五巻

Last-modified: 2008-02-02 (土) 01:34:15

「いーち にーい さーん」
「レーダー管制良し 動力部管制良し 兵装管制23%までが運用良し 良好だ」
喰屍鬼(グール)共はどうした」
「船倉部に閉じ込めておきました もはや邪魔なだけですからな」
「良好だ リップバーン中尉はどうした?」
「お昼寝中です」
「昼寝? 甲板上で? こんな気持ちの悪い こんなお日様の日に?
 ………うらやましいな 俺達はもうきっと一生日の光を浴びる事はできん
 そりゃあ得たものは大きいさ 俺達よぼよぼのジイさんだったからな
 でも失ったものも大きい 大きいよな
 もう休みの日に日曜日に公園で鳩にエサもやれない

 化物だ」
「俺達はもう化物の一員だ だが彼らの前では新兵(ルーキー)に等しいんだろう
 彼らは『ヴェアヴォルフ』 戦鬼の徒だ」


アーカードや婦警(セラス)をどうやって
あの海上の鋼鉄の城塞に送り込むのだ

カッ

「大型艦船」

NON
時間がかかりすぎます
奴らが艦をいつまでも静止させているとも限りません

小型快速舟艇

NON
大口径対空砲やCIWS(ガトリング)群がある
弾雨の嵐に耐え切れるとは思えん

航空機 真上からの降下

NON
艦載の対空ミサイル(SAM)で 真上はおろか接近すらもできませぬ

デコイ・チャフを大量に使用して 航空機の使用

NON
ミサイルはごまかせても 「魔弾」がいる

結論は
ミサイルも弾雨も 魔弾をも物ともせず
海上の空母の甲板上にこの私を立たせる事のできる
そんな方法(ルール)


EXP-14LIE 高々度実験機
先年完全引退した米軍のSR-71偵察機
その内の我が英空軍技術局に売却された二機の内の一機

もっとも米軍のままなのは外側(がわ)だけでね
内側はそうとういじくりまわしてある もう殆んど別機といっていい

そもそもは複座の偵察機だが こいつは違う
偵察能力はとっぱらって単座に仕立ててある
こいつは高々度高速度レコードをぬり変えるための 専用機なんだよ

で まあ もう一度聞くが
おたくらは一体何なんだ?
HELLSING(王立国教騎士団)機関……だったっけか?


すばらしい能力だね リップヴァーン中尉
さすがは「魔弾」
まさしく伝説の魔の猟師だ

はッ はい 少佐殿ッ!!

「魔弾の射手」か
まるでまさしく魔の所業そのものだ

しかし心に留めておいた方がよいぞ中尉
は はい?

「魔弾の射手」の終幕(ラスト)を知っているかね中尉
歌劇の最後 狩りの魔王ザミエルをもて遊んだカスパールは
ザミエルによって地獄へと連れ去られ その骸は谷底へと投げ捨てられる
亡霊を装いてたわむれなば 汝・亡霊となるべし

中尉 心せよ
君の前にも魔王(ザミエル)が現れよう


「中尉 良くやった 作戦は成功だ 完全に」

「水面にいくら石を投げ込んだとて
影をいくら踏みつけたとて 水面は消えず 影は消えず」

そういうものなのだ  それは 「死の河」だ」

それは生も死も全てがペテンだ
何とも 不死身で 無敵で 不敗で 最強で 馬鹿馬鹿しい」

…おお…お… …おごお…お…お

「だが我々は打倒する 君の未帰還を以って 我々はアーカードを打倒する」

カチッ カチカチ

「やめろ」
「はッ!!」

「ですが… し しかし このままみすみす…」

「彼女は任務を果たした。
完全に。 完全に、だ。
焼く事は許さん」

「は… はは はい……」

傾注(アハトォウン)!!」

「さようなら中尉 ヴァルハラで会おう
さようなら さようなら 中尉」

「さようなら 中尉」
「さようなら」「さようなら」
「さようなら中尉殿」「さようなら」
「じゃね 中尉(リップバーン)

「ジーク ハイル」


楽しいかアーカード
戦争は楽しい!!

凱歌を歌えアーカード
そしてそこで見ていればよい

私には見えるぞ
もう私の近眼の眼鏡ごしにもはっきりと見える
あの都市の輝きが あの都市の尖塔が!!

凱歌を聞けアーカード
そしてそこで見ていればよい

大英帝国の崩壊(ブロークンイングリッシュ)


欧州だ…
欧州だぞ…ッ
あの灯光が…!?
あれか!?
ロンドンか?
ロンドンか!?
見ろ!! もう見えるぞ!! 見える!!

欧州(ヨーロッパ)…!!
ヨーロッパの灯だ…
ヨーロッパだ!!

そうだ あれが遂に我々が待ちに望んだ欧州のひかりだ
私は諸君らを約束通り連れて帰ってきたぞ
あの懐かしの戦場へ
あの懐かしの戦争へ

少佐殿
少佐
代行殿!!
少佐殿!!

そしてあしか(ゼーレヴェ)は遂に太洋を渡り 陸へとのぼる
ミレニアム大隊各員に伝達!!
大隊長命令である!!

さあ諸君 地獄を作るぞ


疾っ走れ!!
疾っ走れ!!

あのかすかに見える都市の尖塔へと向かって疾っ走れ!!

疾っ走れ!!
疾っ走れ!!

今でも思い出す あの喧騒と打撃へと向かって疾っ走れ!!


それでは皆様お手元のしおり
「対英陸上戦第2次あしか(ゼーレヴェ)作戦」のしおり
3P目「ロンドン大爆発!! ぶっちぎりバトルヴァンパイアーズ」の項を
ごらんくださーい

ごそ ごそ ごそ ごそ

あれ…あれれ おろろろろ

アラアラどうしたのですか准尉(シュレディンガー)

先生(ドク)ーゴメんなさい
しおりなくしちゃいましたー

コラ!! まったくもうしかたないですね
大尉に見せてもらいなさい


大隊総員 傾注(アハトウング)!!
諸君 夜が来た
無敵の敗残兵諸君 最古参の新兵諸君
万願成就の夜が来た
戦争の夜へ ようこそ!!


堰を切れ!! 戦争の濁流の堰を切れ!! 諸君!!

第一目標はロンドン全域!!
テムズ西岸議事堂!! ビックベン!! 首相官邸!!内外務省庁舎!! 国防総庁舎!!
政官庁舎群!! バッキンガム宮!! セントジェームス宮!! セントローソルー宮!!
ハロンプルトン別宮!! ハムスウォース離宮!! ホースガーズ(近衛騎兵)!!
スコットランドヤード本庁!! 大蔵会議局!! ウエスミンスター寺院!!
ピカデリー ソーホー シティー サザーク 全て燃やせ

中央政府院!! ロンドン・キャンベンディシィア連隊本部施設!! セントポール大聖堂!!

『少佐殿!! キャビネットウォールームスは?』
爆破しろ!! 当然だ 不愉快極まる 欠片も残すな
『トラファルガー広場はいかがしますか少佐殿!!』
燃やせ ネルソン像は倒せ
ロンドン塔 大英博物館 大英図書館 全部破壊しろ 不愉快だ
『タワーブリッジは?』
落とせ ロンドン橋もだ 歌の様に
『帝国戦争博どうしましょうか』
爆破しろ

かまうものか 目についた物は 片端から壊し
目についた者は 片端から喰らえ 存分に食い 存分に飲め
この人口800万の帝都は 今宵 諸君らの 晩飯と成り果てるのだ

さあ!! 諸君!! 殺したり殺されたり 死んだり死なせたりしよう
さあ 乾盃をしよう 宴は遂に 今宵・此の時より開かれたのだ

乾盃(プロージイツト)!! 乾盃(プロージイツト)!!』


降下兵団第一中隊第二小隊長ラインボートフォルトナー曹長落着
英国着上陸第一号者です 戦闘開始!!
英国上陸成功!! 先陣を切りました

よくやった騎士十字章ものだ
あとで処女の血をおごってやると伝えろ


「売国奴が
 ここも奴らの攻撃目標になっているはず
 早く脱出するべきです ペンウッド卿」

「君は き 君は君の機関へ早く帰りたまえ
 君には君にしかできない事が 仕事(つとめ)がある・・・ッ!!
 私は だ 脱出できない 逃げられない
 そ それだけはできない」

「市街上空の飛行船団から兵士達が降下中」
「これはッ こんなバカな
 ド…ドイツ兵です」
武装親衛隊(WAFFEN SS)です!!」
「な・・・何だと!?」

「脱出するんですペンウッド卿!!
 脱出を!!
 半刻とせず吸血鬼の群れがここに押し寄せてきます

 この有様ではここの指揮能力はほとんどありません
 死ぬ気ですか」

「もしかしたら・・・
 もしかしたら通信が回復して命令が伝達するかもしれない
 どこかの基地が敵を撃退して我々の指令を待っているかもしれない
 わ 私はここの指揮者だ 
 ここが生きている限り 離れる訳には い いかないだろう

 インテグラ 私は駄目な男だ 無能だ 臆病者だ
 自分でもなぜこんな地位にいるかわらん程駄目な男だ
 生まれついての家柄と地位だけで生きてきたも同然だ
 自分で何もつかもうとしてこなかった
 いつも人から与えられた地位と仕事(つとめ)をやってきた

 だから せ せめて仕事(つとめ)
 この仕事(つとめ)は 全うしなきゃならんと思う…んだが…

 行きなさい 行ってくれ インテグラ
 君には 
 君ら(ヘルシング)には
 君ら(ヘルシング)にしかできない仕事(つとめ)がある」

バッ

ゴトッ

「法儀済みの粒化銀弾頭が入っています
 ただの鉄よりは連中に効果的でしょう
 御然らばです 御武運を ペンウッド卿」
 
「ああ。
 そして君もな ヘルシング卿」


「さあ君らも早く脱出しろ 逃げるんだ
 ここは必要最小限な人員だけでいい
 というかもう その なんていうか
 あれだ ぶっちゃけ 私だけでいいんじゃないかな
 みんな脱出しなさいよ 早く」

『……』

「ぷ」「ぷはっ」「あはははは」
「なッ何だッ 何だッ 何がおかしい
 笑ってる暇なんかないぞッ
 早く逃げるんだッ!!命令だぞッ」
「再度国防総省へ通信を試みます
 生きている回線の捜索を再開します」
「!!
 何をしておるバカモンッ こんなコトに付き合う必要はないッ!!」
「なに言ってんです提督
 あなたじゃコンソール一ツ動かせないでしょ」
「いつも通り座っててください 仕事の邪魔ですから」

「すまん皆 すまんな」