90スレ/夜中の訪問

Last-modified: 2014-07-07 (月) 18:18:16

32 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2014/01/24(金) 15:15:18.20 ID:tTrtzNqIP
まどっちが窓の鍵を開けておくと真夜中にほむほむが侵入してきます
その後寝ているまどっちと少し添い寝したりほっぺにキスしたり優しくなでたりをひと通り済ませると幸せそうにおやすみなさいと言って出ていきます
これをまどっちが寝たふりをしていると気が付かずにおこなってしまったほむほむの妄想がアウトプットできない

94 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2014/01/24(金) 22:04:14.10 ID:NUP3Gb9X0
またまたむしゃくしゃしてやった。>>32を見て思いついた。反省なんて、あるわけない。

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「いつも思うのだけど、どうして鍵が掛かってないのかしら」

そんな事を呟きながら、私は窓からその部屋に進入する。

「おかしな連中が入り込んだらどうするのよ」

不法侵入している分際でどの口が、と突っ込まれそうな事を口走る。
最も入り込んだら最悪のあの淫獣は窓の鍵など関係ないのだけれど。

「ん……」

いけない、起こしてしまっただろうか。
いつでも時間を止められるように警戒しながら様子をうかがう。
しかしながらこの部屋の主は今日も夢の中のようだった。

「まどか……」

そっと部屋の主の名を言の葉に乗せてみる。
私の目的。私の人生。私の命。私の希望。私の、たった一人の―――。
これまでの事が瞬時に、止めどなく思い出され、私のポンコツな心臓に負荷をかける。
視界が滲み、呼吸が乱れる。
考えるな。思い出すな。お願い、止まって。

「まどかっ……!」

名を呼ばずにはいられなかった。
抱きしめて欲しかった。頭を撫でて欲しかった。
あの時のように、心を通い合わせたかった。
だけどそんな事は許されない。
私は目的を果たしていない。果たした所でこの手は血に汚れすぎている。
こんな汚れた存在が一時の感傷でこの心清らかな少女を汚すなど、許されるはずがない。
そうでなくとも能力は制限付きで、目的を果たした先に私の未来など無い。
いずれ消える私が迂闊に近づこうものなら、後で傷つくのは彼女なのだ。

「ぐすっ……ひっく……」

いけない、今度こそ起こしてしまったのだろうか。
どうやらそうではないらしい。
寝ながら泣いているようだ。
怖い夢でも見ているのだろうか。

「だいじょうぶだよ。まどか。怖いものはみんな、私がやっつけるから」

起こさないように気をつけながら、そっとまどかの頭を撫でる。
たとえ夢の中でも、まどかを安心させてあげたかった。
そう、怖いものは全てやっつける。
魔法少女の運命も、死の運命も、ワルプルギスの夜も。
全て、私が。

「だからどうか、あなたはあなたのままでいて。魔法少女になんてならずに、幸せになって」

そう、まどかが幸せになってくれればそれでいい。
それだけが叶いさえすれば。
例えこの身も魂も尽き果てたとしても、私は報われるのだから。
やるべき事はまだ残っている。全てはまどかのために。
私は再び夜の闇に飛び込んでいく。







「いつも思うのだけど、どうして鍵が掛かってないのかしら」

その人はいつも夜中にやってきます。

「おかしな連中が入り込んだらどうするのよ」

あなたは『おかしな連中』じゃないのかなって聞いてみたいけど、きっと自分でも考えてるんだろうな。

「ん……」

声のする方に寝返りを打って、薄めで相手を確かめます。
やっぱり、ほむらちゃんだ。
相手がほむらちゃんだと確かめたら、私は寝た振りを続けます。

「まどか……」

小さな声で私の名前を呼びます。
起こしたいわけじゃないみたいです。
初めてほむらちゃんが来た時は、最初はとても怖かったです。
なんで私の家を知っているのか、なんでこっそり入ってくるのか。
何をする気なんだろう。私は何をされちゃうんだろう。
けど、ほむらちゃんは何もしません。

「まどかっ……!」

また、泣いてる。
ほむらちゃんは、私を見て、ただ静かに泣くのです。
そっと触れられることぐらいはたまにあるけど、それだって変なこと、嫌なことをしようというものじゃありませんでした。
それを見た時から、私の中から恐怖が消えました。
なんで泣いてるんだろう、どうして私の所に来るんだろう。
そう聞いてみたくても、出来ませんでした。
聞いちゃったら、ほむらちゃんが来てくれることすら無くなりそうだったから。
私は今では、鍵をわざと開けてほむらちゃんが来るのを待つようになりました。

「ぐすっ……ひっく……」

ほむらちゃんの事を思うと、胸が締め付けられるような気持ちになって、涙がこらえられなくなりました。
きっと辛いことがあったんだ。
それは私に関係が有ることなんだ。
なのにほむらちゃんは話してくれない。聞いても答えてくれない。
そうして全部一人で抱えて、今でも苦しんでるんだ。
なのに私は、何も出来ない。

「だいじょうぶだよ。まどか。怖いものはみんな、私がやっつけるから」

そう言ってほむらちゃんは頭を撫でてくれる。
その手つきはとても優しくて、本当に私を守りたいんだって、伝わってくる。
だけど違うんだよほむらちゃん。私が泣いてるのは、怖いからじゃないの。
ほむらちゃんが泣いてるのに、抱きしめてあげることすら出来ないのが悲しいんだよ。
あなたを支えたいのに、知ることすら出来ない自分が悔しいんだよ。

「だからどうか、あなたはあなたのままでいて。魔法少女になんてならずに、幸せになって」

幸せ。幸せってなんだろう。
ほむらちゃんが泣いてるのに、それを知ってて何も出来ないわたしは、本当に幸せになれるのかな。
ほむらちゃんを泣かせる私のままで、そんな事が許されるのかな。
ねぇ、ほむらちゃん。私はあなたに笑って欲しいんだよ。
あなたを心から笑顔にできる、そんな私になりたいんだよ。
今すぐ起きてそう伝えられれば、それは叶うのかな。
だけどそんな勇気が絞り出せない臆病な私は、ほむらちゃんが部屋から出るのを感じた後

「ほむらちゃんの、ばか……」

そう呟くことしかできないのでした。