191 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/08/12(日) 20:11:35.66 ID:T2lYagRy0
「むこうに着いたらすぐにメールするから」
帰省のため訪れていた真夏の駅のホーム 見送りに来てくれたまどかにいつもの元気はなかった
「……それじゃあ、行ってくるわね、まどか」
「うん……」
私はしばしの別れの挨拶を交わした後、まどかに背を向け身を翻す そして改札へと一歩踏み出そうとしたその時だった
くいっ
私の進行を妨げる、何か弱々しい力に身を引き寄せられ振り返る そこには私の服の裾を控えめに掴んでいるまどかがいた
「まどか?」
私の問いかけにまどかは、裾を掴んだまま黙ってうつむいている その悲しげな表情を見て、私は小さく息を吐いた
「仕方ないわね」
まどかに向けてすっと手を差し伸べる
「さ、いきましょう」
こうして帰省という名の夏の思い出が始まったのでした