44 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/01/28(火) 23:50 [ c2cHpkdM ] 元は、ごく普通のアパートの台所だったのだ。 しかし、今そこにはアヒャの手によって、この世の地獄が表されていた。 テーブルの上の透明なポリ袋。 まだ血の付いている、ちびギコの腕が数匹分、無理矢理詰め込まれている。 ペットボトルには、八分目程、何者かの血が満たされている。 ヌラヌラとした血液が、ペットボトルのキャップのふちにこびり付いて光っている。 カッパッパーの皿と甲羅は、ハンマーとスクリュー・ドライバーで壊され、 甲羅の中身はクツクツと煮立った鍋の中で、 泥臭いにおいを発しながら、ドロドロに煮込まれている。 炊飯器では、おにーにが炊かれていたらしい。 高温の水蒸気で顔や体の米が溶けて、あまり原型を留めていない。 しぃは、まな板の上で腹を裂かれ、そのグロテスクな色彩の 内臓をアヒャとモララーに見せびらかすかのように仰向けに固定されている。 そのしぃのそばには、白い陶器の皿に臓器が盛られていた。 今まで、数々の虐殺をこなしてきたモララーだが、このような光景を見るのは初めてだった。 モララーがしてきた虐殺とは本質的に異なるアヒャのこの行為。 アヒャのそれは虐殺と言うより、むしろ……。 食事だった。 アヒャはゆっくりと、立ち尽くすモララーに近づいて行った。狂気の笑みを浮かべながら。 45 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/01/28(火) 23:51 [ c2cHpkdM ] 「アヒャヒャヒャ、なぁモララー。どうだこの際、無意味な虐殺は止めないか?」 モララーはぎこちなく振り向いた。 「なるほどね。食べれば有意義だって言いたいわけか。このキティ」 アヒャは、奇声にも似た笑い声を発した後、 おもむろにしぃのそばに置いてあった皿を持ってきた。 「肝臓だ。内臓だと、肝臓が一番ウマーだぞ。アヒャヒャ、ウマーウマー」 アヒャは肝臓をモララーの目の前にちらつかせると、生のままでそれを食べた。 クチャクチャと汚らしい音を立てながら、アヒャは肝臓を味わっている。 アヒャの唾液に濡れた口から、噛み切られた肝臓の切れ端が、少しだけこぼれる。 食べ終わり、口を手でぬぐうと、アヒャはモララーを見つめて言った。 「アヒャは、今までちび共しか食べたことがないアヒャ。今度は大物を食べてみたいと思ってるアヒャ」 アヒャの包丁がモララーの頬をかすめた。しかし、モララーもかなりの手練れだった。 素早い動きでアヒャの刃をかわす。 そして、とっさにカッパッパーの甲羅の近くにあったハンマーを手に取った。 アヒャは包丁を突き出し、モララーはハンマーを振り下ろした。 包丁はモララーの左手を深くえぐり、ハンマーはアヒャの頭を強打した。 アヒャの体が傾き、台所の床の血溜まりに倒れ込んだ。 モララーは、痛みをこらえながら、人目を忍んで自分のアパートの部屋に戻った。 素早く腕の手当をして、必要最低限の荷物をまとめて部屋を出た。 あれから、数年。 地方に隠れ、虐殺などの行為も自粛していたある日のこと。 「ミュイィ♪ ミュギ? ギュゥゥゥッ!! ギュィィ……」 ストレスが溜まっていたのか、つい一匹のべびギコを殺してしまった。 ふと、手に着いた返り血を舐めてみた。鉄の味がモララーの舌をおおった。 次に、べびギコの肉片を恐る恐る舐めてみた。噛んで、飲み込んでみた。 そして、狂ったように内臓を掻き出すと、手当たりしだいにむさぼっていった……。 完