7スレ/360-361

Last-modified: 2014-04-06 (日) 03:33:18
360 : 1/2 : 2011/10/03(月) 03:44:14.94
まどっちの誕生日が今日だって、さっき日付が変わってからこのスレで知ったけど、天然ほむらさんに頑張ってもらったよ!おめでとうまどっち!ウェヒヒヒ!
「今日はありがとう。またね、さやかちゃん」
毎年恒例の自宅でのお誕生日会が終わり、さやかを送り出したあと、まどかは思わず大きなため息をついた
ここ最近すっかり明るくなった娘が、誕生日の今日に限ってどこか元気が無い理由を父・知久は薄々察していた
(仕方ないよね・・・ほむらちゃんは私の誕生日なんて知ってるはずないんだもん。『私の誕生日は今日なの』なんて、転校してきたばっかりのほむらちゃんに言えないよ・・・)
『それはプレゼントの催促かしら?まどか』
表情一つ変えずにそんなセリフを返すほむらを想像して、一人悲しくなる
事情を察した知久も元来の引込み思案な娘の性格を知っているだけに、苦笑して見守るしか無かった
「まどか、今日は早めにお風呂に入ってゆっくり休むと良いよ」
そうして娘をお風呂に送り出してからしばらくして、来客を告げるチャイムに呼ばれて玄関の扉を開け放つ
「はい~どなたでしょうか」
「夜分遅くに失礼します」
そこには長い黒髪の少女が、大きな赤い薔薇の花束を抱えて立っていた
「いらっしゃいほむらちゃん。来てくれたんだね。さぁ上がって」
「いえ、お構いなく。これを届けに来ただけですから」
小柄の身体に不釣合いなほど大きな花束を差し出すほむらの姿が、精巧な人形のようでとても愛らしいと思いながら、知久はそれをあえて受け取らずに質問で返した
「えっと・・・ところでほむらちゃん。まどかを祝ってくれるのは嬉しいんだけど。どうして赤い薔薇の花束なんだい?」
「何を贈ればまどかが喜んでくれるかなんて、私には思いつかなくて・・・それなら無難に花束が良いと思って、店員さんに聞いたんです。大切な人に贈りたいんですけどって」
「ははは・・・そうかい。ありがとう。でもそれは君が直接まどかに手渡して欲しいかな。今お風呂に入ってるんだけど、もう上がると思うから」
「そうですか。折角の一家団欒をお邪魔してはと思ったのですが。それでは失礼します」
ほむらが靴を脱いで上がろうとしたその時、丁度入浴を終えたまどかがTシャツにショートパンツ一枚と言うラフな格好で、濡れた髪を拭きながらやって来た
「パパ~誰かお客さん?・・・ほ、ほむらちゃん!?」
思いもよらぬ待ち人の来客に、声を上げるまどか
「遅くにごめんなさい。どうしても今日中にこれを渡したくて・・・お誕生日おめでとう、まどか」
大きな花束を受け取りながら、目を輝かせて喜ぶまどか
「あ、ありがとうほむらちゃん!大事に飾っておくね」
「喜んでもらえて良かったわ。それじゃあまた明日」
「ま、待ってほむらちゃん。・・・その、どうしてほむらちゃんは私のお誕生日を知ってたの?」
(そういえば、この時間軸では誕生日を教えてもらってはいなかったわね・・・)
少しの沈黙の後、後ろ髪をかき上げながら振り返って言い放つほむら
「・・・貴女に関する事で、私が知らないことなんて何も無いわ。鹿目まどか」
(!?・・・そ、それってどういう意味なのほむらちゃん!?)
真剣な表情で見つめられ、思わず頬を赤らめるまどか
「では、夜分遅くに失礼しました」


361 : 2/2 : 2011/10/03(月) 03:45:21.80
あっさりと出て行くほむらを呆然と見送る娘を見ながら、知久は楽しそうに言葉を付け加える
「良かったねまどか。ちなみにその花束、ほむらちゃんが店員さんと相談して苦労して選んでくれたみたいだよ」
「そ、そうなんだ・・・」
「それじゃあまどか、いつまでもそんな格好をしていては風邪を引くから、早くパジャマを着てきなさい。この花はちゃんと活けておいてあげるから」
どこか夢見心地で恍惚としていたまどかであったが、知久に言われて風呂上りでラフな格好をしていたことを思い出し、赤面する
(そ、そう言えば私、ほむらちゃんの前でなんて格好してたんだろ!・・・うぅ、今更恥ずかしくなってきちゃった・・・)
つい先ほどまでの憂鬱そうな態度とは一転、頬を染めて階段を駆け上がる娘を楽しそうに見送る知久であった
「お帰りママ。今日もお仕事お疲れさま~」
「お~ただいま、まどか。・・・ん~?なんか妙に上機嫌じゃないか~?あぁそう言えば誕生日だったっけか」
「お勤めご苦労様。まぁそれもあるんだけど。まどかはさっき凄い花束を贈ってもらって上機嫌なんだよ、ふふふ」
「ま、まぁ否定はしないけど・・・」
珍しく早い時間に帰った詢子を囲んで、リビングへ移動する鹿目親子
「うぉ!これは・・・まどかもやるじゃねぇか。一体どこの男にプロポーズされたんだ?」
「プ、プロポーズって・・・何言ってるのママ?そんなわけないじゃない」
「ふふ、それがね。相手は綺麗な女の子なんだよ。噂のほむらちゃんさ」
「そうか、まどかが最近お熱を上げてるって転校生か・・・そう言えばまどか、最近なんか可愛くなったもんなぁ・・・そうかそうか」
「も、もぉ!何言ってるの二人とも!!」
「じゃ、今度その子うちに連れてきなよ。あたしもこれからしばらく早く帰れそうだし、一度どんな子か見ておきたいしさ」
「えぇ!?」
「こいつのお礼もしないとだし。これだけの量の薔薇とか、結構良い値段するんだぞ~?」
「そうなんだ・・・それじゃあ誘ってみるけど・・・ほむらちゃんに変な事言わないでね、二人とも!」
どう考えてもからかわれると乗り気のしないまどかだったが、ほむらの風呂上りやパジャマ姿を想像して
ドキドキしながらベッドに横になった
(私ってば、何変な事考えてるんだろ・・・でもほむらちゃんなら色っぽいだろうなぁ・・・。そう言えばパパとママは薔薇の花束に随分驚いてたけど、何か意味があるのかな?)
二人の反応を思い出して気になったまどかは、起き上がってパソコンのキーボードを叩いた。そこには・・・
-あなたを愛しています-
(え、えぇ!?ほ、ほむらちゃん・・・何かの勘違いだよね?で、でも、パパは店員さんに相談して選んでくれたって・・・)
ほむらの気持ちがわからなくなったまどかは、結局その夜は動悸が治まらず、朝方まで寝付けないのであった
「うぅ・・・むにゃむにゃ・・・ほむらちゃんの馬鹿っ」
おしまい

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