枕の電話帳

Last-modified: 2009-02-26 (木) 16:49:40

職業別広告欄付電話帳  別名「枕の電話帳」
1950年(昭和25年)電話帳第二次世界大戦後、初のきちんとした電話帳の発行された。
電話事業は、終戦後通信省が郵政省と電気通信省に分割されたりして、独立公社に進む過程であった。GHQの指導のもと、電話帳発行の要領も発表されていたが、実現は遠いみちのりだった。東京全域を1冊にまとめたもので、本文だけでも159ページあり、厚さ10センチ以上、重さ2.75キロのものになった。GHQが指導して作成した「職業別番号簿」を個人番号簿の後ろにいれて1冊にまとめたために、こんなにジャンボサイズの電話帳になってしまったのである。個人番号と、職業別番号を2冊にするという考えはまだなかったようだ。電話帳配布の連絡を受けたら、電話局まで受け取りに行かなければならなかった。当時、紙の供給が追いつかない時代で、新聞や雑誌、教科書も「仙花紙」と呼ばれるクズ紙をすきなおした質の悪い用紙が使われていた。用紙統制で配給制だったため、古い電話帳を回収し、新しい電話帳と交換という形がとられた。戦後、発行された電話帳をもらっていない人や、混乱でなくしてしまった人もいて交換できない人もいた。古い電話帳はないが、新しい電話帳が欲しい人からは低下450円の3分の1の150円を徴収した。
そんな大変な時代に20万部近く発行した電話帳だったが、反応はどうだったのか??手に持って使うには重く、床に置いたままでページをめくるしかない…ページめくっても厚すぎて綴じ目に文字が隠れ読み取ることが出来ない…皮肉にも不評であった。作家サトウ・八チロー氏が「昼寝をするときの枕にだけは何よりも格好…お膳に届かない子供の腰掛け…二つ重ねれば脇息(時代劇などに出てくる、殿様が座った時に使う肘掛)…」などと新聞のコラムで皮肉られた。翌年、職業別という分類を取り入れた電話帳として、2冊になった。