トーイミュージック

Last-modified: 2022-01-26 (水) 04:11:44
 

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作詞家、松本隆発案によるゲーム音楽アレンジユニット「アキハバラ・エレクトリック・サーカス」。ロジックシステムの入江純と松武秀樹は後から呼ばれての参加で、グループの命名も松本自身。東芝EMIのディレクターとの間でお膳立てが出来ていたようだ。「ダンシング・スーパーマリオブラザーズ」と小さく副題がついているが、選曲はマリオに限定せず任天堂の各ヒット作から。"マリオと一緒に踊ろう" くらいの意味だろう。全編に渡って効果音やちょっとしたボイスサンプル(「Hey!」「Yoooh!」など短いもの)を織り交ぜたディスコ風味の編曲が目立つのだが、もしや今ユニットを立ち上げた際、松本隆の頭にはミーコ・モナード(MECO)のスターウォーズ・カバーアルバムのようなイメージが有ったのではなかろうか。特に『ゼルダの伝説』における、ボコーダーナレーション満載のコズミック感に片鱗が出ているように思う。(そのせいで、宇宙のゲームになってしまっているが...。)

松本は1985年に小説『微熱少年』を上梓。1987年には自らが監督して映画化した。また、本作より少し後の1989.6.7『AIR=CON(エアコン)』発売時には、フライデー1989年5月12/19日号(通号241)に登場。松武/入江と秋葉原の電気屋での3ショットを公開し、「遊び心ですよ。また本気で遊びたくなったんです。微熱を通り越して中熱くらいかな」と語っている。つまり、歌謡曲以外の仕事に手を伸ばした時期の作品、ということになる。

お互いのモチーフが行ったり来たりの「F1レース~3Dホットラリー」、EVEのゴスペルコーラスとスイングジャズの管楽器群で、ブロードウェイミュージカルの趣を見せる「スーパーマリオブラザーズ」など、この思いきった色付けは、過去のロジックシステム作品と比して突き抜けており、これは「松本指揮官の賜物」......と言っていい気がするがどうだろう。翌年に出した『TV』(1989.4.12)の際、松武は「入江さんの楽譜もメロとちょっとオブリが書いてある程度で、例えば3曲繋がっている曲があっても間奏で何を入れようかというのは録音現場の思いつき」と語っている。複数人のアイデアをが投入しながら仕上げていく、そんな工程が今作でも採られていたとみて良さそうだ。なお、ディレクターの津田に関しては一切情報が見当たらない。松本隆と組むくらいだから過去に何度も仕事をしていそうなものだが。ロジックシステムのプロデューサーであったフジパシフィック音楽出版の川本晴義(大瀧詠一の「ロングバケーション」でも関連)+笹島斌(ささじまあきら)Dから、東芝エキスプレスレーベルの平形忠司を経由し、部下であった(と思われる)津田氏が担当することになったのか....それとも、加藤和彦&サディスティックミカバンド(高橋幸宏在籍)のマネージャーをしていた重実博(のち東芝EMIのディレクター→ファンハウス)の紹介なのか....。。もっとも、松本隆クラスであればどこの誰と繋がっていても不思議ではないが。

 

 

表記:Toy Music by Akihabara Electric Circus
型番:CT32-5299/eastworld
発売:1988-9-15
編曲:入江純(当時33)
演奏:松武秀樹(当時38/synth program) EVE(chorus) Richard Curtiss(narration)
Direction:Koichi Tsuda(東芝EMI/ 津田幸一?)
Produce:松本隆(当時38)
MIX:吉井聡(Mixer's Labo)
Mastering:河田為雄(Studio Terra)
インペグ:伊部誠 (CMC)
開発:任天堂/ハル研究所

 

 

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