【ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔】

Last-modified: 2024-03-17 (日) 09:55:37

概要

【剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣】の流れを受け継いだ体感アクションゲーム。
発売日は2007年(平成19年)7月12日。対応機種はWii。
【スクウェア・エニックス】のWii参入第一弾ソフトにして、本編・外伝含めてもSFC版DQ3以来11年振りとなる任天堂据え置きハードでのドラクエとなった。
当初はWii本体(2006年12月2日)と同時発売予定とされ、実現していればDQ史上初のローンチタイトルとなっていたはずであったが、半年ほど延期された。
海外でも "DRAGON QUEST SWORDS The Masked Queen and the Tower of Mirrors" として発売された。
2009年12月3日には「アルティメットヒッツ」のレーベルで【廉価版】が発売されている。
 
DQ1ベースであった剣神から一転、完全なオリジナルのストーリーと世界観の下で展開され、復活した【魔王ジェイム】の討伐をめざし、【主人公】【ディーン】【セティア】【バウド】の3人の仲間とともに冒険を繰り広げる。
Wiiの機能を最大限に生かした、Wiiリモコンを振って実際に剣での戦いを体感する操作性が最大の特徴で、戦闘時・移動時共に、常に主人公の一人称視点でゲームは進行する。
システム的には、独立した玩具として発売された剣神ドラゴンクエストの正統進化にあたり、剣神と同様、以前から温められていたVRの構想を当時の技術で表現したものである。
なお【堀井雄二】は『週刊ファミ通』2007年11月9日号のインタビューで本作発売延期の理由について、「当初は剣神と同じ要領で作ろうとしていたがWiiではセンサーの方式が剣神とは逆であったため、開発をやり直さざるを得なかったため」と語っている。
 
声優による【キャラクターボイス】が投入されたことも大きな特徴。DQシリーズ全体では欧米版DQ8に次いで2例目、日本国内のDQでは少年ヤンガスなどでナレーションが起用されているものの、キャラにボイスが付いたのは初めてのことであった。
主人公の仲間となる3人のキャラクターには、本職の声優ではなく、『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』などの特撮ヒーロー番組に出演した経験のある俳優が起用されているが、これはゲームのシステム上「やっ!」「はぁっ!」といった戦闘時の掛け声が非常に多くなるため、そういった声を出すことに慣れているヒーロー経験者に白羽の矢を立てたもの。
仲間以外のサブキャラクターや敵キャラクターには、本職の声優たちが起用されている。
ただし主人公は一切喋らないため(掛け声なども無い)、声優も存在しない。
 
本作の音楽は、本編からの流用曲を除けば、全て【松前真奈美】が作曲を担当。現在のところ【すぎやまこういち】以外が曲を手掛けたドラクエはこれが唯一である(何故そうなったかは松前の項目を参照)。
 
また、発売当時の最新ナンバリングがDQ8であり、モンスターの造形やアクションを流用しやすかったためか、一部のボスや系統の特定の種族を除くほぼ全てのモンスターがDQ8に登場しているものである。
各種効果音も多くが同作から流用されている。

ストーリー

舞台は自然豊かな島国・【アルソード王国】
この島にはかつて魔王が君臨していたが、英雄たちの手によって倒され、現在は平和が訪れていた。
だが魔王討伐から5年が経ったころ、【女王ヒルダ】がかぶった謎の仮面と共に、島では奇怪な出来事が起こり始める……。

システム

ストーリーは全八章からなり、各章につき1つのアクションステージが用意されている。ステージはクリアした後も再挑戦が可能。
イベントの後、まずは拠点であるアルソード王国内の店などで各種準備を行い、王国を出るとステージ選択に移る。
仲間は1人だけ連れて行ける。ただしステージ1の初回プレイは1人旅であり、ステージ2~4はそれぞれディーン・セティア・バウドに固定となる。ステージ5以降と再挑戦時は誰を連れて行くか、あるいは1人旅かを自由に選択可能。なおこの選択はイベントシーンには影響しない。
 
ステージ内の移動は基本的に前進で進んでいく。道中には宝箱があるほか、道の脇にあるオブジェクトを調べるとアイテムを発見できることがある。特定の場所で戦闘が発生し、敵が全員倒されるか逃げるかすれば戦闘が終わる。
分岐点では道を選ぶことができ、行き止まりまで進むと分岐点まで自動的に戻る。
最奥部にステージボスが控えており、これを倒すとステージクリア。クリアするとステージでの成績に応じて評価が決められ、「剣神度」が上がるとともに報酬が得られる。
全ステージをクリアしエンディングを迎えたセーブデータでは、裏ボスに挑戦することが可能になる。
 
戦闘はWiiリモコンを振って剣で敵を攻撃していくが、ポインターロックを用いることでその地点をターゲットの中心とすることができる。
敵の攻撃はBボタンを押すと現れる盾をかざすことで防ぐことができ、特にボス戦では盾での防御をしっかり成功させて隙を作らないとこちらからのダメージがほとんど通らなくなる。
飛び道具や呪文・特技による攻撃が来る前には目印が出るので、その場所に盾をうまく持って行かなくてはならない。一部の攻撃は剣で斬ることで弾き返すこともできる。
盾の中央以外で攻撃を受け止めると盾がダメージを受け、盾の耐久力以上に攻撃を受けると欠けてしまい、結果として防御できる面積が減ってしまう。破損した盾はステージ中にアイテムで修復できる他、町に戻れば自動的に修繕される。
仲間がいれば呪文や特技を使わせることも可能。
また、攻撃を繰り返して必殺ゲージが溜まると「必殺剣」を発動させることができ、時間内に指示通りのアクションを上手く行えば技が成功する。
敵を倒すとその場ですぐ経験値とゴールドか得られ、レベルアップもリアルタイムで発生する。なお敵のHPが0になっても消えるまでは攻撃を続けることでHIT数を上げられる。
なお、主人公が死んでしまうと仲間が生きていてもそこで冒険失敗となる。これは幼少期のDQ5を彷彿とさせる。

章とステージ

ステージ仲間
一章「試練」草原~【試練の洞くつ】なし
二章「疑惑」【エルヘイムの森】【ディーン】
三章「仮面」【ブレイゲ山】【セティア】
四章「犠牲」【海辺の洞くつ】【バウド】
五章「決断」【鏡の塔】任意
六章「秘力」【鏡の世界】
七章「煉獄」エルヘイムの森
【溶岩の海】
八章「魔王」【魔王の城】

反響

本作の発売前は、2006年末に発表されたDQ9への風当たり(初の携帯機本編であることに加え、完成版とはまるで違うアクションRPGのようなシステムが公開されていた)が非常に強く、グラフィック的にDQ8の系列であるソードは「こっちを本編にすべき」「真のドラクエ」と、DQ9への不満を受け止める形で非常に期待されていた。
 
ただ、実際に発売されてみると、ゲームとしての完成度は悪くないものの、Wiiのメインターゲットであるライト層・児童層に配慮してかなりボリュームが抑えられており、小さな島が舞台で町も一つしかないこと、クリアまで10時間ほどしかかからないことなど、本編と比較するには少々物足りない規模。
前掲誌での堀井雄二の発言によれば、1日1ステージのクリアを目安に作ったという。
「よくできた佳作」ではあるものの、DQ9が発表当初の批判から一転して大ヒットしたこともあり、続編にも発展しなかったソードはやや影の薄い外伝となっている。
 
一方、「ミニスカゴスロリ金髪僧侶」というそれまでのドラクエにいなかったテイストの仲間・セティアのキャラ人気はかなり高く、DS版DQ4やDQ9、バトルロード、ライバルズ、ウォークにもソードを代表して出演を果たしている。
ソードは知らなくてもセティアは知っているという人は相当多いはず。

海外版

海外版では国内版には無い要素として、一部の隠しボス及びラスボスの強化版や、魔王の剣を装備して冒険を初めからやり直すPayback mode(仕返しモード)など、独自の要素が追加されている。
また、ほとんどの主要キャラクターがさまざまな剣の名前に改名されている。

その他

当時公開されていた公式サイトの入口ページでは、タイトルロゴを使ったお遊びがあった。
「SWORDS」のそれぞれの文字の上にマウスポインタを乗せると文字が水平に回転するとともに楽器演奏による音が鳴るのだが、その音階が「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ド」、つまり音階と「ソード」とかけたダジャレになっていた。
また、この時に鳴る音の楽器にもバリエーションがあり、ページをロードするごとにランダムに変わっていた。