20 名前: こんなゲームやってみたい。 投稿日: 2003/03/23(日) 00:16 [ nRSIm1Uo ] モナーはいつものように講義の帰りに、逝きつけのゲーセンに入っていった。 「・・・新製品入荷?」 入り口の近くにあるビデオゲーム筐体のトップに「新製品入荷」というポップが貼ってある。 タイトル名を確認すると「魔汰亜離」と書いてある。おそらく「マターリ」と呼ぶのだろう。 「変なタイトルモナ・・・」 そう思ってインストカードを読むと、「このゲームには過激な暴力表現が含まれています。心臓の弱い方はプレイをお控え下さい」と書いてある。 「びぃオハザードも怖いと言われていたけど全然怖くなかったモナ」 インストをさらに読むと、どうやら一昔前によくあったベルトアクション系のゲームだ。 モナーは筐体の前に座り、50円硬貨を入れた。 「シィィィィ!」 筐体からしぃの断末魔の悲鳴が聞こえてきた。 「うわあああっ!」 びっくりしているモナーの所に、モララーがやってきた。モナーと同じ大学に通う友人でゲーセンでバイトをしているのだ。 「あ、ごめん、ビビった?何の予備知識もなきゃ絶対ビビるよな、これって」 「なんだ、モララーモナか。それにしても驚いたモナ」 「なんせ本物のしぃの断末魔をサンプリングしているからな。ちなみにクレジット投入音は数種類用意されているぜ」 「・・・キャラは誰を選べばいいモナ?」 画面にはキャラクター選択画面が出ており、左から順番にモララー、ギコ、モナー、モダーの4人が並んでいる。 21 名前: 2/6 投稿日: 2003/03/23(日) 00:16 [ nRSIm1Uo ] 「素直にモララーにしとけよ。最初にカーソルがあっているんだし」 「そうさせてもらうモナ」 「モダーはマニアック過ぎるから初心者には難しいぞ」 画面には選択画面が出ている。ちびギコルートかしぃルートを選択するようだ。 「簡単そうなちびギコルートを選ぶモナ」 「あーっ、ちびギコルートは敵が多すぎて・・・遅かったか」 ゲームが始まった。多数のちびギコ達が「ちびギコ党」の旗を掲げてドドドドドと街を走り去っていく。 モララー「なぜここがマターリ党の手に?」 ちび様「もう遅いデチ!みんなでマターリするデチ!」 ちび様・・・コイツがボスキャラのようだ。 ちび様が去っていくと、画面左から一度に5、6匹ものちびギコが出てきた。皆一様にデチデチ言っている。 「随分うるさいゲームモナ」 とりあえず横軸を併せて適当に殴っていく。 「デチィィ!?」「ヒギャアァァ!」「ビエーン!」 攻撃を当てるたびにちびギコの悲鳴が響き渡る。 「音量をもっと小さくして欲しいモナ」 「分かってないなぁ。この断末魔を聞けるからいいんだよ」 「ま、まだ動けるデチ・・・」 一度連続技でダウンさせたちびフサが起きあがってくる。 「フサは結構カタいからな」 22 名前: 3/6 投稿日: 2003/03/23(日) 00:17 [ nRSIm1Uo ] 敵を全滅させるとGOサインが出る。→の方向に従って進むと、いきなり画面端からしぃが出現し、槍を投げてきた。 「コノ虐殺厨!」 避けきれずに当たってしまう。投げたしぃはさっさと画面端に向かって逃げていってしまった。 「卑怯過ぎるモナ!」 「進上攻撃っていう奴だ。画面一番下にいれば当たらないよ」 モララーはベルトアクション系のゲームを多数1クレクリアしたという。彼のアドバイスには確かなものがあった。 「ダマレコゾウ!」 「うわっ、レコモナ!」 レコの突撃にプレイヤーがはじき飛ばされてしまう。 「レコは当たると痛いからね~気をつけろよ」 「くっ、コイツらムカつくモナ!」 モナーはレバーをガチャガチャしながらボタンを連打した。すると・・・ 「これが漏れの技だからな!」 画面内のモララーが謎のオーラを出しつつ敵に突っ込んでいく。 23 名前: 4/6 投稿日: 2003/03/23(日) 00:17 [ nRSIm1Uo ] 「ドコダ・・・コゾ・・・」 プレイヤーの必殺技を食らってダルマ状態になったレコがズルズルと画面内をはいずり回っている。 「倒したから次に行くモナ」 「おっと、全員完全にとどめを刺さないと倒したうちに入らないぜ」 「面倒なゲームモナ・・・」 「死にかけの状態を見るのもまたオツなもんだ・・あっと、おにーにだ!」 ワチョッ、ワチョッ!と叫びながらおにーにが逃げている。 「今だ、頃せ!・・・あーあ、逃げられちまったじゃねーか」 「おにーに倒していいことがあるモナ?」 「あいつを倒すと回復アイテムを落とすんだよ。攻撃してこないから安心して殴れるしさ。ここで回復取っておかないとボスまで持たないぞ」 24 名前: 5/6 投稿日: 2003/03/23(日) 00:18 [ nRSIm1Uo ] 「ちび様モナ」 画面にはちび様がどんと立っている。 「僕は他の奴とは違うデチよ!覚悟するデチ!」 画面からは2匹のしぃが援軍にかけつけてきた。 「応援なんて卑怯モナ!」 「おいおい・・・このテのゲームじゃ当たり前だぞ・・・正面に立つな!」 プレイヤーはちび様に投げ飛ばされていた。 「とりあえずザコから倒すモナ」 虐殺棍棒を持っているしぃを適当に殴りに行く。 「シィィィィィッ!オテテトアンヨー!」 しぃが持っていた虐殺棍棒が地面に落ちた。 「武器を使うモナ!」 虐殺棍棒を拾って泣いているしぃを殴る。一撃でしぃが吹っ飛び、そして死んだ。 「強いモナー♪」 「ハニャアアアアアン!ダッコスルカラタスケテ!」 もう一匹のしぃも虐殺棍棒3回であっけなく死んだ。 「あっ、2匹とも倒しちゃうと・・・まぁいいや」 「後半分くらいモナ」 ギィィィィ・・・と叫びながらちび様はまだプレイヤーに向かってくる。 「びぃが出てきたモナ!」 新たにびぃが増援として出てきた。 25 名前: 6/6 投稿日: 2003/03/23(日) 00:19 [ nRSIm1Uo ] 「武器がなかったらコイツからは逃げたほうがいい」 その外見に似合わずにびぃはやたらこっちを素早く、しかも正確に追ってくる。 「捕まるなよ・・・でも時間がない、急げ!」 画面内には「HURRY UP!」の表示とともにカウントダウンが始まっている。 「3、2、1・・・遅かったか」 時間切れになった瞬間、画面右からドドドドとクックルが走ってきて、プレイヤーにマウント攻撃をかましたかと思うと、 プレイヤーを抱えて画面右に走り去っていった。 こうなってしまうと体力に関係なくゲームオーバーだ。 画面が暗転して「コンティーニューしますか?」という文字が出てきた。追加コインを入れない限り、ゲームオーバーになることを意味する。 「ま、初見にしちゃ上出来じゃねぇの?」 「面白かったモナ。またやってみたいモナ」 「そっか。また店長に言っておくよ」 「それじゃあ、バイト頑張るモナ」 「うん、じゃあな」 その後、この「魔汰亜離」は大ヒットし、家庭用ゲーム機にまで移植され、そこでも100万本以上を売り上げることとなった。