避難所1スレ/まどほむリウム

Last-modified: 2014-07-14 (月) 11:23:39
589 名前:名無しさん@まどっち[sage] 投稿日:2012/12/15(土) 15:38:14 ID:OZaK7Ytc0
 <一部省略>

・・・・・・ここいくらかauスマホが規制解除であっちに書きこめてたけど
SS投稿しようとしたタイミングで再規制orz
いつもよりは長くなったのでtxtろだ投稿なり・・・・・・。
http://ux.getuploader.com/homumado/download/176/madohomurium.txt

http://jbbs.shitaraba.net/anime/8286/storage/1326794872.html

txtファイルはこちら



「おじゃまします」

「いらっしゃいませ」

「ほむらちゃんも、おかえりなさい」

「ええ、ただいま」


何日かぶりのほむらちゃんのお家。
今日はほむらちゃんの家にお泊りに来ていた。

「それじゃあ、私は着替えとお茶を用意してくるから、むこうの部屋に先に行ってて」

「うん、わかった」

ほむらちゃんと一旦別れ、廊下の先の部屋へを足を踏み入れる。

この部屋に入る度にどこか心が疼く。
それはきっと、ほむらちゃんのほんとうのことを
教えてもらったあの時のことを思い出してしまうから。


そこはどこか異質な場所だった。

ちょっとしたホールのような広くて真っ白なお部屋。
高い天井には機械仕掛けの大きな振り子が規則正しく揺れていて。
時計盤をイメージしたようなサークルベンチとその軸部分にはテーブルが。
壁面にはワルプルギスの夜の資料を映したホログラムモニターが常に浮かんでいた。

言われた内容はうまく頭の中には入ってこなくて
でもほむらちゃんの様子からそれはとても重い事なんだって、何となく感じれた。


あの時から、さすがに、いくらか様変わりしてる。

ぱっと見は、相変わらず物はほとんどないけれど
実はひっそりと、自分に頓着がなさすぎるほむらちゃんへと
色々と―――わたしはぬいぐるみとか、小物とかを―――あげたり
といっても、ほむらちゃんも素直に受け取ろうとはしないから
帰り際にこっそり置いていったものが、そのまま置いてあったり。
ベンチの下にはいろいろ物をしまえるようになっていて
杏子ちゃんがよく持ち込んでくるお菓子とか
さやかちゃん読み古しの雑誌なんかが、入ってたりもする。
マミさんお手製の紅茶の芳香剤のほのかな香りが部屋に広がる。
ホログラムモニターも、映すものがないのか切っていることの方が多くて
天井の振り子も、今となっては落ち着かない、って取り外してもらったみたい。

ほむらちゃん自身も
だいぶ変わったと思う。


それでも
いまでも
何度でも

この部屋に足を運ぶたびに、考えてしまう。


わたしはほむらちゃんに何をしてあげられるんだろう。

ほむらちゃんは何も望まなかった。

私が勝手にやった事だ、って。
あなたは何も気に病まなくていい、って。

でも、ほむらちゃんは、きっと、とても、想像しきれないくらい
悲しんで、苦しんで、辛くて、泣いて、それでもがんばり続けて

そんなほむらちゃんはもっと幸せになるべきなのに
わたしなんかのためにそんなことになって
何かを返してあげなきゃって思うのに

結局、どうすればいいのか
わたしのばかな頭じゃ、何もわからなかった。


と、もう癖になりつつある考え事にひとしきり頭を悩ませたわたしは
テーブルにノートパソコンと何やら見かけない機械が置いてあるのに気付いた。
わたしやみんなが持ってくるようなものとしては今一心当たりがないし
ほむらちゃんが物を出しっぱなしというのも珍しいから、ちょっと興味を持った。

「おまたせ、まどか」

「ひゃ、わっ」

び、びっくりした……。
もう、支度済ませちゃってたんだね。
それかいつもより考えすぎていたのかもしれない。

「どうかした?」

ティーセットを運びながらこっちに来るほむらちゃん。

「ほ、ほむらちゃん、これってなにかな?」

さっきまで考えていたことを悟られないように、真新しい疑問を口に出す。

「あぁ、そういえば出したままだったのを失念してたわ」
「ちょっと面白そうなものを見つけてね」

ほむらちゃんはそう言いながらテーブルのそばまで来ると
テーセットを置いてパソコンをいじり始めた。

「明かり消すわね……上を見てて」

そう促され見上げると、部屋が暗くなる。

「本当は、みんな揃った時にでも見せようと準備してたのだけどね」

と、次の瞬間、暗闇が一変した。

「……わぁっ!」

目の前には広がったのは、星空。

「プラネタリウムソフトとでも言うのかしら」
「本当はパソコンの画面に星空を描き出すのだけど、こっちの機械も使って天井に映してみたの」

ゆっくりと、けれど本当の星空よりは確かに速く星達が動いていく。
授業で習った覚えのある星座を見つけ記憶にある名前を挙げると
答え合わせをするかのように星座の名前や絵が浮かび上がる。
時折流れる流れ星にまた歓声を上げて

わたしはこの星空に、魅せられていた。

「すごい……」

「こんなこともできるのよ、そのまま見てて」

そう言ってまたパソコンをいじりだすほむらちゃん。
促されるままに星空を見上げ続けていると
それまで映し出されていた星座の絵が切り替わる。

「……って、なんでわたしの描いた絵がっ!」

そこに映っていたのは、見覚えのありすぎる絵柄。
わたしとほむらちゃんの絵が映し出されていた。

「この前貸した数学のノートにあった落書きを有効活用させてもらったわ」

「え、あっ」

そういえばほむらちゃんのノートを借りてテスト勉強してたけど、休憩中に落書きしてた覚えがある……。
ただでさえノート借りてたっていうのに、うっかりそっちに落書きしちゃうなんて。
うぅ……なにもいえない……。

「まぁ、これはこういう事もできるのを試してみたかっただけだから」

わたしのしょげた様子を感じ取ってか
そうほむらちゃんは言って、また元の星空に戻った、けれど。

「これっきりにしておくわ」

恥ずかしかったけど、星空の中で二人漂うわたしとほむらちゃんと考えると
なんだかもったいない気もした。


それからは二人で隣り合ってサークルベンチに座り、星空を眺めながら
用意してくれていたお茶やお菓子をつまみながらお喋りしていた。

ふと、ほむらちゃんの方を見てみる。
パソコンから漏れる薄ら明りに照らされているほむらちゃんは
とても自然な、やさしい表情で、星空を見上げていた。

そっと、ベンチに置いていた手を伸ばし
同じように置かれていたほむらちゃんの手へと重ねる。

それに反応してほむらちゃんはこちらを向いたけど
手をどうするわけでもなく、ただ微笑んでくれた。

「ねぇ、ほむらちゃん、今日はここで寝ない?」

その表情を見たわたしの口から言葉が零れたの。

「え?……毛布をいくつか敷けば問題はないと思うけれど、どうしたの」

自分でもどうして出たのかわからない求めに
とってつけたかのように理由を付ける。

「うん、この星空を見ながら一緒に寝たいなって」

でも、その言葉で、どうしてそう思ったのか
あやふやだったものがわたしのなかで一気にカタチを持ち出した。

「あなたがそうしたいなら、そうしましょうか」

一緒に夜ご飯を作って、二人でおいしいねって食べて、お風呂で洗いあいっこして
お風呂上りにほむらちゃんの長い髪を乾かすついでに色々な髪形を試すのもいいかもしれない。
ちょっと早いけどここに毛布を敷いて、あったかい紅茶やちょっとしたお菓子を用意して
毛布に寝転んでちょっと夜更かしするぐらいまでお喋りして、眠気でぼんやりしながら歯を磨くの。
二人並んでこの星空を見ながら、おやすみと、ほんのちょっと言葉を交わして
そうして、どっちが先かわからないぐらいに一緒に寝ることができたなら。

それはとっても、素敵なことだって。



あぁ、私が探してた答えはこんなに簡単だったんだ


何をしてあげられるかじゃなくて

何をいっしょにしたいか

大切なのはきっとそれ


わたしとほむらちゃん

二人でいろんなことを一緒にしていきたい


それがきっと、わたしのできること