小説 CODE:F series2

Last-modified: 2017-12-30 (土) 09:51:08
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本編

CODE:F series2 1話「NewFD3S」(総合18話)

ミキト)シーケンシャルツインターボ…いいねぇ…
旭)どうだ?しかし、ツインターボにしようという考えは良いぞ。渋いな。
ミキト)まさか、社長が乗ってた黄色いFDの頃から、ツインターボ、シングルターボにしてたとは…
旭)今度はスーチャーでもつけたいかァ?w
ミキト)シーケンシャルに変えたばっかでしょう…w
旭)ってか、首都高でも峠でも速い車か…まるで良いとこ取りだな。
ミキト)まるでも何も、ちゃんと良いとこ取りですよ。
ブォオオオッ…
旭)後ろ、RB26か?
ミキト)34…ですかね…?

旭)どうしてそう思う?
ミキト)32はまず、超フロントヘビー級の車です。ここ箱根のターンパイクですよ?あんな速度で走っていたら、まずべーパーロックを起こしかねないでしょうし、33説も無いかと。あのロングホイールベース、峠には不向きですって。
旭)前に言ったろ、お前も、どっかの初心者でも走ってる以上、そんなセオリーはないと。峠にだってあるサ。車を好きな奴ほど、そんな意見を気にしない。分かっていてやるんだ。ほぅら、すぐ追い付いた。バックミラーに映るこの緑のRは………
ミキト)なっ…R33ッ…!?
??)FD捕らえたぜェ…逃がすかヨ…俺の宿敵ダ!
ブォオオオンッ!! ドギャウッ…グッゴ
ミキト)プライマリータービンから移り変わる時の瞬間や繋ぎ目…コーナーから立ち上がって急に動き出すセカンダリータービン…ドッカンターボを思い浮かべます。この怖さってとても大事。
旭)よく分かってるじゃねぇか

??)ダメだなァ…加速がモタつく…ブーストメーターもまんまノーマルじゃあてにならないよねぇ…でも、これだけは言える。R33だって曲がる…!!
ミキト)速いッ!?
旭)バァカ言え。アッチはほぼノーマルだ。エボにすら匹敵はしねぇ。だが、ドライバーのセンスは一流だナ。なんだか勿体ねぇワ。
ミキト)こんだけ煽り散らされてちゃ、譲りたくないんですケド。
旭)ダメだ。譲れ。今は峠でのセッティング出し中だろ。だからこの超高速ステージを選んでんだろうが。
ミキト)しょっぱな湾岸でセッティングしないのは訳が…?
旭)いや、ない。とにかくあのRに道を譲れ。
ミキト)はいはい…。
??)ちょ、やる気じゃねぇか…ん?このFDって仙台んトコじゃん…3ナンバーって事は排気量とかの関係か?いや、エアロ…?横幅かね…?あ、そっかこれはFDであって、FCじゃねぇんだ…忘れられねぇよ…あのFC…
ブォオオオッ…

R33がFDの前に出る。
旭)オイ、あのR、仙台ナンバーじゃねぇか?
ミキト)ですね…ん…? まさか…淳也(ジュンヤ)か…?
旭)知り合いか?
ミキト)えぇ。俺の幼馴染みのいとこにあたる存在です。高橋 淳也。21歳。
かつては、ロータリーオーナーで、FCに乗ってました。18から乗ってて、21歳を迎えた翌日に売ったんです。そのあとは連絡もとってないし、でもおそらくあのナンバーは。間違いなく淳也です。
仙台330
せ 12-337。
ミキト)12は、繋げて書けばRの文字と同じような書き方ですよね?12はR、33はR33の33。7は、愛車のセブンです。…と言うか、この足回り凄いですね…
ブレーキも凄い効きます…5ポットでしたっけ?
旭)気付いたかァッwコイツァGRtuneスペシャルの足回りだからな!前とは比べモンにもならねぇハズ。
ミキト)BLITZのメーター類に変わりましたねっ
旭)ブーストは最大で2.0まであるが、エンジンが逝く。1.3~1.5がベストだろ。そうだ、試したか?2速で引っ張って2000rpmから4000まで回していった時にセカンダリータービンに変わるあの感覚。高速で走る分にはお前もさっきよく分かっていたが、ゆっくりと走っていれば落ち着いてコイツを見てあげれるし、FDもリラックスした状態を見せてくれる。こういうのが大事なんだ。
ミキト)えぇ…
ブォオオオオッ!!…パヒューッ…

1話 完

CODE:F series2 2話「rain」(総合19話)

木崎家宅
カチャッカチャカチャ…
ミドリ)兄ィ、またパソコォン?
アオト)あぁ。実は、ある計画をたてていてサ
ミドリ)計画…?そーゆーのホント怖いっちゅーの…
アオト)じゃあ、俺は少し湾岸にでも出るよ。
ミドリ)今は…2時…私寝るゥ。おやすみィ…
同時刻 湾岸線
ブォオオオンッ!! パァアッ ゴワウ
ミキト)…俺は…進歩がねぇな…GRtuneで働かせてもらってるとは言え、会社だし…チームの誘いとかあれば良いけど…ずうずうしいナ…w
ガフゥォオオオッ…
ミキト)ん…?前のFD、アオトさんのか…?
アオト)この時間ならいると思ったヨ…ミキト君。

二人は近くのPAに入る…
ブォオオ…ガチャッ バタム
ミキト)あ、やっぱりアオトさんでしたかァ!
アオト)えぇ。ミキト君、いや楠田君はこの時間ならいると思ってね
ミキト)どーせなら、ファミレスでも行きますか…?
アオト)いや、ここで大丈夫サ。実は大事な話があってね。
ミキト)まさか、RE Sにっ?
アオト)いや、違うんだ。実際のところ、俺とミドリは、君とのバトルから1ヶ月たって、RE Sを抜けたんだ。
ミキト)え…?どーして…?
アオト)まァ、君も同じ壁に突き当たっていると思うが、進歩がナイ。そうだろ?
ミキト)…!! はい…
アオト)だから、君に俺が作るチームに入ってほしくて。
ミキト) (こーゆーのだヨ…FD乗りとして尊敬するアオトさんのチーム…)
アオト)Racing team CODE:F (コードF)。
ミキト)F…
アオト)まァじっくりと考えてくれれば良い…

アオトは、そう残して去った。
その時、ミキトの運命を変える出来事が起こったと同時にポツポツと雨が降った…
ミキト)入りたい…でも、どっかでこんな俺で良いのかっていう邪念が入る…木崎サン達は、こんな俺を求めているのだろうか…?

一方、木崎家
アオトはある人物と電話をしていた。

アオト)えぇ、ありがとうございます。
旭社長。アッハハwまぁそうですね。ミキト君がこのチームに入ると言う前提で、GRtuneさんには協力して貰おうと思っていましたので。
旭)メカニックの人数は足りてるのかい?
アオト)まぁ、僕がレース関係の事してますし、医者ですからお金はあります。人柄も良い方だと思ってるのでw
旭)協力するって話ならコッチでメカニックの方、何人か出そうか?
アオト)え?いいんですか?そんな…では、2人ほど…
旭)OK。他に頼みはあるか?
アオト)そうですね…最後に…

旭)青いS2000?
アオト)はい。お願い出来ますか…?
旭)あぁ、勿論。
アオト)本当にありがとうございます…!!ではまた。
ピッ
旭)妹サンの車にでもなるのかネェ…
ホンダのFR、前後配分が50対50っつーのはまたスゲーぞ…F20C、NAでも250ps以上は出る。コイツを峠、首都高仕様にするとあっちゃあ、『最強』のコーナリングマシンは『最速』のコーナリングマシンになるな。ん?最速から最強になるのか?ん?え?あぁ?ま、いいや。

旭)まぁ、S2000のボディはある訳だが、エンジンがねぇな…?
にしても、コイツの出番が来るとはな。2年前に解体屋から珍しいつって引っ張り出した このS2…だが、今はとにかく、対R戦に備えて、ミキトのFDのセッティングを仕上げねーとナ。

時刻は3時を過ぎた頃、ミドリは眠れずにいた。
ミドリ)寝れん。兄!C1走ってくる!
アオト)お、おぉ。分かった。
ミドリ)RE Sを抜けて、兄貴は何がしたかったんだろっ…もーいいや。少しC1外回りでも走ろうかナ…
ブォオオオオンッ!!…ヴィイイッ カタカタカタッ
ミドリ)…。兄貴、私には内緒で何かをする気?いや、そんなのないよね…このまま見捨てないよね…そんな訳ないよね…私はもう走る事をやめられないから…!!ブラコンじゃないけどさ…!
ブォオオオ… 『カタカタカタカタ』
『カタカタカタカタッ…』バンッ!!
ギャフッ…ゴォオオオオッ…
ミドリ)FD…!?どうしちゃったの!?ブロー!?

緑 FD、エンジンブロー!!そして外壁に衝突!!
グゥウウ…ドキャッ!! プシーーッ…ギャアアアッ
ミドリ)っ…!!
FDは、奇跡的に他車が来ない端のスペースに止まった。

一方 木崎家
アオト)そういえば、ミドリが寝れないとか言ってC1に出たな…嫌な予感がする。まさかとは思うが、こんな早くに“キッカケ”が出来るとは…
出るか。

ラジオ)プツン…首都高速都心環状線にて、事故発生。単独での事故と思われます。他車の巻き込みによる二次災害はありません。渋滞はゼr…プツッ…
アオト)いや、そのまさか…!?
勢いよくガレージから飛び出す青いFD。ガレージに緑のFDはやはり見当たらない。そしてアオトがC1に入ったその時、緑のFDは無惨な姿となってGRtuneのレッカー車に載せられ、その場にいたミキトのFDの助手席には血だらけのミドリが座って泣いていた。

警察はササッと話を済ませ、路面の後処理をして引き上げた。緑は速度を出していた訳ではなかったため検挙される事もなかった。
アオト)み、緑ッ!!
ミキト)アオトさん…!!今から病院につれていく所です!
アオト)近くに僕の病院がある…ついてきてくれ!
旭)行ってこいッ!!
ブォオオンッ!!…パシュアッ…

2話 完

CODE:F series2 3話「終わった…そして始まった」(総合20話)

ここはアオトの病院
アオト)落ち着いていればすぐに治るさ。
ミキト)白衣に身をまとったアオトさんもかっこいいっすね…
ミドリ)…あのさ、兄貴…
アオト)エンジンがブローしたのはお前が悪い訳じゃない。何せ、普段ならクラッチだって労って走っているしね。あのFDはもう死んだんだ。それは変わらない。もう終わった。
ミドリ)アタシ、どうすりゃいい?
アオト)なにもする事なんてないよ。
ミキト)…!?
アオト)FDが終わった以上、お前は走るのをやめるか、…
ミドリ)そんな…待ってよ!
アオト)話を最後まで聞きな。走るのをやめるか、までしか言ってないよ。
ミドリ)やめるか…?
アオト)また別の車に乗るか、そして走り出すか…それしかないだろう?
ミドリ)!!♪

アオト)それと、お前は首都高全域にいる走り屋チーム、峠エリアの走り屋チームを制覇するチーム、Racingteam CODE:Fに入るんだ。
ミドリ)勿論!計画ってまさか…それ?
アオト)あぁ。
ミドリ)でも車が…
アオト)俺を誰だと思ってるんだ?キッカケになる出来事が起こると言うのは予測済みだったよ。
ミドリ)キッカケって…何の…?
アオト)1ヶ月待ってな。
CODE:FにはGRtuneと言う味方がついている。俺たちにはそんな素晴らしい参謀がいるんだ。本格的に始動するぞ。お前のクルマはちゃんとある。
ミキト)…(俺は、決心がついた。このチームに入るか否か…!!)

そしてAM5:00 首都高環状線
フォオオ…パパァッ ヴィイイイッ!!
ミキト)淳也がいずれ来るはず。それも、一匹狼ではなく、あのチームに入るはず…!! R専門で本物のRB26を造り出すチーム、1R-Racing!!

一方 湾岸線
ジュンヤ)ん…?前の34R…1R-Racingじゃねぇかッ…!? 早速面白そうな奴見っけたワ…
??)ん?後ろの33R、どうやらノーマル仕様だな。チャラチャラした奴はとっとと突き放すか。本物のRの底力を見せつけてやる。
ブォオオオオッ!! パヒューッ
??)4速 7000回転の立ち上がりでさらに加速!!2、3速の低速域でもコイツは半端なく速いぞ!!
ジュンヤ)…!?嘘だろマジかよ…同じツインターボとは思えねぇ…しゃあねぇ、やったるぜ…
カチッ…プシュァアアアアッ!!
淳也、まさかのスクランブルブースト長押し…!! 1R-Rの34と並ぶ…!!
??)フンッ…その程度かよ…だけど、コイツ納豆みたいに粘り強いわな。よし。ついてこい。

ブォオオ…キィッ
ジュンヤ)おぉっ!1R-Rのガレージ!
??)アンタ、Rを分かってねぇなァw
ジュンヤ)乗り始めたばっかで…w
??)よくもまぁノーマルのEgであんな無茶を…RB26の本当のパワーを、有り余るパワーをお前はノーマルですら使いきれてねぇ。おっと、俺ァ、1R-Racingのリーダー兼、ショップでの1R-R、社長だ。金はたんまりある。Rは金を賭けた見返りが速さとしてちゃんと帰ってきてくれる。1000万以上の金と時間を数多くのRに費やした。フェラーリだって買える。だが、俺はGT-Rでしかやっていけない。35Rだァ?VR38DETT?そんなのRじゃないね。
ジュンヤ)…凄ぇ…あ、そーだ、俺、高橋 淳也って言います。21歳です。
??)おう。俺ァ長原 俊之(ナガハラ トシユキ)だ。もう32になるかな。結婚はしてねぇ。
ジュンヤ)あの、唐突ですが、俺は本物のRに乗りたいんです…!!1R-Rに入れさせてください…!!
トシユキ)参ったワァ…最近はやる気のねぇアリん子社員ばっか増えて困ってんだよ…仕方ねぇ。お前は本物のRを乗りこなす見込みあるわ。俺と同じ血が流れてる気がした。
ジュンヤ)あ、ありがとうございます!!!

時刻はAM 7:00をむかえようとしていた。
一方、GRtuneサイド
ブォオオォン…キキッ ガチャッ…バタム!
ミキト)社長ォーッ!いないんすかァ?
あら?あのシート、なんだ?まさかあのスープラ!?んな訳ねぇか…めくってみよ…
パラッ…バサァ!
ミキト)なっ…!?どっから手に入れたんだよ…このS2000…!!!

3話 完

CODE:F series2 4話「継続」(総合21話)

ジュンヤ)そーいやァ、前にターンパイクで走ってたFDって、ミキトかな…ドライバーの顔がそれっぽかったし…だとすりゃぁ、いつかヤル時が来るのかも。

一方 GRtuneでは・・
ミキト)S2000…コレは…一体…?
ブォオオ…キイッ
旭が32Rに乗ってGRtuneに帰ってくる。
ミキト)ちょ、社長…!!
旭)あ?あぁ、見つけちまったか。そのS2。
ミキト)どーゆー…事です…?
旭)それはお楽しみだ♪

数日後
男A)やっぱコーラは上手ェ!
男B)好きだねぇ~w あ、そういやサァ
男A)ん?
男B)近頃、湾岸で黒いFDが毎日走ってるんだよ。時間とかはもう関係無しに。警察サンが回ってそうな時間はそりゃいねーけど。
男A)FD?黒いカラスか?青いカラス、緑のカラスは、首都高ランナーやFDオーナーに限らず、そいつらを知る人は誰もが憧れる奴等だからな~
男B)どーやら、セッテイング取ったりとかしてるらしいんだけど、アオトさんとミドリさん揃ってRE S抜けたらしいんだ。
男A)マジか!ってか、最近ミドリさんのFD見なくねぇか?
男B)実はな…
男A)単独で大事故!?エンジンブローで廃車コースって…
男B)復活はないかもだぜ…
ブォオオオオッ!!…プァアアアアンッ…
男A)おっ、噂をすれば、ありゃアオトさんのFDだナ。流してるってのが見てわかるけど、それにしても速ぇーな…

アオト)もうすぐミドリが退院する。ミキト君もそろそろ腹をくくって俺の前に来てくれるはず。俺の目的は、2年と言う長い月日をかけて全国を制覇することサ。夢はデカく持たないと。プロDの伝説だって打ち破りたいし、北関東エリアは最後のメインディッシュにしたいヨ。
ブォオオオッ!!…プシュァアアッ…
ミキト)なんだかんだで…一番速いのはアオトさんかも知れない…(俺 主役だけどサw) あ、そろそろ出るかな…
旭) (アイツ、最近何かを継続して行うようになってるケド、何してんだ?)
AM1:00 湾岸線
ミキト)タイヤに一番負荷が掛からないコーナリング…茨城のパープルシャドウとか言う峠のチームに、ワンハンドステアの城島俊也って人がいるらしいケド、まさに目指すべきはそこかも知れない。湾岸だって理想的なレーンチェンジや、最小限の舵角で曲がれるコーナリングを見付けるのにも相当な走り込みが必要だし。勝負は、首都高だけじゃなく峠でだってバトルはする。慣れが不安なんだ。どちらかに一方的に慣れてしまう事が怖い。周りからすれば俺は湾岸だけを走ってるかもだけど、実はサーキットやら近くの峠にも顔を出してる。そういう継続が必要かな…でもそれを自分から『努力してる』と言うやつは、努力が足りないから言うんだ。周りから認められなきゃ。でも、頑張ってる様子が他人から見えてるようじゃただの誤魔化しとも読み取れる。曖昧なトコさ。考えようじゃ、何にだってこういう話と繋がるし。はァ・・俺はいつからこんなことを考えるようになったんだ…アオトさんと出会ってからじゃないか。コレは進歩じゃなくて、影響だ。人に流されて、影響を受けただけの愚かな奴だよ俺は…こんなに意味のない練習は無駄だわ
ブォオオオ!!…パァッ…
だが、ミキトが、それをする事への意味さえも把握せずに夢中で継続していた事は無駄ではなかったのだ。

4話 完

CODE:F series2 5話「理想」(総合22話)

旭)緑山峠か…お前、毎日湾岸行ったり緑山行ったり、ターンパイク行ったりしてんのか?こーやって。
ミキト)えぇ。まぁそうですね。やっぱ、どちらか片方に一方的に慣れてしまう事への怖さでしょう。それゆえに、首都高と峠は違うと言うことを見落としてしまえばその時が終わりだと思っていますから。んじゃ、とばしますね。
旭)あぁ。
ブォオオオッ!!! キュルルルゥッ…ブォオッ! キュゥ…
旭)ほう。縁石ギリギリまでインを寄せたドリフトか。だけど、やっぱロスが多いよな。
ミキト)理想は、茨城のパープルシャドウの城島って人がやってるワンハンドステアですけど、行動にうつすのはまだ出来ませんし、アレはアレでまた変則的な技とはまた違ってきますしね…
旭)理想ねぇ…まぁ、好きなよーにすりゃァ良いさ。

旭)てか、分かってるだろ。峠とじゃまるっきりセッティング違うからな。
ミキト)えぇ。フロントのダンパーもっと弱い方がいいな、とは思ってました。すごい跳ねてますもん。
旭)首都高&峠の制覇も、メンドクセェもんだな…
ミキト)アオトさんの新チームに入るかの決心はついてますケド、その前にやるべき事がありますね。
旭)そうか。ジュンヤとか言うお前のお友達だナ。俺が協力すんのもコレが最後かね。
ミキト)さぁ?どーでしょっ。あ、後ろの…
旭)あぁ。ハチロクだな。
ミキト)「*CBY」のエアロボディがいっちょまえに決まってるトレノですね。

「*」クリスタルボディ横浜。

旭)ん…?あのハチロクの音、よく聞いとけ。
ブォオオッ…「ヴィイインッ!!」
ミキト)甲高いサウンド…!!
旭)スーチャー…
ミキト)さっきの全開に近い走行からスローダウンしてまだ3秒ってとこだった…なのに、ものすごい速さで追い付いた…上りだぞ…?どーなってんだよ あの赤いハチロクは!!
旭)ふっかけるなよ。チャチャっとちぎるか、チャチャっと道を譲れ。
ミキト)チャチャっと道を譲ります。今、俺なんとなくショックです。でも、首都高に峠にサーキットなんて行ってりゃそんなのもと しょっちゅうあって当然かナ…
??)お…譲ってくれた♪今、急いでたんだァ…どうも!
『プップーッ!』…ブォオオオオッ!! プァアッ…
旭)クラクションでありがとうってかw
ミキト)ありがとう、オリゴ糖…なんつって…w
旭)お前、まだ21だろォ?俺よりオヤジ臭いぜ…w ジョイマンは古いわ…
ミキト)そすか?w んじゃ、そろそろ戻りますかねッ
旭)AM5:00か…OK。そうだな。

ミキト)さっきのハチロク、なんすかね?
旭)いずれまた会う時が来るだろう。だが今は、お前や青斗、緑のような「Rキラー」を、いろんなチームのR軍団が狙っているんだ。
ミキト)R…キラー…?
旭)知らないのか?お前、そこらじゃ有名人だぞ。「Rキラー」と呼ばれる者は数少ないんだ。お前、青斗、緑、そして、あのハチロクもな。峠限定だが。
ミキト)マジですか…!?
旭)あぁ。Rキラーのカラス軍団に、“峠の紅い閃光”。ハチロクのドライバーは前にお前とバトルした『リクヤ』の弟なんだよ。
ミキト)なんでそんなに詳しいんです?
旭)リクヤに前、聞いたんだよ。「弟がハチロク乗りだ」と。峠限定らしく、Rをぶっちぎると…スーパーチャージャー仕様らしい。さっき煽られた時は気が付かなかったが、後々思い出してな。今のところ、Rキラーと呼ばれる奴はこの4人だ。気を付けろヨ。

5話 完

CODE:F series2 6話「R killer」(総合23話)

AM2:32
湾岸線にて、チーム~地平線~というGT-R限定走り屋チームのリーダー、「コウタ」は、アオトがRキラーだと分かってバトルを挑む。アオトはそこでガッカリした。GT-Rとは人を選ぶ車だ と改めて気付いたのだった。
ブォオオオッ!!ブォッ パヒューッ
コウタ)速いッ…!!GT-RがFDに負けてるなんてありえねぇよ!!
アオト)R、自分の物に出来ているんですか?R限定のチームにしては、ドライバーが車に乗せられているように思えるな。僕にとっては快適なクルージングだったよ。ガッカリしましたよー。本物のRを造る、1R-Rに会いたいんだ。実は、Rは人を選ぶ車なのかもしれないな。
ヴィイイッ!!…パァアッ…
鏑木 亮(カブラギ リョウ)21歳。鏑木リクヤの弟である。自転車競技の競輪選手で金は兄のリクヤと違ってたんまりとある。愛車はAE86のトレノ。CBYのエアロがついている。

リョウ)ハチロクの色、白にしたんだよ♪で、本題はこっから。エンジン、金かけてやり直したんだ。
リクヤ)ボンネット開けて見ろよっ
ガパッ!!
リョウ)そう。気付いた?ハイメカツインカムの7A-FEをボアアップして、腰下に4A-Gのヘッド くっつけたんだよ。
1850cc。んで、ターボもつけてあるから、瞬間的に350馬力が出せるけど、頑張っても280~300psが限界っぽい。Egがもたないんだよねぇ。コンロッドとか、色々変えたんだけど…
リクヤ)これ、14シルビアのタービン?SR20DETのっしょ?
リョウ)うん。そこら辺、ワンオフで製作したパーツとか結構あるよ。
リクヤ)マジで金かけてんナ…ピストンはやっぱり83φ、ストロークが85.5…?
リョウ)うん。内燃機関係の人に頼んで削ってもらったよ…
リクヤ)峠だけでそこまですんのもバカだなwそんなにパワーあったら内装なんてガッチガチに補強しまくりだろ?リアシートは外さないのか?
リョウ)いや、ハチロクって軽いからサ…
ちょっとね!;;
リクヤ)86はわかんねぇナァ…
リョウ)8A-Gエンジン、TEC ART'Sに頼んで正解だよ♪ピークパワーの説明とか重要な事さえ伝えれば、7A-Gとかも作ってくれるらしいね。
リクヤ)はぁ…インプがぁあああ
リョウ)まず、仕事ちゃんとしなよ♪
リクヤ)おメェが呼んだんだろォが…今、夜の10:00だぞ…もうこの時間になりゃ緑山峠は心霊スポットだぜ…
リョウ)誰も行かないよ…死者の霊に呪われたくないし。あー怖い怖い。
リクヤ)霊よりも、お前が潰したR軍団の生霊が襲ってくる方が怖いわ。

6話 完

CODE:F series2 7話「NA (ノーマルアスピレーション、自然吸気) 」(総合24話)

S2000がGRtuneに運ばれてから、早1週間が経過した。
プルルルルルッ…プルルル…ガチャ
旭)あいよォ。アオト君かァ
アオト)どうも。どーですか?あの車。
旭)あぁ。ひとまず、足りねぇパーツを仕入れてこねぇとな。
アオト)先日、拝見させて頂いた時に、足りないパーツを確認したので、こちらで用意します。
旭)おぉ。そうか。んじゃそれは任せた。ボディの補強は俺に任せとけ。んま、首都高&峠っつーのはちとキツいかもな。
アオト)えぇ。それでは。 ピッ
ミドリ)兄貴ィ、名変の書類とかちゃんと用意してよねー
アオト)用意はしてある。車が納車したら君が行っておいで。
ミドリ)ケチくせェー…退院したばっかなのにィ。てか、どんな車よ?
アオト)大ヒントだぜ。それは…NAのコーナリングマシンだよ。

一方、緑山峠
ブォオオッ…
山崎)ん…?ハチロク…?
リョウ)あれ、GRtuneのR34かな?
山崎)社長が言ってたハチロク…
リョウ)上等 上等…♪8A-Gで200馬力オーバーのハチロクの力を見せてやるヨ!
ブォオオオンッ!!ブォオオオッ!! 『キュルルゥッ』
山崎)なんだ…!? あのソプラノの音色は…まさか…ターボ!?アレが、Rキラー…
ガフォオオオッ!!
リョウ)立ち上がり重視のコーナリングから、ターボの美味しいトコロ、6000~9000rpm、ブン回すッ!!
スーチャーでは、高回転域じゃ不利だったからナ。鼻ヅラねじ込んでしまえば…

鏑木 亮AE86、あっさりと山崎 高貴のR34をパス。恐るべし。
山崎)むちゃくちゃだ…無理をしてる…軽く250馬力は出ていた…!!
NAの4A-Gでも180馬力出れば凄い方なのに…アレは、ターボだ。しかも4A-Gじゃあナイ…

そして・・
山崎)社長!!たった今、緑山峠で白いハチロクがあっさりと俺の34を抜いていきました…!!ターボです!!
旭)何?この前までは、あのハチロク、スーパーチャージャー仕様だったんだぜ?
山崎)え、えぇ…?

緑山峠、リョウサイド
リョウ)ふぅ…GRtuneってあんなモン?ん…?また来たのォ?あの34R。
ブォオオオッ…
リョウ)いや違う…? 32?35?
…!! R33…!!

推奨BGM「Mega NRG Man/Supertonic Lady」

プルルルルルッ…プルルル…ガチャブォオオッ…キュルルゥッ…
ジュンヤ)コイツが、Rキラーねぇ…やってやるか。今の俺の腕と、Rは本物だよ。550馬力オーバーだぜ、コイツ。ダウンヒルじゃ確かに馬力は関係ないかもしれないケド。Rをナめてもらっちゃ困るんだよッ…!!
ブァアアアンッ!!
リョウ)フロントガラスに、1R-Racingのロゴ…!! コレが…本物!!面白ェじゃん…♪
ブッフォオオオッ!! キュルルゥッ
ジュンヤ)ほう。ハチロクにターボねぇ…
リョウ)速いッ!!
ジュンヤ)4速で7000回転辺りかな…ここら辺から、苦しくなるぜ…有り余るコイツのパワーに俺が耐えれるかどうか…ハチロクは軽いからな…コイツの腕は充分凄ぇわ。しゃあねぇ…
ギュァアアアッ!!
リョウ)…!? 峠には不向きとされる33Rでドリフトかますってか!?マジかよ!?それ、俺にドリドリ合戦仕掛けてんのォ…?いいよ。やってやるよ。
ブォオオッ!!ブォッ ギュアアッ!!キュルルゥ
ジュンヤ)ドリフト合戦開始ィ!!
緑山は蛇行するような所が何ヵ所もある。アップダウンはすくねぇケド、Rにはちとキツいかもしれねぇけど…
ギュアアッ!!
リョウ)づぁああっ!!
ジュンヤ)次のコーナー…緩そうに見えて結構キツいぞ…5速からの高回転でいけるかァ…!?

タイヤは、このような高速コーナーでも 何でも、滑るか滑らないかのギリギリの所がオイシイ。だが、ジュンヤの33Rの場合は違った。首都高向けに造られたジュンヤR、峠では関係無いとされるパワーも、550psともあれば、その有り余る馬力(パワー)を無理に使おうとする事で、逆に仇となる。
ジュンヤ)ここで勝負仕掛けっぞぉおお!! インからァアア!!
リョウ)嘘だろ…!?並んだ…!?
ジュンヤ)そして、こっからスクランブルブーs…

ギュアッ!

ジュンヤ)ッ!?
GT-R、ハーフスピン状態に入る__
リョウ)危ねッ…いよ っと!!
ブォオオッ…
ハチロクがRを交わした瞬間に、完全にスピンモードに入る ジュンヤは咄嗟にクラッチを切る
ジュンヤ)やべぇ…!!
カウンターステア…いや、当てねぇ…すべてはコイツの動きに任せなきゃ…
3速、2速…こっから…また下げて…
クラッチミート!!

ギュォオオッ プッシャアアアッ!!
ジュンヤ)ふぅ…なんとか戻れたケド、もう追い付けねぇや…速いな…あのハチロク・・・
リョウ)…今日は、運が良かっただけだ…この敗北感は凄い…俺はRキラーなんかじゃない…初めての『敗け』を味わった気がするよ…
ブォオオッ…キュルルゥッ…

7話 完

CODE:F series2 8話「セオリー」(総合25話)

プルルルルッ…ガチャ
ミキト)もしもし、俺、ミキトだけど…
ジュンヤ)久々だなァ 黒いFDってお前の?
ミキト)あぁ。ジュンヤ、1R-Racing入ったのか?
ジュンヤ)まぁな。首都高最速目指すなら、「打倒R」でやっていく。そーゆーセオリーっしょ
ミキト)セオリーって、理論だけどさ、言い方によっちゃ経験にもとづくのがセオリーなんだから、一般論って事でもあるよね。セオリー通りのそういった固定概念っていうのを一回捨てるのも大事だと思うケド
ジュンヤ)俺 ダメなんだwそーゆーのwムリムリッ。速く走る事に魅せられちゃったんだよ…
ミキト)いや、ジュンヤは、Rに魅せられただけだよ。打倒Rで商売してるトコは本気でやってるから成り立つんだ。ジュンヤは、ただ魅せられただけ。
ジュンヤ)そっか…お前はそういう考えか…いつか近いうちに会おうぜ
ミキト)待って、お前と走りたい。気付かせたい。正直言うとさ、お前には走ってほしくないんだ。だから、『速さに魅せられた』だなんてマジで後戻り出来ないようなセリフを、嘘でも隠すように俺は、『お前はRに魅せられただけ』って言ったんだよ。俺は、そうだと信じたいんだよ。
ジュンヤ)なんでっ…そこまでして…俺は走っちゃダメなのか…?
ミキト)巳奈は、もう帰ってこない…死んだから…
ジュンヤ)そんなの、お前や巳奈と同じ大学行ってたんだから悲しみは痛いほど分かるっての!
ミキト)そうやって、お前も俺の前から消えてしまいそうで怖いんだよ…
ジュンヤ)それは逆に俺も同じだっつの!お前には死んでほしくねぇ!!
ミキト)お前はまだ300kmを越えた世界に入っていないし、後戻りがまだ出来る所にいるんだ!俺はお前とバトルしたくねぇケド、気付かせたいから!走るしかねぇんだよッ!!
ジュンヤ)俺ははなっからお前と走るつもりでいたよ…!!
ミキト)いずれジュンヤとはヤラなきゃ行けないと俺も思ってた。俺は、お前がこの世界を降りる事を願っている。まぁ、この領域にいるって事は、戻るのは難しいかもしれないケド、やれるだけやるわ。
ジュンヤ)来週の水曜日、辰巳第一PAで待ち合わせだ。
ミキト)そっから、箱崎JCT、江戸橋JCT、浜崎橋JCT、有明JCT通過して辰巳PAに戻ろう。約16~7kmの最短コース。なるべく早く終わらせたい… 俺らの速さなら5分もあればすぐ一周できる筈。今のお前の33は、“本物のR”…なんだろ?
ジュンヤ)あぁ…コイツは紛れもなく本物だ…!! 550馬力は余裕で越えるぜ…!!
ミキト)やってやるサ…!!じゃあなッ! ピッ
ジュンヤ)Rに魅せられてるだけ…か…

一方、GRtune サイド
旭)ふぅ…コレがハチロクターボねぇ…
GRtuneには、リョウのハチロクがあった。兄のリクヤが、「持っていってみろ」とリョウに勧めた事が始まりだ。そこから始まったのは、ハチロクの軽量化作戦。
リョウ)クロモリ軽量フライホイールに、カーボンのエアロボンネット…わざわざカーボンそのままの黒じゃなく、白にしてくれてるし…
旭)にしても、8A-Gなんてすげぇな…
あ、リョウは、(亮)として書いていきます。それでは、作品の続きをドゾッ

旭)300馬力はいくか…
亮)まぁ、すごくきびしいんですけどね…
旭)だろうな。ターボってのがまた…緑山でバトルすんなら、低速コーナー結構あるし、高回転域じゃ伸びねぇけどスーチャーの方が良かったんじゃねぇのか?
亮)いや~ 色んな事に手を出したくなりまして…w
旭)ぶっちゃけ、今時 ターボキットなんでほとんど廃盤になってるし、貧乏臭く思えるターボチューンは この時代にゃ結構金が掛かるぜ?
亮)まぁ、金が掛かれば掛かるほど速いってのとは少し違いますケド、金はありますし。競輪選手なんで♪
旭)リクヤとは全く正反対だな…
お、14シルビアのタービンにワンオフで製作したインマニか。てか、これドッカン系のターボだろ?w
ターボ特有のアクセル踏み込んでからのタイムラグから、一気にドカンとパワーが来るモンだからヒヤヒヤするだろw
亮)シングルって大体そんなモンでしょうwめちゃ怖いですよw
旭)ウチの、未生斗とか言う奴とバトルしてみなァwアイツは良いぜ。
亮)未生斗…ほう…黒いFDの?
旭)あぁそうだ。アイツは首都高ランナーでもあるし、峠の走り屋でもある。アイツ、今猛烈に速いと思うわ。公道だけに特化したスペシャリストさ…相手の車の長所を一つ一つ、地道に潰していくようなクレバーな奴だぜ…!!
亮)…!!!
8話 完

CODE:F series2 9話「これからがRストーリー」(総合26話)

そしてむかえた水曜日
トシユキ)そうか…もう出るのか。GRtuneんトコの若い奴と。あ、お前と幼馴染みなんだってな?首都高は勝ち負けじゃねぇが、イケナイ時に無理に行こうとしちゃあダメだ。そんな時はすぐ降りろよな。
ジュンヤ)はい…
PM11:00 辰巳第一パーキング
ジュンヤ)この時間になれば来るかな…ミキトにとって、本当の意味でのRとの戦いは、これが記念すべき一回目。そう、始まりは俺サ…アイツはこれからもっとヤバいGT-Rと戦う事になるハズ。
ミキト)もう、俺を遥かに越えるRはいるぜッ…
ジュンヤ)なんだ。来てたのか。ミキトよか速いっつーのは、お前んトコの社長か。
ミキト)あぁ。赤黒のタイサンGT-Rをイメージして作られたGRtuneのデモ車の32があって。700馬力オーバーで70kg-mのトルク…
ジュンヤ)それを本物のRって言うんだよ。
ミキト)ふ~ん…
ジュンヤ)それじゃそろそろ行くか…
ミキト)ok。ここを出て、箱崎JCT入ってからガチモードだ。とりま、2、3周はまわろうか…
ジュンヤ)分かった。

ブォオオオッ!! ヒュウウッ ゴワァッ!! ブォッブォ ゴワァアンッ!! ブォオオッ パパァンッ!!
ジュンヤ)マフラーの音ハンパねぇな…あのFD…
ブォオオ…ガッタンッ!
ミキト)辰巳PAを出た…次、箱崎JCTに向かう。
そして・・
ジュンヤ)33R先行ッ!箱崎ジャンクション通過…!!
ジュンヤ&ミキト)バトル開始ッ…!!
推奨BGM「Dave Rodgers/The Race Of The Night」

ブォオオッ!! プッシャア キュルルゥ…
ミキト)ふぅ…流石Rだわ…しかも33R。高速域での安定は抜群に優れているし、ノーマルなら34よりも軽いはず…
ジュンヤ)軽量化に勝るチューニングなんてないサ…見た目は普通のR。だけど、補強や軽量化にはマジで気を使ってる。
最終手段は…命とりだけど、<アレ>を使うしかねぇな。

ここで思い出してほしい。初めて1R-Rの社長と走った時、ジュンヤはノーマルにも関わらず、むちゃな真似をした。<アレ>とは、そう。あの事だな。
ミキト)5速、8000回転、6速に換装されたFDだ。10000回転以上は楽に回るけど、回したところで速くはならない。ギアの守備範囲は広い。CPUセッティングもフルコン使ってんだ。GRtuneのFDだって、相当な物に仕上がってるんだよ…!!
ブォッブォオオオオンッ!! パパァアンッ!!
ブォッ…ヴァアアンッ!!
ミキト)ん…低速区間ッ…4速6000回転から、okクリア。
ジュンヤ)前にトラック…いよっと!
ブォオオッ ギュンッ! ブォオオッ!!
ジュンヤ)前にいれば自分のペースが作れるからいいぜ…相手に惑わされる事もなく理想的なレーンチェンジ、ライン取りだって出来る。
ミキト)前の車に対して半分横に出る…スタンダード(基本)な事が出来なきゃそれ以上には発展しない。峠や首都高といった徹底してアンフェアな場所でバトルを行う事への怖さを忘れちゃあいけない。
ブォオオッ!! グッゴ! (こっからBGMのサビって感じです。)
ギョォァアアッ!!
理想的なラインを描き二台のクルマは、緩いコーナーを美しいドリフトで駆け抜ける。ジュンヤがドリフト合戦を仕掛けようとしているのか?それは違うのだ。コレはジュンヤなりの挨拶なのである。
ミキト)Rでドリフト…w
ジュンヤ)楽しいよやっぱ…

ここで江戸橋JCTを通過。
ブォオオッ!!
ミキト)よしっ、行くぜッ!
プッシャアアッ!!
ミキト)低速域、プライマリータービンが4000回転以上からセカンダリータービンに以降される。この繋ぎ目が分かる事が楽しく思えて仕方ない…♪
ジュンヤ)この世界を降りる事を願ってるってぇ?w 俺がこんな楽しいことしてちゃダメってかァ?w 巳奈が死ぬ間際に「走り続けてね」とか言ったから今もお前はそうやって走ってんじゃねぇのか?なぁ?「女の為に」さ!
フヌけた野郎だな?俺だって巳奈が好きだったんだよ…
お前は巳奈を守ってすらあげられなかったのかよ…!!
ミキト)…!?なんだ今の心に突き刺さるような痛みは…声…!?『なっ…!?』

そこでミキトは衝撃的な物を見る。
緑のGT-Rから、空(天)に向かってのびる緑の翼のような物は、バサッと大きく開き、激しく動く。傷付いた羽で必死に空を仰ぐ姿がとても痛ましい。
そこでまたミキトの心に深く刺さる何かがあった。
ミキト)巳奈…なのか…!?

空に浮かぶ女神は泣いている___
バサァッ!! ブォオオオッ!!ギュンッ!!
ジュンヤの巳奈に対する想いがつのる。それは、やがてミキトに対する憎しみへと変わっていく。あれほど大切にしていたのに守れなかったのか…?と。
だが、ミキトのFDは覚醒する。紫のオーラを放ちながら、翼を断ち切るように前に出ようと並んだ。
ジュンヤ)…!?
ブォオオオッ!!! バァアアッ!!プッシャアアッ!!キュルルゥ…
ミキト)んなの知ったこっちゃねぇって…!!

走り続けてね…

ミキト)…!
ブォオオオッ…ブァアアアンッ!!!
ミキトのFDが完全に前に出た。
ジュンヤ)所詮、お前も俺も死んだ女の為に戦ってるんだ。
ミキト)巳奈の事を今は忘れなきゃ…忘れちゃいけねぇケド…走り続けてって言葉がループしてる。走ればいいんだ。もっと…
ジュンヤ)くっ…!!前に出られた…!!
ブォオオオンッ!!
黒いカラスvsグリーンペガサス
巳奈に対するジュンヤの想い。ミキトはただただ走り続ける。ジュンヤが勝手に死んだ巳奈の為のバトルだと思い込んでいるだけなのか…ミキトはグリーンペガサスの翼の片方を完全に断ち切った。
ジュンヤは何の為に走る?ミキトは何の為に走る?
殺る気でミキトの後ろに食い付くジュンヤ。白熱した戦いはここから始まる。
9話 完

CODE:F series2 10話「女神の消失」(総合27話)

浜崎橋JCTを通過した二台。
ミキトが先行している。
ブォオオッ 『ゴツンッ!』
異様なオーラを放ちながら、FDにプッシュを仕掛けてくるGT-R。
緑の翼は消え、女神の姿もすでに消えていた。今のジュンヤは正気じゃない。
ジュンヤ)潰す…
ブォオオッ!! ゴツッ!! ドッギャアアッ!!
GT-RはFDを押し出し、トラックに衝突させようとしていたのだ!
ミキト)っ…!!
グァアアッ!! ギュイッ!! プッシャアアアッ!!ブォオオンッブォッブォッブォ
ミキトはトラックを見事に避ける。ジュンヤはまた更にFDに襲いかかる。
ミキト)高速域でサイドプレス…っ!?
ジュンヤ)巳奈を救えなかったんだ。お前もあの世に行くべきだろ。
ブァアアッ!!
ドギャアアッ!!
ミキト)オラァアア…!!
グゥン… キィイイイッ!!
ジュンヤ)かわされた…!?
ブォオッ! ズガガッ ドキャンッ!!
ミキトは、ブレーキを踏み、一度逃げてから更に前に出たのだ。ジュンヤは、ミキトに避けられ、バランスを崩し、壁にリアを擦りつけながら無理矢理ラインを作って立て直す。しばらくして、有明JCTを通過する。
ブォオオッ…ブォオオンッ!!ブォオオ…パパァアアンッ!!キュルルゥ
ミキト)これ以上は危ねぇ…いい加減に降りろよジュンヤ…!!
ジュンヤ)お前を墜とすまで俺は死なねぇ…!!
ブギャァアアッ!! 
ミキト)280km前後…そろそろ辰巳PA前に来る…二周目突入か…!?
ジュンヤ)一周でケリをつける…ミキト、お前は巳奈の元に行くべきだ…!!
ミキト)くっ…!!
プッシャアアアッ!!
ジュンヤ)そろそろ前に出させてもらう。
ジュンヤ)トシユキさん。俺は、降りるなんて無理だ。だからと言ってずっとここに残るつもりもない。さっさと終わらせたい。このバトルは楽しかった。俺は俺のやりたいように戦います。それじゃあ。耐えてくれよ。ツインターボの超軽量ボディGT-R…1R-Rにしか出来ない本物のRがここにある…
ミキト)Rを…もったいねぇ使い方してんじゃねぇよ…!!
ジュンヤ)づぁああああっ!!
緑の翼が復活!! 同時に、ジュンヤはスクランブルブーストボタンを長押しする…!!
プッシャアアアッ!!! ドギャアアアッ!!
ジュンヤ)このストレートで決める!! 墜ちろォオオオ!!!
ミキト)はっ…!!
ピーッ
ミキト)フルブースト掛かってるケド、明らかにジュンヤの場合は危険すぎる…!!
ジュンヤ)ぬぁああああっ!!!
ミキト)お前…!?その速度から俺に体当たりしに来る気か!?
ブァアアアンッ!!
300kmオーバーで、ミキトは ジュンヤに体当たりされると確信したその瞬間だった。
ブォオオオッ!! パヒュウウ…グゥ…
Rが、ミキトのFDの前に一瞬出たが、すぐにスローダウンしたのだ。
ジュンヤ)パワーが出ない…?
クッソ。やっちまったわ。多分、パイプ、ホース系のパーツか…
うぁああ。何してんだよ俺…よーやく正気に戻ったわ。急にあの世に行けだとかバカみてぇな事言い出して…
ジュンヤ)なんとか自走で出れそうだ…
ミキト)……
そして、辰巳パーキング
ジュンヤ)すまなかった。あの時の俺は正気じゃなかった。お前を殺る気だった…巳奈の事が頭の中に浮かんで…
ミキト)俺がみた泣いている女神の様なあの女性はやっぱり巳奈だったのか…
なんとなく、お前の声が聞こえた気がした。アイツを救えなかった俺が悪い。ただ、そこで俺が巳奈のいる所に行ったってダメなんだ。彼女に走り続けてと言われたから走ってるんじゃないんだ。それを見つけるまでは、止まれないんだよ。
ジュンヤ)…本当にすまねぇ…お前と走れた事が何よりも嬉しいよ…またいつか会おうぜ…俺はまだ走る気ではいるケドさ…もう『この世界』からは抜ける…
ミキト)そうか!! なら良かったよ…
ジュンヤ)お前の想いは伝わった。俺だけじゃなく、消失しちまった空の女神さんにもな。
ミキト)じゃあな…
ブォオオオッ!! ブォオオ…
10話 完

CODE:F series2 11話「弱小なりに」(総合28話)

S2000がGRtuneに運ばれて、2週間が経ったある日…

アオト)社長。あのS2000、もちろんNAのままで、ライトチューンって言うのがこの車には合ってるかも知れないんですが…俺は、速さを求めています、この車本来の楽しみが得られなくなるようにします…!!速さの為に…!!分かってるんです。ですが、もったいないなんて言葉は通用しません…
旭)ふぅ…俺を誰だと思ってんだよ…GRtuneはstep3以降のチューンが異常ってのは知ってるよな?やろうと思えばやれるサ。あと1ヶ月預けろ。
アオト)ありがとうございます!!
旭)はてさて。チューニングの内容だ。
まず、HKSのGT スーパーチャージャー。軽いし、アクセルを踏んだ分だけパワーがすぐ伝わる。コイツさえありゃ430馬力はいくぞ。元のF20Cが高回転ユニットEgだし、ノーマルじゃ最大トルクが、7000まで回しゃ22kg-mぐらいは出る。色々イジって、30kg-m以上出るようにしようか。HKSから出てるスーチャーっつーのァ、マジで凄いと思う。NAのフィーリングや音がそのまんま残った感じだからな。
次はエアロパーツ系だ。アミューズから新しく出たFバンパーの、legelo face kitだ。カナードもあって空力てきには有利だろうな。ただ、コイツで湾岸を攻めるのは無理だ。完全に峠仕様って感じ?
アオト)なら、逆に良いですよ。予定では、ミキト君が入ってくれるなら、彼が峠でのヒルクライム担当 兼 首都高担当になりますから。
旭)よく考えてんな…
数分後 アオトの病院にて
ブォオオ…キィッ バタムッ
ミキト)ついた…

キーンコーン♪ アオト先生、お客様がお呼びです 1フロアまでお越しください
アオト)客?

そして・・
アオト)あぁ、そーゆー事ね わざわざ来てくれたのか…
ミキト)俺、ホントに、弱くて小さい男ですから…こんな俺を必要としてくれているのなら…
アオト)君はとことん人前じゃ謙虚なのかなッ…もし、チームに入るなら、どんな目的がある?
ミキト)自分が、なんの為に走っているのかを、その答えを、見つけたいんです、
アオト)本当に面白いよ。俺はもっと君と言う人を知りたくなった。
ミキト)チームに入れさせてください…!!
アオト)あぁ、もちろん。だとすれば、君は、首都高エリア担当、峠エリア ダウンヒル担当だ。ちょォっと忙しいかもだけど、緑が自分の車を手にする前に、首都高エリアとチームは潰すつもりだよ。俺と君でね。
ミキト)アオトさんと、俺で…首都高のチームを潰す…
アオト)目指すは全国だし。大阪環状の連中も根性はあるから、手強い敵になりそうだな…
ミキト)明日からですか?
アオト)あぁ。まず、厄介なGT-R軍団を攻めよう。明日からチームでの活動を始める。ネットワークとかは、RE Sにも協力してもらってるし、ドライバーの知名度が高いから支持率もあると思う。あ、マシンのメカニックとかも
来るしね。明日の対戦相手は、弱小チームと呼ばれる、R限定チーム~地平線~だ。まァ、この先で当たるであろう戦力に対して、あまりデータを取らせない為にも明日は80%ぐらいの力で走ればいい。明日のは、デモンストーレーションと思えばいいんだ。分かったか?
ミキト)え、あ、はい!!

11話 完

CODE:F series2 12、最終話「活動開始」(総合29話)

ブォオオンブォオオ…
とあるPAにて、黒と青のFDが停まる…その近くには、チーム~地平線~ のGT-Rが停まっていた。
コウタ)チ、チーム、地平線のリーダーのコ、ココ、コウタです!!コウタ!!よ、宜しくお願い致します!!
アオト)宜しくお願いします。今回はウチの未生斗を出します。
コウタ)え、あ、はい、んじゃ、沢田ーっ!!き、来てくれぇええっ!!
沢田)今回は俺スか…
コウタ)リーダーとは言え、速さは「下の下」…だからさ!よ、宜しく頼むぜぇ?あ、あの黒いFDの若い子が相手だっ!
沢田)アナタって人は全く頼りないですなァ…
ミキト)楠田 未生斗です。宜しくお願いします。
沢田)沢田 竜二(サワダ リュウジ)です。どーも。
ここで、チームCODE:Fのメンバーを紹介。

[リーダー] 木崎 青斗 (FD3S)
[ドライバー] 木崎 緑 (S2000 AP2改AP1) 楠田 未生斗 (FD3S)
[メカニック]
山崎 高貴
以前、CODE:Fでも登場したGRtuneのメカニック。
高塚 雄二(タカツカ ユウジ)
元RE Sのメカニックであり、木崎兄妹を尊敬している。
[情報収集、カウント、コースマーシャル手配係]
村岡 孝彦(ムラオカ タカヒコ)
レース関係の仕事をしていた事もあり、色々なショップとの関わりもある。
[参謀]
GRtune 佐藤 旭
たまにしか来ない。

って事で 続きをドーゾ。
沢田)んじゃ、湾岸を3周で。
ミキト)了解です。

黒いR32とFDがPAを出る。
ブォオオオンッ!! ブォオオ…

孝彦)なんか…首都高でバトルって、300kmトライみたいなイメージが強いんだけどナァ…
アオト)だが、これからは峠でのバトルが優先的になる。コレはそのちょっとした練習だよ。
孝彦)そーゆー事ね…

そして、約2周目に入った頃、FDがR32を抜いたと言う報告が両チームに入る。CODE:Fの山崎が、二台を追走していた時の情報だ。
CODE:Fの第一戦は、こうして幕を閉じた。意外に呆気なく終わってしまう物なのである。

翌日 緑山峠にて
ブォオオオ…ガチャッ
旭)とりあえずは、出来たかな…
あとはエンジンの載せ換えだな。
アオト)そういえばコレ、S2000の後期型ですね。AP2。確か、GRtuneのガレージにあったのはAP1だったハズですが…
旭)あぁ。実は、この新品のAP2に、AP1が搭載する、F20Cを載せるんだ。
F22Cは、トルクが出るエンジン回転域のバンドが広いが、、F22Cは8300rpmに抑えられた。F20Cは9000rpmだったんだ。ノーマルじゃ、パワーは下がってる。F20Cは250ps、F22Cは242ps。重量もAP2の方が重いんだ。ここまででは、F22Cの方が良いと思うかも知れないな。
アオト)まぁ、F20Cはショートストロークで、F22Cはストロークが伸びた分、トルクは出るが、エンジンの回転はたるいですしね。
旭)街乗りでは不便になるだろう。他にも、LSD標準にオーバー、アンダーステアの自動補正をしてくれるVSAも搭載してるし、デジタルインパネもイケてるだろ?wんで、もって、F20Cの最大の弱点、それが…
アオト)ピストンが重い…と…
旭)コンロッドを強化し、ピストンも軽く、丈夫な物にしてある。
アオト)S2000は、チューニングしなければ乗り続けられない車ですねぇ。
旭)B18Cなら10万km乗れるのに、F20Cは約1万kmでエンジンブロー。ピストン系の事故が一番多い。何tもの力がかかってる訳だし、純正のままじゃK20AのDC5にも勝てねぇだろう。外装には、RAYSのTE37のホイールの青を装着。んで、amuseのlegaro face kitのエアロボディ+リアのダウンフォースを増す為に、VOLTEX製のウィングを装着。っていう予定♪
アオト)なるほど。それを、あと1ヶ月で仕上げると言う事ですね。
旭)あぁ。パーツはもう仕入れてあるからな。それじゃ、お前の家まで送ってやる。
アオト)ありがとうございます。
ブォオン…ブォオオオオッ! ブォオオ…
ガラガラガラ
ミドリ)兄貴ィー おっかえりー。
アオト)ただいま。
ミドリ)ねぇ、アタシの車って、
アオト)あぁ。答えは、S2000だ。
ミドリ)S2!?なんで急に!?
アオト)ま、頑張れ。自分なりに、コレだと思うドライブをすればいい。車はまだだけどね。
ミドリ)前期?(AP1) 後期?(AP2)
アオト)AP2改AP1。AP2にAP1のエンジンを載せ換えって事サ。
ミドリ)え、ちょどーゆー…
アオト)次のバトルに向けて孝彦と情報を纏める必要があるんだ。すまない。明日な!
ミドリ)なんにも整理出来てないヨォ…

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