江口勝敏

Last-modified: 2023-05-30 (火) 01:46:30

2021.7.26(月)、音楽プロデューサー江口勝敏の訃報が知らされた。江口はゲーム音楽との関わりも深く、ここで氏についてまとめておきたい。ジャンルが広く括りづらい方だが、大雑把にいえば「パンク期~ゲームレコード期~飯野賢治期~アニメ期」に大別される。

S-KEN (1978~)

S-KENが結成したバンド「S-KEN」のベーシストとして活動。S-KEN主宰のインディーズパンクイベント「東京ロッカーズ」に関与する。

有限会社PCM (1980頃~)

PCMは80年代初頭、江口と門池三則が立ち上げたインディーズの企画会社。江口はこれを機にステージを降り、裏方に回る。メジャーが扱わないロック/パンク/ニューウェーブバンドのイベントやマネジメントを主業とし、ここにはラフィンノーズ、町田町蔵、有頂天、ヒカシュー、筋肉少女帯、たま、JUN SKY WALKER(S)などが出入りしていた。イカ天前夜、バンドブームが到来する前であった。ちなみに門池はJUN SKY WALKER(S)のメジャーデビューと共に株式会社バッドミュージックを創業、Mr.Children、the pillows、ミッシェルガン・エレファントらを送りだすことになる。

戸川純(1984)

アルファレコードから出た「玉姫様」のプロモーションを担当。ディレクターは小尾一介(後のサイトロンレーベルオーナー)。

株式会社プレスクラブ・ミュージック(1984.12)

レコード企画制作会社を設立。前述の有限会社PCMとの線引きは不明。ただの改組かも知れない。

キャプテンレコード(1985~)

雑誌「宝島」と共同で設立、プロデューサーに就任する。前述の有頂天らインディーズバンドのリリースを活発化させ、一方ではインディーズの商業主義と揶揄された向きもあったようだ。同時期に「PCMレコード」と言うレーベルもあり、キャプテンレコードとダブルブランドになっていて、その棲み分けは不明だが、PCMはディストリビュートのみを請け負っていたのかも知れない。
https://www.discogs.com/ja/label/239854-PCM
https://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/cp/library/yamaha_news_jpn/pdf/index/273_YamahaNews_J_1986.pdf

PCM complete

いつの頃からか、江口の所属先として「PCM complete」というクレジットが目立つようになる。
社名由来の通称と思われるが、1990年の有頂天「でっかち」の段階では既に使われていたようで、前述の改組タイミングだったのかも知れない。
http://gammaray.blog.jp/archives/17380465.html

・ヒーリング企画CD「恐竜時代」
・1993 カブキロックス ゲームミュージック・サウンド (TYCY-5331)
・ポポロクロイス物語 (NACL-1224)
・鉄拳2 STRIKE FIGHTING Vol.1 (NACL-1225)
・鉄拳2 STRIKE FIGHTING Vol.2 (NACL-1229)
・鉄拳2 STRIKE ARRANGES (NACL-1238)

フューチャーランド (1985~1998)

キングレコードのスターチャイルドレーベルを離れた藤田純二を中心としたスタッフが、東芝EMIの出資を受けて作ったのが株式会社ユーメックス。そこで抱えた2大レーベルの片方がフューチャーランドである。ここで江口は(PCMに在籍しながら)セガのS.S.T.BAND後継ユニット「B-UNIV」などをプロデュースしている。アンダーグラウンドなバンド発掘を活動の中心にしていた江口が、どういった経緯でアニメ/ゲームの世界に足を踏み入れることになったのかは不明。過去のインタビューで「パンクとアニメのファンは似ている」との発言もあるが.......新しいもの好きの性格にフィットしたのだろうか。

ファーストスマイル・エンタテイメント株式会社 (1996~2000)

スタジオジブリなども手がけたミキサー・大川正義が起業した、アニメ/ゲームに特化したレコード会社。PCMは解体させファーストスマイルに移籍。大川と共にプロデュース業に携わる。ちなみに同社カタログの1作目は飯野賢治の「エネミーゼロ」

株式会社スーパーワープ(2000~)

ゲームクリエイター飯野賢治の出世作「Dの食卓」(1995)の音楽制作を担当以降、音の参謀として彼をサポートしていたが、飯野が持つ株式会社ワープが株式会社スーパーワープへ商号変更し、入社。

株式会社フロムイエロートゥオレンジ(2001~)

株式会社スーパーワープから改組。そのまま在籍している。2013年、飯野はKAKEXUN(カケズン)プロジェクトを立案するが2月に急逝し、江口がCEOとなって後を継ぐことになった。2014年にはクラウドファンディング「モーションギャラリー」にて支援プロジェクトが始まり、(当初1500万だった目標額を500万に変更しながらも)達成を果たしている。江口以外で明かされているスタッフは、チーフディレクター飯田和敏(アートディンク→有限会社パーラム→有限会社バウロズ→グラスホッパー・マニファクチュア→立命館大学 映像学部教授)、制作ディレクター佐藤直哉。ここに飯野が以前運営していた株式会社ワープの元スタッフから成る株式会社ワープ2(2013.10登記/林田浩典、菅村弘彦、宮崎朋浩)が合流している。
https://kakexun.asia
https://motion-gallery.net/projects/kakexun
https://fyto.com
http://warp2.co.jp

晩年

2014年にセブ島に移住。
アニソンイベント「スーパーアニソン魂」の仕事などを続けながら、書籍「非物質ガイドとの探索」シリーズ(全3冊)などの編集も行なっていた。
江口は音楽業界に40年(45年?)携わりながら、ここ15年は平行してIT業界でも仕事をしていたようだが、具体的にどういったプロジェクトを手がけていたかは不明。

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