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Last-modified: 2008-10-13 (月) 22:45:56

145 名前: Let's肝試し! (1) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:05:46 ID:VSdMBCNV
ヘクトル「あちぃーーーーー!!」
リーフ「ヘクトル兄さん、冒頭からいきなり叫ばないでよ…でも暑いのは同意…太陽の人でなしー…」
季節は夏、学生達は夏休みという一大イベントのある季節だが、
気温はこれでもかというほど上がり、暑さに人はへばってしまう季節でもある
今日は休日、家族全員揃いこそすれ、家の中での過ごし方はそれぞれだった
団扇を手に涼を得る者、暑さに全く動じず外で訓練をする者、暑さの中懸命に家事をする者などなど…
しかし過ごし方は違っていても皆(約一名を除いて)一つの同じ思いを持っていた
―――――――――― 暑い… ――――――――――
セリス「あー…なんかもう何もやる気がしなぃょぅ…」
暑さで顔を火照らせながら団扇片手にセリスがぼやく
ロイ「本当だね…というか今日はまた一段と暑いね」
それに返すは末っ子のロイ、彼もまた片手に団扇持ちである、両者とも机に突っ伏している
ミカヤ「ほーら、二人ともしっかりしなさい…でも、一段と暑いのは事実よね…」
エリンシア「そうですわね…冷たい麦茶でも作っておきましょうか」
ミカヤ「麦茶かぁ、いいわねー手伝うわ」
エリンシア「じゃあ作って後で皆で飲みましょう」
そう言って主に家事を受け持つエリンシアと、今日は仕事を休んだミカヤは
「しっこくのおいしい水」を元に麦茶を作り始める
そんな中、家族の大多数がへばっている家へ外で訓練をしていたアイクがドアを開け、部屋に入る
アイク「なんだ、机にへばりついて楽しいのか?」
暑さをもろともしないただ一人の人物は流石というべきか、やはりというべきか、この暑さに全く動じていないようである
ロイ「楽しくないよ…というかアイク兄さんは平気なの?」
アイク「なにがだ」
セリス「暑くないの?アイク兄さん」
アイク「修行で火竜の巣に居るよりはるかに涼しいぞ」
セリス&ロイ((そうだった、この人は別次元の存在だった…))
何か違う意味で脱力感を味わい、さっきより強い力で机に突っ伏した二人を見てアイクは疑問符を浮かべながら
一旦ラグネルを置きに部屋へ戻った
シグルド「凄いな…今日の最高気温が今年最高のようだ…」
エフラム「道理でやけに暑いわけだ、俺は暑さに強いほうだが今日のは少し堪えるな…」
エイリーク「エフラム兄上が言うほどならよっぽどなのでしょうね…」
リン「なんか普通にしてるだけで汗かきそう…」
テレビの天気予報を見ながらつぶやく四人、
今日一日の天気の移り変わりが太陽マークで染まっているのを見て少し溜息をつく
146 名前: Let's肝試し! (2) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:07:40 ID:VSdMBCNV
マルス「ただいまー、いやー暑いねー」
そこに帰ってきたのはマルス、用事があって早くから出かけていたのだ
ロイ「おかえりー…なんかマルス兄さん、そんなに暑そうじゃないんだけど」
マルス「ははは、そんなわけないじゃないか」
ロイ「いや、本当にそう見えないって…」
少し恨めしそうな目でロイはマルスを見やる、対するマルスは何時も通りの王子様スマイルを絶やしていない
確かに、本当に暑いと感じているのかは甚だ疑問である
マルス「何人か居間にいないみたいだけど、ほかの人はどこにいるんだい?」
ロイ「あ、そうか…例のアレの話だね」
マルスはそうだよ、と言うように頷いた
セリス(例のアレって何…?)
ロイ「ん…と、アイク兄さんは部屋に、アルムとセリカは多分どっちかの部屋に一緒、
エリウッド兄さんは部屋で横になってるよ」
マルス「え、なんでエリウッド兄さん横になってるの?」
この暑さで体調でも崩したんだろうか、と思ったが…
ロイ「あ、いや、もはや恒例のKINSHIN騒ぎでシグルド兄さんがティルフィング投げて、家に傷が…」
あー…、とマルスは納得し、おそらくアルムとセリカが居るであろう方向に遠い目をする
ロイ「もうエリウッド兄さん、目をつぶってても胃薬まで辿り着けるようになってたよ」
マルス「重症だね…」
ここまで来るといささか気の毒に思えてきた、心の中で合掌し、寝かせておいたほうがいいのだろうがこちらも用がある
マルス「んーちょっと気の毒だけどしょうがないか…」
そういうと踵を返し、エリウッドの部屋へ向かおうとするマルスを見てセリスが声をかける
セリス「エリウッド兄さんに用があるの?」
マルスは体の向きはそのままに視線だけこちらに向けた
マルス「いや家族全員に話があるのさ、よかったらアルムとセリカを居間に呼んでくれるかい?」
セリス「え…うん、いいよ…?」
じゃあお願いねーと言い残し、マルスはエリウッドの部屋に足を運ぶ
セリスもアルムとセリカを呼びに部屋へ行くことにした

――――――数分後――――――
ヘクトル「さて、何の用なんだ、マルス?」
全員が集まったところでヘクトルがマルスへ問いかけた
マルスは待ってましたと言うように口を開いた
マルス「いやさ、最近暑いじゃない? だからちょっとリーフとロイとで涼しくなるイベントを考えてさ」
アイク「涼しくなるイベントだと?」
うん、と頷き、マルスは言葉を続ける
マルス「肝試し、さ」
ミカヤ「肝試し…」
エフラム「ずいぶんと懐かしいものを持ってきたな、ターナ達とヒーニアスをよく気絶させたものだ」
マルス「(何をしたのさ…ま、いっか)…えっと、実はさっきベグニオン社が以前使ってた廃ビルを借りてさ、
    そこでやろうかなって思ってるのさ」
147 名前: Let's肝試し! (3) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:08:26 ID:wDv1bfIE
シグルド「しかし、なぜいきなり?」
マルス「さっきも言ったじゃないか、最近暑いからさ、付け足すと家って貧乏だから、
    なるべく電気代とか節約したほうがいいけど、限界があるでしょ? 
    だから内側から涼しくなれたらいいんじゃないかなーって」
リーフ「つまり怖い思いして涼しい気分になろうってこと」
セリス「で…でも、僕ユーレイとかは…」
マルス「あはは、大丈夫さ、そんなものいないよ、
    ただ暗い空間を歩くだけでも心の内側の恐怖心が煽られて、いい感じに涼しくなるさ」
セリス「それなら…いいけど…」
ヘクトル「へ、なかなか面白そうじゃねぇか! 参加するぜ!」
エフラム「俺も参加しよう、なにか懐かしい気分に惹かれてしまった」
シグルド「私もだ、たまには童心にかえってみよう」
アルム「僕も、なんだか楽しそう」
セリカ「アルムが行くなら私も行くわ」
アイク「俺も行くぞ、そういうところでこそ強い奴に会えるかもしれん」
ロイ「アイク兄さんの理論がわからないよ…聞いてみたいけど理解はできないだろうなぁ…」
結局あれやこれやと言ううちに全員乗り気で参加した、一人を除いては…
ミカヤ「…え…私もやるの…?」
周りを見渡しながら心なしか青ざめた顔でミカヤが声を発する
ロイ「まあ、家族全員参加するみたいだし、流れ的にミカヤ姉さんも行こうよ」
ミカヤ「う…うん、わかったわ」
最も、そんな様子に家族は気付かなかったようだ…
―――――――――――――――――
マルス「さて、じゃあ行こうか、場所は…」
行き先を説明し、家族全員で行き先に向かって歩き始めたのを確認し、マルスはリーフの腕を掴む
リーフ「へ? 何マルス兄さん」
マルス「いや、君には是非とも協力してもらいたくてね」
協力?、とリーフは疑問符を浮かべる
リーフ「いや、ちゃんと皆を脅かすのには協力するつもりだよ?」
マルス「いや、それとは別件なんだ」
周りに聞こえないように小声でリーフに耳打ちする
マルス「実は予定通り、いいところを借りられたのはともかく、ちょっと条件つきでさ、それを手伝ってほしいんだ」
リーフ「条件…ねぇ、まあいいけど、何をするの?」
マルス「それは肝試しが終わってから話すよ、まあ、お願いね」
リーフ「了解、それにしても皆の驚く顔がちょっと楽しみだよーこの日のために色々準備したよね」
マルス「まあ、全力を尽くそうじゃないか、アイク兄さんとかの驚く顔は無理だろうけど…」
フフフ…と黒い笑みを交わしながら二人は道程で脅かす手段をあれやこれやと考えていた…
148 名前: Let's肝試し! (4) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:09:42 ID:wDv1bfIE
―――――数分後―――――
マルス「あ、着いた、ここだよ」
ヘクトル「ここか、結構雰囲気出てんじゃねーか」
廃ビルの様相だが…まあ、ありきたりな見るからに廃ビルといった風貌である
大きさはそれほど大きくはないが白い壁は年月がたって黒ずんでおり、割れた窓は数ヶ所どころではない、
周囲には草が生え放題、しかも丁度その廃ビルに日光を遮るように何故か巨大な木が数本ある
ミカヤ(なにか、今にも出そう…)
人知れずブルッと体を震わせる、この反応…どうやら一家の長女は…――――
ロイ「ん、とじゃあルールを説明しようよ、マルス兄さん、リーフ兄さん」
全員の視線がこちらに集まったのを確認し、マルスはルールを説明し始める
マルス「了解、まあ、単純なものさ、この廃ビルは4Fまである、ちなみに地下もあるけど、
    地下に続くドアのカギが閉まってて行くことは出来ないんだ、ちょっと残念だけど行っても無駄。
    そこの入口から入り、4Fの廊下の一番奥に赤い旗を置いといたんだ、それを取って帰るだけ、簡単でしょ?」
ロイ「僕たち三人は建物内に潜むことになるから、残りの12人で三人チーム作ってね、二人でもいいかなと思ったけど
   そうするとちょっと時間かかっちゃうから」
セリス「え?なんでロイ達は建物内に潜むの?」
ロイ「え…当り前じゃない、そうじゃなきゃ脅かせないよ」
セリス「き、聞いてないよぉ…先に言ってよー…というかさっき暗い中歩くだけって…」
ヘクトル「いや、肝試しなんだから当たり前じゃねーか…肝試しって脅かしてなんぼだぜ?」
マルス「というか、僕確かに暗い中歩くだけでも涼しくなるような事はいったけど、脅かさないなんて一言も言ってないよ?」
リーフ(マルス兄さん、絶対わかってて言わなかったな、あの笑顔)
マルス「ああ、そうだもう一つ、見た目に反して中身は結構複雑になってたりするんだ、迷わないように気をつけてね」
エイリーク「え、では危険ではありませんか? そんなところに入るのは…」
マルス「ああ、誤解しないで、いくら複雑でもちゃんとそれに考慮して道案内の札が細かく途中にかけてあるんだ、
    前にあそこで勤務してた人たちがよく迷ってたらしくあちこちにこれでもかというほどあるから。
    それを見れば間違いなく往復できるよ、三人一組っていうのもそれに対する念のための配慮でもあるんだ」
リン「でも、そんなにあるのなら迷いようがないんじゃない? 配慮も何もないと思うけど」
マルス「迷うのは本当に限りなく0%に近い、だけど確率は0%じゃない限り可能性はあるさ、
    僕たちの作品で例えれば、こっちから攻撃仕掛けて命中確率が99%でそれを外し、
    相手の攻撃1%がHITし、かつ1%の必殺くらうようなものさ」
リーフ「マルス兄さん自重」
マルス「おっと、ゴメンゴメン、まあ、そんなわけで、これからクジで適当にペアを決めるよ」
了解、と皆の了承を得て、マルスは作ってあったクジを取り出し、適当に引いていく
その結果を順に列記しよう
1番手   アイク &   ミカヤ & セリス
2番手  シグルド &   セリカ & エリンシア
3番手  エフラム & エリウッド & ヘクトル
4番手    リン & エイリーク & アルム
149 名前: Let's肝試し! (5) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:11:23 ID:wDv1bfIE
ミカヤ(ど、どうしよう…なんで1番手なんて早いところで当たっちゃうのよー!)
セリス(よりによって1番だよ…どうしよう…)
おのれの不運を呪うのが二名…
マルス「っと、こんなものか、じゃあ行こうかリーフ、ロイ」
リーフ「了解、じゃあ、みんなお先にー」
ロイ「頑張って脅かすからねー、あ、そうだ、だいたい30分ぐらい経ったら入ってね」
セリカ「いってらっしゃーい、一応足下とかに気をつけなさいよ」
マルス&リーフ&ロイ「「「はーい」」」
二人は廃ビルへと足を踏み入れた――――

―――――――廃ビル内(マルス&リーフ&ロイ)―――――――
ロイ「いやぁ、結構雰囲気あるね…」
リーフ「ホントだ、これならいい感じかも、というか本当に何かでそうだね」
ロイ「あ、そういえばマルス兄さん、地下って本当に行けないの?」
マルス「ん、そういえば確認してはいなかったね…案内によると…そこのドアが地下への階段みたいだね」
リーフ「これか…どれどれ」
ガチャガチャガチャ…ドゴッ
リーフ「本当に開かないや、企業の秘密とかを知れるかと思ったのに」
マルス「さりげに蹴ったよね今」
ロイ「でも開かないとよほどのものがありそうだよね…」
マルス「ああ、話だと単にカギを紛失したってそれだけみたいだよ?」
ロイ「え、スペアキーとかなかったの?」
マルス「幼女しゃちょ…ゴホン、サナキ社長の地獄の業火事件で溶けちゃったらしい」
リーフ「地獄の業火事件って何さ?」
マルス「このビルを使用してた当時、まだ幼かった…いや今も幼いけど、
    サナキ社長はその時にはもう魔道の才能はあったらしいんだ、
    特に理魔法に秀でててね、んで、よく面倒みてたシグルーンさんが
    扱うのが難しいと言われるシムベリンの存在をポロッともらしちゃったらしいんだ」
リーフ「それで? まあなんとなく読めたけど」
マルス「うん、多分予想通りだと思う、色々試したがる好奇心旺盛な性格だったからね、
    その魔道書扱ってみせると言い出したのさ」
ロイ「まさか、それでその魔道書渡しちゃったの?」
マルス「そう、いくら魔道の才があっても扱えないと踏んだんだろう、それだけ高度だと言われてたんだ、
    でもそれが間違いだった、なんなく魔法を発動させてしまったのさ、それだけなら凄い話で済むんだけど…」
ロイ「まだあるの?」
マルス「当時は今よりもっと幼い状態…好奇心旺盛な子供にそんな玩具あげたらどうなると思う?」
リーフ「ああ、予想通りか…会社が火の海フラグ…」
マルス「そういうこと…無邪気に笑いながら会社の至る所で発動させまくったらしいよ、会社の損壊率70%いったらしい、
    鉄は溶け、物は焼け、社員多数が火傷…社員の怪我については杖でなんとかなったらしいけど…
    この廃ビルが黒ずんでるのは年月だけじゃなくてサナキ社長が焦がしたのもあるのさ…」
ロイ「そういえばやけに黒ずんでたっけ…」
マルス「まあ、それが今回肝試しに使うのにいい味出してるけどね…」
リーフ「ところどころに破壊の跡があるね、さすがに直しきれなかったんだろうな」
150 名前: Let's肝試し! (6) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:12:08 ID:wDv1bfIE
ロイ「まあ、さっきも言ったけど、雰囲気は本当にあるよ、破壊の跡とかがなんか醸し出してる」
マルス「同感だよ、さっきここに旗を置きに来た時、ほんの少し恐怖感を味わったよ」
その言葉にリーフとロイは、え?、と声をあげる、だってさっき…
リーフ「兄さん、幽霊なんていないって自信満々にセリスにいってなかったっけ?」
ロイ「そうだよね、なんで恐怖感?」
マルス「確かに、僕は信じていないさ、そんな存在、だけどね、それはただの僕個人の『思い込み』でしかないのさ」
ロイ「いや、思い込んでるなら尚更疑問なんだけど」
マルス「つまり、僕は幽霊の存在を信じない、だけど科学的には幽霊なんて存在しないって言いきれない側面もあるのさ
    その側面が僕の『思い込み』を僕自身が否定して、100%のものじゃなくなってしまうのさ…
    さっきも言っただろう? 0%でない限り可能性はあるんだよ、幽霊なんていないと思ってても
    証明ができないのさ、それが人の幽霊に対する恐怖感みたいなものなんじゃない?」
ロイ「あーなるほど…でも僕もそうだな、いないと思ってるけど何か不安になる、
   人にとっての幽霊への恐怖はそんなものなんだろうね」
リーフ「それにしても意外だなぁ、マルス兄さんのような恐ろしく図太くて鋼鉄どころかダイヤモンド並の硬さを
    誇りそうな神経持ってそうな腹黒人間が幽霊をほんの少しでも信じるところがあるなんて」
マルス「…まあ褒め言葉として受け取っとくよ、一生幽霊に関してはこんな考えだろうけどね、そろそろ準備しようか」
ロイ「あ、そうだ話しこんじゃった…早く準備しよう」
リーフ「よーし、腕がなるよ、皆の心に恐怖と戦慄を与えてやる!!」
ロイ「リーフ兄さん悪役っぽい、それもなんか違和感なさすぎ」
――――――――外(30分後)―――――――――
シグルド「ん、30分経ったか、よし、そろそろ1番手行ってこい」
エリウッド「1番手はアイク兄上にミカヤ姉上にセリスだったね」
アイク「よし、行くか、さっきからラグネルがうずうずしている」
リン「いや、なんで神剣持ってきてるの兄さん、そして使う気満々なの」
アイク「案外こういうところに強い奴がいるものだ、楽しみでしょうがなくてな、
    いざ会えたら武器がなくては戦えんだろう」
セリカ「よ、よくわからない理論ね…まあ、止めないけど…」
シグルド(さしずめアイク式理論か…絶対世には普及しないだろうな)
アイク「まあ、そんなわけだ、行くぞ、セリス、ミカヤ姉さん」
ミカヤ(あぁどうしよう~…こういうの苦手なのよね…でも一家の長女がそんな事言うと情けないし…でも…)
セリス(あうぅ…絶対怖い目にあうよ…入りたくないなぁ…)
アルム(…返事がない、ただの屍のy(略))
アイク「姉さん達、行くぞ…聞いてるのか?」
尚も返事がない思考の渦の中の二人につかつかとアイクが近寄り二人の肩を叩く
アイク「おい」
ミカヤ&セリス「「ハ、ハイ!!」」
ここまで聞いていませんでしたというわかりやすい反応を示す二人はちょっと珍しいかもしれない
アイク「ハイ、じゃなくて、行くぞ」
まるで戦に行くようにズンズンと迷いなくラグネル片手に進むアイクを見て二人はほんの少し勇気を得た
ミカヤ(そうね…いつまでも考えてる方が情けないわよね…長女として、腹くくりましょうか…)
セリス(怖いけど…僕だってアイク兄さんと同じ…男なんだ! ここで退いたら情けないよね…!)
覚悟を決め、二人は廃ビルへと歩みだした…
ベクトルのずれた期待を抱きながら進む者とそれに追従する形で恐怖を抱きながら進む二名という
妙な取り合わせは廃ビルへと足を踏み込んだ―――――
151 名前: Let's肝試し! (7) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:13:55 ID:wDv1bfIE
―――――――――肝試し(アイク&ミカヤ&セリス)――――――――――――
―1F―
コッ…コッ…
靴音が周りの壁に反響して響き渡る
アイク「なあ、二人とも、頼みがあるんだが」
ミカヤ&セリス「「な…何?」」
アイク「離れてくれないか、歩きづらい」
そう、恐怖を感じてる二人はアイクにすがりついてしまっていた
ミカヤはアイクの左腕に、セリスはアイクの服をしっかりと
両手に花状態である、一方の性別は『セリス』だから言葉の用法は気にしない
ミカヤ「だ…だってこういうのは…」
セリス「苦手というか…」
アイク(このままじゃまともに動けんぞ…)
途方に暮れるアイク、だが二人は一向に離す気配がない、だからといって無理に振りほどくわけにもいくまい…
アイク(どうしたものか…)
仕方なしにこのまま歩くことを決めたアイクだった
しばらく歩いているとアイクの目の前に白い筋が
アイク(ん…?? なんだこれは)
アイクの目の前に一本の糸が垂れている、いかにも引いてくださいと言わんばかりに…
普通だったら引かないだろう、だがそれを見ているのはアイクである
アイク(引いてみるか)
迷いなく引いたのだった、その瞬間
ガンッ!! ガンッ!! ガララ…
ミカヤ&セリス((!!!!!))
すぐそこの部屋から突如響き渡る衝撃音、恐怖に耐えている二人には効果はばつぐんだ
身を縮こまらせ、アイクに先ほどより強い力でしがみつく
ミカヤ「な、なんなのぉ~…」
もう完全に涙目状態である、もはやアイクにしがみついてるしかできないミカヤは
音の原因を知りたがり、音のした部屋のドアノブを回し、部屋に入るアイクについていくしかできなくなった、
ちなみにセリスも同様である
セリス「か、金ダライ…?」
部屋の中には金ダライがひとつ、どうやらこれが落ちた音だったらしい
アイク「なんだ、つまらんな…」
くるりと180度向きを変え、アイクは部屋を後にした、しがみついてる二人も必然的にそれに倣う形になった
152 名前: Let's肝試し! (8) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:14:39 ID:wDv1bfIE
アイク「ところで階段はどこだ?」
セリス「えっと…このT字路を右みたいだね」
ミカヤ「は、早く澄ませましょ…」
もはや姉の威厳0である…
アイク「ここか、階段は」
セリス「そうみたい…だね」
アイク「ミカヤ姉さん、さすがに階段を登るときは左腕を解放してくれ、上れん」
ミカヤ「え…う、うん…」
仕方なしに一旦アイクの左腕を離す
ミカヤ(さすがに上がりづらいだろうしせめて…階段をあがるときぐらいは一人で…え?)
ミカヤの目の前にあったのはアイクの左手だった
思わずアイクの方を見やると、平常より少しやさしい顔をしたアイクがいた
アイク「姉さん怖いんだろう? さすがに俺にもそれぐらいわかる、
    左腕だと上りづらいが、手をつないでいるぐらいならそんなに支障はない」
ミカヤ「あ、あり…がとう…」
家族の…弟のやさしさを感じ、さっきの恐怖で涙が出そうになった時とは別の意味で少し目頭が熱くなる
アイクの左手をとり、一歩ずつ階段を上がっていく
ミカヤ(フフッ…こういう少し不器用なやさしさが人を惹きつける一つの要因ね…)
あの男の子がこんなに立派に育ってくれたのだと思うと嬉しくなり、思わず恐怖を忘れ――――
ピチョンッ
ミカヤ「きゃあああ!!」
―――ることはできなかったらしい、思わず今度はアイクの体にしがみついてしまった
セリスもさっきまでいい話だなーっとほのぼのとしていたのだが、
ミカヤの悲鳴によって一瞬で吹っ飛び、恐怖を思い出し、ミカヤと同様にアイクにしがみついてしまう
アイク「姉さん、落ち着いてくれ、水が垂れてきただけだ…」
さっき自分の顔にも垂れてきた水をぬぐいながらすぐそこにある2Fを見ながら先は長そうだと
アイクは軽く溜息をついたのだった…
153 名前: Let's肝試し! (9) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:15:37 ID:wDv1bfIE
―2F―
ミカヤ「ご、ごめんなさい、アイク…」
アイク「いや、気にしてない」
心の内ではもう少し自分をしっかり持ってほしいと思ったが言わないでおく
先ほどの有り様にミカヤは顔から火が出る思いだった
セリス「ぼ、僕もごめん、思わずしがみついちゃって…」
ミカヤ「ごめんなさいセリス…」
アイク「ああ、大丈夫だ、気にするな」
反省の意こそあれど、怖いものは怖いらしい、1Fを進んだときと同じ状態で一同は歩みを進める

マルス「アイク兄さんたちがきたよ」
リーフ「よっし、じゃあここはこれでどうかな~」
ロイ「ノリノリだね、リーフ兄さん」
リーフが持っていたのは釣り竿、その糸の先端には『こんにゃく』が…
リーフ「んーじゃあセリスを狙ってみようかな~」
気づかれないように背後からそーっとこんにゃくを近づける…

ペチョッ
セリス「うわあぁぁぁ!!?」
ミカヤ「きゃあぁぁぁ!」
どうやらこの二人の悲鳴は連動しているらしい、一方が悲鳴を上げるともう一方がそれに驚く
アイク「…なんだこれ?」
アイクが目の前にはこんにゃくが浮遊している
ミカヤ「きゃあぁぁ! こんにゃくの幽霊があぁぁぁ!」
アイク「…大丈夫か姉さん(いろんな意味で…)」

ロイ「マ、マルス兄さん笑いすぎ…く、くく…」
マルス「き、君こそ人のことは…ぷ…くく…」
リーフ「いやー予想以上の反応だったよ…くっくく…ミカヤ姉さん最高…
    とりあえず回収ーって、あれ…動かない、ひっかかっちゃったかな?」
グイグイと力任せに引っ張ってもとれないが引っ張るしかない
リーフ「あーもう、動けー!」
リーフが力任せに引っ張るため、吊ってある糸に動力が伝わり、こんにゃくにも動力が伝わる、その結果

セリス「うわぁー!? こんにゃくが踊ってるーー!!??」
ミカヤ「こんにゃくの幽霊ってMP吸ったりするのーーー!!?」
アイク(確かに不思議な動きだが、ふし○な踊りには見えないが…というか本当に大丈夫か姉さん?)
未だ錯乱状態の二人をとりあえず視界の端に追いやり、アイクはこんにゃくを捕まえる
アイク(丁度いい、小腹が空いていた)
パクリと一口で胃の中に納めてしまう
セリス「ア、アイク兄さん凄い…」
アイク「やっぱり味がないな、肉が食いたい」
ミカヤ「あ、後で何か作ってあげるわ…」
アイク「頼む」
自分の取り乱し具合を思い出し、ミカヤは顔を赤らめる、
突然の襲来にも関わらず自分をしっかり保っていたアイクに驚嘆するセリス、
とっとと済ませて肉を食おうと、自身の食欲のため、そして強い奴に会うため(いないと思うが)に突き進むアイク
一同はついに3Fまで到着した
154 名前: Let's肝試し! (10) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:16:38 ID:wDv1bfIE
―3F―
セリス「やっと半分か…」
ミカヤ「案外短いかしら…?」
アイク(とてつもなく長く感じたが)
相変わらず暗闇が続いている、5m先ぐらいが見えない
アイク「まあ、あと半分なんだ、さっさと行くぞ」
ミカヤ「賛成…もうこれ以上醜態さらしたくないわ…」
アイク(だったらもうちょっと気をしっかり持ってくれ…)
相変わらずの状態(アイクにしがみつき)で進んでいく一同、ずっとこのままだろうか?

リーフ「あ、来たね」
ロイ「んー次はどうする?」
マルス「そうだね、ありきたりだけど、これでどうかな?」
リーフ「お、いいかも、これにしよー」

ミカヤ「今のところ何もないわね…」
セリス「そ、そうだね…ってあれは?」
三人の行く先には青白い光、たとえるなら、そう…
アイク「人魂…か?」
もちろんこれはさっきと同じように釣り竿の糸の先に特殊な液体をしみこませた綿を発火させ、
炎色反応といわれる現象を利用したものである、それが6個

ロイ「いやぁーありきたりだねー」
リーフ「ありきたりだよー」
マルス「ありきたりだよねー」
各々片手に一つずつ人魂セットを手に腕を振り人魂もどきをユラユラとさせる
リーフ「さーて、ミカヤ姉さんの反応はどうかなー?」
さっきの一件でリーフはミカヤの反応が楽しみでしょうがないようである
さて、そのミカヤの反応はというと…?

ミカヤ「…い…」
アイク「胃? 胃が痛むのか姉さん、大丈夫か」
セリス「だ、大丈夫なのミカヤ姉さん?」
セリスは目先に人魂が浮かんではいるが家族の安否を気遣うその強さはさすがである
セリス(目の前が怖すぎるけど…姉さんも気になるし…)
ミカヤ「……や…」
アイク「矢? ミカヤ姉さん弓は使えないだろう」
セリス「そうだね、使えないよね?」
二人して俯いているミカヤの顔を覗き込む、その瞬間だった
ミカヤ「いやあぁーーーーーーーーーーーー!!!!! レクスオーラ!!!!」
アイク「う、うわああああぁ!!!???」
セリス「わーーーーーーーー!!!???」
リーフ「ちょ、予想GUYデーーーーース!!!」
ロイ「嘘おおおぉぉーーーーー!!!!???」
マルス「く、二人ともとりあえず伏せてーーー!!」

157 名前: Let’s肝試し!(11) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:32:34 ID:uatRRKja


―――――外―――――
ヘクトル「なんかさっきからミカヤ姉上の悲鳴が聞こえるな、姉上幽霊ダメだったのか?」
シグルド「そうかもしれんな、ちょっと悪いことをしてしまったかもしれん」
エイリーク「大丈夫でしょうか、姉上…それにセリスもちょっと怖がってたようですし」
エフラム「一応傍にアイク兄上がいるのだ、そこまで心配しなくても大丈夫とは思うが…」
キラキラキラ…
リン「…?なんか光の玉みたいなのが集まってるけど」
エリンシア「本当ですわね、綺麗ですわ」
アルム「ホントだ、なんでだろ?」
セリカ「これ…光魔法の一種みたいだけど…」
エリウッド「そうなのかい? なんで」
こんなところで―――とエリウッドがつなげようとした瞬間
カッ!!!!!!
廃ビルがまばゆい光を発し辺りを包んだ
ヘクトル「うおっまぶしっ!」
シグルド「な…なんだ!?」
エリンシア「廃ビルが…光り輝いています!」
エフラム「くっ…なんて光だ…直視できん…!」
エイリーク「うっ…なんて神々しい廃ビルなのでしょう…」
アルム「ニュアンス的に変だけど実際その通りだよね…」
セリカ「正直光り輝く廃ビルってどうなのよ…!」
リン「これ…もしかしたらミカヤ姉さんの魔法じゃない!?」
エリウッド「な、なんて威力なんだ…!! というかなんで光魔法使ってるんだ…!!?」
シュウゥゥゥ…
光が納まると全員廃ビルの方を見やる、そこには何事もなかったように鎮座している廃ビルが…
エフラム「な、なんだったんだ…」
ヘクトル「し、知らねぇ…」
一同しばし茫然と立ち尽くすのだった
158 名前: Let’s肝試し!(12) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:34:55 ID:uatRRKja


―――――再び廃ビル内―――――
ミカヤ「はっ…ついやっちゃった…アイク、セリス、大丈夫…?」
アイク「う、ライブ…を」
セリス「す、凄い威力だ…ね」
ミカヤ「きゃー! ごめんねごめんね! すぐに治すから!!!」

リーフ「う…アイタタタ…」
ロイ「し、死ぬかと思ったよ…でも思ったよりダメージがない…」
マルス「地獄の業火事件のおかげさ…」
リーフ「ど、どういうこと…?」
マルス「あの一件以来、床を修繕したときについでにここの床ほとんどを魔防床に作り替えたんだってさ
    陽光だされたら意味なかったらしいけど…」
ロイ「それでもこの威力…さすがミカヤ姉さんというべきか…」
マルス「アイク兄さんたちみたいにミカヤ姉さんに近ければ近いほどダメージは大きいと思うよ…僕らは離れてたから…」
リーフ「ね、ねぇ…二人とも」
ロイ&マルス「「何…?」」
リーフ「4Fは姉さん達に手を出さないでおかない…?」
ロイ&マルス「「賛成…」」
  『君子危うきに近寄らず』
マルス、ロイ、リーフの三人の心は一つになった瞬間だった
その後、4Fにて無事に旗を取りアイク、ミカヤ、セリスは無事(?)帰還することが出来た

159 名前: Let’s肝試し!(13) [sage] 投稿日: 2008/07/24(木) 00:37:08 ID:uatRRKja
――――――外――――――
アイク「た…ただいま」
セリス「ただいまぁ~…」
ミカヤ「ただいま…」
エリンシア「ああ、三人とも無事だったんですわね! よかった!」
シグルド「廃ビルが突然光出した時は何事かと思ったが…本当に大丈夫なのか?」
アイク「あ、ああ…とりあえず休ませてくれ」
セリス「僕も…今は休息がほしいよ~…」
ミカヤ「ごめんね! 二人とも本当にごめんね~!!(泣」
アイク「心配するな…少し休めば治る」
セリス「うん、ライブかけてもらったもの、しかもリライブ、リカバーの3セットで…」
ミカヤ「う、うん…」
アイク「それに…」
それに…? ミカヤはアイクの次の言葉を待つ
アイク「いつもと違う姉さんがみれて新鮮で楽しかったぞ」
ミカヤ「…!!!///」
ミカヤにとっては一生ものの恥になるかもしれない…

シグルド「まあ、気を取り直して2番手いってくるか」
ヘクトル「次はシグルド兄上とセリカとエリンシア姉上か、頑張れよー」
セリカ「大丈夫、シグルド兄さんがヘマしたら私がフォローするから」
シグルド「なんだと!?」
セリカ「だって結構抜けてるところあるじゃない?」
シグルド「ぐっ…」
エリンシア「まあまあ、仲良く行きましょう?」
2番手の三人、シグルド、セリカ、エリンシアが廃ビルに足を踏み込む――――

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