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Last-modified: 2008-10-13 (月) 22:12:23

516 名前: その名はAKJ 第一章 1/6 [sage] 投稿日: 2008/08/16(土) 04:04:11 ID:pMc1/awD
―AKJ 正式名称「兄(Ani)が嫌いな(Kiraina)女子(Joshi)なんていません同盟」は、兄を愛し、兄と結ばれることを目指した妹達による同盟、早い話がFEにおける特上ブラコンが作った秘密結社である。
今日はそんな彼女達の活動を見ていこう。

第一章 恋愛支援責任者 プリシラ

―9月4日 昼下がり。エレブ公園に、ゲームに登場していない名も無き兄妹が歩いていた。そして2人を陰から追跡する姿があった。

妹    「お兄ちゃん、こっちこっち」
兄    「わかったから、はしゃぐなって」

プリシラ 「(望遠鏡をみながら)あの2人が今回のターゲットですね?」
AKJ工作員 「はい、AKJ会員番号C03532、会員区分は準会員です」
プリシラ 「と、いうことは義理の兄妹ですね」
工作員  「その通りです。親が再婚した際の連れ子同士なので、血の繋がりはありません」
プリシラ 「年齢は?」
工作員  「兄17歳、妹15歳。同じ高校の2年生と1年生です」
プリシラ 「家庭環境は?」
工作員  「現在両親は海外出張で家には不在のため、家には2人きりです」
プリシラ 「兄のフラグ状況は?」
工作員  「世話焼き幼馴染、ツンデレお嬢様、明るい後輩、おっとりとした先輩、大人しい図書委員(眼鏡)の計5人とのフラグが確認されています」
プリシラ 「とすると早い話が・・・」
工作員  「はい、お察しの通り『それなんてエロゲ』な兄妹です」

妹    「お兄ちゃん、おーそーいー」
兄    「お前が早すぎるんだって」
妹    「だってすっごく嬉しいんだもん」
兄    「まったく、いつまでたっても子供なんだからよ・・・」

プリシラ 「しかし、見たところ仲が悪いようにも見えませんが、それにもかかわらず我々に依頼をしてきたということは・・・」
工作員  「お察しの通りです、兄に彼女ができました」
プリシラ 「やはりそうですか。あんなに可愛い妹がいるというのに、他の女を欲しがるとはなんと嘆かわしい・・・レイモンド兄さまなんか私が生まれてこの方他の女に目もくれていないというのに」
工作員  「それはよろしいのですが・・・兄としてはいつまでもギャルゲー環境に身を置くわけにはいかなかったのでしょう。いわば『個別ルートに入った』ということではないでしょうか」
プリシラ 「ということは、その彼女ルートに入った兄をムリヤリ妹ルートにすればいいと。たしかにこれは我々の力がないと無理ですね」
工作員  「は、プリシラ様、いかがいたしましょう?とりあえず、ご指示の通り、この公園でデートするよう妹に告げましたが」
プリシラ 「すでに計画は練ってありますので、早速実行に移ります。まずこの公園の先に1件のレストランがありますので、貴方は先回りして店長を買収して下さい。そして、あの兄弟が来たら、兄の料理にはこの薬を、妹の料理にはこちらの薬を混ぜてください」
工作員  「了解しました」
プリシラ 「それでは、ファーストフェイズ開始します」

妹    「お兄ちゃん、お腹すかない?」
兄    「ん・・・まぁ、減ったかな」
妹    「なんかね、この先に評判のレストランがあるんだって。だからそこに行こう、ね?もちろんお兄ちゃんのおごりで」
兄    「おいおい勘弁してくれよ。何が悲しくて妹にご馳走しなくちゃならないんだよ」
妹    「ええ~いいでしょ~。ね」
兄    「だーわかったから、いちいちくっつくな」
妹    「やったー。お兄ちゃん大好き」
517 名前: その名はAKJ 第一章 2/8 [sage] 投稿日: 2008/08/16(土) 04:06:51 ID:pMc1/awD
―レストラン
兄    「お、きたきた」
妹    「わーおいしそう。いただきまーす」
兄    「うん、旨い」
妹    「ね、そうでしょ」
兄    「ああ、さすがに評判の店なだけはあるな」
妹    「・・・えへへ」
兄    「なにニヤけてんだよ?」
妹    「だって、嬉しいだもん、久しぶりにお兄ちゃんが私とデートしてくれたから」
兄    「お前なぁ・・・」
妹    「お兄ちゃん、最近は彼女さんとばっかり遊んで、私に全然構ってくれないし」
兄    「あのなぁ、何処の世界に自分の彼女放って妹と遊ぶやつがいるんだよ?」
妹    「そう。だから、久しぶりに付き合ってくれたのが嬉しいの」
兄    「はいはい、そうですか」
妹    「お兄ちゃん、あ~ん」
兄    「馬鹿なことはやめろ」

工作員  「プリシラ様、薬の混入は完了しました」
プリシラ 「お疲れ様です、それではセカンドフェイズに入ります」
工作員  「は」
プリシラ 「といっても、とりあえずあなたがやることはありません。暫くはあの兄妹を見張っていてください」
工作員  「了解しました」
プリシラ 「薬が効くまであと3時間、とりあえず1時間ほどは兄妹の自由にさせてください、その間に私は『例の場所』との交渉を行ってきます。これは私でなくてはできませんからね。では見張りを頼みませしたよ(この場を立ち去る)」
工作員  「お任せください」

―1時間後、プリシラが戻ってくる
工作員  「お疲れ様です、いかがでしたか?」
プリシラ 「交渉は成功しました」
工作員  「お見事です、プリシラ様」
プリシラ 「兄妹の方はどうですか?」
工作員  「公園を歩き回っていただけですので、特に変わったことはありません。強いて言えば、一度風が強く吹き、妹のスカートがめくれ上がって『お兄ちゃんのエッチ』と妹が言ったくらいでしょうか」
プリシラ 「これはまた・・・」
工作員  「ギャルゲー、エロゲーのお約束ですね」
プリシラ 「楽しそうで結構ですが、薬が効くまであと2時間弱。そろそろあの2人を『例の場所』に誘導しましょう(書物を取り出す)。詠唱を行うので、周囲を見張っていてください」
工作員  「は」
プリシラ 「(詠唱中)・・・雷雨よ、我が声に応え、この地に轟け、サンダーストーム!!」

―突然、雨が降り出す
妹    「お兄ちゃん、雨」
兄    「うわ、なんだ?急に降り出してきたぞ」
妹    「やだ、濡れちゃう・・・」
兄    「駅に急げ、走るぞ」
518 名前: その名はAKJ 第一章 [sage] 投稿日: 2008/08/16(土) 04:10:25 ID:pMc1/awD
―エレブ駅
兄    「なんだよこれ、ほとんど台風じゃねぇか・・・」
妹    「うう、濡れちゃったよ・・・」
兄    「さっさと家に帰って・・・って、あれ?」
駅内放送 「(ピンポンパンポーン)ええ、誠に申し訳ありませんが、現在紋章町線は激しい雷雨のため全線運行を見合わせております」
妹    「運行見合わせだって、駅員さんに聞いてみよう」

駅員   「先ほどの放送の通りでございます、この雷雨では運行は不可能でして・・・」
兄    「どれくらいで動きそうですか?」
駅員   「誠に申し訳ありませんが、先ほどの気象予報ではこの雷雨は明朝まで続くそうなので、本日中は運行見合わせ中止ということになりそうです」
兄    「え、それじゃあ俺達帰れないじゃないですか!何とかしてくださいよ」
駅員   「そうは申しましても・・・」

兄    「ったく、これからどうすればいいんだよ?」
妹    「ねぇ、あそこへいってみない?(駅前にある建物を指差す)」
兄    「って、おいおい、あそこはエレブグランドホテルじゃねぇか、そんな金ねぇぞ」
妹    「でもロビーでコーヒーくらいは飲めるでしょ。とりあえず、建物の中に入りたいよ」
兄    「まぁ、行くだけ行ってみるか」

―エレブグランドホテル前
妹    「うわぁ・・・目の前で見るとすっごく大きいね」
兄    「これじゃぁ、門前払いくらいそうだな・・・」

工作員  「プリシラ様、兄妹が『例の場所』、エレブグランドホテルに入りました」
プリシラ 「私達は裏口から入りましょう、オーナーの許可は既に得ています」

―ホテルロビー
エリック 「エレブグランドホテルへようこそ、ご予約のお客様でしょうか」
兄    「いや、そうじゃなくて、あの、その・・・突然の雨で電車止まっちゃったみたいで、とりあえずコーヒーでも飲もうかな・・・と」
エリック 「それはそれはお気の毒に・・・よろしければお部屋を用意いたしましょうか」
兄    「そ、そんな無理ですよ、こんな高級ホテルに泊まるような金持ってないですし」
エリック 「いえ、実はこの雷雨で一件予約がキャンセルとなりまして、そのお部屋でよろしければ一晩提供させていただきます。お代はいただきません」
兄    「ほ、本当ですか?」
妹    「やったね、お兄ちゃん」
エリック 「ただ、一部屋しか空きがありませんので、お二人ご一緒ということになりますが・・・」
妹    「大丈夫、私達兄妹ですから」
兄    「仕方ないか」
エリック 「それではご案内します」

―兄妹を案内した後
エリック 「父上。こ、これでよろしかったでしょうか」
ダーレン 「うむ、よくやったエリック」
エリック 「しかし父上、よろしいのですか?たしか今夜のスウィートはベグニオンのサナキ社長の予約が入っていたはずでは・・・」
ダーレン 「構わん、別の部屋に変えてもらうことにする」
エリック 「しかしベグニオンは紋章町屈指の大企業、そこの機嫌を損ねてはまずいのでは」
ダーレン 「構わんといっている。オーナーであるわしの言うことが聞けないのか」
エリック 「何故なのですか、父上?長年築き上げたエレブグランドホテルの伝統と信用を崩してまであの兄妹を泊める必要が何処にあるのですか?答えてください、父上」
ダーレン 「・・・、・リ・・た・・・み・・だ」
エリック 「は?」
ダーレン 「プリシラたんの頼みなんだ///」
エリック 「またあの女ですか!!父上、一体あなたは何回あの女に利用されれば気がすむのですか!?」
ダーレン 「だって、プリシラたんが『ラウスのおじ様、私のお願いを聞いてください(はぁと)』ってニッコリ笑って言うんだぞ」
エリック 「演技だから、それ全部演技だから」
ダーレン 「それに、お願いを聞いてくれたらデートしてくれるって・・・」
エリック 「嘘に決まってるでしょう!!この間もそれで騙されたばかりじゃないですか」
ダーレン 「でも、プリシラたん可愛かったんだもん」
エリック 「『だもん』じゃねぇぇぇぇぇ、この色ボケジジィが!!」
ダーレン 「あぁ、プリシラたん・・・」
エリック (今度の取締役会で、絶対にこいつをオーナーから降ろす。そして私が権力を握ってやる・・・)
519 名前: その名はAKJ 第一章 [sage] 投稿日: 2008/08/16(土) 04:13:37 ID:pMc1/awD
―部屋に案内された兄妹2人
兄    「ちょ、部屋って最上階のスウィート?」
妹    「すごーい」
兄    「おいおいおいおい、いいのかよ、こんな所に泊まって?」
妹    「えへへ、いいじゃない。とりあえず、少し濡れちゃってるからお風呂入らないと。お兄ちゃん、一緒に入らない」
兄    「ば、馬鹿なこと言うな。先入れ」
妹    「お兄ちゃん先入っていいよ、お兄ちゃんのほうが沢山濡れてるしね」
兄    「そうか、ならお言葉に甘えて」

―30分後
兄    「さすが高級ホテルのスウィート、風呂も豪華だ。バスローブなんて着たこと無いぜ・・・」
妹    「お兄ちゃん出た?じゃぁ次私入るね」

―さらに30分後
妹    「ああ、いいお湯だった(体にはバスタオル一枚)」
兄    「って、何か着ろ」
妹    「ええ~、なんかお風呂は言ったら暑くなっちゃって」
兄    「だからってなぁ・・・」
妹    「いいじゃない、私達二人しかいないんだし(兄の隣に座る)」
兄    「お、おい・・・」
妹    「(兄に寄り添う)えへへ・・・お兄ちゃ~ん」
兄    「ば、ばか、離れろ」
妹    「ええ、何で~?」
兄    (な、なんだ・・・今日に限って妹がやけに可愛く・・・っていうかぶっちゃけるとエロく見えるような・・・ば、バカこいつは妹だぞ)

―スウィートの1階下の部屋
工作員  「(盗聴器を耳に当てながら)プリシラ様、2人とも入浴を済ませました。それと薬が効き始めてきたようです」
プリシラ 「そうですか、それではいよいよサードフェイズに入ります。このミッションで最も重要なフェイズですので慎重かつ迅速に進めましょう」
工作員  「はっ」
エリック 「・・・かしこまりました(この魔性の女が・・・)」

プリシラ 「まず、私が再び魔法で雷を落としますので、そのタイミングに合わせスウィートだけブレーカーを切り、5分後にプレーカーを直してください」
エリック 「かしこまりました」
プリシラ 「その後はあなたに任せます、しっかりやってください」
工作員  「は、お任せください」
エリック 「(一体何をしようというのだ・・・?)あ、あの、雷で停電にみせかけるお考えでしょうが、と、当ホテルもそれなりの設備はもっているつもりですので、
並みの雷で停電というのは、みせかけとはいえあまりに不自然かと考えますが・・・」
プリシラ 「その辺はご心配なく、これがありますから(一枚の紙を取り出す)
エリック 「それは一体?」
プリシラ 「ティニーのつてで1枚もらいました。私でも半分くらいの力は引き出せるでしょう」

プリシラ 「(詠唱中)・・・轟け、神のいかづち、トールハンマー」

―ズガガーン 特大の雷が落ちる
妹    「きゃあ、今すごい雷が鳴った!!」
兄    「うわ、しかも停電か!?」
妹    「お兄ちゃん、怖いよ」
兄    「おいおい落ち着けって、すぐ明るくなるさ」
妹    「いやぁーーー」
兄    「わ」
妹    「怖いよー、怖いよー」
兄    「大丈夫だって、俺がついてるから、な」
妹    「お、お兄ちゃん・・・」

―部屋が明るくなる
兄    「お、あかるくな・・・」
妹    「うー怖かっ・・・」
520 名前: その名はAKJ 第一章 [sage] 投稿日: 2008/08/16(土) 04:15:34 ID:pMc1/awD
―明るくなってから互いの体勢に気づく二人 
兄    「・・・」
妹    「・・・」
兄    「は、離れろよ。そ、それと何か着ろって」
妹    「・・・」
兄    「お、おい、聞いてるのか」
妹    「・・・いや」
兄    「え?」
妹    「・・・離れたくない、だって私、お兄ちゃんのこと好きだから」
兄    「お、お前、冗談はよせよ」
妹    「冗談なんかじゃない、本気だよ」
兄    「お、俺たちは兄妹じゃ・・・」
妹    「血は繋がってないよ」
兄    「だ、だからってなぁ・・・」
妹    「ねぇ、私はもう子供じゃないよ・・・いつまでも、妹じゃ満足できないの」
兄    「・・・」
妹    「おにいちゃんだったら・・・私・・・いいよ」
兄    「お、お前・・・」

―やがて二人の影は1つに重なり・・・ここから先は割愛します(ファイアーエムブレムはCEROレーティングA 全年齢対象ゲームです)
―9月5日 朝
兄    (・・・お、俺はなんてことをしてしまったんだ。血が繋がっていないとはいえ、妹を・・・)
妹    「うーん、お兄ちゃん、おはよう」
兄    「あ、ああ、おはよう(いくらなんでもこのままではまずい。兄と妹がどうにかなるなんて世間では認められないし、それに俺には彼女だっている)」
妹    「すっかり晴れちゃったね、昨日の嵐が嘘みたい」
兄    「そ、そうだな」
兄    (やはり妹としっかり話をして昨夜のことは無かったことにしてもらうしかないだろう)
兄    (妹は傷つくかもしれないが、責任は俺にあるのだから徹頭徹尾謝るしかないし、嫌われたって仕方が無い。でもそれがお互いのためだ)
妹    「とりあえず、家に帰ろうか?」
兄    「お、おう、そうしよう。チェックアウト済ませてくる(そうとなれば早い方がいい、家に帰ったらすぐに話し合おう)」

―兄弟がホテルを出たそのとき、ホテルの前に1人の女性が立っていた。
兄    「な、お、お前が何故ここに?」
彼女   「・・・今朝、私宛の小包が送られてきたの。で、中にこんな写真が入っていたわ」

―彼女が兄に突きつけたもの、それは昨夜の兄妹の<ダキュン>な姿を写した写真の束だった

兄    「な・・・い、一体誰がこんなものを」
彼女   「さらにこんなものまで・・・(携帯レコーダーを取り出す)」

『(ザー)お兄ちゃん、その、優しく・・・してね(ザー)』
『(ザー)ああ、大丈夫だ・・・(ザー)』

兄    「そ、そんな・・・」
彼女   「最初はいたずらかとも思ったけど・・・あなたたち2人がこのホテルにいるって書いた紙も一緒になってたから、まさかと思ってきてみたら」
兄    「いや、これは、その・・・」
彼女   「あ、あなたが妹に手を出すような人だったなんて・・・」
兄    「まて、俺の話を聞いてくれ」
彼女   「近寄らないで、このケダモノ!!(走り去る)」
兄    「『ズガーン(彼女の言葉がクリティカルで刺さった音)』・・・ケ・・・ケダモノ・・・」
521 名前: その名はAKJ 第一章 [sage] 投稿日: 2008/08/16(土) 04:18:31 ID:pMc1/awD
―兄妹自宅
兄    「終わった・・・俺の青春は終わった」
妹    「お兄ちゃん・・・」
兄    「・・・どうした?」
妹    「(兄に抱きつく)お兄ちゃん、落ち込まないで、私がいるじゃない」
兄    「え・・・」
妹    「私はお兄ちゃんが好き、たとえ世界中の人が敵になっても、私だけはお兄ちゃんから離れないよ。だから・・・彼女さんのことなんて忘れて・・・ね?」
兄    「お、お前・・・く・・・(妹を抱きしめる)ああ、俺もお前を絶対に離さない」
妹    「うん・・・お兄ちゃん、だいすき」

―兄妹自宅外
工作員  「(怪しげな機械を見ながら)フラグ強度値21.24を計測しました」
プリシラ 「一般の夫婦と同等値、ひとまずは安定ですね」
工作員  「はい、これであの兄妹は結ばれたと判断してよいでしょう」
プリシラ 「それにしても、あの2人が抱き合っている幸せそうな姿をみると心が洗われます。兄妹が結ばれた姿は、この世で最も美しい光景ですね」
工作員  「左様でございますか」
プリシラ 「それでは、これ以上兄妹の聖域に立ち入るわけには行きませんし、我々は退散しましょう」
工作員  「はっ」

―9月6日 某所
プリシラ 「お兄様とはうまくいったようですね」
妹    「はい、おかげさまで、私とお兄ちゃんは恋人同士になれました。
お兄ちゃんに彼女ができた時にはもうダメだと思っていましたけど・・・これも、AKJの皆さんのおかげです」
プリシラ 「そんなことはありませんよ」
プリシラ 「私達は、媚薬とフェロモン増強剤をあなた達に飲ませて、天候を操ってあなた達をホテルに泊めて、写真とテープを彼女のポストに入れただけです」
プリシラ 「いずれも『ほんの些細な手助け』にすぎません。お兄様を射止めたのは間違いなくあなたの魅力と愛のおかげですのよ」
妹    「そ、そんな照れちゃいます」
プリシラ 「もっと自信を持ってください。お兄様に最も相応しい女性はは間違いなく、あなたです」
妹    「ありがとうございます。それで、これ、少ないですけど御礼です(札の入った封筒を差し出す)」
プリシラ 「申し訳ありませんが、これは受取れません。会員への支援は全て無料、これがAKJの決まりですからね」
妹    「で、でも・・・」
プリシラ 「あなたもAKJに入会した時に言われたと思いますが、私達にとって、兄を愛する心こそが最大の会費なのです。そのお金はお兄様とのデートにでも使ってください」
妹    「それではあまりにもうしわけなくて」
プリシラ 「それでしたら、今日の18時に行う年に1度の催し、あれに参加してください」
妹    「え、私も参加していいのですか?私、もうお兄ちゃんと結ばれ・・・」
プリシラ 「お兄様と結ばれようが、あなたがAKJの会員であることは変わりありませんから、当然参加できますよ。そこで、皆に貴方の幸せな姿を見せてください」
妹    「そ、そんなことでいいのですか?」
プリシラ 「ええ、お兄様と結ばれたあなたは、私を含め、他の会員の励みになりますから」
妹    「はい、是非参加させてもらいます」
プリシラ 「それはよかった」
妹    「本当に、何から何までありがとうございます。私、お兄ちゃんと精一杯幸せになります」
プリシラ 「そうしてもらえると私も嬉しいです。それでは18時にまた会いましょう、では失礼します」

工作員  「上手くいったようですね」
プリシラ 「ええ、これでミッションは完了です。あなたもお疲れ様でした」
工作員  「いえ、これも任務ですので」
プリシラ 「ふふふ、それにしてもあの妹さんをみましたか。兄への愛に溢れた幸せそうな姿はいつ見ても美しいものですね」
工作員  「さ、左様でございますか」
プリシラ 「あれは女性として、いえ、人間としての理想の姿だと私は思います。私もいつかレイモンド兄さまと・・・(ポワポワポワ~ン)」
522 名前: その名はAKJ 第一章 [sage] 投稿日: 2008/08/16(土) 04:21:08 ID:pMc1/awD
―プリシラの妄想世界
レイヴァン「プリシラ・・・」
プリシラ 「兄さま・・・」
レイヴァン「俺にはお前のことしか見えない」
プリシラ 「兄さま、私もです」
???? 「・・・・様」
レイヴァン「お前を放したくない、一生側にいてくれ」
プリシラ 「・・・し、しかし私達は血が繋がった兄妹、世間が認めるはずはありません」
レイヴァン「ならば、2人でどこか遠い国へ逃れよう、そこで2人だけの世界をつくる」
プリシラ 「よ、よろしいのですか?」
???? 「・リ・ラ様」
レイヴァン「ああ、俺はお前さえいれば他には何もいらない。コンウォルの名も喜んで捨てよう」
プリシラ 「兄さま、プリシラはとてもうれしゅうございます」
レイヴァン「さぁ、行こう、二人だけの世界へ」
プリシラ 「はい、だいすきです、兄さま」
プリシラ (こうして駆け落ちした2人は、理想郷を見つけ、ついには結ばれることに・・・あ、兄さま、そんな、あぁん)
工作員  「プリシラ様!!」
プリシラ 「は、はい!?」
―現実
工作員  「プリシラ様、たった今報告が入りました。レイモンド様がエレブ公園にて女子とデート中です」
プリシラ 「何ですって、相手は!?」
工作員  「レベッカという娘でございます」
プリシラ 「あの田舎者の小娘がっ!!以前から兄様に対する卑しい視線が気になってはいましたが、まさか支援会話だけでは飽き足らずにデートまで・・・」
工作員  「いかがなさいますか」
プリシラ 「無論阻止です。それもただ阻止しただけでは面白くありません。ここはAKJらしいやり方で行きましょう。では、これより幹部権限にて緊急ミッションを発令します」
工作員  「はっ、何なりとお申し付けください」
プリシラ 「まず、ルセアを探し、いまから大体40分後くらいにエレブ公園にくるよう誘導してください」
工作員  「了解しました」
プリシラ 「(メモを渡す)次にこの人物を探し、1時間後にエレブ公園にその人物を誘導、その後ティニーに連絡を取り、スカウト担当を1人こちらに遣わしてください」
工作員  「それだけでよろしいのですか?」
プリシラ 「ええ、後は私1人でなんとかします。それでは早速取り掛かってください」
工作員  「了解しました」
523 名前: その名はAKJ 第一章 [sage] 投稿日: 2008/08/16(土) 04:23:07 ID:pMc1/awD
―エレブ公園
レイヴァン「・・・」
レベッカ 「いい天気でよかったですね、レイヴァンさん」
レイヴァン「ああ、そうだな」
レベッカ 「今日は、わざわざ付き合ってもらってありがとうございます」
レイヴァン「構わん、ルセアが世話になった礼だ」
レベッカ 「そんな、あれくらいのことで・・・」
レイヴァン「いや、孤児院は常に人手が足りない。お前のように家事をやる人間は特にな。だから大助かりだとルセアは言っていた」
レベッカ 「(小声で)でも、そのおかげでレイヴァンさんがデートしてくれるんだから、安いものよね」
レイヴァン「何か言ったか?」
レベッカ 「い、いえ、何でも無いです」
レイヴァン「そうか・・・」
レベッカ 「そ、そういえばそろそろお昼になりますね」
レイヴァン「もうそんな時間か」
レベッカ 「あ、あの、わたし、お弁当作ってきたんですけど、よろしかったら・・・どうですか?」
レイヴァン「それはありがたい、もらおう」
レベッカ 「は、はい」

―公園のベンチ
レベッカ 「あの、その、大した物じゃないんですけど・・・」
レイヴァン「そんなことはない、お前のつくるものは非常にうまい」
レベッカ 「あ、ありがとうございます。じゃあ、召し上がってください」
レイヴァン「ああ、いただ」
???  「あら~兄さまじゃないですか」

―ここで、プリシラ登場
レイヴァン「プリシラか」
プリシラ 「まぁ、『なんとなく』ここを散歩していたら『偶然』兄さまたちをみかけるなんてとっても『奇遇』ですね」
レイヴァン「あ、ああ、そうだな」
プリシラ 「レベッカさんも兄がいつもお世話になっています」
レベッカ 「こ、こんにちは」
プリシラ 「まぁ~おいしそうなお弁当、レベッカさんが作られたのですか?」
レベッカ 「え、あ、はい」
プリシラ 「私もお相伴に与ってもよろしいでしょうか?」
レベッカ 「あ、はい、どうぞ」
プリシラ 「それでは失礼して(レイヴァンとレベッカの間に座る)。さぁ、兄さま、召し上がってください(おかずを一品とり、レイヴァンに差し出す)」
レイヴァン「あ、ああ」
レベッカ (ちょ・・・作ったの私)
プリシラ 「あ・・・(おかずを落とす)」
524 名前: その名はAKJ 第一章 [sage] 投稿日: 2008/08/16(土) 04:23:56 ID:pMc1/awD
―レイヴァン、レベッカ両者の視線が落ちたおかずにいった瞬間、
 プリシラはお弁当の一部(プリシラが落としたおかずと同じもの)に隠し持っていた液体を数滴たらした。

レイヴァン「何をやっている、プリシラ」
プリシラ 「ご、ごめんなさい、兄さま」
レイヴァン「俺よりもレベッカに謝れ」
プリシラ 「ごめんなさい、レベッカさん、折角のお弁当を」
レベッカ 「いいんですよ、たった一個落ちただけですから。じゃぁ、気を取り直してレイヴァンさんどうぞ」
レイヴァン「ああ、いただこう・・・うぐ・・・」
プリシラ 「どうかなさいましたか、兄さま?」
レベッカ 「美味しくないですか?」
レイヴァン「そ、そんなことはない。も、もう1つもらおうか」
レベッカ 「はい、どうぞ」
レイヴァン「・・・ぐ・・・(その場に倒れる)」
プリシラ 「兄さま!!」
レベッカ 「レイヴァンさん!!」
プリシラ 「兄さま、しっかりなさってください」
レベッカ 「レイヴァンさん、大丈夫ですか」
プリシラ 「気を失っています。ま、まさかこのお弁当のせいで!?」
レベッカ 「そ、そんなはずないです・・・」

ルセア  「レイモンド様、プリシラ様・・・これは一体」
プリシラ 「ルセアさん、兄さまが倒れてしまいましたの」
ルセア  「何ですって!?」
プリシラ 「すぐに兄さまをお屋敷に運んでください、それとお医者様を」
ルセア  「わかりました、さぁ、レイモンド様、参りましょう(レイヴァンを抱えこの場を去る)」
レベッカ 「あ・・・あの・・・」
プリシラ 「レベッカさん・・・あなたの料理のせいで兄さまは倒れてしまいました」
レベッカ 「何かの間違いです」
プリシラ 「私達はあなたに何か責任を追及することはしません。ただし、これ以降、兄さまに近づかないでください」
レベッカ 「そ、そんな・・・」
プリシラ 「(ふふふ、泣いてる泣いてる。小娘が、思い知りなさい)それでは、失礼します」
レベッカ 「ま、待ってください」
プリシラ (兄さまが召し上がったお弁当にかけたのは、AKJ特注の秘薬、ある踊り子が作ったスープから毒成分を抜き、睡眠薬を溶かした薬)
プリシラ (体に害はない代わりに、数滴たらすだけで想像を絶するまずさと眠気が食べたものを襲うのです)
プリシラ (ふふふ・・・全ては私の思い通り。さぁ、最後の仕上げにいきましょうか)
525 名前: その名はAKJ 第一章 [sage] 投稿日: 2008/08/16(土) 04:24:52 ID:pMc1/awD
―ベンチに1人残されたレベッカ
レベッカ 「グス・・・どうして・・・一生懸命作ったのに・・・味見もしっかりしたのに・・・」
ダーツ  「ん?なんだ、レベッカじゃねぇか」
レベッカ 「おにいちゃん・・・」
ダーツ  「こんなところでなにやってるんだ?」
レベッカ 「ち、ちょっとね・・・おにいちゃんこそどうしたの?」
ダーツ  「『早急にエレブ公園に公園に来るよう、お頭からのお達しです』って書いた紙が家のポストに入ってたんだけど、誰もいねぇんだよなぁ・・・」
レベッカ 「そうなんだ」
ダーツ  「それはそれとして、お前、なんか旨そうなモン持ってるじゃねぇか。腹減ってたんだ、もらうぜ」
レベッカ 「あ・・・それはダメ」
ダーツ  「・・・・・・うん、旨い」
レベッカ 「え?」
ダーツ  「おまえ、本当に料理旨いよなぁ」
レベッカ 「本当に、美味しい?」
ダーツ  「ああ」
レベッカ 「本当の本当に、そう思う?」
ダーツ  「なんだよ、疑うことねぇだろ。すっごく旨いぜ」
レベッカ 「・・・うん、ありがとう、おにいちゃん。よかったら全部食べていいよ」
ダーツ  「ほんとうか、それはありがてぇ、腹減ってたんだ」
レベッカ 「どうぞ、めしあがれ」
ダーツ  「いただくぜ」
レベッカ 「ねぇ、おにいちゃん。それ食べたら私と遊びに行かない?」
ダーツ  「あん?なんだよ、急に」
レベッカ 「いいでしょ、ね?」
ダーツ  「まぁ、お頭が呼んでるってのも勘違いだったみてぇだし、たまには付き合ってやるか」
レベッカ 「やったーありがとう、おにいちゃん」
ダーツ  「おいおい、あんまりくっつくなって」
レベッカ 「えへへ、いいじゃない兄妹なんだし」
ダーツ  「ったくよ・・・」
レベッカ 「明日から、お兄ちゃんのお弁当つくってあげるね」
ダーツ  「本当か、それは助かるぜ、でもお前も大変なんじゃないのか?」
レベッカ 「いいの、おにいちゃんのためだもん」
526 名前: 助けて!名無しさん! [sage] 投稿日: 2008/08/16(土) 05:30:00 ID:pMc1/awD
(バイバイさるさん状態になって書き込めませんでした、これが今回の最後です)

工作員  「・・・うまくいったようですね」
プリシラ 「ええ、あの2人のデートが終わったら、すぐにレベッカさんにAKJ入会手続きをとってもらってください」
工作員  「了解しました、スカウト担当の者に伝えておきます」
プリシラ 「これで緊急ミッションは完了です」
工作員  「お見事です、プリシラ様。あの娘とレイモンド様とのデートを妨害するだけでなく、新たな兄妹の絆を一つ作るとは」
プリシラ 「妹は兄と共にある・・・これが人間の正しき姿なのです」
プリシラ 「レベッカさんも、あんな逞しい兄がいるのですから、他の男などかまわずひたすらに兄を愛すればよいのです」
工作員  「・・・」
プリシラ 「見てください、レベッカさんの姿を」
工作員  「はぁ・・・」
プリシラ 「レイモンド兄さまに言い寄っていた時は汚らわしいメス豚のようでしたが、兄ダーツさんに甘えている姿は可愛らしい天使のようではないですか」
工作員  「さ、左様でございますか」
プリシラ 「同一人物とは思えません、やはり妹は兄を愛してこそですね」
工作員  (違いが全くわからない・・・)
プリシラ 「私も幼いころはレイモンド兄さまに甘えておりました。もちろん今でも・・・(ポワポワポワ~ン)」
工作員  「プリシラ様!!お時間はよろしいのですか?」
プリシラ 「いけない、今日は役員会議の日でした」
工作員  「はい、その後、年に一度の大事な催しも予定されていますので、お急ぎになった方がよろしいかと」
プリシラ 「そうですね。急ぎ、ノディオン家へ参りましょう」

―AKJは妹と兄が結ばれるよう、既成事実作りや恋敵の妨害、抹殺を無料で援助する。
 これを「恋愛支援」というが、その支援実行を司るのがAKJ幹部の1人、会員番号A00002 プリシラである。
 「妹と兄は常に共にあるべき」という信念を持つ彼女は、妹と兄が結ばれるためであれば手段を選ぶことはなく、また戸惑いを感じたことは無い。

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