スターリング

イギリス軍は第二次世界大戦において、安価に大量生産できるステンガンを制式採用していたが、当初の物資不足が解消されるにつれて、より本格的なサブマシンガンの配備を望む様になった。
そこでスターリングで開発が進められていた、新型サブマシンガンに目をつける。

• この新型サブマシンガンを開発していたジョージ・W・パチェットは、既に海軍が採用していたランチェスター・サブマシンガンを開発した人物だった。

パチェットはランチェスター・サブマシンガンのパーツを流用しつつ、既存のステンガンの規格も流用できる新たなサブマシンガンを開発しており、パチェットのサブマシンガンは陸軍によるテストも受けている。

• しかし、イギリス軍はパチェットのサブマシンガンを制式採用する事はなく、第二次世界大戦を最後までステンガンで戦い抜いている。*1

第二次世界大戦後、NATOに加盟したイギリスはライフルとサブマシンガンを統合するアサルトライフルとしてEM-2を採用したのだが、7.62mm弾を推すアメリカの横槍で取り消す破目になり、結局FN-FALのセミオートモデルであるL1A1を採用する事になる。
この結果、セミオートのL1A1を補完するサブマシンガンが必要となり、パチェットのサブマシンガンは1953年にL2A1という制式名で採用された。

• メーカー名を冠した｢スターリング・サブマシンガン｣という名称は、改良型のL2A3が配備された頃から普及し始めたと言われている。

作動方式はオープンボルト・シンプルブローバックという、シンプルな方法を採用している。

• ステンガンのスタイルを踏襲しつつも、独立したグリップや前側へ折り畳めるストックの採用、各部の補強や運用上の利便性を高める工夫が施されており、サブマシンガンとしてより本格的な構造となっていた。
  • 最初から軍用のサブマシンガンとして開発されたため、銃剣を取り付ける事が可能なのも特徴の一つである。

スターリング・サブマシンガンは戦後のイギリスでは長い期間使用されていたが、実用的なアサルトライフルL85が採用された事で徐々に退役し、湾岸戦争を最後に完全に退役した。

• 比較的安価で単純な構造だった事から、他国へ盛んに輸出されたりライセンス生産もされており、カナダやインドといった英連邦などを始めとした約90か国で採用されている。

ちなみにSF界隈では｢スターウォーズのストームトルーパーが使うブラスターの中の銃｣として有名である。

【過去ログ】