劇団アタッテ砕けろ

　遠前町を拠点とする零細劇団。メンバーも若い人間ばかりで、アルバイトと倹約生活で会費を捻出して自転車操業している。練習する日は月・水・金曜以外の日。
　中核メンバーだった演出家の古田と花形女優の温水ちよが同居人で恋仲ながらもどこかぎくしゃくした関係であり、役者の官藤吐夢と若木もちよに思いを寄せているというドロドロの慕情を抱えていたが、9劇中の少し前に件の脚本家が失踪。会費も払わず草野球と二足のわらじを履く主人公(9)が加入、あまつさえ入れ替わりでちよの家に居候を始めたことがきっかけで、団員の結束が静かに崩れ始める。
　それでも多くの団員たちの情熱は本物であり、官藤吐夢がけがをした際に主役を主人公(9)に譲ったり、本番直前でけがや病気でさらに2人が抜けて素人に代役を頼むといった状況になっても皆が努力し、舞台を成功に導いている。
　その状況に付き合おうとせずに抜けてしまった若木によって舞台小屋に使っていた倉庫が燃やされてしまい舞台は1日で中止になるも、初日の公演で劇場のオーナーの目に留まって次の公演が決まり劇団は成功への一歩を踏み出している。

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