75スレ/まどか「愛してるよ、ほむらちゃん」

Last-modified: 2014-06-03 (火) 01:33:07
423 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/11/06(水) 19:59:17.42 ID:vKPWGl9B0 [1/2]
>>414
>>420
最高のまどほむだああああああ

あと、それから!>>205の完結編+1~2話修正版を紹介します!

まどか「愛してるよ、ほむらちゃん」
http://ux.getuploader.com/homumado/download/346/%E3%81%BE%E3%81%A9%E3%81%8B%E3%80%8C%E3%81%BB%E3%82%80%E3%82%89%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%80%81%E6%84%9B%E3%81%97%E3%81%A6%E3%82%8B%E3%82%88.txt

http://hello.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1383572817/423

txtファイルはこちら

第一話 まどか「愛してるよ、ほむらちゃん」(ネタばれ注意)



夢を見ています
そこには、二人の女の子がいました
その女の子はもう一人の女の子にとても愛されています
でも、愛の為にボロボロになっていくその子に、女の子は何もしてあげることはできませんでした
ただ、見ていることしかできませんでした

目が覚めると、そこにはわたしをほむほむする裸のほむらちゃんがいました
初めて会った時は性的な意味でちょっと怖かったけど、優しくて、かっこよくて、いつもわたしを守ってくれて
──そしてこんなわたしを必要としてくれた、大切なお友達

ほむら「おはようまどか、目が覚めたかしら?」

まどか「おはよう、ほむらちゃん。あ、お母さん起こしにいかないと」

ほむら「大丈夫よまどか、お義母さまならわたしがもう起こしたわ」

まどか「ありがとほむらちゃん、でも朝から盛りすぎだよ」

ほむら「毎朝まどかをほむほむしないと、今日の授業の分の気力が充電できないの」

まどか「もう、ほむらちゃんたら///」

知久『二人とも、早く朝ごはん食べて学校行かないと遅刻するよー』

まどか&ほむら「「はーい」」


OPはルミナス(意味深)

──まどか達の教室

杏子「おっすまどか、ほむら」

まどか「おはよう杏子ちゃん、さやかちゃん」

ほむら「おはよう、佐倉さん、美樹さん」

さやか「……おはよう、まどか」

ほむら「あら、わたしとは挨拶を交わしてはくれないのね?」

さやか「…………」


──昼休み、屋上

まどか「ほむらちゃん、あーん」

ほむら「あーん」

まどか「どう?美味しい?」

ほむら「ええ、とても美味しいわ。まどか」

まどか「よかったー」ウェヒヒ

ほむら「それじゃあ今度はわたしが、あーん」

まどか「え!?うん、あーん」

ほむら「どう、美味しい?」

まどか「うん、とっても美味しいよほむらちゃん。ほむらちゃんって本当にお料理が上手だよね」

ほむら「そんなことはないわ、まどかにあーんしてもらう以上においしい調理法なんてないもの」

まどか「照れるよぉ……ウェヒヒ///」

ほむら「ねえ、まどか?」

まどか「……うん──」


──屋上の影


さやか「…………」

杏子「うわ、あいつら女同士で何やってんだよ……ちょっと羨ましいけど」

さやか「そうかな?」

杏子「ま、いいけどさ。あんなパカップル放っておいて、あたしらもとっととメシ食おうぜ?」

さやか「……うん」

杏子「それともなにかい?さやかはあたしと二人っきりでメシ食うよりも、
   あいつらの中に混ざりたいのかい?それは野暮ってもんだと思うけどね」

さやか「いや、そういうのじゃないんだよ。ただ──」

杏子「ただ?」

さやか「最初はあいつら、ちょっとピリピリしてたよね?なのにいきなり仲良くなって……
    何か裏があるんじゃないかって」

杏子「それを言ったらあたしらなんて、最初は殺しあう仲だったじゃん」

さやか「まあ、そうなんだけどね」


──そして放課後の夜、デパート


わたし達は魔法少女として、魔獣と戦う為に毎晩パトロールをしています
ていっても、それは名目で実際はほとんどほむらちゃんとデートをするだけで
終わっちゃうんだけどね、ウェヒヒヒ
今だって恋人繋ぎで一緒に服を見ているだけだし、本当にこれでいいのかな?



まどか「ねえ、ほむらちゃん?」

ほむら「なにかしら、まどか」

まどか「今日のさやかちゃんのことなんだけど……悪気はないと思うんだ
    ただ、昔のクセでついわたしのことを必要以上に心配してくれてるだけで」

ほむら「わかっているわ。わたしも別に気にしていないし、その内時間が解決してくれると思うわ」

まどか「うん、ありがとうほむらちゃん」

ほむら「ありがとうって、なんで?」

まどか「だって、みんな仲良しの方がうれしいから。ほむらちゃんだって友達いっぱい
    居た方が楽しいでしょ?」

ほむら「……っ。そうねまどか、でもわたしはあなただけの物よ。わたしはあなたが居てくれれば
    それだけで十分だから」

まどか「わわ、こんなところで抱きしめないでよ、みんな見てるよ///」

ほむら「見せつけているのよ」

まどか「ところでほむらちゃん。わたしたち最近魔獣と戦ってないけど
    本当にこれでいいのかな?」

ほむら「そうね、そろそろマジメに魔獣退治をしましょうか」

まどか「もう、ほむらちゃん!」


──夜の街、魔獣の群れ

魔獣「ヤットデバンダー」

さやか「とおりゃああ!」

魔獣「グオオオオ」

さやか「はぁはぁ」

魔獣「モットデバンヨコセー」

さやか「やばっ」

杏子「あらよっと」

魔獣「ギャアアア」

さやか「杏子……ごめん、ありがと」

杏子「まったく、油断すんなよな!」

さやか「うん、ごめん。でもちょっと今日は魔獣多くない?」

杏子「そうだな、奴ら妙に張り切ってやがる……まだ来るぞ!」

魔獣「「「「「マダデバンガタリナイー」」」」」

杏子「……多すぎるだろ」

さやか「杏子、ソウルジェムはどう?まだ持ちそう?」

杏子「いや、さすがにあの数は無理だな」

さやか「……そう」

杏子「ま、最後に一発デカイのお見舞いしてやろうぜ!それであたしらも晴れて
   円環の理とやらに導きかれるだろ」

さやか「円環の……理?」

杏子「ああ、そうだ。大丈夫だよ、もうあんたを一人ぼっちになんてさせない、させてたまるもん──」

魔獣「「「「「「「ギャアアアアーーーー」」」」」」」

杏子「!?」

まどか「二人とも、大丈夫!?」

さやか「まどか!?あんたなんでこんなところに」

杏子「それよりも、さっきのはあんたがやったのか?」

まどか「ううん、あれはね──」

ほむら「──『私達』がやったのよ」

さやか「……っ」

杏子「よくわかんねーけど助かったよ。あと頼めるかい?」

ほむら「ええ、いいわよ。まどか?」

まどか「うん」



わたしはうなずくとほむらちゃんの顔をまっすぐ見て、目を閉じ、そして二人でキスをしました
熱く、甘く、優しく、とても気持ちのいいキスを

杏子「あんたら、こんな時に何やってん──」

杏子ちゃんが何かを言いかけますが、ほむらちゃんが時間を止めてしまいます

ほむら「まどか、愛しているわ」

まどか「わたしも。愛してるよ、ほむらちゃん」

何度も何度もキスをしました、その度にわたしは何も考えられなくなって
ほむらちゃんがわたしの体を触るたびになんか変な感じがして、でも暖かくて──



杏子「──んだ!」

まどか&ほむら「ぷはぁ……ハァハァ」

杏子「ほんと、なにやってんだよ///」

ほむら「もう時間切れなのね……何って、魔力の補充よ」

杏子「そんなんで魔力が増えたら苦労しねーつうの!」

ほむら「なら、証拠を見せてあげるわ」つ弓


見滝原全域の魔獣「「「「「「「グギャアアアアアアアァァァァァ」」」」」」」


杏子「これは……前にも何度かあった紫色の光の雨。そうか、あんた達の魔法だったんだな」

ほむら「ええそうよ、『愛』を得た魔法少女はこれだけの力を発揮できるの」

杏子「そうか……まどかの愛の力か」

まどか「……うぅ///」

さやか「……どういうことなの?」

まどか「?」

さやか「どういうことなの!?あんたまどかに一体何をしたの!?」

杏子「さやか?」

さやか「だって、あんな……だって、あんたは」

まどか「わたしがほむらちゃんにお願いしたの」

さやか「え?」

まどか「こんなわたしでも役に立てるって。わたしのほむらちゃんへの愛の力で、みんなを助けることが
    できるんだって。だからわたしからお願いしてほむらちゃんに協力させてもらってるの」

さやか「なによそれ……あんたまさか──」

ほむら「…………」

さやか「まどかの気持ちを、みんなの役に立ちたいって気持ちを利用して──」

まどか「──そんな言い方やめてよ!」

さやか「まどか、あんた騙されてるんだよ!」

まどか「……それでもいい、ほむらちゃんがわたしを必要としてくれてることに
    変わりはないと思うから」

さやか「……っ!ほむらああああああ!」







第二話 まどか「必ずあなたを救ってみせる」



さやか「ほむらあああああ──」

さやか「────」

まどか「みんなの時間を止めたんだね。それで、どうするの?ほむらちゃん」

ほむら「そうね、彼女達にも愛の力をわかってもらいましょ」

杏子「────」

杏子「……どういうことだおい、あたしたち以外みんな止まっちまったみたいな」

ほむら「これもわたしたちの魔法よ、わたしから手を放すとあなたの時間も止まってしまうから
    注意して。それより──」

杏子「ああ。ほんと、最近のさやかはなんかおかしいよな」

ほむら「いえ、それよりも……わたしたちがさっき見せた魔法少女の愛の力、試してみたくはない?」

杏子「あたしにもできるのか?」

ほむら「ええ、だからさやかの時間を止めたの。あとはあなたが美樹さやかにキスをすれば
    彼女の時間も動き出すわ」

杏子「ほんとか!?でもそんないきなりチューしたら、さやかは傷つくんじゃねーか?」

ほむら「(え?本当にキスする気なの?)
    いいえ、美樹さやかはあなたのことが大好きだから問題ないわ
    それに、あの子にキスさせてと言っても素直にさせてくれると思う?
    ちょっとくらい強引に攻めた方がいいわ」

杏子「そっか、そんな風にしてあんたはまどかを落としたってわけだ」

まどか「ウェヒヒヒ///」

そして杏子ちゃんは時間の止まったさやかちゃんにキスをして、さやかちゃんの時間が動き出すのでした

さやか「──むぐっ!、むぐぐぐ、はぁ…はぁ…あんたいきなり何を」

杏子「大丈夫だよ、一人ぼっちは寂しいもんな、あたしが慰めてやるよ」

さやか「ちょ、杏子どこ触って……慰めるってそういう意味で!?つかあいつら一体どこに消えたの?」

杏子「さやか~♪///」

さやか「あの……悪魔ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」



OPはコネクトだとうれしいなって



──学校の教室

杏子「ねえ、ちょっと顔貸してくれる?」

ほむら「あら?カツアゲかしら」

杏子「ちげーよ!あんた昨日言ってたじゃないか、キスすれば愛の力ですごい魔法が使えるって」

ほむら「で、どこまでヤったの?」

杏子「それは……最後まで///」

杏子「──て、ちげーよ!あんたあれ嘘だったじゃねーか!!」

ほむら「そうね、あれは相手にも愛がないと効果がないもの」

杏子「そんな……嘘だろおい、さやかにあたしへの愛がないって言うのか」

まどか「二人とも……クラス中に聞こえてるよ?」

『キスって佐倉さんと美樹さんが?』『ついに百合カップル二組目かあ』『女の子同士って、夜どうやるのかな?』

杏子&まどか&後ろの方で聞いてるさやか「「「……うぅ///」」」

ほむら「それで、要件はそれだけ?」

杏子「それだけって、なんであんたは平然としていられるんだよまったく……
   なんかさ、マミの奴とさやかがあんたに用事があるみたいだぜ?」

まどか「もしかして、またケンカ?」

ほむら「いえ、その二人もまさか学校で戦うつもりはないでしょうね
    わたしも、まどかの愛の力をそんなくだらないことに使いたくはないし」

まどか「わたしも行くよ」

ほむら「そうね、と言いたいところだけど──」

生徒「──鹿目さんいますか?今日の放課後保健委員会の集まりがあるので来てください」

まどか「あ、はい!……ごめんほむらちゃん、わたし──」

ほむら「──大丈夫よ、ちゃんと話し合いだけで終わらせてまどかを待ってるから」

まどか「うん、約束だよ?」

ほむら「わたしはあなただけは裏切らないわ」

杏子(あのあとさやかから聞かされた話……とてもじゃねえけど信じられねえな
    二人ともこうして話して、普通に笑いあってるじゃねえか)


──そして放課後、屋上

ほむら「来たわよ、一体何の用かしら?」

さやか「遅かったじゃないか、この悪魔」

ほむら「まどかとちょっと話をしていてね。それで、この人は?」

マミ「わたしは巴マミ。あなたたちと同じ魔法少女で、見滝原中の3年生よ」

ほむら「そう、よろしく。わたしは──」

さやか「──神様を堕とし、かどわかした悪魔……でしょ?」

ほむら「そう……まだ忘れてなかったのね。それとも佐倉杏子の愛の力かしら?」

マミ「愛……?まさか佐倉さんと///」

さやか「え、あ、いや違……くないんですけど違くて」

マミ「いいのよ、美樹さん。愛の形は人それぞれでいいの。特にわたしたちは魔法少女だから
   普通に恋をするのは難しいものね、気持ちはわかるわ」

さやか「まさかマミさん……わたしたちのことこっそり狙ってたり?」

マミ「違うのよ美樹さん、だから距離を取らないで!」

杏子「さやかは渡さねーぞ!」

マミ「佐倉さんまで!?」

ほむら「漫才を見せたいだけならもう帰ってもいいかしら?まどかと落ち合う約束があるのだけど」

さやか「そのまどかのことよ」

マミ「美樹さんが言うには、いつかわたしたちを導く円環の理、私達の希望とも言うべき神様の力を
   暁美さんが奪ったとか?」

ほむら「そこまで覚えていたのね」

杏子「ってことはなんだい?昨日さやかが言ってたことは全部本当のことなのか?」

ほむら「ええ、訂正するほど間違ってはいないわ」

さやか「つかなんでわたしがマミさんや杏子に話した内容をあんたが知ってるのさ!
    まさかあんた、まどかの力を使ってわたしたちを覗き見してたってわけ!?」

ほむら「失礼な言い方ね。この世界は所詮わたしの手のひらの上よ。だからすべてを把握している
    それだけだけのことよ」

さやか「あんたはっ!」

杏子「さやか、落ち着けって」

マミ「そうよ、これでは話も進まないわ」

さやか「二人ともゴメン、でも」

マミ「とりあえず……暁美さん、鹿目さんから奪ったという力を返してあげることはできないのかしら?」

ほむら「それはできないわ」

さやか「だったら力ずくでも!」

ほむら「別にわたしは構わないのだけれど……巴マミ、佐倉杏子、まどかが完全に覚醒して
    わたしが奪った力を取り戻したらどうなると思う?」

さやか「あんたはもう魔女でも魔法少女でもない、歪な存在なんだよ?わかるわけがないよ」

ほむら「いいえ、本質的には美樹さやか、あなたと同じなのよ」

杏子「どういうことだ?」

ほむら「そして百江なぎさ……彼女もね」

マミ「……え?」

ほむら「彼女達は本来魔女になる運命だった。それをあの子の……円環の理の一部となることで
    理性を取り戻し、その運命から解脱することができた」

さやか「それとあんたに、一体なんの関係があるっていうのよ?」

ほむら「わからないの?わたしもまた、円環の理の一部を奪いその運命から解脱することができた存在
    そして私自身の力を使って、あなた達を具現化している。心配しないでもあの子が完全に
    覚醒すればわたしは奪った円環の理の一部を失い、その運命に従い
    ただの魔女としてあの子に導かれることになるでしょうね」

さやか「それなら何も問題ないでしょ!?まどかに力を返して!」

ほむら「もちろん、あなたも、そして百江なぎさもね」

さやか「……っ!」

杏子「それってつまり……さやかが──」

マミ「──なぎさが、消えちゃうってこと?」

さやか「二人とも落ち着いて!」

杏子「落ち着いてなんていられるかよ、さやかが居なくなったらまたあたしは一人になっちまう
   そんなのはごめんだね。別に今のままでも困ることなんてないんだろ?」

さやか「それは……っ!」

マミ「……そうね、円環の理による導きはまだちゃんと機能しているのかしら?」

ほむら「心配には及ばないわ。わたしが奪ったのはあくまで彼女の人間としての記憶だけだから」

杏子「そうか……だから『まどかの愛の力』なんだな?あいつ自身が、あんたがまどかから奪った力
   そのものってことなんだろ?」

ほむら「ええそうよ、正確にはあの子の愛を力にしているんじゃない、あの子がわたしから離れようと
    すると必然的にあの子は円環の理として覚醒しようとしてしまう
    その結果わたしは力を失ってしまう」

さやか「だからって、まどかの気持ちを利用してあんなことを!」

ほむら「少なくともわたしがまどかを愛しているのは本当よ。
    そしてわたしはまどかを人として幸せにする、必ずね」

三人「「「…………」」」

ほむら「もういいかしら?そろそろまどかも待ちくたびれているだろうし
    ……それに、あなた達にも考える時間が必要でしょ?」

ほむら「よく考えることね、あなた達にとっても何が最良なのかを──」

マミ「……消えた?」

さやか「また自分だけの時間に逃げ込んで……まだ変わってないんだね、その癖」

杏子「おい、さやか!どういうことだ!!お前はあたしの前から消えちまうつもりなのか?」

さやか「……だったら、どうだっていうのよ?」

杏子「あたしはあんたと戦う。戦って力ずくでもあんたを逃がさない」

さやか「……そっか」

杏子「はぁ。おいマミ、あんたはどうする?あたしやほむらと一緒にこいつらが消えちまわないように
   戦うか、それともこいつらを消すためにあたしらと戦うか」

マミ「わたしは……だって……でも…一人ぼっちは……っ」



──屋上の影

全部……全部知ってしまいました
ほむらちゃんがわたしを必要としてくれる理由、さやかちゃんがほむらちゃんと仲良くできなかった理由

ほむらちゃんは人間のわたしを大切にしてくれて、守ってくれて、必要としてくれて
でも、ほむらちゃんが本当に必要なのは『この』わたしじゃない
わたしの記憶の奥底にある、今もどこかに居てどこにも居ない『もう一人の』わたし
その『すべてを知る』わたしの中にきっと、本当にほむらちゃんが守りたかったわたしが居るんだろうな

それはとっても悔しいなって、思ってしまうのでした








第三話 杏子「わたしの祈りを」


そこには、自分とよく似た女の子がいた
そいつは自分と同じ間違いを犯して、それでもまっすぐに進み続けようとして
傷だらけになって、ボロボロになって……
それでもそいつはまっすぐに進み続けた

あたしはそんなそいつに自分を重ねていた、幸せになって欲しかった
でもどうすればいいかわからない、だってあたしは失敗して諦めたから
それでも助けたかったんだ、一緒に幸せになりたかったんだ──


──ボロボロの教会

杏子「何が正しくて何が間違ってるかなんてさ、未だによくわからないけど
   それでもあたしは『家族』を守る為に戦うよ
   ねえ、お父さん。家族を守りたいって、そんなに悪いことなのかな?」

『悪いことじゃないわ』

杏子「まったく、人の心にズケズケと踏み込んでくるあたり、やっぱりあんたは悪魔みたいだね」

ほむら「そうね、その通りだわ。でも大切な人を守りたいって気持ちはあなたと同じなはずよ」

杏子「そうだな。で、これからどうするんだ?まどかが覚醒しないようにする
   うまい手でもあんのかよ」

ほむら「いままで、幾度となくこの世界を繰り返した。そのすべてであの子の覚醒を
    止められたことはないわ」

杏子「……?じゃあどうするんだよ、あきらめちまうのか?」

ほむら「いままでの結果から、まどかの覚醒キーはまどかがわたしを拒絶するか
    美樹さやか、百江なぎさが記憶を取り戻し、まどかと接触したことが原因だった」

杏子「さやかはもうその記憶とやらを思い出してるんだろ?またその記憶を消すとかじゃ
   だめなのか?」

ほむら「それでもいいのだけど……それだとまどかが不信に思ってしまうかもしれない
    必要以上にまどかの記憶を捻じ曲げるつもりもない、それは鹿目まどかという
    人格に対する冒涜だもの」

杏子「悪魔らしいんだからしくないんだか……それで?」

ほむら「最悪の場合、この世界を一旦リセットして最初からやり直すことが可能よ
    その方法なら必要以上に記憶を操作することもないし、
    まどかが転校してくる日からのスタートになるから、あなた達の関係性も
    壊れずに済むわ」

杏子「でもそれって……あんたとまどかは?」

ほむら「また転校初日の関係に戻ってしまうでしょうね。でも心配することはないわ」

『そうだね、またまどかを洗脳すればいいんだもんね』

ほむら&杏子「「…………」」

さやか「ほんと、よくやるよ。まさかあのまどかをあそこまで洗脳しちゃうなんてさ
    おかげで説得しても、全然覚醒する気配がないよ」

ほむら「そう、もうまどかと接触していたのね。それにしても
    ……洗脳なんて人聞きが悪いわ、わたしはただあの子と仲良くなっただけよ?」

さやか「その為に一体どれほどこの世界をやり直したのさ
    都合の悪いことをなかったことにして何度も繰り返す、洗脳よりタチが悪いよ」

ほむら「仕方がないじゃない、そうしないとあの子はまた円環の理へと戻ってしまう。
    それに、わたしだって報酬が欲しいわ──」

杏子「──っと。おいおいさやか、あたし抜きで話進めんなよ」

さやか「……杏子」

杏子「ほむら、あんたは手を出すなよ。これはあたしとさやかの問題だ」

ほむら「ええ、別に美樹さやかさえ押さえておいてくれるのならそれで構わないわ」

杏子「……チッ。なあさやか、どうしてそこまで円環の理に拘るのか、それがあたしにはわかんねえ。
   別にこのまま放っておいても問題ないんだろ?だったらそれでいいじゃないか」

さやか「わたしたちの希望から、一番大事なあの子自身が奪われたんだよ
    そしてそこの悪魔がそれを独り占めしている、それは許されない」

杏子「そのために、あたしの前からも消えるってか?」

さやか「わたしと一緒に居たいなら、杏子もソウルジェムに呪いを溜めて、わたしたちと一緒に
    来ればいいじゃない。あの時だってそうしようとしてたでしょう?」

杏子「そうだな……あの時のあたしは、あたしの親父や今のあんたと同じことを考えてたと思う」

さやか「だったら!」

杏子「わかるよあんたの気持ち。絶望の中でやっと見つけた希望を汚されたんだもんな
   いいよ、どこまでもあんたについて行ってやるよ……でもさ」

さやか「……?」

杏子「あたしに……勝てたらの話だ」

さやか「すべてを思い出したわたしに、勝てると思う?」

オクタヴィア「グオオオオオオ」

杏子「これがさやかの魔女、そしてさやかの絶望なんだね?」

さやか「そうだよ、そしてわたしはあんたの手の内を全部知ってる」

杏子「いいや、こればっかりは知らないハズさ。あたしの祈り……その結果の魔法はさ」

さやか「杏子の魔法?」

杏子「そうさ。家族を守る為の魔法、今まであたし自身使い方を忘れていた奥の手だよ」

杏子(家族を守る為なんだ、許してくれるよな?父さん──)

杏子「──ロッソ・ファンタズマ」



──その頃、鹿目家まどかの部屋

まどか「……一体、どうすればいいんだろ?みんなが幸せになれる方法ってないのかな?」

『鹿目さん……よね?入ってもいいかしら?』

まどか「誰!?」

マミ「ごめんなさい、驚かせちゃったかしら?わたしは巴マミ、見滝原中の三年生。 
  そしてあの子達と同じ、魔法少女よ」

まどか「えっと……その…あの」

マミ「別に慌てなくていいのよ?別にわたしはあなたをどうこうするつもりはないの
   あなたの今後を強制するつもりもね」

まどか「それじゃあ、何のために?」

マミ「ただ、お話がしたいだけなの。鹿目さんっていう一人の人間と──」

続く












第四話 まどか「それぞれの想いを」

わたしは初めて会ったはずのマミさんと、色んなことをお話しました
アメリカからこっちに転校してきたこと、ほむらちゃんと出会ってからのこと、
すべてを思い出したさやかちゃんから受け継いだ円環の理の記憶のことも
その記憶もやっぱり、ほむらちゃんのことばっかりだったことも

──鹿目家まどかの部屋

まどか「今のわたしにとってのほむらちゃんは、今の妖しい笑みを浮かべるほむらちゃん
    なんですけど、元々のほむらちゃんは引っ込み思案で、メガネっ子で、三つ編みで
    そんなほむらちゃんも直接見てみたいなあって」

マミ「あの暁美さんが?それはとても見てみたいわね」

まどか「でしょう?ウェヒヒ」

マミ「それで……あなたはどうしたいの?」

まどか「どうしたい?」

マミ「ええ、どうするかじゃなくてどうしたいか。同じようで全然違うわ。
   選択できる結果だけを求めるのか、それとも希望を求めるのか
   人はそれを『欲望』と言うのかもしれないけれど」

まどか「……前に、ほむらちゃんが言っていました」

『あなたはこの世界が尊いと思う?秩序と欲望のどっちを大切にしてる?』

マミ「秩序はとても大事だと思うわ、でもね鹿目さん」

まどか「……はい」

マミ「その秩序もまた、誰かの欲望の産物でしかないの。だからって無視してもいいって
   わけじゃないのだけれど……でも欲望を、希望を捨ててしまうことは
   この世界を蔑ろにしてしまうことと同義なの。それは同時に自分を蔑ろにしてしまう」

まどか「わかります、だからきっとほむらちゃんはわたしを……」

マミ「もう一度聞くわね、あなたは『どうしたい』の?」

まどか「ほむらちゃんを助けたい!円環の理の力でそうしても、ほむらちゃんは
    きっと救われない。でも、それでも!」

マミ「そう、決まったみたいね。よかったらこれを持っていって、きっと役に立つから」

まどか「はい。マミさん、ありがとうございました!わたし、行ってきます!」

マミ「行ってらっしゃい、幸運を祈ってるわ」

なぎさ「……行っちゃったのですね、マミはこれでよかったのですか?」

マミ「美樹さんが言うには、わたしはみんなの師匠だったのよね?
   その彼女達が戦ってしまうのはきっと、わたしが弱かったからだと思うの」

なぎさ「…………」

マミ「弱かったから、本当に大切なことを教えてあげることができなかった、そう思うの。
   そんなわたしに、みんなの戦いに加わる資格なんてないし、あなたと戦うしかない
   なんて言われてもきっと戦えないわ……でも、最後くらいは先輩らしいことをしたかったのよ」

なぎさ「……大丈夫なのです、今のマミはあの悪魔が魔女だった頃のマミと比べても
    ずっと、ずっっっっと強いのですよ」

マミ「……?そうね。わたし、もっともっと強くなれる気がする。ありがとう、なぎさ」

なぎさ「そうと決まれば!最後の晩餐になるかもしれないのですし、チーズを食べに行くのですよ!」

マミ「フフ。そうね、行きましょうか」


──教会跡地

さやか「……ぐっ」

オクタヴィア「グ……ガ…………」

まどか「さやかちゃん!?」

杏子「よお、遅かったじゃねえか。心配すんなよ、ただちょっと縛りつけて
   大人しくしてもらってるだけさ」

まどか「ねえ、どうして?どうして杏子ちゃんは戦うの?やっぱりわたしの祈りじゃ
    杏子ちゃんも幸せになれないから?」

杏子「別にそんなんじゃねえさ。さやかがいればきっとどこだって天国だろうしな
   でも、だからってそれに縋るわけにはいかないのさ」

まどか「……わたしの祈りは間違いだったのかな?」

杏子「いいや、正しいんだろうさ。でもね、あんたは『最後まで頑張った』魔法少女の希望なんだ。
   最初からその希望に縋るのは、諦めちまってるのと同じなんだよ」

まどか「……うん」

杏子「どうせさやかの奴に色々吹き込まれて、全部思い出しちまってるんだろ?
   早くあいつの所に行ってやりなよ、それであんたの出した答えを見せてやるんだ」

まどか「わかった。杏子ちゃん、ありがと!さやかちゃんも無理しないでね!」

杏子「おう、行って来い!」

さやか「はぁ……今になって、あいつの気持ちがちょっとわかった気がするよ」

杏子「ほむらのか?」

さやか「うん、今のまどか見てると、すっごい不安になっちゃうしさ
    それにわたしがあの子にしたことも……円環の理に戻そうとすることも結局は
    わたしの都合で今のあの子を奪おうとしてただけなんだもんね」

杏子「……で?あたしの気持ちもわかってくれた?」

さやか「……それは」

杏子「いや、いいんだ。無理にあたしの気持ちを押し付けようなんて思わねえ」

さやか「……杏子」

杏子「でもさ、これはしょうがないことなんだ。あの悪魔と手を組んじまったからしょうがないんだ」

さやか「杏子、なんで手をワキワキさせてるの?その巨大な槍は何?
    そんでなんでまたそんなに沢山分身してるの?」

杏子「「「「心配すんなよさやか。あんたのそのバカデカい絶望なら、ちょっとくらい激しくしても
      大丈夫だからさ」」」」

さやか「いや、全然大丈夫じゃないからやめ……たすけ──」



──どこかの広場、その塔の上

ほむら(……杏子ってこんな性格だったかしら?)

QB「まどかは来ると思うかい?覚醒してしまえばそれだけで彼女の勝ちなんだろ?」

ほむら「それはそれで構わないわ。そのためにあなたを使って色々な実験をしてきたんだもの」

QB「それは構わないんだけど、ぼくで実験をするのはやめてくれないかな?
  感情がないことに定評があるぼくでも、さすがに恐怖が芽生えそうだよ」

ほむら「どの道、あの子を完全に制御する力を得る為にはあなた達の協力が必要だった
    だからあなた達を締め上げるついでに実験をした。一石二鳥でしょ?」

QB「まあいいさ。それにしても、本当に君たち人間の欲望は恐ろしいね。
  絶望の運命から解脱した円環の理を、まさか絶望以上の呪いで制御するなんてさ」

ほむら「わたしの『愛』を呪いなんて無粋な言い方するのはやめてくれるかしら?」

QB「まあ、それがあったからこそ、君はこうして悠長にまどかを待っていられるんだろう?
  円環の理に導かれても、それを制御し、また彼女を引き裂いて世界を再構築し続けられる。
  一体いつまでこの無意味な連鎖を繰り返すつもりだい?」

ほむら「あの子が自分の意志で、円環の理を拒絶するまでよ」

QB「やれやれ、本当にいつになったらぼく達を解放してくれるのやら。
  君と一緒に円環の理について観察を繰り返し、その結果は僕たちに制御できるような
  概念では決してなかった。君みたいな不安定な存在に頼らなければ制御できない概念
  なんて、放っておくのが一番だよ」

ほむら「それを信じるほど、今のわたしは愚かではないわ……来たわね」

まどか「……ほむらちゃん」

ほむら「……ふふ。ねえ、まどか?わたしは」









ほむら「貴女を愛している──」

まどか「──必ずあなたを救ってみせる」


続く





最終回 まどか「必ずあなたを救ってみせる」





ねえ、ほむらちゃん?
ほむらちゃんはさ、わたしが居ればそれで良いって言ってくれるけど
それはとっても悲しいことなんだよ?
わたしのすべてを知って欲しい、あなたのすべてを知りたい
『この』わたしはね、『わたし』の一面でしかないんだよ?
だから──



まどか「──ほむらちゃん、教えてくれないかな?」

ほむら「……何を教えて欲しいのかしら?わたしはあなたに嘘なんてつかないわ」

まどか「ほむらちゃんは一体何なの?どういう『概念』なの?」

ほむら「そう、すべてを思い出したのね、その上でまだ覚醒しきってはいない
    うれしいわまどか、やっと自分の意志で円環の理を拒絶してくれたのね?」

まどか「答えて!」

ほむら「あなたという、神にも等しい存在を人の身に堕とした
    ……それは悪魔以外に言いようがあるのかしら?」

まどか「ちがう、あなたは悪魔なんかじゃない!教えてよ、ほむらちゃんの本当の望みを!」

ほむら「これがわたしの真実、そしてあなたとわたしの愛の結晶、ダークオーブ」



────悪魔ほむら変身シーン




ほむら「まどか、この世界がわたしの望み。すべてがわたしとまどか、二人にとって都合のいい世界で
    わたしの結界でもある。魔の者として、これ以上は望みようがないわ」

まどか「……違うよ」

ほむら「言ったでしょう?あなたに嘘はつかないと」

まどか「ほむらちゃんが本当に求めているわたしはこのわたしだけじゃない
    最初の世界のわたしかな?あなたと一緒に戦っていたわたし?
    それとも円環の理を祈ったわたし?」

ほむら「あなた、何を言ってるの?」

まどか「ほむらちゃんの言いたいこと、わかるよ。どれもわたし自身だよね
    なら、どうしてその記憶も円環の理から奪わなかったの?
    どうしてわたしを真っ白な状態にしたの?」

ほむら「あなたの円環の理としての使命を忘れさせるため
    そして魔法少女としての戦いの運命を忘れさせるためよ」

まどか「すべてを知ったわたしなら、この世界ごとほむらちゃんを受け入れられるって
    そう信じてはくれなかったの?」

ほむら「そうしたら……そうしたらまたあなたはどこかに行ってしまうじゃない!
    またわたしの手の届かないどこかへ!
    次はなに?インキュベーターの道具?それとも概念よりもさらに上位にシフトするの?
    そうやってあなたは他人の気持ちを全部受け入れて、どこかに行って
    だから……わたしはっ」

まどか「お願い、信じて?ほむらちゃん。わたしはもうどこにも行かないから
    ずっとほむらちゃんの傍に──」

まどか「────」

ほむら「ごめんなさい、まどか。あなたもかつて言ってたわよね?」

『ほむらちゃんのこと信じたいのに、嘘つきだなんて思いたくないのに
 全然大丈夫だって気持ちになれない』

ほむら「あなたは気づいていたかしら?わたしもまったく同じ様に思っていたことを」

まどか「────」

ほむら「ごめんなさい、まどか。次の世界では、今度こそあなたを救ってみせるから
    だから──」

まどか「──後ろだよ!ほむらちゃん」

ほむら「っ!」

ピカッ ドカーン

──概念世界

ほむら「巴マミの魔法ね、一体いつの間に──」

アルティメットまどか「──ほむらちゃん、捕まえた♪これで時間遡行もできないよね?」

ほむら「……まどか」

まどか「ほむらちゃんは本当にやさしいよね、あれだけの力を放ちながら
    全部わたしには当たらないんだもん」

ほむら「それで、このままわたしを導くの?それともわたしという存在を永遠に消滅させる?」

まどか「二人とも本当に幸せになれる方法を一緒に考えようよ」

ほむら「その必要はないわ」

まどか「……ほむらちゃん?」

ほむら「もしあなたがわたしを導いても、またわたしはこの『愛』で円環の理を支配する
    そしてまたあなたを引き裂き、人の身に堕とす」

まどか「……ほむらちゃん」

ほむら「わたしの勝ちかしらね?それが嫌なら大人しくわたしを消滅させなさい!」

まどか「ほむらちゃんってば」

ほむら「気にする必要はないわ。わたしはあなたの物だもの。どうしようとあなたの自由
    あなたから受けるすべてが愛おしいの……だから、ね?」

まどか「だめだよ、ほむらちゃん」


























まどか「まずはわたしを、ちゃんと全部食べてくれないとダメだよ?」


















ほむら「……まどか?」



まどか「ううっ」



ほむら「あなた、ヒビが入って……それに所々欠けていって」



まどか「ウェヒヒ、わたしも……欲望を優先してみたよ?」



ほむら「これのどこがあなたの欲望だって言うの!?」



まどか「ねえほむらちゃん、わたしって美味しいかな?」



ほむら「お願いだからやめて!わたしはあなたの為ならどんな痛みにだって耐えられる!
    でもあなた自身の痛みには、わたしはとても耐えられない!!」



まどか「ウェヒヒヒ」



ほむら「まどか……お願いだから……もうやめて…………」



まどか「ねえ、ほむらちゃん。最後にキス……したいな」



チュッ



サラサラサラ

ほむら「まどか?まどかぁぁぁぁ!!」



ほむら「う…うぅ……こんな…………こんなのってあんまりだわ」



ほむら「またあなたは……誰かの為にすべてを捨ててしまったのね」



ほむら「あなたにそんなことをさせたくなくて、だからわたしはっ!」



ほむら「嫌……いやあああああああああああああああああああああっ!!!!!!」



































































































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第六話 まどか「蛇足は本当にうれしいなって」


あれから、わたしとほむらちゃん
それにさやかちゃんや杏子ちゃんやマミさんやなぎさちゃん
そしてわたしの中にいる、円環の理に導かれた魔法少女達
みんなでどうしたらいいか、話し合いをしました

ほむらちゃんは、しばらく口を効いてくれなかったけどね
わたしは、ほむらちゃんがこれ以上心配しないで済むように、ずっと一緒にいられるようにって
円環の理という概念ごと、ほむらちゃん家にお引越しをしただけなんだけど
ほむらちゃんにとってそれは、とてもとてもショッキングな出来事だったようで──


──ほむらちゃん?ほむらちゃん!

まどか?

──ねえ、ほむらちゃんってば!

どうしたの?まどか

──朝ごはんだよ、ほむらちゃん

そう、なら冷めないうちに食べないとね

──そうだよ、もったいないよ

でも……朝ごはんはどこにあるのかしら?

──何を言ってるの、ほむらちゃん

え……まどか?

──朝ゴハンならここにあるでしょ?

まどか!その包丁をどうするつもり!?……やめて!!

──わったしのお肉~♪新鮮なお肉~♪

やめて、やめてえええええええ!!!!!

──おかわりも、いっぱいあるからね?

ほむら「いやああああああああああああああ!!!!!」

ほむら「はぁ……はぁ……」

ほむら「…………夢?」

ガチャン

エプロンまどか「ほむらちゃん、朝ごはんだよ!」

ほむら「…………ばたんきゅう」

まどか「ほむらちゃん、ねえどうしたのほむらちゃん!!朝ゴハンてきてるよ!」

──ちょっとトラウマになっちゃってるけど、今度こそみんな幸せだよね!


他にも色々あったけど、なんだかんだでわたしたちはやっと時計の針を進めることができました
最初はほむらちゃんの使い魔で溢れていた世界も、いまは元の安定した景色に戻っています。
でも……それは、一つの絶望の始まりでもありました



──早朝、山の空き地


マミ「ティロ・フィナーレ!!」

マミ「…………」

マミ「さすがに高校生にもなって必殺技の名前を叫ぶのは恥ずかしいかしら?」

マミ「でも、学校が魔獣やテロリストに襲われた時もかっこよく助けに入りたいし」

マミ「そもそも高校生魔法少女ってどうなのかしらね?」

マミ「うーん……暁美さんみたいな大人って感じの衣装なら問題ないのでしょうけれど
   ……あれは胸が小さい人じゃないと似合わないわよね」

イラッ!……パンっ

マミ「なにかしら、今暁美さんがいたような……」

シーン

マミ「気のせいよね。それじゃあ次は大人っぽい変身シーンを考えましょう!」

ポチッ

──♪ マミのテーマ

マミ「まずは最初のステップを──」

ドシンドシン!ドシーン!!!!!

マミ「…………」

ドシーン!!!!!ガラガラガラ

マミ「…………」

マミ「うわあああああああん、暁美さんがいじめるうううううううううう!!!!」


──夕方、マミ家

マミ「と!言うわけで、第一回高校生魔法少女対策会議ーーーー!」

ドンドンパフパフ

5人「「「「「…………」」」」」

マミ「どうしたの?みんなだって笑いごとじゃないのよ?いつかはわたしと同じように
  高校生魔法少女になってしまうのだし」

さやか「いやあ、わたしやなぎさやまどかはそもそも年を取りませんし…………
    ソウルジェムが濁るわけでもないんで、無理に戦う必要もないんですよね~」

マミ「それでもわたしと同じ志の正義の魔法少女なの!?」

さやか「いやあ、たはは」

杏子「あたしは戦わないわけにはいかねーけどさ。ま、チャイナ服とか言えばごまかせる衣装だしね」

ほむら「そもそも全知全能たるこのわたしは、魔獣ごとき相手なら変身する必要すらないわ」

ファサッ

マミ「そ・も・そ・も!暁美さん、あなたがわたしの練習を邪魔したのが原因なのよ!」

ほむら「言いがかりだわ。わたしがあなたの効果音に関わる物理法則を書き換えたことと
    あなたが魔法おばさんになってしまうことは別問題だわ」

マミ「おば……っ」

まどか「てゆうか、魔法少女って年を取るのかな?」

ほむら「残念ながらわたしにはわからないわね。魔法少女に関することなら
    あなたの管轄なんじゃない?」

まどか「それが……」

ほむら「まあ、マミの10年後でも見てみれば答えが分かるんじゃないかしら?」

マミ「やめてええええええええ!!!」

ほむら「……いい感じにソウルジェムが濁ってきたわね。まどか、そろそろ仕事よ」

まどか「ほむらちゃん、あんまりいじめちゃ可哀想だよ」

マミ「うううぅ、最初の頃の時間軸ではうまく先輩やれてたのに……」

まどか「まあ、しょうがないですよ。わたし、宇宙が生まれる前から存在してますしウェヒヒヒ」

ほむら「わたしもまどかに比べれば、まだまだ新米神様ね」

杏子「それだと米の神様みたいだな……ほむらって食べられるのか?」

ほむら「さやかを性的に食べるだけで我慢しておきなさい」

さやか「ちょっと!あんたのそれのせいでわたしひどい目にあってばっかなんだけど!」

杏子「そうなのか?」

ほむら「いいえ杏子、あれはツンデレという奴よ」

さやか「……はぁ、まあいいけどさ。それで、これは何の集まりだっけ?」

マミ「うううぅぅぅぅぅ!」

さやか「マミさん?なんでそんなにプルプル震えて……」

マミ「なぎさぁ~~~~、みんながいじめるうぅぅぅぅ!」

なぎさ「よしよしなのですよ、マミにはわたしがついているのですよ」

マミ「ありがとう……わたし、もう一人ぼっちじゃない!」

杏子「さやか!通報するぞ!!」

さやか「OK!まかせといてよ」

マミ「ちょっと!?」

ほむら「まどか……導く準備を」

まどか「うん、わかったよほむらちゃん!」

マミ「やめてええええええええええ!」


──少々お待ちください──


マミ「はあ、ひどい目にあったわ」

ほむら「絵面的に厳しいのだからしょうがないじゃない」

杏子「ロリコンが幼女を襲ってるようにしか見えなかったもんな」

なぎさ「そう見えたのは、あなた達の心がうす汚れているからなのです」

ほむら&杏子「「うっ!」」

ほむら「というか杏子、あなたってそういう性格だったかしら?」

杏子「そういうって?」

ほむら「主に性的な意味で」

杏子「いやあ、マミじゃねーけどさ、やっぱあたしたちは魔法少女なわけじゃん
   他に同類もいねーし、そんな中で同類の大切な人ができたら……なあ?」

マミ「そうよね、その通りよね!」

オクタヴィア「なぎさ!こっちに!!」

シャルロット「はいなのです!」

アルティメットまどか「ほむらちゃん!合同必殺技、いくよ!」

悪魔ほむら「ええ、いつでもいいわ」

マミ「うん、今のは分かっていたわ。でもね、わたしももう高校生
  体が寂しい日もあるのよ?──」


───そして夕暮れ、帰り道

まどか「マミさんにはひどいことしちゃったね?」

ほむら「この間はみんなでわたしを弄っていたのだから因果応報よ
    ……何よメガデビほむって」

まどか「怪しい理系メガネっ子って感じで可愛かったよ?」

ほむら「それ……褒めてるの?」

まどか「褒めてるよ!メガネっ子ほむらちゃん、萌え上がれ~って感じでかわいいのに」

つメガネ

ほむら「たったくもう──」

めがほむ「──まどか……どうかな?」

まどか「うん、かわいいよほむらちゃん」

めがほむ「わたし……最初の時間軸でまどかに言われたように、
     かっこよくなろうと頑張ったんだよ?
     なのにまどかはメガネを外した私のことはあんまり好きじゃないの?」

まどか「そんなことないよ、かっこいいほむらちゃんも大好きだよ?
    でも、ほむらちゃん放っておくとやせ我慢ばっかりするから
    ……だからせめて、二人っきりの時くらいは弱いほむらちゃんを見せてほしいなって」

めがほむ「まどかに言われても説得力がないよ」

まどか「ウェヒヒ、そうかな?」

めがほむ「そうだよ、ふふ」

まどか「ほむらちゃん」

めがほむ「まどか」

チュッ

まどか「これからも、ずっと一緒だよ!」

めがほむ「絶対に離さないわ、まどか」



永遠に続け!