103スレ/あなたと壇上へ

Last-modified: 2014-06-07 (土) 11:13:11
958 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2014/06/07(土) 01:30:37.52 ID:DLjaZL6e0
>>926さんのウェディングネタや最近のSSラッシュに触発されて久々にろだに上げました

「あなたと壇上へ」
http://ux.getuploader.com/homumado/download/647/%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%A8%E5%A3%87%E4%B8%8A%E3%81%B8.txt

出来立てほやほや直送なので荒いのはゆるして……まどほむまどください! 

http://hello.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1401028507/958

txtファイルはこちら(修正版になっています)

久々に書きました。変なテンションで書いた急ごしらえの拙文注意です。色々おかしいかも。
以前上げていたのとは関連性がありません。俺、この戦いが終わったらいつか前書いて放置してたのの続きを完成させるんだ……
(文章力的な意味で断念してました……もう6月とか早いですね。まどほむジューンブライド)


「ほむらちゃん、見て! すごく綺麗だよね」

工事中の白く塗られた建物を指差しながらまどかはそう呟いた。

「あら、何ができるのかしら?」

「結婚式場みたい。すごいよね。こんな場所に建っちゃうなんて」

無邪気な笑顔でまどかはそう告げる。ちくりと胸が痛む。私はまたまどかを愛してしまった。
まどかが幸せに暮らせればそれでいいと思っていたのに。だからまどかを失うのが怖い。どうしようもなく怖れてる。
この優しい微笑みがこの世界から消えてしまうのが怖い。

だから、私は隙を見ては魔獣を狩り続けた。その結果、ほんの僅かではあったけど、人々の顔には笑みが増えた気がする。
自殺者は減り、ほんの少し街は活気づき、挙式するカップルも増えた。そして、葬祭センターが建てられる予定だったこの地には
こうして白塗りの式場が建てられようとしている。いつか、何年後になるかは分からないけど、まどかが誰かと結ばれる、そんな式場が。

「ほむらちゃん見て。見学会もやるんだって! 今度一緒に来ようよ!」

私に腕を組んでくるまどか。その屈託のない笑みと無自覚な愛情は、私の心を取り乱す。

「まどかは気になる男の子とかいないの?」

気持ちを落ち着かせたくて、戸惑いの中で、私は聞きたくもない質問を自分で選んでいた。直後、眩暈がしそうなほど後悔した。
青い空には雲がゆらゆらと揺れていて、けたましく工事の音が鳴り響いている。二人の間には小さな緊張が生まれた。

「私には、そういうの、よく分からなくて……」

瞳を閉じながらも、ニッコリと微笑むまどか。きっと、彼女は私の好意に気づいている。
だから私を傷つけないようにこうして一緒に出かけてくれるし、好きな男の子などいないと言ってくれるんだ。

「正直に答えていいのよ。私に気を遣わなくていいの」

私は大好きな人に迷惑をかけて、気を遣わせている自分が情けなくて、惨めで、いつの間にかそう告げていた。

まどかはその言葉を聞くと本当に悲しそうな顔をした。それでいい。あなたに想ってもらう価値などない。
あなたの貴重な一生を、大切な時間を私に費やさなくていい。

「一緒に行きたい相手だっているはずよ」

語気がおかしい。自分でも笑ってしまいそうだ。本当は一緒に行きたいくせに。

「……ごめんねほむらちゃん。ずっと、ずっと気を遣わせていたんだね」

「急にごめんなさい……私のほうが、あなたに気を遣わせていたから」

「ううん、ほむらちゃん、ちょっと来て。連れて行きたい場所があるの」

私は見滝原タワーへと連れていかれた。何度も言葉で彼女を制止しようとしたけど、手を握られ、何かを堪えた表情をする
まどかに気圧されて、何も言えず彼女と展望フロアへと昇った。エレベーターは暗く、音を立てて最上階へ昇っていく、
二人だけの室内で、まどかは私に抱きついた。彼女は以前、暗い場所に一人になるのが怖いと言っていた。

何もない場所に独りぼっちになる、そんな夢を見ると彼女は語った。彼女の視線の下には何千人もの少女が暮らしており
そこには明かりがあり、安らぎに満ち溢れ、住人たちは苦しむことも、悲しむことも知らないのだという。
けれど、自分にはなかなか気づいてくれず、それを見守るのがとても辛いのだと、私に話してくれた。

このゴウンゴウンと音を立てて昇っていく独特の浮遊感、暗い室内、彼女にとってどれだけの恐怖なのだろう。
私は彼女を支えた。小さく震えてるのが分かる。エレベーターから外の景色が見えるようになったら少し落ち着いたけど
眼下の景色を眺めて、私を抱きしめる力が強まった。私も胸がきゅんとしまって、彼女を求め、強く抱きしめた。
ドアが開いた時、観光客がいないか心配したけど、幸いなことに人はいなかった。

「ほむらちゃん、ごめんね」

「いいのよ。でも、どうしてここに連れてきたの?」

「こういうのは、ムードが大事だと思って」

一瞬微笑んでから、憂いを帯びた表情でまどかはガラス張りされた壁のほうへ背を向けて歩き出した。

「・・・・・・」

「見て、ほむらちゃん。あの白い建物、さっきの建物だよ」

「ええ」

数多の建築物が立ち並び、車がまるでミニカーのように走る中、遠くから見ると玩具の城のように建つ、その式場が見えた。

「不思議だね。こんなに遠くに来ちゃったんだよ。わたしたち」

「あなたが連れてきてくれたのよ……怖くない?」

「平気だよ。さっきはごめんね……暗い所、まだ少し怖いんだ。ずっと、ほむらちゃんと一緒に来たかったから
 なんだか怖くなくなちゃった」

「あなたは強いから。私はその後押しをしただけよ」

「ううん。私ね、ほむらちゃんに沢山褒めてもらえるけど、本当はそこまで強くないんだ。
 ……ほむらちゃんが一緒にいてくれるから安心する、あなたがいてくれるから強くなれるんだよ」

「あなたが望んでくれるなら、どこまでもついていくわ。これからも支えさせて。だから…あなたの好きな人のことを教えて欲しい。
 二人の仲をずっと応援するから」

「応援、しなくていいよ」

「・・・・・・」

「ほむらちゃん、大好きだよ。ずっと、お友達以上の関係になりたかったよ。これからもずっと、ほむらちゃんのそばにいたい」

「まどか……」

「ごめんね。変だよね。ほむらちゃんが優しくて、素敵で、一緒にいてくれるから、私、あなたのことが大好きなんだよ……
 だから、一緒に行きたかったの。あの式場、嘘でもいいから、一緒に見たかった。女の子同士だから、ほむらちゃんに
 嫌な思いをさせるかもしれないと思ったけど、ほむらちゃんが、いつか……いつかって考えると……」

大粒の涙を流し、両手で顔を隠しながらまどかは泣いていた。私は、愚かな自分を叱責し、彼女を抱きしめた。

「ほむら、ちゃん……?」

「考えることは同じなのね。あなたも私も」

あなたとずっと一緒になりたかったのに、下らない意地を張っていたんだ。
あなたが大切だから。関係性を壊したくないから。あなたを失いたくないから。

私は、あなたの悲しむ顔を見たくなかったはずなのに……

「・・・・・・」

「大好きよ、まどか。あなたを愛している」

「うそ……」

「本当よ。今まで、ずっと隠してきてごめんなさい。あなたの涙、忘れないわ」

私はまどかの涙を拭った。まだ暖かくて、涙の残ったその頬が愛しくて、まどかを抱きしめた。
誰にも見られない、二人だけの世界がそこにあった。

「償いをさせて。償いきれないかもしれないけど、あなたのそばにいたいから……」

「私にも償わせて。想いを伝えられなかった償いを……ううん、ほむらちゃん、やっぱり違うよ。
 幸せなキスがしたい。大好きな人と、ずっと、これからも愛し合えますように」

まどかは私の大好きな笑顔を見せてくれた。ずっとこの微笑みを守りたかった。
私はまどかと寄り添って、結ばれたかったんだ……

「約束するわ」

「約束させて……」



「んっ……」

「ん……」



長いキスを終えた私たちはしばらく余韻を楽しんだ。人が来ないことを確認しては抱きしめあい、熱を求めた。
二人で眼下の街を見下ろす。夕刻に差し掛かろうとする街の灯りが、指を絡ませた二人を家路へと手招いている。

「帰ろっか///」

屈託のない笑みでまどかはそう告げる。

「ええ」

私も憑き物がとれたように微笑んでいた。まどかの手を握る。帰りのエレベーターで、二人はずっと抱き合っていた。

その数日後、見学会に私とまどかの姿はあった。若い男女や妙齢のカップルの中、二人は浮いてしまったけど、ずっと寄り添っていた。
係の女性が気を遣ってくれて、公開を休止する時間帯に私たちを二人きりにしてくれたので、ホールを観察させてもらった。
二人で観客席に座って、花嫁と花婿の立つ壇上を見つめる。

「いつか、二人で上がれるといいね」

「ええ……」

口惜しかったけど、壇上のキスは二人でとっておくことにした。いつか、二人の約束が果たされる日まで……
観客席の二人は、同じ夢を浮かべながら唇を重ねた。


式場を出ると、青く、雲一つない空が私たちを包む。横薙ぎの強い風が、二人の間をすり抜けていく。

「風、強いね」

「そうね……寒くないかしら? これからどこへ行く?」

「ほむらちゃんのお家……」

「?」

「あなたのお家に行きたいな」

「いらっしゃい……でも、将来的には鹿目家にお邪魔させてね」

「う、うん。でも……暁美まどかが、いいよ//////」

「鹿目ほむら……譲れないわね」

思わず笑ってしまう。二人の最近の話題はこればかりだ。

「……もう//////」


二人は手を繋いでいる。きっと、これからも強い風が吹き続けるだろう。それでも、あなたと共に歩んでいきたい。



あれから何年経つのだろう。いくつもの季節が流れて、二人は少しだけ大人びた。
けど、最初の想いは変わらなかった。

白い式場は、年月を経て、少しだけその姿を変えてしまったけど、二人を待っていた。


「懐かしいね、ほむらちゃん」

「本当にね」

「二人でウェディングドレスを着れるなんてね」

「やっと、二人の約束が果たせるのね」

「ううん。これからもだよ。ずっと、二人で約束を守っていこうね」

「誓うわ。永遠に」

「嬉しいよ……壇上で、二人で誓おうね」



「新婦のお二人の入場です!」

歓声に包まれながら、二人は歩き出した。


あの日と同じ、青い空に包まれながら……




「分身ながら、やれやれね」

「えへへ♪ 私たちもそろそろ結婚しない?」

「あら、知らなかったの? 悪魔の世界ではキスをしたら妻として貰い受けることになっているのよ。たとえそれが女神さまでもね」

「あっ、ずるいよ! ……私以外の子とキスしたら駄目だよ!
 ……円環の神様には掟があってね、キスしてくれた世界で一番可愛い女の子をお嫁さんにして結ばれなきゃいけないんだよ♪」

「何よそれは……それじゃ私があなたと一緒になれないじゃない。世界で一番美しくて可愛らしいのはあなたなんだから」

「それは違うよ! ほむらちゃんだよ!」

「まどか! 絶対にまどか! まどか以外ありえないわ! ……あと私がお嫁さんね!」

「酷いよほむらちゃん! 私がほむらちゃんのお嫁さんになりたかったのに!」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「結婚しましょう。二人の花嫁で……/////」

「うん……/////」

空が青いのは、きっとこの二人の機嫌が良かったからだね。

おしまい