39スレ/ストックほむほむシンドローム

Last-modified: 2014-04-30 (水) 17:43:29
583 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/12/06(木) 07:51:40.73 ID:ayUhA05A0
ストックほむほむシンドローム的な
「私はこれから出かけるから、あなたはいつも通り大人しくしていて頂戴」
黒髪の少女はそう一言念押すると、外側から念入りに鍵を掛けて出かけていった。
私がこの暁美ほむらと名乗る少女の部屋にやって来たのは、もう一ヶ月ほど前になる。
やって来たといっても、そう穏便な話ではない。何せ、私はこの一ヶ月一度も外の空気を吸っていないのだ。
不思議なことに、どうやって連れてこられたのかはまるで記憶がない。
どうやら彼女は超常的な能力を持っているらしく、それが関係しているのかもしれない。
(今日のほむらちゃん、いつもよりも寂しそうな表情だったな)
自分を監禁している相手にこんな感情を抱くなんて変かもしれないけど、私はほむらちゃんともっと仲良くなりたいと思う。
もちろん、最初のころは彼女が怖くて仕方なかったし、何度も脱出を試みた。
でも、この一ヶ月の共同生活を経て彼女に抱いていた恐怖心はほとんどが誤解だったことが分かった。
彼女は何か事情を抱えていて、仕方なくこのような行動をとっているのだと思う。
その目的は未だに分からないけれど、彼女に私を害する意図がないことは明らかだった。
多分、本当は彼女も私ともっと仲良くしたいと思っているんだ。
だとしたら、無愛想な彼女の心を溶かしてあげることもできるのかもしれない。
そうだ。今度ほむらちゃんが帰ってきたら、もっと友達らしく振舞ってみよう。
彼女の抱える事情が解決されたときに、今度は本当に友達になれるように。
ふいに、ゴゴゴゴゴと大きな地震のような揺れが生じた。
窓から外の様子を見ようとしたけれど、まだ日暮れの時間には余裕があるはずなのに真っ暗だ。
明らかに外の様子がおかしい。ほむらちゃん、早く帰ってきて。
私は、ほむらちゃんの帰りを待った。玄関に視線を凝らして、じっと待ち続けた。
それから何時間も経ってようやく空が明るさを取り戻したころ、玄関が開いたとき、私は小躍りした。
だけどやって来たのは待ち人ではなく、見たことのない小動物のような白い生き物だった。
「暁美ほむらは死んだよ。彼女の目的は、最初から君を守ることだったんだ」
その白い生き物はキュゥべえと名乗った。
それから、キュゥべえは教えてくた。ほむらちゃんの目的。魔法少女の仕組みと宿命。
そして、ほむらちゃんがどれだけ私を大事に思っていたかということ。
「ねえ、キュゥべえ。あなたに願えばどんな願いだって叶えられるの?」
「ああ、君ほどの素質なら死んだ人間を生き返らせるようなことだって造作もないだろうね」
だとしたら、私の願いはひとつ。

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