登録日:2010/02/06 Sat 02:27:53
更新日:2024-05-10 (金) 18:59:41
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※ご自身の健康問題については、専門の医療機関に相談してください
概要
ペストとは、感染症の病気である。
和名は黒死病。英語?だとThe Plague。Plagueという単語が伝染病を意味するが、定冠詞Theをつけるとこのペストを指す。まさに伝染病の代名詞。
中世ヨーロッパにおいて二度にわたり大流行し、リアルバイオハザードとでもいうべき大惨事を引き起こしたことから悪名高い。
もとは東南アジアのごく一部の地方の病気であったが、ルネサンス時代に香辛料貿易などが進んで世界の一体化が始まるにつれて、ユーラシア大陸各地に広がった。
ネズミやリス?などに寄生しているノミを媒体にして、爆発的に広がるのが特徴。
感染力も強く、どれくらいかというとこの病気で死亡した遺体を敵国に投石機?で投げ込んだだけで一国が滅びた、との逸話があるほど。
真偽は別としても、いかにペストが恐れられたかがよく分かるエピソードである。
最も話題に上りやすいペストは腺ペストであり、その致死率は非常に高い。
罹患すると数日の潜伏期間の後高熱やリンパ節の腫れに始まり、やがて衰弱を伴う全身症状が広がっていく。
末期になると体中が内出血を起こし、皮膚には黒い斑点のような模様が浮かび上がる。これが黒死病の名の由来となっている。
またペスト菌を吸い込んでしまった場合、肺ペストになる。
こちらは感染した場合、早期に適切な治療を行わなければ、まず助からないとされる。
主な抗生物質はサルファ剤、ストレプトマイシン等。
歴史
古代からたびたび流行していたようで、ビザンツ帝国では多数の死者を出した記録がある。
中世ヨーロッパで大流行した際には、死者数7600万人という未曾有のキルスコアを叩き出した。
この数値は、当時のヨーロッパにおいて実に3人に1人が亡くなったことを意味する。
ちなみに、第二次世界大戦の総死者数が2200万人。
絶対値でもペストの死者の三分の一にもならないうえに、中世と近代の総人口の差を考えると、中世の人々にとってペストの方がはるかに身近な死の恐怖だった。
誇張抜きで、戦火よりも恐れられたのである。
ペストがもたらした恐慌でヨーロッパの治安はしっちゃかめっちゃかになり、魔女狩りやネコ落としなどの迷信が入り乱れた。
まだ生きているのに埋葬してしまい?、患者が柩から出ようとした状態で死んだことで、吸血鬼?伝説が現代の形でまとまったり、
はたまたあまりにも死が身近に迫ってしまったため、死神?の姿が骸骨?の姿で統一されるようになった。
富裕な王侯貴族などは避暑地などの別荘に逃れてなんとか生き延びたが、市民のほとんどは死亡した。
農奴がごっそりいなくなった結果農園経営システムを変更せざるを得なくなるなど、ヨーロッパの政治・経済など社会を全局面的に激変させてしまった。
ヨーロッパで爆発的に広がった理由として、雨が降りにくいこと、下水道などの衛生環境が悪かったことが挙げられる。
また魔女?の使い魔として猫?が大量に虐殺されたため媒体となるネズミが大量に増えたことが原因とする説もあるが、これは時系列的にありえない。
16、17世紀にヨーロッパで流行した際は、創作でよく見かけるタイプのペスト医師?が現れた。
あの特徴的な仮面(ペストマスク)の嘴には香辛料を詰めていたが、当然ロクな効果はないのでペスト医師の死亡率は高かったようだ。
ちなみにあのノストラダムス?もペスト医師だったといわれている。
現代
現在は特効薬が存在し、腺ペストの場合は早期に発見されればまず助かるらしい。
ただし肺ペストはさらに時間的制約が厳しくなり、先進科学治療を受けても死亡する場合がある。
また日本国では80年以上感染者は確認されておらず、雨が降れば治まることもあり、日本での流行はほぼないだろう。
しかし十分な処置がないと危険な事には変わりなく、医療体制が弱い発展途上国では今でも被害が起きている。
なお、現在でももっとも危険度の高い感染症である一類感染症(エボラ出血熱などと同レベル)に指定されており、厳重な施設内でしか培養や実験などは行えない。
治療法が確立されたとは言え、現在でもバイオハザードの危険を秘めた恐ろしい感染症には違いないのだ。
また、たびたび漫画などの創作物にも登場する。
ペストが登場する作品
- スーパードクターK
- 漂流教室?
- 聖闘士星矢?(ブラック流星拳?)
- 仮面ライダー(ネズコンドル?)
- Rewrite?
- スペクトルマン(ペスト菌を感染させる怪獣ネズバードンが登場する)
- キノの旅?(帰郷)
- Fate/strange Fake?(ライダー?)
- 玄米ブレード(雷句誠の短編集『玄米ブレード』に収録)
- Sound Horizon?(『光と闇の童話』の背景にこれがある)
- 問題児たちが異世界から来るそうですよ??
- 滅びの笛(ネズミが大量発生したさい、ベストも発生したというデマが広がる)
- 吸血鬼ノスフェラトゥ
- トランスフォーマー(宇宙ペスト)
- Magic the Gathering(そのものズバリ《黒死病/Pestilence》というエンチャントが存在する)
- Plague Inc.‐伝染病株式会社‐?(伝染病シミュレーションRTS。黒死病そのものをシミュレートするシナリオがある。)
- ペスト(アルベール・カミュの小説)
- 第七の封印(映画)
- 人造人間キカイダー?(ムラサキネズミ?)
再びペストが流行しないことを祈りながら追記、修正お願いします。