99スレ/ずっと

Last-modified: 2014-04-24 (木) 02:15:09
491 名前: ◆HOMUMADOj61K [sage] 投稿日:2014/04/17(木) 00:29:44.68 ID:YMU7tFRi0
>>485
「満開の桜、か。随分と長いこと見ていなかった気がするわ」
この所すっかり暖かくなった日差しの中、ふと物思いに耽る。
この国が最も愛する花としてあげる、淡い色の花樹を見上げる。
「ほむらちゃん、ずっと頑張ってたもんね」
私の隣には、かつて魂を賭してでも救いたかった、最愛の友。
今の私に、彼女をそう呼ぶ資格があるのか、正直な所自信がないのだが。
「あの時は、もう桜を見ることなんて、決して無いと思っていたわ」
むしろそれすら考える事も無かったのかもしれない。
あの時の私は、この子の未来だけを見て、他の何もかもを諦めていた。
その為に沢山のものを犠牲にしたし、いつかその償いのために、命すら支払うかもしれないとすら考えた。
「そんな私が、今は貴方とこうして桜を見ることが出来るなんて。贅沢すぎて罰が当たりそうだわ」
私の言葉に、彼女は少し悲しげに微笑み、私の手を握ってくれる。
「贅沢なんかじゃないよ、ほむらちゃん。これからは、何度だって見られるよ。来年も、再来年も、ずっと」
繋いだ手から温もりが伝わってくる。
彼女の心のように、この春の日差しのように、私の心を溶かそうとするように、とても暖かかった。
「桜の花の色は、貴方の魔法の光によく似ているわね。とても、とても優しい色」
彼女がくれたものに、少しでも何かを返せたらと、私もその手を握り返す。
「私は、この花をまた、貴方と見たいわ、まどか。来年も、再来年も、ずっと」
その言葉とともに、今私に出来る精一杯の笑顔を向ける。
そしてまた、私達はゆっくりと歩いて行く。
得られた時間を、噛みしめるように。
はい

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