339 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/07/31(水) 00:29:32.46 ID:OaYdaMdx0
mdhmください。
うだるような暑さを演出していた太陽は沈みかけてなお、執念深く赤い光で世界を照らしていた。
「うーさーぎーおーいしー♪」
隣を歩いていたまどかが、小声で、緩やかなペースで歌い出す。遠くから響いてくるひぐらしの声。夏の一日の終わりの感傷に、まどかの密やかな歌声が余計に郷愁を誘う。
「わーすーれーがーたきー ふーるーさーとー♪ …ほむらちゃんは、東京に帰りたいって思う?」
一番を歌い終えたまどかは、急に私に質問をぶつけてきた。
「思わないわ。随分昔の――私にとって、だけど――昔のことになってしまったもの」
まどかは、そっか、と呟いてから、少しホッとしたように、そしてどこか申し訳なさそうにして、夕暮れの空を見上げた。
「もし私が一人ぼっちで遠い街で暮らすことになっちゃったら、毎日帰ることばっかり考えちゃうんじゃないかなって思うよ」
私が手をそっと握ると、まどかはどこか陰のある笑顔を私に向けた。
「ふるさとって、何処なのかしら。産まれた土地のことかしら? 両親が暮らしている街かしら?」
両親という言葉を聞いて、微かにまどかが震える。分かりやすい。でも今は気付かないふりをして、続ける。
「…そんな難しく考えなくても、帰りたいところがふるさとでいいでしょう? 雨につけて、風につけて思い出しちゃうところで、いいじゃない」
強くまどかの手を引く。抵抗なく私の腕に収まったまどかは、無言で私の胸に顔を埋めた。
「まどかは分り易すぎるわ。もし、私が東京に帰ることになったら、なんて心配でもしたんでしょう。
それで、本当は行って欲しくないけど、両親と離れて暮らしてる私がかわいそうだから、引き止めたりしちゃいけないって思ったでしょう」
う゛ー、とくぐもった唸り声を上げるまどか。
「バカね――今、東京に帰ったら…毎日、貴女の夢を見てしまいそう。貴女がつつがなく過ごしているか心配になって。雨が降っても風が吹いても、貴女を思い出して」
まどかが背に腕を回して、抱き締めてくる。
「きっと、すぐに見滝原に帰ってきてしまうわ。…ふふ。そして、優しい貴女は私を追い返しちゃうかしら。お父さんとお母さんのところに帰ったほうがいいよって。
そんなことになったら、どうしようかしら。貴女にも味方になってもらえなくて、途方に暮れるわね」
まどかはぺしぺしと背中を叩いて抗議している。変なこと言い出すからよ。
「私が帰りたいのは、貴女の傍だけよ。…だから、お願いがあります」
まどかはおずおずと顔を上げる。目は潤んで、鼻の頭を真っ赤にして今にも泣き出しそうな顔。
「私の、かえる場所になって下さい」
顔をくしゃくしゃにして、まどかはまた顔を伏せてしまった。それでも、私の腕の中で何度も頷いてから、言った。
「ほむらちゃんも…ほむらちゃんも、私の帰る場所になって欲しい…」
「あら。まどかの家族を差し置いて、いいのかしら」
自分で言ったことが恥ずかしくて、ついついからかうような口調になってしまう。またまどかがうーうーと背中を叩きだす。
「冗談よ、ごめんなさい。何があっても…例え、世界中の何処にも貴女の帰る場所がなくても、私だけはずっと――貴女の帰る場所で居るから」
夕闇に覆われていく空の下、私は帰りたい場所に居た。
もっとmdhm書きますから、もっとmdhmください。お願いします。なんでもいいです。ちょっとした妄想でもなんでもいいのでください。
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