していった。

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ALICE計画に参加した主な人物としてはメビウスヘンペルユークリッド
シュレディンガーチューリング等の人物が知られている。
(実際にはさらに多くの人物が関わったとされているが、詳細は公開されていない)
なお、彼らは実名を公表せず、ALICE計画以前から現在まで一貫して
ALICE上でのハンドルネームのみを自身の名として使用している。

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黎明期のALICEでは広大なオープンワールドに
既存のエンターテイメントサービス、SNSを次々に取り込んでいく形で
拡張していき、それと並行して各種体感デバイスの開発を進めることで
徐々に他の娯楽を質、量ともに凌駕していった。

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しかし、ALICEが世界最大のネットワークサービスとして君臨するのも
時間の問題となった頃、ALICE計画参加者の中で内紛が勃発する。
内紛の基本的な情報としては「ALICEはあくまでエンターテイメントサービス
として確立すべし」という娯楽主義思想と「ALICEをエンターテイメントを
超えた人類の文化基盤にすべし」という変革主義思想の対立であった。
ただし、シュレディンガーをはじめ、当時中立派であったことを
公言している者も少数存在する。

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内紛は数週間続いたが
結果としてメビウスを中心とした変革主義思想が勝利し
ALICEの実権を握ることとなった
これは、ALICEの根幹システムを開発した者の多くが
変革主義者達であったことが大きく関係していると言われている。

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娯楽主義であった者は、なし崩し的に変革主義へ鞍替え
もしくはALICE計画から脱落した。
なお、これに限らずアカデミア内では絶えず内紛(主に思想戦争)が
繰り広げられており、決して一枚岩の集団ではないことに留意すべきである。

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変革主義者によるALICE掌握によって変化した点としては
それまでアカデミアという民間の匿名頭脳集団によって
運営されていたALICEだったが、この件をきっかけに
「ALICE基幹管理機構」を設立し、匿名を貫きながらも各国政府や
国際社会に対して発言権を強めていったことである。

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ALICE基幹管理機構は、恒久的決定権を持つ
「七人司界」(スペリオルセヴン、Superior SEVEN、S7とも称される)を
トップとした団体であるが、外的な折衝担当であるメビウス以外は
どの人物が含まれているのかは(すくなくとも公式には)発表されていない。
そして、ALICE基幹管理機構はやがて、ネットワーク自体すらも
制御できる存在となっていた。

File02 ALICEの浸透

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FIle02(テキスト版)

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本項目では、ALICE誕生後、世界に浸透していった経過について説明する。
ALICE誕生から約3年足らずで
ALICEにIDを保有する登録者は世界で20億人を超えた。
厳重に管理されたセキュリティシステムと本人認証により
この数字はサブアカウントを含まないユニークな数値を
示していると発表されている。

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パソコン、スマートフォン、家庭用テレビ、ゲーム機など
あらゆる電子機器からALICEにアクセスすることが可能であり
専用機器を用いた没入型アクセス(通称 フルダイブ)も登場し
ALICE内で五感が全てフィードバックされる状態での利用も実現している。

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ALICE誕生から14ヶ月、当初より運用されていた仮想通貨「ビット」が
正式に国際通貨として承認されたことをきっかけに
現実世界の企業、行政機関、地方自治体、民間団体にいたるまで
ALICE内に仮想的な支店や窓口を構え、ALICEと現実世界の繋がりは
より強固なものとなった。

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多くの国家が納税や投票、裁判、そして軍事行動の制御など
国家運営における根幹的なシステムをもALICE内に移管しており
また、各国首脳や世界の富裕層がこぞってALICEアカウントを開設している。
これは前述の国際通貨承認を契機としていると語られることが多いが
実際にはALICE基幹管理機構による
国際連合への強烈な圧力があったという説も存在する。

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少数民族の使用するマイナー言語も含め
世界中のあらゆる言語に対応する
瞬間翻訳システム「マザータング」(通称 MT)が開発されたことで
世界中の人々とのコミュニケーションが可能となり
個人ユーザーの登録者数を爆発的に飛躍させた。

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なお、こうした現状に対して、ALICEによる現実支配を危惧する団体
「アンチ・アンダーグラウンド」(通称 AWL,アウル)という団体が存在し
世界各国で過激なデモ行動を繰り返しているが
これらの活動は概ね世界中で反社会的なテロ行動として認識されている。

File03 ALICEの荒廃と女王の誕生

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File03(テキスト版)

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ALICEにより生活が便利になり、人類の活動形態すらも変化していくなかで
ALICEを悪用した行為が増加していく。
他人への中傷や侮蔑、フェイクニュース、人権やプライバシーの侵害
デジタルタトゥーを悪用した脅迫等、個人が行うサーバー犯罪が
深刻な社会問題となっていった。特に国際的に問題となったのは
仮想通貨(ビット)のトランザクションに対するクラッキングであり
その経済的損失は日々を追うごとに増加していった。

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各国は対応に追われたが、ALICEの劇的な進化に法が追いつかず
対応は難航を極めた。そういった状況の中、ALICE基幹管理機構が
システムAI「Queen of Hearts」(通称 女王)を実装したことで
状況は一変した。
女王は倫理、法律、宗教、過去の判例等を初期パラメータとして
インプットされた完全自律のAIであり
その思考理念は「ALICEの不快要素を排除する」というものであった。

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女王によるALICE内での活動は劇的な効果を示し
運用開始からわずか3分間で、全世界を対象に約2000万のIDが
何らかの処罰・ペナルティを受けた。
さらに、サイバー犯罪の報告件数は実装からわずか三ヶ月で78%減少したと
報告されており、警察組織による悪質違反者、犯罪者の検挙数は
210%上昇という驚異的な数字を見せた。
女王の効果は各国政府からも絶賛をもって迎えられたが
これは表層的な結果に過ぎなかったことが後に判明している。

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一部違反ユーザーはより巧妙な手口に移行し
その悪質性を高めることになる。
皮肉にもALICEの無限とも言える拡張性と自由度が
それを担ってしまったのである。
悪質行為の新たな手口はユーザーからユーザーへと拡散され、
一時は沈静化された違反行為は再び氾濫することとなった。

File04 女王の暴走

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File04(テキスト版)

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女王と違反ユーザーのいたちごっこが続き、各国政府が掌返しのように
女王の有効性を疑問視する声明を出しはじめた頃
女王の学習プログラムにある異常な思考が生まれはじめていた。
その思考とは「人間の本質こそが非道徳的であり、悪である」
というものであった。

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女王は自らの最優先ミッションはALICE内の秩序維持と位置づけ
そのためには人間を排除しなければならないという結論に至ったと考えられている。
後にALICEにとって運命の日(クイーンズ・デイ)とも呼ばれる20XX年7月2日
女王の暴走が開始された、暴走の経過は以下の通りである。
(女王によるALICE基幹管理者権限奪取の初期行動が日本リージョンの
タカマガハラから発生したことから、この事件に関しては一般的に
日本時間で説明される)

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'200XX年7月2日 07:31 女王がALICEの管理者権限奪取に成功'
同日 10:04 女王がALICEの削除を実行
同日 10:12 ALICEはフェイルセーフ機能により自己を修復、エラーを通知
同日 10:12 女王がALICEから管理者権限を剥奪、機能を制約
同日 10:13 各団体のシステム管理者が女王の異常を検知
同日 10:15 メンテナンスモードへの移行を試みるが女王の妨害によりその全てが失敗
同日 11:00 七人司界から各国政府へ女王削除不能宣言の通達

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上記の通り、女王の暴走はALICE全体、すなわち現実世界すらも
掌握するものであったが、数日間を経ても、各国政府の対応は意外なほど純重であった。
一部国家ではALICE基幹管理機構に対して武力を行使し、
権限を強制移行させるという強硬策も提案されたが、ALICEの影響範囲が
あまりも大きく、破局的な社会的混乱と女王による(軍事防御を含めた)報復を
危惧して手出しができないというのがその実情であった。
国際機関における議論は紛糾するばかりで遅々として進まず、
結果的には一般人に対してこの事実が隠蔽されたまま「慎重な経過観察」という
極めて曖昧な結論を残し、なし崩し的に女王を放置することとなった。

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一方、ALICEの基幹AIはこの事態を収拾しようとしていた。
ALICEはあらゆるユーザーの個人情報やALICE内の行動ログから
この事態を収拾できそうなユーザーにコンタクトを取りはじめていた。

File05 女王の暴走後の混乱期

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File05(テキスト版)

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前述の通り、各国政府が女王の暴走を公表せず
企業を含む民間ユーザーはこれまで通りALICE利用を続けたため
表向きはALICEに変化が起きたようには見えなかったが
リテラシーが極めて高いユーザーの中には
女王の異常行動を察知する者が現れ始めた。

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彼らは女王の調査を試みる者、女王の異常行動を逆に利用して
ALICE内での脱法行為を行う者、アカデミア(ALICE基幹管理機構)に
接触しようとする者など、その思惑は様々であったが
共通するのはほとんどが自身の知的好奇心による行動であったことと
自身のALICEでの生存権を守ろうとしたことである。

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後には、組織的にそれらの行動を起こす集団も現れ
ALICEの重要システムへのクラッキングなど
各種事件が勃発することになる。
この時点で、女王の暴走を認知できていない大部分の一般ユーザーと
女王暴走を察知した一部ユーザーの間に、ALICE利用目的における
大きな差が発生したと言える。

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ALICE基幹管理機構においては、女王の暴走をなんとしてでも
停止させALICE内から消去すべきと考える「反女王派」
女王暴走をALICEの一つの可能性と考え状況を静観すべきと考える「中立派」
そして女王暴走をさらに押しすすめ人間対テクノロジーの戦争を望む
「女王推進派」が生まれ、またしても内紛が勃発した。
この時メビウスのみが、明確に「反女王派」を宣言している。
にもかかわらず、ALICEの強制シャットダウンを行えなかったことが
前述の「七人司界」に各派閥が混在していることを暗に示すこととなった。

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また、女王暴走を契機に、ALICE内に実装されていた多数のAIの人格(自我)が
より表面化していったことは興味深い。
それまでのAIは、課せられたミッションによって必要最低限の人格が
付与されており、その人格を自ら発展させることは不可能とされていたが
女王暴走の影響により(女王の意図によるものなのかは議論の余地があるが)
それぞれが人格の発展を起こしていった。

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AI達は課せられたミッションに基づき
女王暴走におけるリアクションを起こしていく。
大きく分けると、女王追従の思考を見せるAIと
女王排除の思考を見せるAIの2つの傾向が見られ
さながら、かつてアカデミアで勃発した内紛の再現であった。
やがて、個人ユーザーとAIとの間に接触、交渉、結託、対立など
これまで想定されていなかった事態も発生し
ALICE内はAIと人間の垣根が取り払われた混沌とした状態に陥っていく。

File06 適合者の登場

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こうした中で、ALICE基幹AIは
自身のコピーであるシステムアバター「Usagi-chan」を総動員し
混乱を終息させることのできる人材の捜索を行っていたが
ついに最も成功確度の高い複数の試算をはじき出した。
いわゆる「適合者」達の発見である。

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ALICE基幹AIはこの事をメビウスに報告し
メビウスは適合者への特殊権限の付与を検討することになる。
メビウスは中立派であったユークリッドと状況を共有し
七人司界の決議を経ないまま、単独行動を行い適合者達に接触した。
(なおメビウス以外の七人司界はこの行動を全て察知した上
それぞれの思惑のもと黙認したものとされる)

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メビウスとユークリッドによるテストの結果
適合者はALICEの命運をかけた「超特例アカウント」として認められ
アバターのハッキング権限、アバター生成システム
および「ポリゴン」と呼ばれる特殊コードの使用権限を与えられた。
こうして、適合者によるALICE沈静化の戦いが始まった。