【紅いサソリ】

Last-modified: 2023-10-21 (土) 18:25:08

SF2

【サンダイル】に登場する暗殺組織。汚れ仕事を担うだけあり、組織内部の体制はかなり非人道的。
まず、暗殺者訓練生は各地の人攫いにより確保しているという噂が立っている上、訓練を終えるまでは番号で呼ばれまともな名は与えられない。
しかも、訓練生は後述の暗殺方法を身をもって学ぶため【モンスター】と共に閉じ込められる中で気配を消して潜伏し続けるという命がけの訓練を強いられ、その中で大半は命を落とす。
 
訓練を乗り越えてからも非人道的な扱いは終わらず、正式な暗殺者として名を与えられると共に、身体に所属を表す焼印を押される。
極めつけに、この焼印には「サソリの毒」と呼ばれる特殊な毒が仕込まれており、焼印を押された者はこの毒による不治の病を患うことになる。
サソリの毒は遅効性のもので、定期的に抑制剤を服用すれば症状を抑えられるが、それが無くなると徐々に体が衰弱し、やがて死に至る。
現代サンダイルの医学においてサソリの毒を完治させる方法はなく、抑制剤の製法を知り暗殺者に与えることができるのもサソリ上層部のみ。
つまり、上層部に見捨てられたり裏切ったりした暗殺者は遠からず毒で命を落とすこととなり、延命を餌にして強引に暗殺者たちを服従させるという方法を取っているのであった。
ちなみに、その上層部は本名不明の首領程度しか登場しておらず、組織の全体像は不明な部分が多い。
 
暗殺方法自体は気配を消して対象に近づき抹殺するという一般的なものだが、その気配の消し方は本作の世界観を活用した特徴的なものとなっている。
サンダイルの人々は【アニマ】を頼りに万物を認識する上、視覚にないものを見ようとする習性があるため、視覚的に目立っていてもアニマ的に目立たない存在には注意が行き届きにくい。
サソリの暗殺者はこれを逆手に取り、カメレオンの擬態のように周囲のアニマに自分のアニマを溶け込ませるというステルスの技法を使いつつ、視覚的に目立つ派手な服装を敢えて着る。
また、多くの人々が行き交う場所ほど自分のアニマが看破されにくいため、結論を言うと「派手な格好をして多くの人が集まる場所に行けば暗殺が容易になる」ことになる。
ただし、最近は標的以外を勢い余って殺すなど、質の低下が見られるらしい。
 
作中では主にシナリオ【暗殺者ヨハン】における、元構成員【ヨハン】の回想として言及される。
【ギュスターヴ13世】の前ではヨハンの名を使う彼だが、サソリ現役時代には【ヨハネ】、訓練生時代には273番と呼ばれていた。
また、彼の同期として、【ユーダ】(訓練生時代は274番)という人物がいたようである。
動機は不明だが、ヨハンは毒で死ぬ末路を覚悟の上で組織を抜けることを決意し、元同僚に追われつつ逃亡を図り、その道中でサソリのステルスが原理的に通用しない13世に発見され救助されるのであった。