鉄道/信号

Last-modified: 2018-03-07 (水) 16:54:20

Simutransでの鉄道路線の運行はもちろん、実際の鉄道路線の運行においても不可欠な信号システム。
ここではそんな信号システムの概要と、信号機の種類について解説します。
このページでは、信号の働きについてできるだけ正確に説明するようにしています。多少分かりづらくなってしまっている面もあるかと思いますので、実例から実際の設置例をご覧いただいた方がよいかもしれません。

※OpenTTDの「パス信号」も、基本的には同様の挙動となります。但し、細部の動作は異なります。

概要

予約

Simutransの信号システムには、「予約」という重要なシステムがあります。まずはこれについて解説します。

それぞれの線路マスは、1列車のみに予約されることができます。複数の列車に予約されることはありません。

  • 予約解除ツール
    bキーを押すと、下の画像のように一部の線路が赤く表示されます。また、この状態ではカーソルが信号機のようなマークになります。赤く表示されている部分がある列車によって予約されている部分です。この状態で線路をクリックすると、その部分を予約している列車の予約が解除されます。
    Sig_Area.png

列車の進行

Simutransの列車は、特定のルールに従って動きます。ルールは以下のようになっています。

  1. まず、車庫または(停車)駅を発車する際に、次の停車駅(中継点を含む。以下同じ)までのルートが探索され、最も「合理的な」ルートが選択され、確定する。
    • OpenTTDのパス信号も、ここまでの動作は同様です。
  2. 次の停車駅までのルート上に何らかの信号が存在する場合そこまでを、存在しない場合次の停車駅までを予約する。
    • ただし、その途中に他の列車により予約されている区間がある場合、その予約が解除されるまで車庫または駅で待機します。この場合、貨物の取り扱いは継続せず、カーソルを載せると「停止」のツールチップが表示されます。
    • OpenTTDの場合は、「停車駅で経路予約を打ち切ることはしない」という仕様から、停車駅の有無に関係無く次の信号までを予約します。
  3. 走行中は、その列車の最後尾が過ぎたマスについては、予約を解除する。
    • 予約解除された区間に分岐があり、当該分岐を予約していた列車とは違う方向に向かう列車が待機していた場合、この時点で経路を予約して分岐の先に進むことができます。
    • OpenTTDのパス信号も動作は同様です。
  4. 予約区間の終端に信号がある場合、信号の種類に応じた特定の区間が他の列車により予約されていない場合に限り、特定の区間を予約する。
    • ここで、他の列車による予約のため進行できない場合、信号のあるマスを先頭に停車し、予約が解除されるまで待機する。(実際の鉄道での「機外停車」にあたる)
    • OpenTTDのパス信号も動作は同様です。但し、OpenTTDの場合は、ブロック信号も予約区間の終端となります。
  5. 予約区間の終端に信号がない場合、次のマスが予約されていない場合、次のマスを予約し、進行する。次のマスが予約されている場合、停車し、待機する。
    • 通常はあり得ないが、以下のような状況で発生することがある。
      • 信号の撤去
      • プレイヤーの操作(予約解除ツール)による予約の解除
      • チューズシグナルを停車駅から極端に離れた箇所に設置した場合
    • この場合、次の信号または停車駅まで異常な状態で走行を続けることになる。信号を撤去する場合、この挙動に注意すべきである。
      • 但し、OpenTTDとは異なり、このような異常な状態での走行であっても「列車同士が衝突事故を起こし、列車がロストする」ということはありません。OpenTTDの場合、最悪列車がロストすることになるので、より注意が必要となります。

閉塞との違い

実際の鉄道の信号システムにおいては、「信号によって区切られた区間(閉塞)には1列車のみが入線できる」という大原則によって安全を確保しています。※OpenTTDにおいては、「ブロック信号」の動作がこれに相当します
しかし、上記のように、Simutransにおける「閉塞」の概念は、実際の鉄道で用いられるそれとは異なります。同じ信号でも、停車駅の異なる列車では予約される区間が異なります。従って、Simutransにおいては閉塞は区間が固定されないと言うこともできると思います。(これを閉塞と呼ぶかどうかについては、プレイヤーの間で流儀が異なるようです。)
このため、実際の鉄道信号に詳しい方も、それは一旦忘れてSimutransの信号に触れることをお勧めします。

※OpenTTDの「パス信号」は、Simutransの信号に類似する動作をします。但し、OpenTTDにおいては、停車駅で経路予約を打ち切らないため、「停車駅の異なる列車では予約される区間が異なる」という動作にはなりません。
※OpenTTDでは、Simutrans類似の信号システムを「PBS(Path-Based Signaling system)」と呼んでいるようです。

信号(roadsign)の種類

Simutransでは、信号や標識の類を“roadsign”と総称しています。鉄道における信号・標識(roadsign)の種類を以下に記します。以下、前章と同様、「停車駅」には中継点を含みます。

※全ての信号が「停車駅で経路予約を打ち切る」ことに注意しましょう。そのため、OpenTTDのパス信号と全く同じ動作をさせることはできません。

信号

信号については、列車が接近した際に「他の列車に予約されていないかチェックする区間」と「接近した列車に対して予約を許可する区間」を挙げます。

信号機(signal)

pak64
デフォルトsign64def.png
アドオンsign64add.png

最も単純な信号です。駅間などに通常用いられる信号は信号機です。

チェックする区間ルート上に最初に存在する何らかの信号(roadsign)まで。その途中に停車駅が存在する場合、そこまで。
予約する区間ルート上に最初に存在する何らかの信号(roadsign)まで。その途中に停車駅が存在する場合、そこまで。

※OpenTTDのパス信号も、基本的な動作は同様となります。但し、「停車駅は閉塞区間の境界とはならない」「双方向に作用するパス信号は存在しない」「片方向タイプでないパス信号は、逆側からは信号機が存在しないものと見なされる」違いがあります。

プレシグナル(presignal)

pak64
デフォルトpre64def.png
アドオンpre64add.png

待避(追い越し)や合流に用いられる信号です。

チェックする区間ルート上に存在する2つめの信号(roadsign)まで。その途中に停車駅が存在する場合は、そこまで。
予約する区間ルート上に存在する2つめの信号(roadsign)まで。その途中に停車駅が存在する場合は、そこまで。

※「停車駅が閉塞区間の境界となる」Simutrans特有の動作に依拠する信号であるため、OpenTTDに同様の信号は存在しません。OpenTTDの「入口信号(Block Entry Pre-signal)」は、ブロック信号の特殊なものであり、名前が類似しますがその動作は全く異なります。

多閉塞信号(longblocksignal, longsignal)

pak64
デフォルトlong64def.png
アドオンlong64add.png

単線区間などに用いられる信号です。

チェックする区間ルート上に最初に存在する何らかの信号(roadsign)まで。途中に停車駅が存在する場合でも、無視する。
予約する区間ルート上に最初に存在する何らかの信号(roadsign)まで。その途中に停車駅が存在する場合、そこまで。

※「停車駅が閉塞区間の境界となる」Simutrans特有の動作に依拠する信号であるため、OpenTTDに同様の信号は存在しません。

入線振分信号, チューズシグナル(choosesignal)

pak64
デフォルトchoose64def.png
アドオンchoose64add.png

駅や留置線の手前などで用いられる信号です。

チェックする区間次の停車駅まで。
予約する区間次の停車駅まで(ただし、次の停車駅までの距離が128マスを超える場合、128マス目まで)。

ただし、次の停車駅の指定されたホームまでの区間が予約されている場合、同一駅で当該列車が停車可能なホームについて同様に調べ、予約可能な場合は予約し、そのホームに入線します。停車可能なホームとは、以下の全ての条件を満たすホームを指します。

  • 入線振分信号の設置箇所から線路が繋がっている
  • ホーム長が列車の長さ以上である
  • 途中に振分禁止標識(後述)が存在しないルートが存在する

なお、この際に調べるホームは、入線振分信号設置位置から最も近い位置から順にチェックされます。

また、入線振分信号から次の停車駅の指定されたホームまでの間の経路にこの振分禁止標識(後述)がある場合、入線振分信号は信号機(signal)として機能します。

※OpenTTDにおいては、「停車駅の使用ホームを指定することができない」という仕様から、パス信号で場内・出発信号を構築すると、入線振分信号に類似する動作をします。

標識

以下に述べる標識は、信号ではありません。従って、この標識が予約区間の境界となることはありません。

振分禁止標識(endofchoosetrack)

pak64
デフォルトendchoose64def.png
アドオンendchoose64add.png
  • 入線振分信号の但し書き説明文にある他のホームのチェックの際に、この標識が経路上に含まれる場合はチェックの対象となりません(言い換えれば、入線することができません)。
    なお、あるホームまでの間に振分禁止標識が含まれないルートが1つでもある場合、そのホームはチェックの対象となります(言い換えれば、入線することができます)。
  • 入線振分信号から次の停車駅の指定されたホームまでの間の経路にこの標識がある場合、入線振分信号は信号機(signal)として機能します。

なお、この標識には向きがありません。

※OpenTTDにおいては、「停車駅の使用ホームを指定することができない」という仕様から、同様の標識は存在しません。

進入禁止標識(NoEntry)

pak64
デフォルトnoentry64def.png
アドオンnoentry64add.png

向いている方向からの進入を禁止します。機能としては、一方通行標識ととらえて差し支えないでしょう。
なお、この標識には両方向はありません。

実例

Simutransの信号システムは難解と評されることが多いです。
ここまでの説明のみではわかりづらいと思いますので、実際に路線を作りながら信号の効果についてまとめていきたいと思います。