19スレ/即席まどまぎ

Last-modified: 2014-04-15 (火) 19:02:51
 ★『即席まどまぎ』
「ん……ぐぅ、ぴぃ……」
これは、なんだろう。
休日、まどかが私の家で習った料理を振舞いたいというから、朝から自宅で遊んでいて、
私がちょっと近くに買い物に行って戻ってくれば……。
「すぅ……ぴぃ……ぐぅ?」
まどかが私のベッドで寝てる。
まどかが、私の、ベッドで、寝てる。
一体この空白の10分間に何があったというのかしら。
真っ白な私のベッドに、まどかは私服のまま横になっている。
胸元に私の枕を抱いていて、何度か寝返りをうったのか、乱れた前髪がどことなく色っぽい。
買ってきたファブリーズやらを台所に置いて、ベッドの横に座って寝ているまどかを向かい合う。
「んぅ……すやっ」
ほっぺをふにゃっと枕にこすりつけて、気持ちよさそうに寝ている。
高さの関係から、私の視線の高さに丁度まどかがいる。
寝返りでめくれたのか、上着から無防備なおなかが覗いている。
触ってみたい。
すごく、触ってみたい。
「んふ…………ぐぅ……」
実は起きてたりしないわよね?
「んん……もう、たべらんない……」
あ、これ完全に熟睡だわ。
腕を伸ばして、おなかに人差し指を這わせる。
ちょっと触れただけなのに、ふにふにと柔らかい感触が指に伝わって、それだけでいやらしい行為に思えてしまった。
まどか、柔らかい……。
抱きしめたときの柔らかさを思い出す。
それだけなのに、まどかが愛しくなってしまう……。
一緒に寝たい……。
でもそんなことをすればさすがに起きる。
まともな人間ならそんな真似はしない。
しかし、残念ながら私は馬鹿だった。
「まどか……」
思い切ってベッドに乗って、まどかの横に転がった。
「ん……ふえ」
目を覚ましたまどかが第一に目にしたのは、枕を挟んで寄り添う私。
とろんと寝ぼけた目で私をじっと見つめる。
「ほむらちゃ~」
まだ寝ぼけてるのか、枕を抱いていた手を伸ばして、私の顔をぺたぺたと触る。
鹿目まどか、あなたはどこまで可愛いの……。
その幼さ全開の仕草に私も恥じらう気を失って、同じようにまどかの頬を撫で返す。
寝ぼけまどかは枕と私の手に交互に頬ずりして、まどろみの中をフワフワと漂っていた。
「ほーむらちゃ……すやっ」
寝た!
この子この状況で寝た!
徹夜明けの作家じゃないんだから……。
「まどか、お昼だから起きなさい」
すっかり露出したおなかに手を忍ばせて、乱暴にくすぐる。
ビックリするまどかが見たいわ……。
「ふやっ……んん、んっ、んっ……んぁ、ふやん……ほむらちゃ」
散々くすぐるとようやく目をパッチリと開けた。
「おはよう、よく眠れた?」
「あれ、なんで私眠って……」
飛び起きるように身体を起こして、現状を把握するまどか。
自分の行いに恥じらいを感じたのか、抱いていた枕を慌てて元の位置に戻して。
「あ、あああのね! お買い物してるうちにお部屋のお掃除しようかなって思って!」
ワタワタと慌ただしく説明を始めた。
私も身体を起こして向かい合う。
まどかの慌てぶりが面白くて、つい笑ってしまった。
「ほむらちゃん、怒ってない……?」
「どうして?」
怒るわけないじゃない。
悪いことをした子供のようにシュンとしてるまどかの頭を撫でてあげる。
「でも、その……ほむらちゃんのベッド、使っちゃった」
「そんなに眠かったの?」
「そうじゃないけど……」
と言ってから、しまった、という顔をするまどか。
それを見た私の悪戯心が、恥ずかしいことを言わせてみたいと思ってしまう。
「じゃあ、どうして……?」
撫でていた手でまどかの頬を撫でてあやす。
そして首を傾げて見せて、それで? と催促をした。
「あ、あの、ね……ほむらちゃんの……その……」
途中でボン! と音が出そうなくらいまどかの顔が真っ赤に発熱する。
また笑ってしまう。
本当に可愛いんだから。
「私の、なぁに?」
まどかの顎に手を当てて、キスをするときのように顔を上げさせて、ペースを私のものにする。
ほら、早く聞かせて……。
「ほむらちゃんの……その……あの……に、おい……っ」
におい。
におい。
まどかってば……私困ってしまうわ。
恥ずかしがってもじもじしてるまどかを抱きしめる。
「ほら……私の匂い、する?」
「ふわっ……ほむらちゃ」
どんな行為でも恥ずかしく思うことはないわ。
その気持ちは人を愛しく思うことだもの。
私も、同じ。
そう言いたいけど、思うだけで口には出せない。
口下手だから、頭の中で言葉を組み立てても口を通すととぎれとぎれになってしまう。
私の悪い癖だ。
だから、頭を撫でておでこにキスをして、私の好意を伝える。
「ほむらちゃん……怒ってない? 変って思ってない?」
もう、ばかね。
「怒ってないから、恥ずかしがらないで。
 ……私まで照れてしまうわ」
そう言って、抱き寄せる。
やっぱり、まどかは柔らかい……。
「ほら、一休みしたら材料を買いに行くんでしょ?」
「うん……一休み、しよ?」
今度はまどかから抱き寄せられる。
私の胸に絶え間なく頬ずりするまどかが愛しくて、私は迷うことなくまどかを抱いてベッドに横になる。
たまにはこうして意味もなく時間を浪費するのも悪くない。
それがまどかと一緒なら、それはきっとかけがえのない時間なんだ。
「ん……ぐぅ、ぴぃ」
「もう寝たの!?」