36スレ/支えあう-mdhmください

Last-modified: 2014-04-27 (日) 10:35:39
573 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/11/10(土) 01:21:58.18 ID:i55NRmSM0
バリエーション豊富なmdhmの魅力を世界に知らしめたい。
保健室のベッドのシーツは「清潔」という言葉を体現したような白で、私はその白いベッドに腰掛ける暁美さんを
見るのが好きになった。暁美さんの病的に――実際に病気だったのだから仕方ない――白い喉が、お薬が通って動くのから
目が離せない。失礼なことだってわかってるけど、ヘンなことだってわかってるけど、どうしても見蕩れてしまう。
錠剤を水で飲み下し、目を伏せて溜息ひとつ。そして、
「いつもごめんなさい鹿目さん」
このセリフまでが、いつもの流れ。
「気にしないで、保健委員だもん」
役得だと感じていることは言えない。きっと、気持ち悪いって思われちゃうから。
暁美さんが転校してきてから、自分のことが少し怖い。
ずっと私は取り柄も特技もなくて、誰かの役に立てたりもしなくて。
だから、休み時間の保健室への付き添いを先生に頼まれた時は、嬉しかった。
しかも暁美さんは、すごく守ってあげたくなるような女の子で、
私がぼんやりと求めていたものが形になって目の前に現れたような感じだった。
最初はただ、誰かの役に立てるってこんなに嬉しいことなんだなって、そう思った。
でもすぐに、わからなくなった。
前にテレビで見た、子供にわざと具合が悪くなるような薬を飲ませて、心配する母親の役割を繰り返す人。
私も、ただ自分の欲求を満たすために暁美さんのお世話を続けているのかもしれない。
そう考えても、お世話をやめる訳にはいかないし、暁美さんはとってもいい子だ。
いつでも自信が無さそうにしてるけど、スラっとしてて格好いいスタイルだし、顔立ちだって整ってる。
病気じゃなかったら、きっと私なんかとは接点が無さそう。
そう、私なんか本当は暁美さんの側に居られるような――
「あ、もうこんな時間だね。鹿目さん、教室に戻らないと」
いけない、ぼんやりとしてしまった。時計に眼をやれば、確かにいい時間になってしまっている。
「そうだね、少し急がないとね」
暁美さんと教室へ向かう。教室と保健室はフロアが違うから行き戻りは少し時間がかかるけど、
話ができる時間は素直に嬉しかった。初めは口数が少なかった暁美さんも、最近はちょっとずつ話をしてくれる。
少し早足だったからかな。それとも猫の話で盛り上がっちゃったからかな。
階段を降りる、最後の二段目で踏み外してしまった。
上履きが滑って、時間がゆっくりと流れる感覚。手すりは遠い。でも二段目、落ちても大したことないよね。
そこまで考えが回って少し自分で可笑しかった。
浮遊感は一瞬。視界が揺れて、温かいものに包まれた。
「だ、だ、大丈夫!? 鹿目さん!?」
すぐ側にいた暁美さんが、抱きとめてくれたってわかるまで少しかかった。
「…ほむらちゃん、よく止められたね」
お礼より前に、準備体操もこなせないあのほむらちゃんが咄嗟に私を受け止められたのにびっくりしてしまって、そんな言葉が出た。
「鹿目さん小柄だし、一応私のほうが背が高いし…」
私が一方的に支える側だなんて思ってた。霧が晴れていくような感じだった。
誰かの役に立つだけで満足しちゃえるなんて、すごく小さいことだったんだ。
支え合える誰かがいることは、こんなに嬉しいことなんだ。パパとママもいつも言ってたことが、初めて実感できた。
これが昨日のこと。
そして私は、やっぱりほむらちゃんから目が離せない。むしろ昨日より余計にドキドキする。
あれもしかしてこれって。いやでも。ほむらちゃんは女の子で。私も。え?
「いつもごめんなさい鹿目さ」
「名前で呼んで!」
考えるより先に口を衝いて出た言葉で、何故か顔が赤くなる自分が妙に誇らしくなってしまうのでした。
奇跡も魔法もなくても2人で高め合える。そんなmdhmをください。

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