910 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/09/13(金) 00:21:01.04 ID:EBctik870
やったことあるの私だけじゃないですよね? mdhmください。
下校途中の、違和感。
「日が落ちるのが早くなったね」
「そうね。昼はまだ暑いけれど、もう秋ね」
私は少し振り返り気味に答えた。
「夜は随分涼しくなったね」
「ええ。この季節になると、よく喉を痛めて熱を出してたわ」
今度は、まどかの背に向けて答えた。
まどかの歩幅が不規則で、歩く速度が合わない。
しかもまどかはさっきからずっと俯きがちで、その上左右に少しふらついたりするので気分でも悪いのかと思ったが、まどかの足元を見ていると謎が解けた。
今、私達が歩いている通りの歩道は、様々な形状のタイルがランダムに並べられていて、まどかは菱型のタイルだけを踏んで歩いているのだった。
妙に真剣な表情をしているものだから、もう少しで吹き出してしまうところだった。
何か、願い事でもしながらやっているのかもしれない。自分にも覚えがあるから、あまり話しかけずに黙って応援することにした。
あと20メートルほどで歩道のデザインが変わる。そこが、終着点なのだろう。
自転車が通ったりしないか警戒しつつ、まどかの千鳥足を観察する。なんというか、非常に可愛らしい。そのくせ顔はこれ以上ないくらい真剣で、動画で残しておきたいくらいだ。
「――あ」
「――」
まどかに釣られて、私まで声を出すところだった。
歩道のデザインの変わり目まで、あと2メートルくらい。その間に、菱型のタイルが1つも無い。
飛び越えるにはちょっとだけ長い距離。まどかの顔が、少しだけ曇る。
「はい」
「えっ!?」
まどかが立っているタイルと終着点の間に立つ私が差し出した手を、ひどく驚いた顔で見つめるまどか。
「もう少し、でしょう? 手を貸すから、頑張って」
「…き、気付いてた、の…?」
「あんな歩き方じゃ、誰だって気付くわよ。さ、鞄も貸して。しっかり手を握って。いちにのさんで少し引っ張るから」
恥ずかしかったのか、まどかはひどく赤面してから、それでも私の手を取った。
「はい、いち、にの、さん!」
ひらりとまどかが着地をして、握った手を嬉しそうに見つめた。
「…えへへ、ありがとう、ほむらちゃん」
「どういたしまして。…それで、願い事は何?」
「いや、その…」
そこまで見抜かれていることを予想していたのか、あまりまどかに動揺はなかった。残念。
「…成功する前に、叶っちゃった」
「え?」
まどかは握る手により力を込めて言った。
「成功したら、ほむらちゃんと手を繋げる、って…」
mdhmください。
http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1378286049/910