序文
1通りのコードネームを覚えたところでコード進行の話に移ろうと思う。Cmajで考えてもよいが、せっかく前回抽象化をしたのでその記号を使って話をしよう。ただし音の響きを確かめるときはI = Cと思ってもらって構わない。ここにその変換表を置いておこう。
I | II | III | IV | V | VI | VII |
C | D | E | F | G | A | B |
トライトーン
トライトーンとは音程の1つである。トーンが3つ、すなわち全音が3つ(半音が6つ)の音程のことであり、増4度・減5度の音程のことである。ドとファ#、ファとシなどがそういう音程を作る。この2音、同時に鳴らしてみていただきたいのだが、この2和音は非常に不安定に響くように感じると思う。いわゆる不協和音と呼んで差し支えないものである。この不協和音であるが、実はダイアトニックコードの中にこの音程を持つものが存在する。どれであろうか。減5度、というところから推察される通り、VIIm-5、VIIm7-5は確かにそうである。これらは少々気持ち悪く響く。だがそれだけではない。実はV7もトライトーンを持つ。それは、3度と7度の音程である。G7を紐解いて見るとソシレファであり、シとファは確かに半音が6つ、トライトーンを成している。つまりV7はその意味で不安定なコードなのである。
静と動
世の中何でも不安定なものは安定になろうとする。高いところのものは下に落ちるし、陰イオンはくっついて分子になるし、魔王は倒される。音楽も同様に、不安定なコードは安定なコードになりたがるのである。先ほど触れたV7、これは何になりたがっているのだろうか。不安定なのはトライトーンのせいなのだから、それが崩れればよい。CmajのG7で言うなら、トライトーンを成してるシとファに崩れて欲しいわけである。で、せっかくなのでスケール上を動いて欲しい。ちょうど良いことに、シの半音隣にはドが、ファの半音隣にはミがある。というわけでG7の構成音のうち、シはド、ファはミに移ってもらい、レには空気を読んで消えてもらうと、残る音はソドミ、すなわちCになる。抽象化するならV7 - I と書ける。不安定な状態から安定な状態に。これがコード進行の大基本である。
基礎的なパターン
朝礼
I - V7 - I
起立!礼!気をつけ!のあれである。コードで言うとC - G7 - C 、抽象表記するならI - V7 - Iとなる。安定から一旦不安定になり、再び安定する。
この、V7 -> Iという動きを感じて欲しい。これをドミナントモーションと呼び、V7をドミナント(D)、Iをトニック(T)と呼んだりする。
スリーコード
I - IV - V7 - I
というものである。CmajならC - F - G7 - C、AmajならA - D - E7 - Aなどである。ギタリストは誰もが通る道であろう。
先の朝礼パターンの間にIVというコードが挟まった形になっている。これはちょうど起承転結を成している。
IVはドミナント:V7に続くコードと言うことで、サブドミナント(S)と呼ばれたりする。
ツーファイブ
IIm - V7 - I
ドミナントモーションほど強力ではないが、IIm - V7 という進行もまた動きを感じる進行になっていて、よく使われる。
これに限らず、IIIm - VIm、IV - VIIm7-5、I - IVなど、4度上(5度下)のダイアトニックコードへという動きはツーファイブの1種と言える。
4度上昇と呼ぶ人もいる。IIm - V7 - I までをセットでツーファイブワンと呼んだりもする。
マイナーのスリーコード
VIm - IIm - IIIm - VIm
と敢えて書く。前に説明した通り、CmajとAminとは区別をしたくないのでこう書かせてもらいたい。
IIIm - VImは実はドミナントモーションにはなっていない。ダイアトニックコードだけでマイナースケールにドミナントモーションを持ち込むことはできないのである。
それを解決する1つの方法が次である*1。
セカンダリードミナント
II7 - V、III7 - VIm
上で述べたツーファイブをより強力に進行させるためのものと言える。要するにセブンスコードがトライトーンを生み出すのだから、強引にセブンスコードを持ち込んでしまえ、という考え方である。従って以下の進行はノンダイアトニックコードを用いている。
II7 - V、III7 - VIm、のように、セブンスコードから4度上のコードへの進行を作ることができる(不安定から安定になる力、ドミナントモーションが働いている)。
このセブンスコードのことをセカンダリードミナントと呼ぶ。脱ダイアトニックの一歩である。
マイナーのスリーコード②
VIm - IIm - III7 - VIm
セカンダリードミナントを持ってくると、マイナーのスリーコードも綺麗に解決する。すなわち VIm - IIm - III7 - VIm という進行である。
IIImに比べてかなり劇的に進行するのが聴いて取れるはずである。
ドッペルドミナント
II7 - V7 - I
という進行を指す。ツーファイブワンの一種であり、セカンダリードミナントの特別な場合である。
ドミナントモーションが2個連なっているので、ドッペル(ドイツ語でダブルの意味)ドミナントと呼ぶ。非常に強力な進行をしているのが感じられるだろう。
アーメン終止
IV - I
で終止する進行をこう呼ぶ。コード進行に合わせて「アーメン」と言ってみよう。
V7 - I の強力な終止感に比べて非常に落ち着いた終止感がある。Isus4 - I でも可。
サブドミナントマイナー
IVm - I
名前の通り、サブドミナントIVをマイナーにしたものを指す。なぜ特別な名前がついているかと言うと、これがドミナントに負けずとも劣らない進行感を出すのである。
IVm - I という進行を考えてみよう。CmajならFm - Cである。Fmはファラbドで構成される。ファの半音隣にはミが、ラbの半音隣にはソがある。ミとソは共にCの構成音である。
よってFm - C はG7 - C にも似た非常に滑らかな進行感を得るのである。サブドミナントマイナー終止とも言える。
応用例
ここまでは比較的かっちりした理論を述べてきた。以下では現在非常によく使われる進行のパターンを挙げてみようと思う。
イチロクニーゴー
I - VIm - IIm - V7 -
という名前の通りの進行。I - VImは代理コードなどとも説明されるが、IとVImとは共有する音が多いので互いに行き来出来るだろう、程度の理屈である。その先はツーファイブ(4度上昇)の繰り返し。
V7の後はIに戻って何回でも繰り返せる。循環コードと呼ばれるものの代表例である。
イチロクニーゴーの亜種
I - VI7 - IIm - V7 -
とすると、コード構成音がキーを否定しつつクリシェ(半音進行)する展開になる。
(Cmajキーとすると、C-A7-Dm-G、コード構成音の一つがド-レ♭-レ-シ)
VI7はIの代理には全くならないため、IImに対するセカンダリードミナントを借りてきた形と考えられる。
'50S 進行 (Doo-wop 進行)
I - VIm - IV - V7 -
イチロクニーゴー直系の亜種。ツーファイブ部分のIImがメジャーの代理コードであるIVに入れ替わっている。
Iを代理コードであるVImで引き延ばしてから、メジャーのスリーコードにいったともいえる。
50年代のドゥーワップによく使われたことから海外では、'50S 進行 やDoo-wop 進行と呼ばれることも。
1-4
I - IV - I - IV -
このように、トニックとサブドミナントは行ったり来たりをいくらでも繰り返すことができる。
6-2
VIm - IIm - VIm - IIm -
トニックとサブドミナントの連結のマイナー版。
5のマイナー
Vm - I7 - IV
というツーファイブの一種。ちょっと小洒落た雰囲気が出る。これは部分転調とでも言うべき概念を用いるとよく説明できる。Cmajを例に取ると、これはGm - C7 - F のことである。で、これをFmajだと思って数字を振り直してみると、これが見事にIIm - V7 - I、ツーファイブワンになっているのである。つまりCmajの中に、Fmajのツーファイブワンを借りてきた形になっている。これが部分転調の基本的な考え方である。セカンダリードミナントは全て部分転調だと思うことも出来る。
4321
IV - I/III - IIm - I
1-4の繰り返しの派生の一種。オンコードを用いて、ルートの進行を滑らかにしている。カノン進行などでも、オンコードを用いてルートの進行を滑らかにする技法がよく使われる。
循環コードの定番型(POP PUNK進行)
Ⅰ - V - VIm - IV -
トニックと代理のトニックをドミナントとサブドミナントで挟むだけだが、感動的な響きとなる。
POP PUNKにありがちな一つのコード進行をシンプルに繰り返す曲に多いことからこう呼ばれることもある。
また海外ではループさせる曲が多いことから、1564のどこから始まっても同じコード進行だとみなす解説もある。
つまり、1564→5641→6415→4156はほぼ同じであるという説だ。ドミナントから始まる進行はあまりないので、
VIm - IV - Ⅰ - V - IV -Ⅰ - V - VIm -
この二つのマイナーから始まるパターンとサブドミナントから始まるパターンは押さえておきたい。
そしてこのコード進行を作った曲をまとめたwikipediaのページさえある。どんだけこのコード進行が好きなんだ。
クリシェ進行
コード構成音の一部を変化させていくことをクリシェという。これを使用した進行がいくつかある。
I - IM7 - I7 -
ルートは進行していないがコードの構成音が半音ずつ下がっていく進行。(Cmajキーで言うとド-シ-シ♭)
Iに対するテンションが段々と進行し、I7に至った段階でIのキーを否定して他のキーに転調しようという不安定な状態(例えばIVmajへの転調感を匂わせる)になるため、非常に切ない響きを得る。
VIm - VImM7 - VIm7 - IIm - IImM7 - IIm7 -
さらに連続してマイナー型へ移行したり(VIm - VImM7 - VIm7)、ツーファイブへ移行する前のツーの部分でクリシェを突っ込んだり(IIm - IImM7 - IIm7)して似た展開を作ることで最初のモチーフと対比させることもある。
クリシェ進行②
構成音が下降していくものばかりではなく、上昇していくパターンもある。
I - Iaug - I6 - I7 -
は、5度構成音が半音ずつ上昇していく。(Cmajキーで言うとソ-ラ♭-ラ-シ♭)
とくにI - Iaug - には浮遊感があり、うまく使えばアクセントになる。
カノン進行
俗称といえば俗称だが、割と通じる人も多い名称ではある。次の進行を指す。
I - V - VIm - IIIm - IV - I - IIm - V7 -
4度下がって2度上がる、の繰り返しになっているので大逆循環進行とも言う。最後のV7の後はドミナントモーションしてIに戻り、延々ループできる仕組みである。
純情進行
某テレビ番組で紹介されたコード進行で、カノン進行の派生系。
I - V/VII - VIm - IIIm/V - IV - I/III - IIm - V7 -
カノン進行と基本的には同じなのだが何が違うかというと、ルート音が順次下降していくようになっておりコード進行が滑らかに聞こえるという部分だ。
これをCmajキーとすると次のようになる。C→G/B→Am→Em/G→F→C/E→Dm→G7→
コンファメ進行
I - I - VIIm7-5 - Ⅲ7 - VIm7 - VIm7 - Vm7 -Ⅰ7 - IVM7…
Confirmationという楽曲で使われたコード進行をモチーフにしていることからこう呼ばれる。
一見すると難しい進行だが、カノン進行の亜種とも言える。
カノン進行前半部分がI - V - VIm - IIIm - IV…となるが、2番目と4番目にあるコードを次に強力につながるようにセカンダリードミナントに変更。
(VImのセカンダリードミナントはIII7、IVのセカンダリードミナントはI7)
そしてそのセカンダリードミナントにつながるようにツーファイブのツーを置く。
(III7をツーファイブしようとすると正確にはVIIm - III7だがダイアトニックコードからVIIm7-5 - III7としている?、I7の方はVm - I7)
こうしてカノン進行が I - I - VIIm7-5 - Ⅲ7 - VIm7 - VIm7 - Ⅴm7 -Ⅰ7 - IVM7…と変更された。
IVM7…と続きがないのはここからはあまりパターンと呼べるほど定型がないからである。
強いて言えばIVM7 - IVM7 - IIIm - VIm7 -…とつながるパターン(前段と同じように二度下降して四度上昇する)はよくある。
が、そこから続くツーファイブの部分はほぼ定型がない(最初から四度上昇しており二度下降して四度上昇するパターンが使えないため)。
コンファメ進行自体はカノン進行前半部分を変更するものと捉えてもよく、後半部分を違う進行で続けてからまた I - I - VIIm7-5 - Ⅲ7…とコンファメ進行を繰り返すのが定石。
ネオクラ進行*2
VIm - IIm - V - I - IV - VIIm7-5 - III7 -
ひたすら4度上昇を繰り返す、すなわちツーファイブの連続である。最後のIII7はセカンダリードミナントを用いて進行感を強めている。これも無限ループに突入できる。
黄金進行
IV - V - IIIm - VIm -
一時期某動画共有サイトで話題になったパターンである。
IV - V と来て、次にIに行くかと思いきやIと共通音の多い代理のIIImに行き、そのままツーファイブしてVImに行く。これもまた永久ループが可能。
黄金進行の亜種①
IV - V - III7 - VIm -
というように4536のIIImをIII7に変化させると、哀愁を感じる進行になる。(いわゆる泣き)
Ⅳに進行する前にIII7sus4 - III7 - としてからこの進行へ突入するとより高揚感を増すことができる。
IV - V - III7/VIb - VIm - IV - V - VIbdim - VIm -
として、ルートをクリシェさせるパターンがある。(VIbdimはIII7の代理コード)
IV - V - I/III - VIm -
IIIをオンコードにした4516も黄金進行と言えなくもない。(黄金進行感は薄い)
黄金進行の亜種②
上記では4536の3部分をいじったものを紹介したが、それ以外のものを紹介する。
IV - V/IV - IIIm - VIm -
某テレビ番組では小悪魔進行として紹介された。4536の5部分がルートだけ4で進行しない。
IV - IIIm - VIm - IV - III7 - VIm -
5のドミナントに進行しない436も大きく言うとこの進行の一部と言えなくもない。
IV - V - IIIm - IV(IVM7) -
4534というVImで解決しないパターンもある。
丸サ進行(Just The Two of Us進行)
IVM7 - III7 - VIm7 - I7 -
もしくは5のマイナーによるツーファイブワンを加えた
IVM7 - III7 - VIm7 - Vm - I7 -
上記黄金進行と5のマイナーを組み合わせた進行ともいえる。
IVM7からくるメジャー感から、III7 - VIm7によるマイナーのドミナントモーションによる強烈なマイナー感、
Vm - I7 - から冒頭のIVM7へつながる5のマイナーによるツーファイブワンが滑らかに繋がる進行。
丸の内サディスティックという曲で使われたことから日本で一気に有名になったため丸サ進行とも呼ばれる。
小室進行
VIm - IV - V - I -
一時期音楽業界を席巻した作曲家の多用したコード進行。
マイナーキーからスタートしているのに、メジャーのコード進行に突入しメジャーキーで終止する。ループ可能。
VImとIVの間や、I - VImと戻るところに経過和音を入れたりして展開することもある。
VIm - IIIm/V - IV - V - I - V/VII -
6541
VIm - V - IV - I -
小室進行と違い順々にコード音が下降していき、IVにいった段階でサブドミナントで終止させる進行。
54がドミナント→サブドミナントの逆進行になってるのがポイント。
小室進行より進行に意外性があり、6543と違ってマイナー感はなく爽やかなメジャー感がある。
6543
VIm - V - IV - III7 -
6541の亜種。同じく下降していく進行だがメジャーで終止せず、マイナーのドミナントコードへ進行してマイナー感を強く残しつつ進行する。
3456(6345)
IIIm - IV - V - VIm -
IIImというあいまいなコードから始まり、コードが上昇していく期待感のある進行。VからVImで偽終止しているためマイナー感はさほど強くない。
偽終止とはV7のドミナントはIのトニックへ向かうドミナントモーションがあると述べたが、V7をIで解決すると見せかけてIの代理コードであるVImで解決しているためそう呼ばれる。3456の派生として6345という
VIm - IIIm - IV - V -
キーであるコードを提示ながらまたIIImに戻り、コードが上昇していく進行もある。
1345(4513)
I - IIIm - IV - V -
Iから始まってIVやVに進むと思わせつつIIImという曖昧なコードを挟むことで切なさを生む進行。
IIImからIVへの意外感や、345とルート音が上昇して解決する期待感もある。6345の亜種(こちらが正?)と言える。
I - III - IV - V -
とするとトニックからノンダイアトニックコードであるIIIにいくことで意外感がでる。そこからIVmで解決すると見せかけて半音上昇するIII - IVも意外感がある。また、サブドミナント始まりの4513もよく使われる。
IV - V - I - IIIm - IV - V - I - III -
451は単なるメジャーのスリーコードなのだが13の繋ぎの部分でIVに繋がる期待感を作っている。
順次下降進行
VIm - V - IV - IIIm - IIm - VIm/I - VII7 - III7 -
ルート音が6543…と一つずつ下がっていっている進行。6543をループさせない進行。
最後は純情進行よろしくツーファイブすると思いきやドッペルドミナントを使っており強烈なマイナー感がある。
4から半音上昇
IV - IV#m7-5 - V - III/V#
ルートが半音ずつ上昇するパターンの典型例。マイナーセブンスフラットファイブの活用例の1つである。黄金進行のIVとVの間にちょいと挟み込んだ格好と言える。
4から半音上昇②
I - IV - II/IV# - V
ごく普通のスリーコードに一つクリシェになるコードを挟みこんだ形。上記の展開例の一つ。II/IV#の代わりにIV#dimでもよい。
6から半音下降
VIm - III/V# - I/V - II/IV#
逆にルートが半音ずつ下降するパターンの典型。II/IV#は代わりにIV#m7-5でもよい。
dim
IIm - II#dim - III
これもルートが半音進行するパターンである。II#dimはVIIの代理だと思えて、VII - IIIというツーファイブの派生である。
部分同主調転調
VIb - VIIb - I
例えばCmajなら、同主調のCminのダイアトニックコードであるAb、Bbを借りてきた格好である。(Ab - Bb - C)
Cmin側から見て数字を振りなおすとIV - V - VI となるから、黄金進行の派生だとも思える。(F - G - A)
他にもEb(=IIIb)を借りてきてIIIの代わりにしたり出来る。
IV - V - VIb - VIIb - I
とすると基本のスリーコードの展開が二度続くような高揚感を得つつ同主調による転調感を得る。
ロックンロール進行
I - IIIb - IV - VIIb -
とにかくメジャーコードで進行していく。マイナーキーの進行を全部メジャーコードに変えてると考えるとわかりやすい。
同主調として、後ろの進行もダイアトニックコードに合わせて考えると、
VIm - I - IIm - V -
となり、単なるロクイチニーゴーである。これをすべてメジャーコードで演奏すればロックンロールな感じを味わえるだろう。
ブルース進行・ジャズ進行
I7 - IV7 - I7 - I7 - IV7 - IV7 - I7 - I7 - V7 - IV7 - I7 - V7 -
もしくは
I7 - IV7 - I7 - I7 - IV7 - IV7 - I7 - I7 - IIm7 - V7 - I7 - I7 -
とにかくセブンスコードによるスリーコードで進行していく。ブルースやジャズは12小節で1単位として進行するのでこのような表記となった。
ツーファイブするとジャズっぽく、全音逆進行するとブルースっぽくなる。
上記はあくまで基本の進行であり、ここから1小節を2つのコードに分けたり、ツーファイブを増やしたり、テンションを足したり、代理コードや裏コードを使ったりして全く別の進行に仕上げる。
まとめ
以上、コード進行の典型例をざっと挙げてきた。前半は2,3個程度のコードの繋がりを規定するもの、後半は現代的な(ポップスの)コード進行の具体例たちである。特に後半に関しては、自分の知ってる曲をいくつか思い浮かべてもらうとほぼ確実にどれかの例は出現するはずである。構成音の似ているコード同士は、交換したり並べたりできる(代理コード)、ルートの進行を滑らかにしてみる、ドミナントモーション(orツーファイブ)、このくらいのことを意識するだけで、ここまでに挙げた例を切り貼りしてさらに色々なコード進行を生成することができるだろう。
注意してもらいたいのは、「こういう風に繋げることが可能」という話はずーっとしてきたが、「これをやってはいけない」という話は1つもしていない点である。弾いてみていいと思うものは恐れることなく使っていただきたい。理論で記述することのメリットは、系統立てて考えられる、法則を見い出すことが出来る、それによって覚えやすくなる、といった点だからである。決して例外を許していないわけではない。