登録日:2023-12-27 (水) 23:29:00
更新日:2024-06-07 (金) 23:35:12
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牛とは鯨偶蹄目ウシ科の哺乳類の一種である。
家畜として馬、豚、鶏と並んでよく知られた動物?でもある。
目次
概要
ご存じ筋肉質なガッシリした体格に2本の角を生やした比較的大型の草食動物。
家畜としての、言わば狭義の意味での牛には"Bos taurus"という学名があり、bosはラテン語で「牡牛」、taurusは「牛」全般を意味している。
英語?では一般的に"cattle"というが、実はそれ以外にも英語が存在し、
例えば牝牛は"cow"、種牛は"bull"、去勢牛の事は"ox"と呼ぶ等、意外にバリエーションが豊富。
一般的に単に「牛」と言えば家畜の牛を意味し、バイソン?やバッファロー等野生の、言わば広義の意味での牛である野牛や水牛とは区別される事が多い。
豊富な用途を持ち乳用種・肉用種・乳肉兼用種があるほか、その力の強さから馬と同様に駄載や輓曳に用いられる*1。
また馬のような奇蹄目と異なり、複数の胃を持ち飲み込んだ草を何度も嚙み戻してから消化する「反芻」という生態を持つ。
反芻動物は大量に食物を必要とするため必然的に大量のフンも排泄され、それらは発酵させることで農業では定番の堆肥としても利用できる。
東北地方では「べこ」と呼ばれており、首の揺れる赤べこ人形が有名。
ヲタク的にはこの歌も馴染み深いだろうか。
家畜としての歴史
現在の家畜牛の祖先は「オーロックス」という3mにもなった巨大な野牛であり、かつてはユーラシア大陸の広域と北アフリカに渡り生息していた。
人類が狩猟採集生活を営んでいた時代には単なる狩猟対象であったが、人類が農耕生活を獲得するに従って家畜化されていったと考えられる。
馬同様に家畜としての牛の歴史も存分に長く、最古の家畜牛は紀元前8000年頃のイラン高原で生まれた。
その後メソポタミアやヨーロッパなどでも家畜化がなされ、やがて現在の家畜牛の起源となる二つのグループ「ヨーロッパ牛系」「インド牛系」の系統が成立した((「ヨーロッパ牛系」は一般的な牛、「インド牛系」はコブウシの系統。))。
その後これらの二系統を起点として世界中に拡散し、各地で配合や品種改良が行われその土地の特性に合致した多様な品種が成立していく。
一方でオーロックスの生息域は乱獲や生息域の破壊などにより減少し、中世にはヨーロッパで設けられた禁猟区に飼育されているものを残して全て絶滅してしまう。
さらに、飼育されている個体も保護目的ではなく単なる貴族の狩猟用*2にすぎなかったため、1627年には完全に絶滅してしまった*3。
皮肉なことに、祖先種は完全に滅んでしまったが品種改良された種……つまりある種の子孫とも言える家畜としての牛は人間のおかげで生き永らえている*4。
なお、首に着けられた鈴は「カウベル」と呼ばれ、楽器としても用いられている。
食材としての牛
牛は乳を採るだけでなく、その肉自体も食料とする事が可能である。
とりわけ欧州においては牛肉の料理が盛んであり、時には煮込み、時には焼いて食べたりしてきた。
中東・アフリカにおいても環境及び宗教上の関係で牛は重宝されており、切っても切り離せぬ関係となっているが、一方でヒンドゥー教?徒の多いインドのようにこれまた宗教上の関係で牛を食べる事を忌避する国もある。
仏教?の非殺生戒などで実は日本も食べたり食べなかったりを繰り返してきた歴史があるのだが、本格的に食べるようになったのは明治以降の西洋文化が浸透しつつあった時期からのようだ。
現代日本では鶏?肉?や豚肉よりも高級な肉の象徴的に扱われることも多い。
文化・伝承における牛
人間と共に歩んできた歴史も長い事から、神話などの伝承にもよく登場する。
北欧神話においてはアウズンブラ*5という原初の牝牛が登場、その乳から流れる川で原初の巨人であるユミルを育てたとされる。
ギリシャ神話ではゼウス?の化身の一つとして牡牛がおり、これがおうし座の由来となっている他、ヒロインの一人であるイオがゼウスによって牝牛に変えられる話がある。
一方で大人しい性格にもかかわらず、時に凄まじい力を持つ聖獣や凶暴で恐ろしい魔物のモチーフになる事もある。
例えばインド神話に登場する白い聖牛ナンディンはシヴァ神の象徴であり、その乗り物となっている他、同じく『マヒシャ(Mahisa)』或いは『マヒシャースラ(Mahiṣāsura)』?、ギリシャ神話に登場するミノタウロスも牛の頭を持った怪物である。
ユダヤ教?の聖典・旧約聖書では強力な動物としてヘブライ語の二角獣を意味するレエムの名で登場するが、英訳過程で一角獣を意味するレ・エムと誤訳され、欽定訳聖書ではユニコーン?に置き換わってしまった。
モーセが唯一神(Y・H・V・H)?のお告げを聞きに行く間、残されたユダヤ人たちが唯一神の似姿として牛の金像を作っていたという一幕もあり、神と同一視されていた時代があったことが窺える
(この時モーセが授かった十戒には偶像崇拝の禁止が含まれていたので帰って早々違反を詫びに行く羽目になった)。
日本の伝承に登場し、人を襲う妖怪である牛鬼?も名前の通り牛の姿をした妖怪である。
神話や伝承以外における文化としては牡牛を使って行うスペインの「闘牛?」や「牛追い祭り」という行事も有名。
その他古来から儀式・祭礼の主役や脇役として飾り付けられたり、牛同士で闘ったり、人を乗せたり、町中を練り歩いたり、新成人に背中を渡られたり、生贄として神に捧げられたりする。
現在では少なくなってしまったが、日本のお盆ではナスに足となる棒を刺した「精霊牛」がキュウリの精霊馬と共に供えられている。精霊牛は地域によってご先祖様の行きの乗り物、帰りの乗り物、荷物運搬用と役割が異なっている。
このように家畜としてメジャーであり、なおかつ馬と同様に人間と歩んできた歴史も長く、距離も近かったからこそ文化としても親しまれてきたと言えるだろう。
牛の品種
乳牛
- ホルスタイン
ご存じザ・牛にしてザ・乳牛な種。
白と黒の模様の体毛が特徴で、一般的に牛と言われて思い浮かべるであろう牛の代表。
日本で出回る牛乳の多くはこの種から採れている。
- ジャージー
乳牛としてはホルスタインの次に知られている種。
茶色い体毛とホルスタインに比べて小柄な体格が特徴だが、この牛の最大の特徴はホルスタイン以上に濃厚な牛乳を出す点にある。
食品においては殺菌したものを飲むのはもちろん、その濃厚さを利用してアイスやジェラートなどのスイーツに使われる事が多い。
肉牛
- アバディーン・アンガス
褐色か黒の体毛が特徴の種で、欧米における肉牛の代表格。
日本での飼育数は多くないが、上で述べたように欧米では盛んに飼育されており、
スーパーなどで売られている輸入牛肉の内比較的安価な「アンガス牛」という名で売られている牛肉はこの種の肉である。
- 黒毛和牛
名前の通り、日本で改良された黒い体毛を持つ種。
高級肉の代名詞的な種であり、かの神戸牛、松坂牛もこの種である。
- 日本短角種
こちらも日本で改良された種。
淡い褐色の体毛と、名前の通りそれほど長くない角が特徴。
原産は東北地方であり、元々は農業に使われていた南部牛という牛をルーツとしている。
牛をモチーフにしたキャラクター
これまで述べてきたように家畜として有名な動物であり、なおかつ人間と歩んできた歴史も長い事から、キャラクターのモチーフに使われる事も多い。
特にオスは立派な2本の角を生やしている点や、闘牛のイメージからか角を武器としていたり、熱血肌のパワーファイターのモチーフになりがち。
一方のメスは乳牛のイメージが強い事から巨乳キャラのモチーフになる場合もある。
十二支?、黄道十二星座の一角でもあるためそれらをモチーフにした作品にも登場する(名前だけ、冠名だけのパターンも多いが)。
牛男?、牛娘(属性)?の項目も参照。
キャラ名等 | 作品名等 | 備考 |
アウズンブラ | 北欧神話 | 牝牛 |
ナンディン | インド神話 | シヴァの象徴兼愛牛 |
スラビー | 牝牛神 | |
ミノタウロス | ギリシャ神話 | 牛頭人体 |
カルコタウルス | ゴーゴン名義で結び付けられたりする | |
ハトホル | エジプト神話 | |
アピス | ||
モロク | 旧約聖書 | |
牛鬼? | 日本の伝承 | 体が蜘蛛?として描かれる事もある |
件 | 日本の伝承 | 上記のミノタウロスとは逆に人頭牛体 |
牛頭天王 | 神仏習合 | 牛頭人体もしくは牛の被り物をした人 |
牛頭 | 仏教? | 牛頭人体 |
青牛、蚩尤、牛魔王 | 中国伝承・神話 | |
ファラリスの雄牛? | 古代ギリシア | 牛型の拷問具ないし処刑具 |
ブラックオックス | 鉄人28号 | ロボット |
ウシ | おじゃる丸? | ※仮名ではなく「ウシ」という名前の牛である |
モーム? | ONE PIECE | 海牛という海生哺乳類の一種 |
ドルトン? | 動物系悪魔の実?ウシウシの実モデル野牛の能力者 | |
酒場のブルーノ? | 牛がモチーフと見られる。主人公からの通称も店のアイコンも牛。誕生星座も牡牛座 | |
トーラス? | 新機動戦記ガンダムW? | 牡牛座が名前の由来 |
プレイアデス・タウラ? | 第3次スーパーロボット大戦Z 天獄篇? | |
ガオグランナーバッファロー | トミカ絆合体 アースグランナー? | 正確には水牛だが、敢えて記載 |
アルデバラン、ハスガード、ハービンジャー?ら牡牛座の黄金聖闘士? | 聖闘士星矢?シリーズ | 牡牛座がモチーフ |
バッファローマン? | キン肉マン | 頭に角を持つ人型 |
アントニオ・ロペス/ロックバイソン | [[TIGER&BUNNY]] | |
ガラオックス? | 仮面ライダー? | 人食いカラスとの合成 |
タイホウバッファロー | 仮面ライダーV3 | 大砲?との合成 |
死神バッファロー | 仮面ライダースーパー1 | |
バッファロー怪人 | 仮面ライダーBLACK | |
ゴ・バベル・ダ? | 仮面ライダークウガ? | |
仮面ライダーゾルダ?、マグナギガ | 仮面ライダー龍騎 | |
オックスオルフェノク | 仮面ライダー555? | |
バッファローアンデッド? | 仮面ライダー剣? | |
ゼロライナードリル | 仮面ライダー電王? | |
バッファローロード タウルス・バリスタ? | 仮面ライダーディケイド | |
牛鬼 | ||
仮面ライダーオーズ? シガゼシコンボ? | 仮面ライダーOOO? | シカ・ガゼルとのトリプルモチーフ 映像作品には登場しない、CSM?オリジナルの形態 |
タウラス・ゾディアーツ? | 仮面ライダーフォーゼ? | 牡牛座がモチーフ |
ミノタウロス | 仮面ライダーウィザード? | 上記のミノタウロスがモチーフのファントム? |
クラッシングバッファローレイダー? | 仮面ライダーゼロワン | |
仮面ライダーゼロワン クラッシングバッファロー? | 設定画のみで、映像作品未登場 | |
仮面ライダーバッファ? | 仮面ライダーギーツ? | |
仮面ライダーベロバ? | ||
バッファロー怪人 | バトルフィーバーJ? | |
バッファローモンガー | 太陽戦隊サンバルカン? | |
黒騎士ブルブラック/黒騎士ヒュウガ?、重星獣ゴウタウラス | 星獣戦隊ギンガマン? | |
ガオブラック?、ガオバイソン? | 百獣戦隊ガオレンジャー? | |
ガオバッファロー | ||
マジグリーン?、マジタウロス? | 魔法戦隊マジレンジャー? | ミノタウロスがモチーフ |
臨獣バッファロー拳ギュウヤ | 獣拳戦隊ゲキレンジャー? | |
牛折神?/モウギュウダイオー? | 侍戦隊シンケンジャー? | |
オルトウロスヘッダーのナモノ・ガタリ | 天装戦隊ゴセイジャー? | ミノタウロスとオルトロスのダブルモチーフ |
バイソンキング | 手裏剣戦隊ニンニンジャー? | |
オウシブラック/チャンプ | 宇宙戦隊キュウレンジャー? | 牡牛座がモチーフ |
ウシバロック・ザ・ブロウ? | 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー? | |
トウギュウワルド?/ダイトウギュウワルド? | 機界戦隊ゼンカイジャー? | |
ギュウニュウワルド?/ダイギュウニュウワルド? | 乳牛(ホルスタイン)モチーフ 着ぐるみも上記のギュウニュウワルドのリペイント | |
オクスター | 帰ってきたウルトラマン? | |
カウラ | ウルトラマンA | |
ケンタロス? | ポケットモンスターシリーズ? | ♂しかいない |
ミルタンク? | ケンタロスとは逆に♀しかいない | |
バッフロン? | ||
バッファルホーン? | 星のカービィ | |
バッファロー | MOTHER2 ギーグの逆襲 | ドコドコ砂漠?に登場 |
青い牛 | 異変?が収まると普通の牛に戻る | |
Hell Bovine / Cow King | Diablo II | |
シャーリー・オークレイ | アリス・ギア・アイギス | 牛とカウボーイがモチーフ |
牛鬼 | FINAL FANTASYシリーズ | |
うしにんげん | ||
ミノタウロス | 時には召喚獣ポジとして力を貸す | |
セクレト | ||
ミュータントOX | METAL MAXシリーズ? | |
オーロック | 半分人・半分黒牛のミュータント | |
オックス | ファイターズヒストリーダイナマイト | 格闘ゲームの隠しボス |
フローズン・バッファリオ? | ロックマンX3? | |
オックス・ファイア | 流星のロックマンシリーズ? | |
バフバロ | モンスターハンターシリーズ | |
ウシ | Minecraft | 小麦を与えると繁殖する |
ムーシュルーム | 体にキノコが生えており、ハサミで切り落とすと普通のウシになる | |
ベニー | ドーラ/ドーラといっしょに大冒険 | |
牛 | ひつじのショーン | |
牛頭 | 鬼灯の冷徹 | 上述の鬼?をモデルにした、地獄の門番の牛の頭を持つメス獄卒。 |
ベティーナ | パウ・パトロール | |
クララベル・カウ | ディズニー | |
マギー | ホーム・オン・ザ・レンジ にぎやか農場を救え! | |
ミセス・キャロウェイ | ||
グレイス | ||
ビッグホーン? | ビーストウォーズⅡ 超生命体トランスフォーマー? | |
バーニングビーフ | JAPAN WORLD CUP | ブルホーン種という新種のサラブレッド? |
ズン類 | ミノタウロスの皿? | ある惑星の知的生命体。人間そっくりの家畜「ウス」を飼っている。 |
草摩潑春 | フルーツバスケット? | 異性に抱きつく(抱きつかれる)と牛に変身する |
モーモー娘 | かいけつゾロリ? | |
ミル姉さん | 笑う犬シリーズ | |
うしくん | パペットマペット? | お笑い芸人 |
荒川弘? | 実在の漫画家 | 牛を自画像として使用している |
トロヴァール | 志摩スペイン村 | |
バフィリード | 大阪近鉄バファローズ | |
バファローブル | オリックス・バファローズ? | |
バファローベル? | ||
ヘルブスト | ジンメン? |
牛にまつわる言葉
人間と牛の関係が長いこともあって、牛に纏わる言葉も多い。
馬とセットで扱われる例も多い。同格の扱いもあれば馬より劣る扱いをされることも…
言葉 | 意味 |
牛歩 | 歩きや進行がのろい |
牛の涎 | 細く長くだらだらと続く |
牛飲馬食 | 大いに飲み食いすること |
食牛之気/呑牛之気 | 牛を丸呑みするほどの大きな心意気 |
鶏口牛後 | 大きな組織の末端より小さな組織の長のほうがよい |
牛耳を執る | 集団の中心となって主導権を握り思うままに動かす |
九牛の一毛 | 多数の中の僅かな部分、取るに足りないこと |
角を直して牛を殺す | 小さな欠点を直そうとしてかえって全体を駄目にしてしまう |
牛に食らわる | 騙される |
牛に経文 | いくら説き伏せても効き目がない |
牛に引かれて善光寺参り | 誘いや偶然に導かれて良い行いをする |
牛を馬に乗り換える | 不利な物から有利な物に変える |
余談
闘牛においてマント?を持ったマタドール(闘牛士)に向かっていく牛だが、実は赤いものに反応しているのではなく、ヒラヒラと動くマントの動き自体に反応している。
何故なら牛は色を識別する事ができないからである。
追記・修正はヒラヒラに突進してからお願いします