7スレ/まどか「ほむらちゃんが如何わしいホテル街に・・・」

Last-modified: 2014-11-27 (木) 22:32:59
607 : 1/3 : 2011/10/09(日) 05:28:53.16
「すっかり遅くなっちゃった」
夕飯の材料の買出しに出かけていたまどかだったが、素材の吟味やセール品に目移りし、スーパーを出た頃にはすっかり日が暮れていた
(・・・最近マミさんの魔女退治に連れて行ってもらったせいか、なんだか夜の街が怖いなぁ)
なるべく人通りの多い明るい道を選びながら家路を急いでいたその時、視界の片隅に艶やかな長い黒髪の少女が通り過ぎるのが目に入った
(あれ・・・今のほむらちゃんかな?)
最近やって来た才色兼備の美少女転校生・・・そしてグリーフシード目当ての悪い魔法少女
『あの子には気をつけなさい』そう何度も言い聞かされたはずなのに、まどかにはどうしてもそんな風には思えなかった
思わず見入る凛とした顔立ち、どこか寂しげな横顔に、物憂げな眼差し
(どうしてこんなにほむらちゃんの事が気になるんだろう・・・)
自分の感情に整理がつかないまま、気が付けばその姿を追っていた
(あれ?見失っちゃった。・・・なんだか如何わしいホテルが沢山並んでるけど・・・ほむらちゃん、こんなところで何を・・・)
繁華街から少し離れたホテル街でほむらを見失い、どうしようかと近くの空き地の前を歩いていると、辺りの景色が白く点滅しながら揺らめき始める
(この結界に使い魔は・・・ 薔薇園の魔女ね。そこそこ手強いやつだし、巴さんやまどかが巻き込まれない内に、念の為に倒しておくか・・・)
迫り来る使い魔を小銃で蹴散らしながら結界の奥へ進んだほむらは、大きな赤い扉を蹴破り薔薇園の魔女と対峙する
(こいつは手間取ると厄介だから・・・一瞬で終わらせる!)
時間を停止して盾から3本のRPG-7・・・対戦車ロケットを取り出すと、異形の魔女・ゲルトルートに向かって放つ
動き出した時の中で、すさまじい爆音と煙に周囲を覆われる
(やった・・・かしら)
爆風に髪をそよがせながら、視界が晴れるのを待っていたほむらの耳に、少女特有の甲高い悲鳴が届く
「きゃぁ!」
(!? この声はまさか・・・)
騒ぎを聞きつけて駆けつけたほむらの目に、綿飴に髭を生やしたような使い魔に絡まれるまどかの姿が飛び込み、すぐさま飛び掛って蹴散らす
「ほむらちゃん!・・・ありがとう」
「・・・鹿目まどか。貴女は一体ここで何をしているの?」
安堵の表情を浮べるまどかを、怪訝な表情で睨みつける
「どうやら巴マミの魔女退治ごっこに付き合ったせいで、何か思い違いしているようね・・・」
「ち、違うの!・・・ほむらちゃんの後姿が見えたから気になって・・・その」
まどかが俯き、気まずい空気が流れかけたその時、さきほど髭の使い魔が居た場所から植物のツタが何本も湧き出し、
二人の少女の身体を絡め取る
「しまった・・・!」
「きゃっ!?」


608 : 2/3 : 2011/10/09(日) 05:29:40.07
たちまち魔女の居た方向へ引き寄せられると、そのまま壁に思い切り叩きつけられる
「きゃぁぁあ!?」
「くっ!」
打ち付けられる勢いから相当の衝撃を覚悟して目を瞑ったまどかだったが、温かい何かに包まれ襲い来るはずの衝撃は予想より遥かに軽かった
(え・・・?)
しかし下半身を絡め取ったツタはそのまま離れることなく、続けざまに何度も壁に打ち付けられる
そうして5回、6回と壁に叩きつけられてから、自分の額にポタポタと熱い血が滴り落ちてくるのに気が付き、
ようやく置かれている状況を把握したまどか
「ほ、ほむらちゃん!」
一緒に絡め取られたほむらが、内に抱き込むようにまどかを抱えて身代わりになっていた
既に何度も打ち据えられ、額からは血がダラダラと流れおち、衣装からも徐々に赤い血が滲み始めている
「うぅ・・・ひどい。もう私なんかを庇うのはやめて!ほむらちゃん!」
「・・・静かにしてなさい、舌を噛むわよ。それに、この状況じゃ貴女を庇おうが庇うまいが同じだわ」
そうこうしているうちに、一際宙高く引き上げられ、思い切り地面に打ち据えられる
「・・・ぐっ!」
「ほむらちゃん、しっかりして!」
ボロボロと大粒の涙を流すまどかであったが、ほむらに強く抱きかかえられていて、その細い腕の中でどうすることも出来なかった
半身を吹き飛ばされて怒り狂った異形の魔女が、少女二人を散々に打ち据えた後、止めを刺さんと宙を舞って跳びかかる
(・・・もうだめ!)
その巨体が目の前に迫り、押し潰されそうになって思わず目を閉じるまどかであったが
(しめた、束縛が解けた!)
次の瞬間激しい爆音が鳴り響き、恐る恐るまどかが目を開けた時には、ほむらに抱きかかえられ
周囲の景色も元のホテル街の空き地に戻ろうとしていた
(え?え?・・・助かったの?)
ほむらは目を白黒させているまどかをゆっくりと下ろすと、空き地の真ん中で魔女が落としたグリーフシードを拾いながら冷たく言い放つ
「命拾いしたわね・・・これに懲りたらこれ以上首を突っ込まないことね。さもないと・・・死ぬわよ」
「ま、待ってほむらちゃん!」
何が起こったのか理解できないまでも、自分が助けられたことだけは察して声を上げるまどか
その時、
「まどかー!」
「鹿目さん、大丈夫!?」
さやかと魔法少女姿のマミが血相を変えながら現れ、二人を引き離すように間に割り込む
「さやかちゃん、マミさん!」
「無事でよかったわ、鹿目さん。それに・・・暁美ほむらさん」


609 : 3/3 : 2011/10/09(日) 05:31:13.03
立ち去ろうと背を向けるほむらの姿を、頭からつま先まで見やると、不敵な笑みを浮べるマミ
「あらあら、あの程度の魔女に随分苦戦したようね、暁美さん?」
「・・・・・・」
「ま、まどか?アンタ怪我してるじゃない!」
さやかに言われ、初めてその事に気が付き、軽く膝をはたくまどか
わずかに擦り剥き、服も多少砂埃にまみれていた
「あ、本当だ。・・・でも、これくらい全然大したことないよ」
「お前、まさかまどかに何かしたんじゃないでしょうね!」
怒気を放ってほむらを睨みつけるさやかの反応に、場の空気が一気に緊張する
「ち、違うよさやかちゃん!ほむらちゃんは・・・」
「・・・遊び半分で魔女退治に首を突っ込んだ罰よ」
「暁美さん、貴女・・・魔法少女の風上にも置けないわね」
「マミさん違うの!ほむらちゃんは・・・」
「鹿目さんは下がってて」
「・・・だったらどうするつもり?」
「そうね・・・手負いのところを悪いけれど、お仕置きさせてもらうわ!」
マミが右手をかざすとたちまち何十ものリボンが現れ、四方からほむらの華奢な身体を締め上げようと襲い掛かる
しかし・・・
「えっ・・・!?」
次の瞬間、ほむらの姿が忽然と消え、放たれたリボンは虚しく空を切る
目の前で起こった事が理解できず、呆然と立ち尽くすマミたち三人
「・・・一般人を巻き込んで戦いを仕掛けるなんて、とんだ正義の味方も居たものね。もっと自分がしている事をよく考えなさい、巴マミ」
「なっ!?」
声のする方向に振り向くと、空き地の入り口から立ち去ろうとするほむらの後姿が見える
「ま、待ちなさい!」
「この帽子、返しておくわ」
そう言って去っていくほむらが投げてよこしたのは、マミが被っていたはずの羽帽子だった
(そんな・・・いつの間に)
「あいつ・・・くー!やっぱり感じ悪いヤツ!」
その後姿に悪態をつくさやかとは対照的に、残る二人の気分は重かった
(あの子、あんな身体でどうやって・・・底知れないわね)
(ほむらちゃん、どうして・・・どうしてあんなになってまで私を庇ってくれたのに、マミさんを挑発するようなことを言うの?)
魔女に襲われ生命の危機を体験したはずのまどかだったが、その心に残るのは何故かほむらの寂しげな後姿と抱えられた肌の温もりだった
あ、あれ?クールでツンな本編ほむと弱気まどっちのラブを書くつもりが・・・
なんとなく2話見返してたら、このゲルトルートってほむほむには相性悪いんじゃって想像したらこんな話を書いてしまった・・・スマソ


695 : 名無しさん@お腹いっぱい。 : 2011/10/11(火) 02:07:35.06

>>607の『すっかり遅くなっちゃった』SSのイラストを描いてみました。
ほむほむがボロボロになりながらも、まどかを守って、魔女を倒し
お姫様抱っこしてるイメージ・・・。
即席で描いたので・・・色々とすいません><
07_695_attach_07-607.jpg

http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1316610084/607-609,695 (リンク切れ)